ていしゅうは‐そうおん〔テイシウハサウオン〕【低周波騒音】
低周波音
(低周波騒音 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 10:05 UTC 版)
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低周波音(ていしゅうはおん)とは、一般に周波数100 Hz以下の音を指す[1]。 低周波音のみが発生している場合、人間が知覚することは困難だが、音波の性質として他の周波数音と混在している場合に共鳴作用などで影響を及ぼす。近代のデジタル音源ではデータ容量や処理能力の観点から、超高周波音とともにこうした不可聴域を消去していることが、音楽機器におけるアナログとデジタルの差異を生む要因の一つとなる。低周波音はその音圧が強くなっても聴覚に作用しにくいため、ヒトの聴覚では感知できないような低い周波数でも振動として感知できる場合がある。また、多くの楽器において基音が含まれる周波数帯域であり、音楽において重要な音域である。電気的な音楽再生においては、この帯域をより正確に再現するべく、サブウーファーなどの低周波音向けスピーカーの導入が試みられる場合がある。
公害問題
公害問題としての人間生活に係わる騒音および騒音影響の分野で使用される場合は、低周波騒音と称される。また、以前は低周波空気振動と呼ばれていたこともある。 低周波音の影響は、住宅などの建物や建具のがたつきとして現れたり、また、人体への種々の影響という観点で扱われる。ヒトが知覚可能な強さの音(音として聞こえる場合、または、音としては聞こえないが振動として感じる場合)では、わずらわしさが一番の問題となる。
特に、低周波音の特性としては、耳に聞こえない低い唸り音(すなわち唸り振動)であり、これは障害物を通しても回り込んでいく特性があるので、防音壁での対応は全く意味をなさない。むしろ、極端に狭い場所に低周波音が発生する機械を設置したりすると、その周囲の障害物(例えば塀など)に共鳴増幅して、数十メートル離れた場所でさえも、スピーカーのように感知できる。そのため、取り付け場所にも非常に配慮が必要である。
また、ヒトの聴覚は20Hz以下の音を聞くことができないが、その20Hz以下の音は超低周波音と呼ばれる。この帯域では、相当に強い音圧でなければ、通常ヒトには知覚できないが、窓がガタガタと鳴る共鳴が起きる原因となる。また、不定愁訴の原因の1つとして、健康に悪影響があるとも言われ、研究されている。
なお、低周波音の公害として、一つの目安として「参照値」があるが、これは民間に自治体が介入するか否かの判断を示すための目安に過ぎず、この参照値以下の騒音デシベルに対して多くの誤解が発生しており、低周波騒音のデシベル数値が「参照値」以下であっても、健康に悪影響があると国が認めている。そのため「参照値」は国が定めた騒音規定値でない為、騒音トラブル時には注意が必要である。
今後の課題としては、国はどう世界各国に合わせた「低周波騒音の規定値」を早期に定めるかが必須課題であり、多くの民事で訴訟が発生していることも事実である。
- 高速道路などの高架橋のジョイント部
- 新幹線等の鉄道トンネルの出口
- 冷凍機
- ボイラー
- ダム放水時の空気の渦
- 風力発電施設
- 下水管の共鳴
- エコキュート[2]、エネファーム、エコウィル、エコワンといった高効率給湯器
から発生する(新幹線のトンネル出口から発生する「ドーン音」については、微気圧波と呼ばれる)。
脚注
- ^ この定義は、1980年にデンマークで行われた国際会議に基づく。
- ^ エコキュート、事故調査対象に 「低周波音で健康被害」2012/12/09 19:44 共同通信
関連項目
低周波騒音
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低周波音は200Hzあるいは100Hz以下の低い周波数帯域の音である。環境省は100Hz以下を低周波音としているが、国によっては200Hz以下としており、国際的な定義はない。低周波音の成分が卓越する騒音の場合、中高周波数帯域が卓越する騒音よりも、様々な住民影響が大きくなるため、より厳しい基準値が必要とされている。 成人の可聴周波数範囲の下限とされる20Hz以下の音は、超低周波音と国際的に定義されている。ただし、20Hz以下の音でも高い音圧レベルではヒトは知覚できる。また、上半規管列隙症候群のように、内耳に障害を持つ場合、低周波帯域の知覚特性は健常人よりも高感度となる。 東北新幹線の低周波影響においても、2014年3月のダイヤ改正によりE5新幹線・E6新幹線の最高速度が320km/hの17両による走行以降から宮城県大崎市古川の古川駅が新幹線の最寄り駅となる住人によりJR東日本に「生活に支障を来すようになった」と窮状による騒音対策が求められる報道が2017年9月になされた。住民からは夜の走行において走行に地響きが著しく、卓上のコップの水が大きく揺れるとダイヤ改正以前にはなかった現象から来ている。宮城県庁の調査でも70デシベルを越える値が出ていたものの、JR東日本側は「音源対策だけで70デシベル以下の騒音の環境基準をクリアするのは困難」として75デシベルの基準で通す方針であった。2ヶ月後の同年12月における低周波の結果では、高架橋から4メートルの民家2軒の内の1軒で屋外101デシベル、屋内93デシベルと比較的大きな値が出ている。これは給湯器など固定音源に適用される低周波の参照値(92デシベル)を越えており、住人代表の世話人からは「低周波の影響も考えられることが分かった。引き続き減速運転を求めていきたい」と述べている。また、大崎市議会議員の横山 悦子からも低周波確認を言及している。2019年3月5日には東北新幹線に対する騒音・振動を今度試験走行する試験車両に対しても要求を求めている。該当区間に吸音板を取り付けた騒音対策工事は実施したものの、平均値として1.6デシベルしか減少していない上に住民からの振動の改善は実感がないとしている。同月20日には宮城県・大崎市でデータを取りまとめる計画である。
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