かぞく‐けいかく〔‐ケイクワク〕【家族計画】
家族計画
家族計画
カップルまたは個人が、避妊を通して、自発的に子どもをいつ、何人産むのか計画すること。また、単に産児制限といった意味だけではなく、出産の間隔と時期を調節することである。望まない妊娠による人工妊娠中絶、若年もしくは高齢での妊娠、度重なる妊娠、出産などは、母子の健康に影響を及ぼすが、出産の間隔や時期には、母子の身体的な問題だけでなく、家族構成や育児環境、周囲の理解といった、精神的、社会的、経済的な問題も反映される。
家族計画推進には、母子の健康確保や福祉の向上が基本条件であり、出産年齢への配慮、女性の教育機会の保障、避妊法選択の自由、乳幼児死亡の削減、子どもの育成環境への配慮などが重要となる。有効に家族計画プログラムが実行されている国では近代的避妊法の利用は増加しているが、開発途上国においては、貧困や男女の性差別によって、女性が避妊法を実行することができないために妊娠に至るといったアンメットニーズが問題となっている。リプロダクティブヘルス・ライツの視点からも、家族計画は重要である。
(池上清子)
家族計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/09 05:16 UTC 版)


家族計画(かぞくけいかく、英語:family planning)は、家庭毎の、いつ・どれだけ子供を持つかという計画をいう。
概説
1950年代以降、アジアを中心に食糧不足や資源不足、貧困や経済開発の遅れが生じたが、その原因に人口の急激な増加が指摘されるようになった[1]。所得水準が低い国々では、子供が家計の収入には欠かせない存在であり、社会保障制度も整っていないため、親が子供に対して老後の生活の世話をしてくれることを期待して、出生率が高くなる傾向にある[2]。
発展途上国で人口爆発が起きると、農業生産は上がらず、一人当たりの所得水準は低くなり、貧困から抜け出せない状態に陥る[2]。そこで総合的な人口政策として、家族計画の導入が図られるようになった。
しかし多くの発展途上国では、出生率の数値目標を達成するための頭ごなしの人口政策がとられたため、人々の反発を買い、具体的な成果を上げることができなかった[1]。また、諸問題の根源がすべて人口増加にあるわけではなく、富の再分配の不平等や社会福祉政策の不備が、結果として人口増加につながっていると指摘されるようになった[1]。これは人口減少の場合においても、同様の議論がある。
1994年に、エジプトのカイロで開かれた国際人口開発会議では、統計優先の国家人口政策というマクロの視点から、個々の健康や生活というミクロの視点へ重点を移すべきとされた[1]。
各国の政策
日本
戦中は産めよ殖やせよが唱えられたが、戦後は人口爆発への懸念から、産児制限が唱えられるようになった。その結果戦後10年ほどで合計特殊出生率が4を超えていたものが2を下回るところまで急落した。
1958年度の『厚生白書』では家族計画は単なる子減らしではなく、
- われわれが健康にして文化的な生活を営むためには、自らの手で家族設計すなわち適当な家族構成を考えて行くことが必要となるが、家族計画とは、このような自主的計画的な家族設計のことをいうのである。
としている[3]。即ち産児制限の中で、各家庭が自主的、計画的に行う側面を強調している。
その後しばらくは合計特殊出生率が2付近のまま推移していたが1970年代以降は緩やかに下落していき、1989年のいわゆる「1.57ショック」以降はそれまでとは逆に少子化が問題視されるようになった。
中国
中華人民共和国では、1979年から一人っ子政策を導入して、強制的な人口抑制が図られた[4]。しかし、男女比の不均衡、無戸籍児の増加、将来の急激な少子高齢化が、新たな問題となっている[2]。
インド
インドでは1970年代に出生率の数値目標を定めた強制的な人口抑止政策がとられたが人々の反発を買い、中止され、家族計画を中心とする政策に移行した[1][4]。
脚注
関連項目
外部リンク
- “社団法人 日本家族計画協会”. 2012年3月7日閲覧。
家族計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 15:52 UTC 版)
1960年代後期には、シンガポールの増大する人口が、発展中の経済に負担をかける可能性があるとして、「子供は2人まで」という家族計画を推奨するキャンペーンを展開し、子供のいる夫婦からは不妊手術が受けられるように主張する声が多く上がった。 ほかにも、大卒女性の出産を推奨するなどの優生思想に基づく選別的な教育制度を実践した。回顧録では「多民族社会では、ある民族の知能指数 (IQ) が他よりも低いというベルカーブ(英語版)仮説は動かしがたい現実だったからです」と主張している。
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