空気質指数とは? わかりやすく解説

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空気質指数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/21 16:41 UTC 版)

空気質指数の時間値の年間データの例(指標:CAI、2015年、韓国・ソウル)

空気質指数(くうきしつしすう、: Air Quality Index (AQI))または大気質指数とは、粒子状物質(PM2.5)や二酸化硫黄などの主要大気汚染物質の汚染の程度を示す指標である。環境を担当する行政機関がモニタリングを行い算出し、市民に対して観測値や予測値を発表、値が大きく健康への影響が懸念されるときは注意喚起を併せて行う。

概要

EPAの空気質指数

アメリカ合衆国環境保護庁 (EPA)が1999年に提示したものが最初[1]アメリカでは大気浄化法の1970年改正後、公衆衛生への影響緩和のため、粒子状物質、オゾン、二酸化硫黄、二酸化窒素一酸化炭素の6つの汚染物質に大気環境基準を設けてモニタリングが行われてきた[1][2]が、周知のため指数化に至った。

EPAの空気質指数は0から500の値をとり、数値が大きくなるほど汚染度が高くなり、健康影響の説明と対応した6段階の区分があってそれぞれ配色が決められている[1][2]

それぞれの汚染物質についてAQIが100[注釈 1]のときアメリカの大気環境基準(NAAQS)と等しくなるように設定されている。なお、環境基準には長期間のものもあるが、短時間のものを用いている。また鉛については健康影響が累積的で短期変動との関連性が低いことから除外されている[1][2]

100以下のときは一般的に健康に問題はないとされ、特に50以下は良好な空気質とされる。100を超過すると汚染リスクを受けやすいグループの人が影響を受け始めて、より値が大きくなるとすべての人が健康に影響を受け、屋外での活動を避けることが推奨される状況となる[1][2]

その他

空気質指数算出に用いる大気汚染モニタリング装置(イギリス)
個人宅に設置された空気質センサー

EPAの空気質指数は多くの国で利用されている[1]。一方、環境基準の違いを加味して異なる区分・名称の指数を提供する国もいくつかある。

空気質指数はふつう、それぞれの国や地域において、公的な大気汚染モニタリングネットワークからデータを収集し、環境を担当する行政機関が発表する。

ただし、民間企業が提供する例もある。例えばIQAirは、個人が購入・設置した同社のモニタリング機器からオンラインでデータを収集する参加型(クラウドソーシング)のネットワークを有し、これを利用してAQIを算出し公開している[3]

各地の空気質指数

北米

アメリカ

アメリカでは、アメリカ合衆国環境保護庁 (EPA)がAir Quality Index(AQI、空気質指数)を定め、主要都市で大気汚染物質濃度の観測を行うとともに指数を発表している。アメリカ合衆国大都市統計地域 (MSA)のうち人口35万人以上の都市(2000年国勢調査では138都市)については、毎日発表しなければならないと定められている。観測値に基づく当日の指数だけではなく、予報に基づく当日から翌日の指数も発表している[4]

AQIは6段階で、指数が100を超過するとSensitive Groups(敏感なグループ)に影響が生じるとされる。汚染物質ごとのSensitive Groupsは以下の通り。

100を超過するかしないかが健康影響の重要な判断基準とされている。した(する)場合には、主要報道機関に通知され、市民に広く伝えられることとなっている[5]

解説[5]
指数 カテゴリ(健康影響)
0 - 50 Good(良い)
51 - 100 Moderate(並)
101 - 150 Unhealthy for Sensitive Groups(敏感なグループにとっては健康に良くない)
151 - 200 Unhealthy(健康に良くない)
201 - 300 Very Unhealthy(極めて健康に良くない)
栗色 301 - 500 Hazardous(危険)

各汚染物質の濃度と指数の関係は下の表による。両者の関係は、比例のように濃度が上がるにつれて指数も単調に上がるものではなく、0-50、51-100などの区間ごとに定められている区分線形関数である事に留意する必要がある。

各汚染物質の濃度と指数の関係
指数 濃度
オゾン 8時間値
[ppm]
オゾン 1時間値*1
[ppm]
PM10
[μg/m3]
PM2.5
[μg/m3]
一酸化炭素
[ppm]
二酸化硫黄
[ppm]
二酸化窒素
[ppm]
000 - 050 0.000 - 0.059 000 - 054 000.0 - 09.0 00.0 - 04.4 0.000 - 0.034 *2
051 - 100 0.060 - 0.075 055 - 154 09.1 - 035.4 04.5 - 09.4 0.035 - 0.144 *2
101 - 150 0.076 - 0.095 0.125 - 0.164 155 - 254 035.5 - 055.4 09.5 - 12.4 0.145 - 0.224 *2
151 - 200 0.096 - 0.115 0.165 - 0.204 255 - 354 055.5 - 125.4 12.5 - 15.4 0.225 - 0.304 *2
201 - 300 0.116 - 0.374 0.205 - 0.404 355 - 424 125.5 - 225.4 15.5 - 30.4 0.305 - 0.604 0.65 - 1.24
301 - 500 *3 0.405 - 0.604 425 - 604 225.5 - 325.4 30.5 - 50.4 0.605 - 1.004 1.25 - 2.04
2024年5月時点の基準[6][7]
  • 1:オゾンは普通8時間値を用いるが、地点により1時間値を用いる場所があり、この場合8時間値・1時間値ともに算出してより高い値をオゾンのAQIとする。
  • 2:アメリカでは二酸化窒素の短時間の環境基準はない。そのため、AQIは201以上の高濃度の場合のみ算出する。
  • 3:オゾン8時間値はAQI301以上を定義していない。この濃度では原則として1時間値を用いる。

上の表を参照しながら、以下のように算出する[8]

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