原爆ドームとは? わかりやすく解説

広島原爆ドーム

読み方:ひろしまげんばくドーム
別表記:原爆ドーム

広島県広島市にある被爆建造物広島平和記念碑Hiroshima Peace Memorial)」の別称。広島原爆ドームは元々、1915年広島県物産陳列館として建てられ産業奨励目的とした活動使われていたが、1945年8月6日原爆の被害を受け、本館骨組み外壁一部だけが残った。広島原爆ドームは、平和を訴え記念碑として、1996年世界文化遺産登録された。

げんばく‐ドーム【原爆ドーム】

読み方:げんばくどーむ

広島市中心部中区太田川河畔にある、旧産業奨励館の焼け跡昭和20年19458月6日米軍による世界初原子爆弾投下受けたときの残骸で、当時のままに保存されている。平成7年1995世界遺産文化遺産)に登録された。

原爆ドームの画像

原爆ドーム(旧広島県産業奨励館)

名称: 原爆ドーム(旧広島県産業奨励館
ふりがな げんばくどーむ
種別 史跡
種別2:
都道府県 広島県
市区町村 広島市中区大手町
管理団体
指定年月日 1995.06.27(平成7.06.27)
指定基準 史2
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: 原爆ドームは、第二次世界大戦末期広島投下され原子爆弾によって破壊され広島県産業奨励館遺跡である。
 第二次世界大戦は、昭和十四年(一九三九ヨーロッパにおいて始まった日本は、満州事変日中戦争開始にともない中国大陸に軍を進めていたが、昭和十六真珠湾等を攻撃していわゆる太平洋戦争開始され日本は、緒戦において東南アジアおよび南大平洋に戦域拡大したが、やがて連合国反撃を受けることとなり、昭和二十年になると、アメリカ軍による本土爆撃激化沖縄上陸によって、日本敗色濃くなっていったアメリカ・イギリス中国によるポツダム宣言発表の後、広島への原子爆弾投下ソ連の参戦、さらに長崎への原子爆弾投下があり、日本ポツダム宣言受諾し第二次世界大戦終結した
 昭和二十年八月六日テニアン島発進した米軍二九爆撃機三機は広島市上空侵入午前八時十五分に原子爆弾投下爆心地中心とする半径約二キロメートル広島市街が廃墟化し、およそ一四万人昭和二十年十二月末までの総数広島市調査といわれる多数人々生命失われた。原爆ドームは、爆心地北西一五メートルにおいて被爆した広島県産業奨励館残骸である。
 旧広島県産業奨励館建物は、明治四十三年一九一〇)の広島県決定を受け、広島県物産陳列館として、建築家ヤン・レツル設計に基づき大正四年(一九一五元安川東岸の地に建設され一部鉄骨用いたレンガ造り三階建で、正面中央は五階、その上に銅板楕円形ドーム載せ洋式庭園和風庭園をもつ瀟洒な建物として市民親しまれた。大正十年広島県商品陳列所、さらに昭和八年広島県産業奨励館改称されたが、第二次世界大戦激化にともない昭和十九年に館の業務廃止され被爆当時内務省中国四国土木出張所広島県地方木材統制株式会社等の事務所として使用されていた。被爆の際建物炎上し館内職員全員死亡したが、建物からくも全壊免れた
 旧広島県産業奨励館は、第二次世界大戦後危険建造物撤去が始まるなかで、その存廃議論されたが、除却取り止められいつしか人々によって原爆ドームの名で呼ばれるようになった。また昭和三十年には、原爆ドームを基軸として設計され広島平和記念公園完成した
 昭和三十年代後半建物風化進み再び存廃論議があったが、昭和四十一年広島市議会が原爆ドームの保存決議した。これを受けて保存のための募金運動が行われ、翌年募金による第一回目の保存工事が行われた。平成元年一九八九)には再び募金運動が行われ、募金市費により、同年から翌年にかけて第二回目の保存工事が行われた。
 原爆ドームは、二回にわたる保存工事によって被爆当時の姿をよく保ち平和記念公園一部として、広島市によって管理されている。なお、平和記念公園においては原爆死没者慰霊碑前で平和記念式典が行われており、また同公園内広島平和記念資料館被爆資料保存・展示されている。
 原爆ドームは、第二次大戦末期における原爆投下歴史的事実人類史初め使用された核兵器惨禍如実に伝え遺跡であり、核兵器究極的廃絶世界恒久平和希求シンボルとなってきた。よって、日本近代のみならず世界の歴史理解する上で欠くことのできない重要な遺跡として、史跡指定し保存図ろうとするものである
史跡名勝記念物のほかの用語一覧
史跡:  南部領伊達領境塚  原城跡  原山支石墓群  原爆ドーム  友枝瓦窯跡  収塚古墳  古保利古墳群

