共有地の悲劇とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 共有地の悲劇の意味・解説 

きょうゆうち‐の‐ひげき〔キヨウイウチ‐〕【共有地の悲劇】

読み方:きょうゆうちのひげき

経済学で、多くの人の利己的な行動によって共有資源枯渇すること。山林漁場などの共有地入会地(いりあいち))において、各自適量採取すれば存続できる資源も、自己利益のために濫伐乱獲する者が増えれば枯渇し共有地全体荒廃を招くことから。コモンズの悲劇


共有地の悲劇

【英】The tragedy of the commons

・「共有地の悲劇」とは、1968年生物学者ギャレット・ハーディン雑誌サイエンス」に掲載したモデルのことである。

・このモデルは、Dawesによって1975年ゲーム理論として定式化され、社会的ジレンマ、特に環境問題言及するときに頻繁に取り上げられる

・ある集合体の中で、メンバー全員協力的行動とっていれば、メンバー全員メリットがあった。しかしそれぞれ合理的判断の下、利己的に行動する協力状態になってしまった結果、誰にとってもデメリットになってしまうことを示唆したモデルである。

例えば、ある共有牧草地があり、5人の村人それぞれ20頭ずつ羊を飼っているとする。ここには羊100頭分牧草しかなく、それが守られていれば村人みんなが牧草地恩恵に預かれる。

また、この羊は1頭100万円で取引され、羊が1頭この牧草地増えることにより餌となる牧草減り栄養不足のため99万円取引される以後、1頭増える度に、1万円ずつ取引価格下がっていく。(初期村人一人取引高2000万円

合理的な村人は、自分効用利益)を最大限高めたい考える。村人にとって、羊を減らしたり、現状数を維持するより、増やしたほうが自分メリットがあると考える。そこで村人Aはもう1頭羊を放牧した

結果村人Aは2079万円利益得た(羊21頭×99万円)。他4人の村人は、1980万円取引高減った(羊20頭×99万円)。

・それを見た周り村人自分効用最大限高めたいという合理的な考えの下、それぞれ自由に羊を共有地放し始めた結果として牧草地荒れ果てにとっても使えないものになってしまった。加えて自由に放牧した場合の総利益最適に管理され状況での総利益よりも少なくなってしまう。

例えば、5人全員が1頭ずつ羊を増やした場合一人当たり1995万円(羊21頭×95万円)となり、適正に管理をしていたときに受け取れる利益2000万円(羊20頭×100万円)より少なくなってしまう。

また、全体利益考えても、最適な管理下での総利益1億円(羊20頭×100万円×5人)であったはずが、自由な放牧下では、9975万円(羊21頭×95万円×5人)と、こちらも減少する

周り協力すればにとってもいい結果であったものが、自らの利益追求図ろうしたため最終的には誰にとっても悪い結果になってしまうことを意味している。


コモンズの悲劇

(共有地の悲劇 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/07 14:17 UTC 版)

コモンズの悲劇(コモンズのひげき、: tragedy of the commons)とは、多数者が利用できる共有資源が乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうという経済学における法則共有地の悲劇ともいう。


注釈

  1. ^ 国連環境計画(UNEP)などの国際機関を、世界貿易機関(WTO)や世界保健機構(WHO)と同様に地球規模の規制をする機関へ発展させるという案もある[1]

出典



「コモンズの悲劇」の続きの解説一覧

「共有地の悲劇」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「共有地の悲劇」の関連用語

共有地の悲劇のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



共有地の悲劇のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
人事コンサルティングのアクティブ アンド カンパニー人事コンサルティングのアクティブ アンド カンパニー
Copyright© 2024 Active and Company Ltd. All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコモンズの悲劇 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS