原子力工学
原子力工学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 08:52 UTC 版)
「福島第一原子力発電所事故」の記事における「原子力工学」の解説
米国の原子力専門家らが報道陣向けに電話会見し、その中で物理学者のケン・バージェロン(Ken Bergeron)は「福島第一原発は、非常用ディーゼル発電機も使用できなくなったため、原発に交流電流を供給できなくなるステーション・ブラックアウト(station blackout, 全交流電源喪失)と呼ばれる状況に陥っている。ステーション・ブラックアウトは、実際に発生する可能性は極めて低いと考えられていたが、地震と津波により想定外の事態になったのだろう」と述べた。 マサチューセッツ工科大学(MIT)のJosef Oehmen博士とMITの原子力理工学科 (Department of Nuclear Science and Engineering) が共同で発表したドキュメント(和訳)によると、 炉心の核分裂連鎖反応は既に停止しており、現在の発熱源は定格出力比約7%の核分裂生成物の崩壊熱によるものである。 核分裂生成物のうちには放射性のセシウムとヨウ素の同位体が含まれる。 炉心付近で起こっている爆発は水素の燃焼によるものであり、核爆発によるものではない。 2011年3月16日、京都大学原子炉実験所(現・京都大学複合原子力科学研究所)原子力基礎工学研究部門教授の宇根崎博信は、UNN関西学生報道連盟に対し次のように述べた。 当該事故発生の原因について、「様々な情報を総合すると、地震ではなく津波が原因」であり、「(津波の)水が原子力施設に与えた影響が想定」を超えていたためこのような事態を招いた。原子炉は「外部からの電力供給が断たれた時の非常用発電設備」を持っているが、「津波によってその機能」が損失したため、このような状況に陥った。 「(2011年3月16日の)時点で考えうる最悪の場合は部分的に燃料が溶け、水蒸気爆発が生じ、部分的に格納容器や圧力容器を破損させ、今まで以上に放射性物質を放出させる事態」だが、「その可能性は極めて低い」といえる。 住民の健康への影響については、「退避圏の外で(2011年3月16日時点までに)観測されている(放射性物質の)値を見る限り、健康に影響が出る値」ではないので恐らく大丈夫であろう。 「原子炉の設計に津波の影響」は考慮されていたが、「それをはるかに超えた津波」であった。「(既存の原子力)施設の安全設計が妥当か」を考え直していくことが必要である。
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