感性工学とは? わかりやすく解説

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感性工学

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感性工学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/01 19:57 UTC 版)

感性工学(かんせいこうがく、英語: Kansei Engineering/Affective Engineering)とは、人間の感性という主観的で論理的に説明しにくい反応を、科学的手法によって価値を発見し、活用することによって社会に資することを目的とした学問である。人の心地を知る感性計測技術などを用いて、人の心や体の反応をものづくりに活かす学問とも言える。理系と文系の融合領域[1]

概要

ヒトの知性は、情緒的で感覚的な主観を重んじる側面と、論理的で分析的な客観を重んじる側面があり、前者は芸術やファッションデザインなどで発揮され、後者は科学や工学として展開した。それぞれの分野は専門化しているが、両者を結びつける分野が感性工学・感性科学といえる[2]

感性工学は個人または組織が提供する製品またはサービスにその有用性だけでなく、使用者の感性を予想して提供しようとするもので、広島大学長町三生教授が創始したといわれている[3][4][5]。 心地よい・楽しいといった人間の嗜好やフィーリングを分析・反映する手法として、ファジィ論理カオスフラクタル理論などがある[6]

日本で始まり世界へ伝わった比較的新しい技術工学で、日本では日本感性工学会が1998年より組織されている。 世界各国でも様々な大学研究所で研究が行われている。スウェーデンリンショーピング大学ではKansei Engineering Software(KESo)の開発も行われている[7]

明治時代の蚕糸専門学校がルーツの信州大学繊維学部(上田市)に世界初の「感性工学科」が創設された[1]

感性工学の手法を駆使することで、単なる未来ではなく、人々の暮らしをより良くかなえる「ミライ」を感性の力で実現したいと考え、この学問体系を、「感性『ミライ』デザイン学」とも定義できる。 ポストコロナのもの作りにおいては、感性を活用した商品の開発が一段と重要になってくると言える[8]

感性工学が関わっている製品の例として、消費者の好みに合わせた車のデザインや家具などが挙げられ、人々の生活に役立っている[9]

脚注

  1. ^ a b “信州讃歩:上田発「感性工学」城島徹 /長野 毎日新聞”. (2005年3月7日) 
  2. ^ 椎塚 2013, pp. i–ii.
  3. ^ 長町三生著『感性工学のおはなし』(日本規格協会、1995)
  4. ^ 井川憲明著『感性の科学 -心理と技術の融合-』(朝倉書店、2006年)
  5. ^ 感性工学とは
  6. ^ 今井和也『カタチの歴史:建築とファッションのただならぬ関係』新曜社、2003年。ISBN 4-7885-0834-6 pp.183-187.
  7. ^ Kansei Engineering Software(KESo)
  8. ^ “静岡産業大学経営学部教授熊王康宏氏━コロナ後のもの作り、感性活用「外さない」開発を (静岡発私の提言) 日本経済新聞”. (2020年9月8日) 
  9. ^ “広島国際大の感性工学研修に香港から教員ら訪問 商品開発に活用=広島 読売新聞 ”. (2004年7月29日) 

参考文献

  • 椎塚久雄、椎塚久雄(編)、2013、「まえがき」、『感性工学ハンドブック』、朝倉書店  ISBN 9784254201543

関連項目

外部リンク


感性工学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/01 04:04 UTC 版)

「量」の記事における「感性工学」の解説

感性量は感覚量よりもさらに内面的に人の心が評価するような量のことである。しかし感性量と感覚量境界は必ずしも明確ではない。心理量という言葉感覚量のみならず感性量をも含んで使われることも多い。感覚量は人が感覚器官感じたままの量であり、生理的に感覚神経発火信号の量に相関する考えられるが、感性量はさらに内面的にもしくは総合的に評価されると言える様々な物理化学刺激強さとそれに対して生じ感性相関測定評価する試み盛んに行われており、その結果製品質の向上人間生活の向上に役立てようとする試みは感性工学と呼ばれている。日本では1998年平成10年10月日本感工学会が発足して研究続けられている(外部リンク参照)。 感性量には例え次のようなものが挙げられる。「食感」「風合いふうあい)」。また「手触り」「不快指数」「快適さ」「爽快感」[要出典] 等々

※この「感性工学」の解説は、「量」の解説の一部です。
「感性工学」を含む「量」の記事については、「量」の概要を参照ください。

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