原爆ドーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 23:39 UTC 版)

座標: 北緯34度23分44秒 東経132度27分13秒 / 北緯34.39556度 東経132.45361度 / 34.39556; 132.45361 (原爆ドーム)


注釈

  1. ^ 「負の世界遺産」という表現そのものには厳密な定義はないが、他にアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所や、バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群などがその例とされる。
  2. ^ Jan Letzelも参照。「ヤン・レツル」との仮名表記もしばしば使用される。
  3. ^ のちに株式会社ユーハイムを創業。
  4. ^ 爆心地の島病院はドームから見て東南東方向にあり、厳密には爆風の力は斜め上からかかっている。そばで見ると、ドームの鉄骨が西北西方向に傾いているのが肉眼でもわかる。
  5. ^ 原爆ドームでの死者数は、原爆投下時に勤務していた職員の名簿から割り出した概算人数であり、原爆投下時点に館内にいた実際の人数は不明である。現在、原爆投下の際館内で勤務していた職員の名簿を刻印した慰霊碑が、原爆ドーム敷地内に建っている。
  6. ^ 「いたいたしい」はくの字点で記述
  7. ^ 廃墟の部分は柵で囲まれ封鎖されている。
  8. ^ しかし日本国外では、アウシュヴィッツや、アパルトヘイトに反対する政治犯を収容したロベン島ベルリンのモダニズム集合住宅群など、「歴史が浅く」ても、国内法によって保護された上で世界遺産に登録された例は複数あった
  9. ^ アメリカ合衆国国内では「原子爆弾使用によって、100万人のアメリカ軍将兵を失うおそれのあるダウンフォール作戦(日本側の呼称は本土決戦)を回避できた」「投下はやむを得なかった」として原爆投下を肯定する意見が強い
  10. ^ ケルン大聖堂の危機遺産リスト登録は、ケルン市が条例で建造物の高さを規制するなどして状況が改善されたため2006年を以って解除。

出典

  1. ^ Centre, UNESCO World Heritage. “Hiroshima Peace Memorial (Genbaku Dome)” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2022年3月1日閲覧。
  2. ^ Centre, UNESCO World Heritage. “Hiroshima Peace Memorial (Genbaku Dome)” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2022年3月1日閲覧。
  3. ^ 国指定文化財等データベース”. kunishitei.bunka.go.jp. 2022年3月1日閲覧。
  4. ^ 古代遺跡の旅 1999, p. 148
  5. ^ 原爆ドーム(ひろしまげんばくドーム)とは何? Weblio辞書
  6. ^ 原爆ドームの被爆前のすがた”. 広島市. 2020年6月11日閲覧。
  7. ^ 原爆ドーム”. 広島平和記念資料館. 2017年1月1日閲覧。
  8. ^ 新聞の記載内容は(福間 2015, p. 14)より引用。
  9. ^ 福間 2015, pp. 36–37.
  10. ^ 福間 2015, pp. 63–64.
  11. ^ 原爆ドームのあゆみ 世界遺産へ”. 広島平和記念資料館. 2016年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月14日閲覧。
  12. ^ “原爆ドームの保存へ”. 原爆ドーム (広島市). オリジナルの2020年2月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200214125218/https://www.city.hiroshima.lg.jp/www/dome/contents/1005000000003/index.html 2021年11月14日閲覧。 
  13. ^ 第20回会合レポート” (英語). 世界遺産委員会 (1996年12月6日). 2017年1月1日閲覧。
  14. ^ 第3回保存工事”. 原爆ドーム. 広島市. 2017年1月1日閲覧。
  15. ^ 原爆ドームの保存方法について”. 広島市. 2017年1月1日閲覧。
  16. ^ 車両の紹介:単車”. 広島電鉄. 2017年1月1日閲覧。



「原爆ドーム」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「原爆ドーム」の関連用語

原爆ドームのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



原爆ドームのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2024実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
文化庁文化庁
Copyright © 2024 The Agency for Cultural Affairs. All rights reserved.
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2024 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの原爆ドーム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS