アナキズムと性とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > アナキズムと性の意味・解説 

アナキズムと性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/03 07:25 UTC 版)

アナキズムと性(アナキズムとせい)では、アナキストたちによる性に関する言説について記述する。

概要

アナキズムはその成り立ちから「自由恋愛主義」の重要な支持者だった。後にアナルコ・フェミニズムや「レズビアン・ゲイバイセクシュアルトランスジェンダー」(いわゆるLGBT)の権利を守る動きが生まれるなど、「自由な愛」を求める傾向はさらに強まった。今日も、アナキズムはポルノグラフィBDSM、性産業といった性に関する主題をめぐり、発言や行動を行っている。

黎明期

主だった男性のアナキストたちは、プルードンのような例外をのぞいて、女性の平等を強力に支持してきた。たとえばバクーニンは父権社会へ異議を唱え、「女性が男性の絶対的な支配にある」ならわしを批判した。彼の主張によれば、「男性にも女性にも平等な権利がなくてはならない」し、女性は「自分の生き方をつくりあげるために独立し自由になる」べきである。バクーニンは、権威主義的家族制の終焉と十全な女性の性的自由を予想した。一方でプルードンは家族を社会や倫理の最も基本的な単位としてとらえ、女性は家族における伝統的な役割を果たす責任があると考えた。

バクーニンネチャーエフが愛しあっていたと考えるものもいる[1]。彼らは性の解放について書いたことはないし、何かの恋愛譚を公に語ったこともないが、私的な書簡にはその情熱的な関係が露になっている。バクーニンは1870年6月2日にネチャーエフに手紙を書いた。彼に裏切られたあとだった。「君を深く愛していたし、いまも愛しているよ、ネチャーエフ…どれだけ深く、どれだけ情熱的に、どれだけ思いをこめて君を愛していることだろう。君を信じているよ!」[2]

「社会主義下における人間の魂」のなかでオスカー・ワイルドは、富が皆に分配される平等主義社会を熱をこめて語っている。そこでは富は皆に分配され、権威主義的社会主義は個を圧殺しかねない危険なものである。。後にワイルドはこう語る、「私は単なる社会主義者じゃないと思うんだ。私はアナキストか何かなんだろう、たぶん」。彼のレフト・リバタリアニズムは、後に同性愛者の解放キャンペーンを積極的に行った、19世紀のジョン・ヘンリー・マッケイやエドワード・カーペンターらに共有されていった[注釈 1]

脚注

注釈

  1. ^ 彼の伝記作者であるマッケナによれば、ワイルドは同性愛の合法化を目指す秘密サークルの一員であり、「大義」を目指すリーダーとしてグループ内では有名だった。(McKenna, Neil. 2003. The Secret Life of Oscar Wilde.)

出典

  1. ^ Robynski. 1994. Nechaev And Bakunin: Left Libertarianism's Lavender Lineage. Northcote, Vic: Autonomous Tendency.
  2. ^ Confino, Michael (ed.) Daughter of a Revolutionary: Natalie Herzen and the Bakunin-Nechayev Circle, trans. Hilary Sternberg and Lydia Bott (LaSalle, IL: Library, 1974), pp. 273, 275.



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アナキズムと性」の関連用語

アナキズムと性のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アナキズムと性のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアナキズムと性 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS