音響共鳴とは? わかりやすく解説

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音響共鳴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/18 19:24 UTC 版)

同じ周波数で振動する2つの音叉を使った実験。音叉の1つはゴム被覆を持つマレットで叩かれる。1つ目の音叉は叩かれていないが、もう一方の音叉が叩かれることによる空気の圧力と密度の周期的変化によって引き起こされる振動のため明らかに励振されている。これによって音叉間の音響共鳴が作り出される。しかしながら、片方の枝に金属の部品を付けると、この効果は減衰し、共鳴が効果的に達成されなくなるほど励振は次第に少なくなる。

音響共鳴(おんきょうきょうめい、: Acoustic resonance)は、音響システムが自らの固有振動周波数(その「共鳴周波数」)と一致する周波数の音波を増幅する現象である。

機械的共振英語版を人間の聴覚の周波数範囲に狭めるために「音響共鳴」(音響共振)という用語が使われることがあるが、音響学は物質の振動波に関する一般的な用語で定義されているため[1]、人間の聴覚の範囲外の周波数でも音響共鳴は起こり得る。

音響的に共振する物体は通常、特に最も強い共鳴の高調波(倍音)において、2つ以上の共鳴周波数を持つ。物体はこれらの周波数で簡単に振動し、他の周波数ではあまり強く振動しない。それは、インパルスあるいは広帯域ノイズといった複雑な励振から共振周波数を「拾い出す」ことになる。実際には、その共鳴以外のすべての周波数をフィルタリングしている。

ヴァイオリンや胴体、フルートの管の長さ、ドラムの膜の形状など、ほとんどのアコースティック楽器共鳴装置を使用しているため、音響共鳴は楽器製作者にとって重要な考慮事項である。音響共鳴は、聴覚にとっても重要である。例えば、内耳蝸牛の中にある基底膜と呼ばれる硬い構造物が共鳴することで、基底膜上の有毛細胞英語版が音を感知することができる(ほ乳類では、基底膜はその長さにわたって先細の共鳴を持っているため、一方の端に高周波数が集中し、もう一方の端に低周波数が集中する)。

機械的共振と同様に、音響共鳴は振動体の壊滅的な破壊を引き起こしうる。この古典的な例は、ワイングラスがその正確な共鳴周波数の音で割れる事例である。

振動弦

110 Hzの基本周波数を持つベースギターのA音の弦共鳴。

リュートハープギターピアノヴァイオリンなどで見られるような張力のかかった弦は、質量、長さ、および弦の張力と直接的に関連する共鳴周波数を持つ。弦の第一共鳴を作り出す波長は弦の長さの2倍に等しい。より高い共鳴は基本波長の整数分の1の波長に相当する。対応する周波数は以下の式によって弦を伝わる波の速度vと関連付けられる。

2 · f =   880 Hz n = 2 第2部分音 第1上音 第2倍音 3 · f = 1320 Hz n = 3 第3部分音 第2上音 第3倍音 4 · f = 1760 Hz n = 4 第4部分音 第3上音 第4倍音

両端が開いている

両端が開いている円筒では、端の近くの空気分子は管の内外に自由に動く。この運動は定常波における変位波腹を作り出す。節は、端から離れた円筒の内部に形成される傾向がある。第1倍音では、開管は定常波の厳密に半分を含む(波腹-節-波腹)。したがって、開いた円筒の倍音は、両端が閉じた円筒の倍音と同じやり方で計算される。

開いた管をオーバーブローイング英語版することによって、基本周波数のオクターブ上の音を得ることができる。例えば、開いた管の基音がC1だとすると、オーバーブローイングによってC2(C1のオクターブ上)が得られる[3]

両端が開いている円筒管は、以下のおおよその周波数で共鳴する。

1
  • 2
  • 円錐

    開いている円錐管、すなわち両端が開いている円錐台の形状をした管は、同じ長さの開いている円筒管のものとおおよそ等しい共鳴周波数を持つ。

    閉じた円錐管、すなわち一方の端が閉じた完全な円錐または円錐台、の共鳴周波数は以下のより複雑な条件を満たす[5]

