環境権
英語:Environmental Rights、Constitutional Environmental Rights
快適な環境で健康に生活するための権利。新しい人権の一つとして注目されている。2013年現在、幸福追求権や公共の福祉について規定されている日本国憲法第13条を根拠として、憲法上保護されるものとしてみなされることが多い。
周囲の騒音や公害問題など、環境問題が人々の生活に与える影響が増大するにつれて、環境権が主張される機会が増加した。しかし日本の環境に関する各法律や憲法などでは、環境権について明確に規定されているわけではない。そのため2013年5月現在、環境権を憲法の中に盛り込むことが活発に議論されている。
公明党は、憲法96条改正よりも環境権やプライバシーに関する新条文を憲法に盛り込むほうが国民の理解を得やすいとして、憲法96条に先立って改正するべきだと主張している。
自民党の石原伸晃環境相は、公明党が主張する憲法への「環境権」の明記に賛同している。自民党内部では96条改正と環境権の追加をセットで行うべきという意見もあるが、石破茂幹事長はセットでの改正に懐疑的であると述べるなど、2013年5月17日現在、自民党内でも意見がまとまっていない。
関連サイト:
96条と環境権のセットに懐疑的…石破幹事長 - 読売新聞
かんきょう‐けん〔クワンキヤウ‐〕【環境権】
環境権
環境権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/28 07:39 UTC 版)
環境権(かんきょうけん)とは、新しい人権の一つで、良好(快適)な環境の中で生活を営む権利のことを指す。ポルトガル(1976年導入)を皮切りに、2019年時点で国際連合加盟国のうち156か国に認められている[1]。
日本における環境権
日本国憲法第13条の「幸福追求権」を根拠に主張され、学説としてはほぼ通説としての地位を確立している。
伊丹空港の騒音問題で知られる「大阪空港訴訟」では、人格権、環境権に基づく民事上の請求が認められるかどうかがその争点となった。しかし、現在までの判例は、環境権を正面から国民各人の権利として認めることを避けたものとなっている(個々人への直接的・具体的な被害があれば、環境権ではなく人格権の侵害として、請求が認められるケースはある)。
高度経済成長期の急激な工業化や開発により、河川や大気などの環境が急速に破壊されたほか、新幹線や空港の騒音などによる公害が各地で深刻な社会問題となった。1960年代より、反公害は高まりを見せ、政治的課題として急浮上した。これらを背景に1967年には「公害対策基本法」が成立した。また、各地の大規模開発に際しては、事前に環境に対する影響を調査する「環境アセスメント」などの施策が浸透していった。このような流れの中で、健康で快適な環境のもとで暮らす権利として、『環境権』が主張されはじめた。
1993年、「環境基本法」が、「公害対策基本法」を引き継ぐかたちで施行された。
日本の法律や憲法には環境権の概念は盛り込まれていない[1]。日本国憲法改正論議の焦点として、第9条の問題に加え、この「環境権」の位置づけが以前[いつ?]議論された。
脚注
- ^ a b 大久保規子 (2024). “環境権と市民参加”. 環境法政策学会誌 2024 (27): 21-32. doi:10.57382/kkhs.2024.27_21.
関連項目
環境権
「環境権」の例文・使い方・用例・文例
- 環境権という権利
環境権と同じ種類の言葉
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