類似概念との差異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 16:32 UTC 版)
「自然の権利」概念は「アニマルライト Animal rights」ではない。これらはしばしば混同されるが、現在では「自然の権利」という概念は上述のように「自然保護に関する問題を法廷で議論するための技術論」という側面が強くなっており、動物の個体に権利を認めることを目指したものではない。これに対し、「アニマルライト」は、動物の個体に権利を認めることを目的とするものであるし、植物などについては苦痛を感じる能力がないとして保護の対象外と考えている。 山村恒年によれば、自然の権利と、日本における環境権や自然享有権といった概念も異なったものである。山村によれば、環境権は、公害などによる地域住民への被害防止という観点から提唱されてきた概念で、一定の地域住民の私的権利として地域環境の共有と支配を認めるものである。つまり、環境権の立場からは、自然環境は主体ではなく支配対象と言うことになる。対して自然享有権の概念は、「人が人間らしい生活を維持するために不可欠な自然の恩恵を受ける権利」ないしは「現在及び将来のすべての人のために自然を適正に保護する権利」と定義され、自然への支配権を想定せずに、自然と言う有機集合体からの利益を国民一般が受け取る権利として構成されるものである。自然の権利論の影響も受けているが、あくまで人類の共益権とその保護という人を主体とした見方である点では異なっている。ただし、後述の奄美自然の権利訴訟では、自然享有権にもとづいて自然の権利を代位行使するという法的構成も原告適格を基礎づけるために主張されている。
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