ほうしゃせい‐はいきぶつ〔ハウシヤセイ‐〕【放射性廃棄物】
【放射性廃棄物】(ほうしゃせいはいきぶつ)
原子炉や核兵器などの何らかの工業用途に利用された後、廃棄される放射性物質。
分類上、おおまかに高レベル廃棄物と低レベル廃棄物に分けられる。
低レベル放射性廃棄物は放射線作業員の私物、原子炉本体、劣化ウランなど、放射性物質が付着している疑いがあるか、あるいはさほど放射能の強くない放射性物質である。
これらは焼却、付着した放射性物質の除去などの処理を経た後、ドラム缶、プラスティック容器、セメントなどで固めれば通常のゴミとほぼ同様に扱う事ができる。気体であれば有害な成分さえ除去すれば排気として放散できる。
高レベル放射性廃棄物は現在進行形で致死的な放射線を放ち続ける放射性物質であり、処理は困難を極める。
現状では浸蝕を防ぐために水分を取り除き、ガラスで固めてステンレス容器に収め、放射線を放つ際の熱が収まるまで数十年間にわたって冷却保管された後、地中深くに埋めて処理する方法がとられている。
しかしこの方法は後世まで負担を強いる点が問題視されており、また保管体制は後世まで維持可能なのか、放射性物質がテロリスト等に盗難される可能性はないのか、など運用体制に対する疑問の余地も多い。
このため、近年はマスドライバーや軌道エレベータの研究の発展に伴って無限の容量を持つゴミ箱として、宇宙へこれらの廃棄物を投棄する方法も考えられている。
放射性廃棄物
英語表記:radioactive waste
放射性物質が含まれている廃棄物の総称。
原子炉施設、放射性同位元素使用施設などから発生する、放射性廃棄物には、気体廃棄物、液体廃棄物などがあり、放射性物質の濃度などで「低レベル放射性廃棄物:発熱の考慮不用」、「高レベル放射性廃棄物:発熱の対策必要」に大別される。
気体廃棄物(gaseous waste)には、主にキセノン-133、クリプトン-85、ヨウ素-131などがあり、これらの放射性希ガスは活性炭等の吸収を利用して除去処理を行う。
また、半減期の短いものは、減衰タンクで放射能を弱めて処理を行う。
液体廃棄物は、減容(蒸発濃縮)、固化(灰化)してセメント等と混合してドラム缶に詰め(セメント固化、アスファルト固化)、敷地内保管を経て処分される。
固体廃棄物(solid waste)には、使用済燃料の再処理工程でできる被覆管、また分離された核分裂生成物とアクチノイド元素を含む液体廃棄物(liquid waste)、液体廃棄物の処理で生じた高放射性沈殿物、廃イオン交換樹脂などがある。
これらは、高レベル放射性廃棄物としてホウケイ酸ガラスに固化(ガラス固化)してステンレス鋼製の容器(キャニスタ)に入れ、冷却貯蔵した後、地層処分することが計画されている。
放射性廃棄物
放射性廃棄物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 14:39 UTC 版)
核融合反応で発生する中性子は、核融合炉壁及び建造物を放射化する。放射化された核融合炉周辺の機械装置や建物が安全に本来の機能を発揮出来るような設計が求められる。たとえばITERにおいては2万トンの低レベル放射性廃棄物を発生させると推測されている(東海発電所の廃止措置に伴う物と同程度の量)。今後建設されるそれらの建物はすぐに廃棄できず既存の原子炉と同様30年程度の冷却期間が必要だと予想される。地層処分などの問題は現在の原子炉と同じ様に、費用の問題や環境汚染対策が必要である。
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