げんし‐ばくだん【原子爆弾】
【原子爆弾】(げんしばくだん)
Atomic Bomb.
放射性物質の核分裂反応を利用し、同量の火薬に比してはるかに大規模な爆発を発生させる爆弾。
熱と爆風による一次被害も大きいが、爆発と同時に放出される放射線や「死の灰」と呼ばれる放射性物質による癌・白血病など、二次的な健康被害も多数確認されている。
第二次世界大戦中にアメリカが世界に先駆け実用化し、1945年8月6日に広島、同年8月9日に長崎に投下され、それぞれ数十万人もの死傷者を出したため、特に日本では「悪魔の兵器」として強烈に忌避されている。
特殊な技術で精製(高濃度化)されたウラニウム235、またはプルトニウム239が原料であり、これらの物質が核分裂の臨界状態に達することで放出されるエネルギーを利用している。
臨界反応の起こし方によって、次の2タイプがある。
- 「砲身型」(ガンバレル型)
- 筒の両端に原料を置き、片方を爆薬の爆発力で加速し反対側にぶつけて臨界させるもの。
広島に投下されたウラン原爆「リトルボーイ」はこのタイプであった。 - 「爆縮型」(インプロージョン型)
- 核物質の周囲を包み込むように配置した爆薬をいっせいに起爆させ、その威力で核物質を中心に向かわせる高温高圧の「爆縮」によって臨界させるもの。
長崎に投下されたプルトニウム原爆「ファットマン」がこのタイプであった。
砲身型は仕組みが単純で容易に開発できるが、核分裂の効率が非常に悪く、爆縮技術の実用化後は爆縮型が主流となっている。
核兵器技術の核心はこの「爆縮」の技術にあり、瞬時に高温高圧で均等に爆縮を行わなければ決して臨界反応を起こす事が出来ないため、製作には非常に高度な計算と精密な技術を要する。
関連:核兵器 水素爆弾 中性子爆弾
原子爆弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/29 03:41 UTC 版)
原子爆弾(げんしばくだん、英: atomic bomb)あるいは原爆は、ウランやプルトニウムなどの元素の原子核が起こす核分裂反応を使用した核爆弾であり、初めて戦争において攻撃用に実使用された核兵器である。原子爆弾は、核爆発装置に含まれる[1][2]。水素爆弾を含めて「原水爆」とも呼ばれる。 核兵器は通常兵器と比較して威力が極めて大きいため、大量破壊兵器に位置付けられ、核不拡散条約や部分的核実験禁止条約などで、実戦での使用が禁止されている。
注釈
- ^ 原子砲によって発射される核砲弾の例には280mm砲のW9がある。
- ^ 戦術核用無反動砲の例としては核出力0.02キロトンのデイビー・クロケットがある。
- ^ 『原子力のすべて』−地球と共存する知恵− 内閣府「原子力のすべて」編集委員会編 第7章第4節より
- ^ プルトニウムはガンバレル型では選択されない。プルトニウムとガンバレル型についてはMark 2 (核爆弾)を参照のこと
- ^ D-T強化方式では核分裂による熱でコアが膨らむ前に核反応が進むため、コア部を慣性力で閉じ込めるためのウラン238製の分厚いタンパーに代わってベリリウム製の薄い反射体としてのタンパーに変えられる。
- ^ D-T強化方式の原爆の例として、1956年に米国が開発した「スワン」がある。「ファットマン」が長さ3.25m、直径1.52m、重量4,500kgだったのに対して、スワンは長さ58cm、直径29.5cm、重量45.6kgだったが、エネルギーは20キロトンに対して15キロトンであったとされる。
出典
- ^ “核爆発装置 - ATOMICA -”. atomica.jaea.go.jp. 2020年6月29日閲覧。
- ^ “知恵蔵の解説_フィズル”. コトバンク_(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」. 2018年2月24日閲覧。
- ^ “イランの原子力開発と原子力施設”. 2022年8月3日閲覧。
- ^ “原爆用と産業用プルトニウムとの組成の比較”. 2022年8月3日閲覧。
- ^ NRDC Profile: Thomas B. Cochran
- ^ 山田克哉著 『日本は原子爆弾を作れるのか』、PHP研究所、2009年1月30日第1版第1刷発行、ISBN 9784569706443
- ^ 広島電鉄公式サイト>電車情報>車両の紹介:単車 - 650形 ※2022年3月19日閲覧
- ^ 大西 比呂志「相模湾上陸作戦―第二次大戦終結への道」、ISBN 978-4896601329
原子爆弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 04:23 UTC 版)
「広島市立舟入高等学校」の記事における「原子爆弾」の解説
広島への原爆投下に於いて当時の広島市立第一高等女学校が広島市内の学校では最多の犠牲者を出している。広島市立第一高等女学校の後身としてその歴史を受け継ぐ本校に建立された慰霊碑にて中央の少女が抱えている箱には「E=mc2」の公式が刻まれている。これは建立当時(1948年)の占領軍の報道規制により、『原爆』の文字が使えなかったためで、原爆の字の代わりにこの公式を刻んだとされる。
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原子爆弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 22:30 UTC 版)
「アーネスト・ベヴィン」の記事における「原子爆弾」の解説
アトリーとベヴィンは労働党の親ソビエト派(ベヴィンが嫌悪した集団)からの激しい反対にも関わらず、イギリスの原子爆弾生産という決定に協力した。この決定は小さな閣内委員会によって密かに行われた。1946年10月にベヴィンはこの委員会に「これ以上の費用がかかろうとも我々はこの代物を保有しなければならない...我々はその頂点に血染めのユニオンジャックをはためかせ続ける必要があるのだ」と語った。それは威信と国家安全保障の両方の問題であった。費用を根拠にこの爆弾に反対する閣僚であるヒュー・ダルトン(英語版)とスタッフォード・クリップス士爵が1947年1月の会議から除外され、そこで最終決定が下された。
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原子爆弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/10 05:05 UTC 版)
ヴァネヴァー・ブッシュが原子爆弾の作用を説明した後、リーヒはトルーマン大統領に対して「これは我々がなしえた最も馬鹿げたことです。この爆弾は使うべきではありません。私は爆薬の専門家として進言します。」と話した。原子爆弾の試験後も、リーヒは広島と長崎への投下に強く反対した。回想録では以下のように語っている。 「日本上空の偵察で米軍は、日本に戦争継続能力がないことを知っていた。また天皇の地位保全さえ認めれば、実際原爆投下後もアメリカはそれを認めたのだが、日本は降伏する用意があることも知っていた。だがトルーマン大統領はそれを知っていながら無視した。ソ連に和平仲介を日本が依頼したことも彼は無視した。この野蛮な爆弾を日本に投下したことは、なんの意味を持たなかった。海上封鎖は十分な効果を挙げていた。この新兵器を爆弾、と呼ぶことは誤りである。これは爆弾でもなければ爆発物でもない。これは“毒物”である。恐ろしい放射能による被害が、爆発による殺傷力をはるかに超えたものなのだ。 (原文は、 "Bomb" is the wrong word to use for this new weapon.It is not a bomb. It is not an explosive. It is a poisonous thing that kills people by its deadly radioactive reaction, more than by the explosive force it develops.)アメリカは原爆を投下したことで、中世の虐殺にまみれた暗黒時代の倫理基準を採用したことになる。私はこのような戦い方を訓練されていないし、女子供を虐殺して戦争に勝ったということはできない!」 リーヒは決して卓越した戦略家でも軍政家でもなかったが、穏健な良識家として知られ、とりわけルーズベルト大統領の信望が篤かった。統合参謀本部においては表立って意見を表明することはせず、会議の調整役と大統領への連絡役に徹したという。ルーズベルトの死後は引き続きトルーマン大統領を補佐したが、非戦闘員を犠牲にすることをよしとしない軍人としての立場から、日本への原子爆弾投下に対しては批判的だった。 リーヒは、トルーマンに無条件降伏に固執せず、被害を大きくするべきではないと意見している。
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原子爆弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 08:32 UTC 版)
原子爆弾にカリホルニウムを使用した場合、非常に小型化できる可能性が高いため研究されていた時期があり、サイエンス・フィクションでも個人が持ち運びできるものとして描写されている。 しかし、先述のとおり大変高価な物質なので、兵器としての運用は現実的でないと考えられている。
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原子爆弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/13 07:06 UTC 版)
B炉で生成されたプルトニウムのうち、一部は1945年7月16日にニューメキシコ州アラモゴードで実施された人類最初の核実験に使用され、残りはMk.3型原子爆弾(通称:ファットマン)製作に使用された。この原爆は1945年8月9日に長崎市に投下されている。
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原子爆弾
出典:『Wiktionary』 (2021/06/16 13:44 UTC 版)
名詞
発音(?)
- げ↗んしば↘くだん
関連語
翻訳
- アイスランド語: atómsprengja (is) 女性, kjarnorkusprengja (is) 女性
- アラビア語: قنبلة ذرية (ar) (qunbala dharriyya)
- アルメニア語: ատոմային ռումբ (hy) (atomayin ṙumb)
- イタリア語: bomba atomica (it) 女性
- イド語: atom-bombo (io)
- ウェールズ語: bom atomig (cy)
- 英語: atomic bomb (en)
- エストニア語: aatomipomm (et)
- エスペラント: atombombo (eo)
- オランダ語: atoombom (nl) 女性
- ギリシア語: ατομική βόμβα (el) (atomikí vómva) 女性
- クメール語: គ្រាប់បែកបរមាណូ (km) (kruab baek pak rak ma no)
- クロアチア語: atomska bomba (hr) 女性
- スウェーデン語: atombomb (sv) 通性
- スペイン語: bomba atómica (es) 女性
- セルビア語:
- チェコ語: atomová bomba (cs) 女性
- 中国語: 原子彈 (cmn), 原子弹 (cmn) (yuánzǐdàn)
- 朝鮮語: 원자폭탄 (ko) (wonja poktan), 원폭 (ko) (wonpok)
- デンマーク語: atombombe (da) 通性
- ドイツ語: Atombombe (de) 女性
- トルコ語: atom bombası (tr)
- ハンガリー語: atombomba (hu)
- フィンランド語: atomipommi (fi)
- フランス語: bombe atomique (fr) 女性
- ブルガリア語: ядрена бомба (bg) (jadrena bomba)
- ベトナム語: bom nguyên tử (vi)
- ヘブライ語: פְּצָצָה אֲטוֹמִית (he) (petzatza atomít) 女性
- ボスニア語: atomska bomba (bs) 女性
- ポルトガル語: bomba atômica (pt) 女性
- マケドニア語: атомска бомба (mk) (átomska bómba) 女性
- リトアニア語: atominė bomba (lt) 女性
- ルーマニア語: bombă atomică (ro), bombă nucleară (ro) 女性
- ロシア語: а́томная бо́мба (ru) (átomnaja bómba) 女性
「原子爆弾」の例文・使い方・用例・文例
- 原子爆弾
- 今日は広島に原子爆弾が落とされた日です。
- 彼らは広島に原子爆弾を落とした。
- 彼らは原子爆弾の作り方を知っている。
- 原子爆弾は恐ろしい武器だ。
- 私たちは原子爆弾を2度と使うべきではない。
- 最初の原子爆弾は日本に落とされた。
- 原子爆弾は人類をおびやかすものだ。
- 原子爆弾は20世紀物理学の所産だ。
- 科学が原子爆弾を生み出した。
- 1945年広島に原子爆弾が投下された。
- 原子爆弾の生みの親.
- 原子爆弾の爆発は、空中に莫大な放射線を発生させる
- 原子爆弾への使用に適さない状態にするために、(核分裂物質に)非核分裂性物質を加える
- 1942年に準備された秘密の米国のプロジェクトのコード名で、第二次世界大戦で使用する原子爆弾を開発するためのもの
- 原子爆弾を発射するよう設計されたミサイルの弾頭
- ほとんど放射能汚染を残していない原子爆弾
- かなりの放射能汚染を残す原子爆弾
- 原子爆弾によって生じる放射性物質の降下から中の人を保護するシェルター
原子爆弾と同じ種類の言葉
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