物理化学
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物理化学(ぶつりかがく、英: physical chemistry[1])は、化学の対象である物質、あるいはその基本的な構成を成している化合物や分子などについて、物質の構造、物質の性質(=物性)、物質の反応を調べる[2]ために、物理学的な手法を用いて研究する領域に対する呼称。
概要
理論的な基礎として熱力学と量子力学[3]、およびこれら2つをつなぐ統計力学[4]を大きな柱とする[5]。
化学は対象とする物質によって有機化学、無機化学[6][7][8]などがあるが、物理化学でも対象によって有機物理化学、無機物理化学と呼び分けられている[9]。
物理化学の中の分野としては以下のものがある。
- 反応速度論
- 電気化学[10]
- 量子化学 - 量子力学の考え方を応用したもの[2][11][12]。計算化学・化学シミュレーションなどが含まれる。
- 分光法[13][14]
- 界面化学[15]
- 熱化学(化学熱力学[16])
- 生物物理化学
- 計算化学[17][18]
脚注
- ^ McQuarrie, D. A., & Simon, J. D. (1997). Physical chemistry: a molecular approach (Vol. 1). Sausalito, CA: University science books.
- ^ a b c 知恵蔵2012 市村禎二郎 東京工業大学教授 執筆【物理化学】
- ^ Flügge, S. (2012). Practical quantum mechanics. Springer Science & Business Media.
- ^ Tolman, R. C. (1979). The principles of statistical mechanics. Courier Corporation.
- ^ 田中一義; 田中庸裕『物理化学』丸善、2010年。ISBN 978-4-621-08302-4。
- ^ Bailar, J. C., & Trotman-Dickenson, A. F. (Eds.). (1973). Comprehensive inorganic chemistry (Vol. 3, p. 1387). Oxford: Pergamon press.
- ^ Cotton, F. A., Wilkinson, G., Murillo, C. A., Bochmann, M., & Grimes, R. (1988). Advanced inorganic chemistry (Vol. 5). New York: Wiley.
- ^ Cotton, F. A., & Lippard, S. J. (Eds.). (1959). Progress in inorganic chemistry (Vol. 4). John Wiley & Sons.
- ^ 伊藤俊洋, 伊藤祐子, & 岡本義久. (1995). 生命科学のための基礎科学 無機物理化学編: 丸善株式会社.
- ^ 林茂雄. (2012). エンジニアのための電気化学. コロナ社.
- ^ Levine, I. N., Busch, D. H., & Shull, H. (2009). Quantum chemistry (Vol. 6). Upper Saddle River, NJ: Pearson Prentice Hall.
- ^ Lowe, J. P., & Peterson, K. (2011). Quantum chemistry. Elsevier.
- ^ Hollas, J. M. (2004). Modern spectroscopy. John Wiley & Sons.
- ^ Pavia, D. L., Lampman, G. M., Kriz, G. S., & Vyvyan, J. A. (2014). Introduction to spectroscopy. Nelson Education.
- ^ Vold, R. D., & Vold, M. J. (1983). Colloid and interface chemistry (pp. 345-371). Reading, MA: Addison-Wesley.
- ^ Rock, P. A. (2013). Chemical thermodynamics. University Science Books.
- ^ Jensen, F. (2017). Introduction to computational chemistry. John wiley & sons.
- ^ Cramer, C. J. (2013). Essentials of computational chemistry: theories and models. John Wiley & Sons.
- ^ 川添良幸, 三上益弘, & 大野かおる. (1996). コンピュータ・シミュレーションによる物質科学: 分子動力学とモンテカルロ法. 共立出版.
- ^ 北川浩. (2003). 分子動力学法の考え方. 溶接学会誌, 72(6), 485-488.
- ^ 藤永茂, 入門分子軌道法‐分子計算を手掛ける前に‐, 講談社サイエンティフィク (1990).
関連項目
外部リンク
物理化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/03 19:03 UTC 版)
物理化学は物理学的な理論や測定方法、例えば熱力学や量子力学的な手法や視点から化学が対象をする物質を研究し、物質やその性質および反応を分類する上で基準を作り、そして分類する分野である。ヴァルター・ネルンストが著述『理論化学』(Theoretische Chemie、1893年)で唱えた理論化学もほぼ同じ概念である。また、コンピュータの進歩に伴い、理論式から計算によって物質の状態を予測する量子化学や計算化学も急速に発展している。物理化学の方法論で生物を対象に行われる研究は生物物理化学であり、これをコンピュータによる仮想的な体系でシミュレートする人工化学も提唱されている。
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