生物多様性の喪失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/12 04:30 UTC 版)
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生物多様性の喪失(せいぶつたようせいのそうしつ、biodiversity loss)には、世界規模での種の絶滅と、特定の生息地における種の減少や喪失とがあり、その結果として生物多様性が失われる。後者の地域的な喪失は、それに至る環境悪化が生態学的復元・回復を通じて元に戻れば一時的なものになり、(土地消失などにより)事実上永続すれば恒久的なものになる。地球規模の絶滅は人新世の一部として、惑星の限界を越えた人間活動によって引き起こされ、元に戻らないことが現在証明されている。
恒久的な地球規模の種の喪失は、地域的な種の構成が変化することよりも悲劇的であるが、健全で安定した状態からの僅かな変化でも、種が一つ減って全体を損なう限り、食物網と食物連鎖に劇的な影響を及ぼすことがある(共絶滅)。生態系の代替安定状態が起こり得るとしても、全体的な生物多様性の減少につながる。生物多様性の生態学的効果は、その喪失により大抵が打ち消される。特に生物多様性が減少すると生態系サービスが減少し、最終的には食料安全保障に差し迫った危険をもたらしたり、人々に健康上の影響を及ぼし続けたりする[1]。
国際的な環境団体は数十年にわたって生物多様性の喪失を防ぐキャンペーンを行い、公衆衛生の当局者はそれを人々の健康のためのワンヘルス・アプローチに統合させており、生物多様性の保全は国際的政策の一部になっている。例えば生物の多様性に関する国連条約は、生物多様性の喪失防止と、野生地域の事前保護に焦点を当てている。現在この課題のための国際的取り組みは、持続可能な開発目標15の「陸の生きもの」と、持続可能な開発目標14の「水の生きもの」によって具体化されている。しかし国連環境計画が2020年に出した「自然との和解(Making Peace with Nature )」に関する報告では、これらの取り組みの大半がその国際的目標に及ばなかったと書かれた[2]。
脚注
- ^ “Biodiversity loss and its impact on humanity”. Nature 486 (7401): 59–67. (June 2012). Bibcode: 2012Natur.486...59C. doi:10.1038/nature11148. PMID 22678280 . "...at the first Earth Summit, the vast majority of the world’s nations declared that human actions were dismantling the Earth’s ecosystems, eliminating genes, species and biological traits at an alarming rate. This observation led to the question of how such loss of biological diversity will alter the functioning of ecosystems and their ability to provide society with the goods and services needed to prosper."
- ^ United Nations Environment Programme (2021). Making Peace with Nature: A scientific blueprint to tackle the climate, biodiversity and pollution emergencies. Nairobi: United Nations
関連項目
外部リンク
生物多様性の喪失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/01 21:04 UTC 版)
「ミレニアム生態系評価」の記事における「生物多様性の喪失」の解説
人類は過去50年間で大規模かつ不可逆に環境(生態系)を破壊してきた。これは主に供給サービスを得るためであったが、このことによって生物多様性も大規模かつ不可逆に損なわれてきた。 環境破壊の例 20世紀末の数十年間で、サンゴ礁の約40%が壊滅あるいは劣化しており、マングローブ林の約35%が失われたと推定される。 肥料など生物が利用できる形態の窒素およびリン酸化合物の陸地生態系への供給が急増しており、窒素は1960年に比べて2倍、リンは3倍となっている。 大気中の二酸化炭素推定濃度は、1750年の280ppm、1959年の316ppm、2003年の376ppmと増加してきている。 1950年から1990年の間に世界の主要な14のバイオームのうち、6種類のバイオームについて面積の半分以上が改変され、主に農地化された。陸地表面の25%が農耕地(単一の景観中30%以上が農地・焼畑・畜産・淡水養殖に使われている土地)となっている。 生物多様性の喪失 多くの分類群において、個体群の大きさ(個体数)や生息地の減少が観察されている。 外来種の移入および在来種の絶滅により、地域ごとの生物相の差が少なくなり、地球上の生物種の分布の均一化が進行している。 人間は過去数百年間にわたって、地球史で自然に起きていた絶滅の速度より約1000倍速い速度で生物を絶滅させてきた。特に現在、淡水生態系では生物の絶滅の可能性が高まっている。
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