    球形空洞では、共鳴周波数式は以下のようになる。

    くびがなく響孔だけを持つ球では、L = 0で、球の表面がつばとして機能するため、

    共鳴を使って音でガラスを割る

    これは、共鳴の古典的実演である。ガラスには自然共鳴があり、その周波数でガラスは容易に振動する。そのため、その周波数の音波でガラスは動かされてしまう。ガラスを振動させる音波からの力が十分大きければ、振動の大きさはガラスが割れるほど大きくなる。科学実験としてこれを確実に行うためには、練習ならびにガラスとスピーカの注意深い選択が必要である[10]

    作曲

    複数の作曲家が共鳴を作曲の題材にし始めた。アルヴィン・ルシエ英語版は、多くの作品においてアコースティック楽器と正弦波発生器を用いて、大小の物体の共鳴を探求してきた。ジェームズ・テニーの『Koan: Having Never Written A Note For Percussion』では、タムタムあるいはその他の打楽器上のうねりの形をしたクレッシェンドとデクレッシェンドの複雑なインハーモニック・パーシャル(非調波) が、空間共鳴と相互作用している。ポーリン・オリヴェロススチュアート・デンプスター英語版は、ワシントン州フォート・ワーデンにある7,600 m3の貯水池といった大きな残響空間で定期的に演奏している。この貯水池は45秒の減衰の残響がある。マルメ音楽院英語版教授で作曲家のKent Olofssoの「『Terpsichord』は、打楽器と録音済みの音のための作品で、アコースティック楽器からの共鳴を利用して、録音済みの電子音への音のブリッジを形成し、共鳴を延長し、新しい音のジェスチャーへと再形成する」[11]

    脚注

    1. ^ Kinsler L.E., Frey A.R., Coppens A.B., Sanders J.V., "Fundamentals of Acoustics", 3rd Edition, ISBN 978-0-471-02933-5, Wiley, New York, 1982.
    2. ^ Wolfe, Joe. “Saxophone acoustics: an introduction”. University of New South Wales. 2015年1月1日閲覧。
    3. ^ a b Kool, Jaap. Das Saxophon. J. J. Weber, Leipzig. 1931. Translated by Lawrence Gwozdz in 1987, discusses "open" and "closed" tubes.
    4. ^ Horns, Strings and Harmony, by Arthur H. Benade
    5. ^ a b Rossing & Fletcher, p. 195.
    6. ^ Kuttruff, Heinrich (2007). Acoustics: An Introduction. Taylor & Francis. p. 170. ISBN 978-0-203-97089-8. https://books.google.com/books/about/Acoustics.html?id=ij9iDkSkpCkC&pg=PA170 
    7. ^ Wolfe, Joe. “Helmholtz Resonance”. University of New South Wales. 2015年1月1日閲覧。
    8. ^ Greene, Chad A.; Argo IV, Theodore F.; Wilson, Preston S. (2009) (英語). A Helmholtz resonator experiment for the Listen Up project. Proceedings of Meetings on Acoustics. ASA. pp. 025001. doi:10.1121/1.3112687. 
    9. ^ Raichel, Daniel R. (2006). The Science and Applications of Acoustics. Springer. pp. 145–149. ISBN 978-0387-26062-4 
    10. ^ How to break a glass with sound”. University of Salford. 2019年1月17日閲覧。
    11. ^ Olofsson, Kent (4 February 2015). “Resonances and Responses”. Divergence Press (University of Haddersfield Press) (4). 

    参考文献

    • Nederveen, Cornelis Johannes, Acoustical aspects of woodwind instruments. Amsterdam, Frits Knuf, 1969.
    • Rossing, Thomas D., and Fletcher, Neville H., Principles of Vibration and Sound. New York, Springer-Verlag, 1995.

    関連項目

    外部リンク


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