感恩教育 (党への感謝の強制)
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「中国本土における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」の記事における「感恩教育 (党への感謝の強制)」の解説
2020年3月6日、前任者に代わり、習指導部の肝いりで異動した王忠林武漢市党委書記は「武漢市民は習近平総書記と中国共産党に感謝すべきだ」と強調し、「感恩教育」を展開した。しかし、この「感恩教育」は中国国民に怒りを引き起こし、インターネット上では当局の削除が間に合わないほどの批判で溢れたため、「武漢市民に感謝する」と方針を転換させた。 3月7日に「長江日報」は「在全市开展感恩教育 形成强大正能量(感恩教育で強大な能力を)」と感恩教育について報じたが、これは削除された。 3月8日、湖北省党委員書記应勇(応勇)は、武漢の人々が「党の統制措置を積極的に支援し、協力した」と称賛した。当局は箝口令を出し、メディアが「感恩教育」事件について言及することを禁じた。同日、「長江日報」は、王忠林武漢市党委書記と武漢政府は武漢市民の貢献に心から感謝していると報道した。 3月10日、武漢入りした習近平総書記も「武漢市民は英雄。全党全人民はあなたがたに感動し、感謝している」と述べ、方向転換した。 感恩教育事件の後、ジャーナリスト褚朝新は、「あなた(当局)は人民の公僕であり、あなたの仕事は人々に奉仕することです。しかし、あなたが仕える人々は破壊され、死に、病気になっている。恥ずかしく思うべきだ。」と良心があれば武漢の人に感謝を強制することはしないと批判した。 中国共産党では公務員は「人民の公僕」とされたが、習政権では「父母官(父母のような公務員)」とされ、小学校の教科書などでも説かれた。これは毛沢東の「感恩領袖 (感謝される指導者)」にもとづく。 医療関係者として武漢病院での情報隠蔽を内部告発した後死亡した李文亮医師の例でも、中国のソーシャルメディアは当局への怒りを示した。
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