中公文庫
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中公文庫(ちゅうこうぶんこ)は、株式会社中央公論新社(読売新聞グループ)が発行している文庫レーベル。
沿革と概要
1973年6月、第3次文庫ブームの中で創刊発足した。1971年開始の講談社文庫、1974年に開始した文春文庫とあわせて、当時の文庫ブームを主導した。1980年代後半に文字ポイントを大きくした。カバーを外した表紙には、建築家白井晟一のデザインによる、「CHUOKORON」の文字があしらわれた鳩のイラストが用いられている[1]。1990年代半ば以降は改訂再刊も多数刊行。
自社刊行シリーズでは、『日本の歴史』(改版)、『世界の歴史』(平成版も含め)など、三田村鳶魚の考証物や矢田挿雲『江戸から東京へ』(改版)などの、江戸時代後期から明治維新期の大衆文芸や庶民生活についての著作が充実していることが特徴である。発足初期は『折口信夫全集』も刊行、長年重版した。
大正・昭和期のノンフィクションが多く、石光真清、大庭柯公のロシア事情紹介、徳川義親・阿部知二・西川一三・青木文教らの戦前戦中の東南・中央アジアの探訪記録など、貴重な作品も多数再刊。
高橋是清・牧野伸顕・幣原喜重郎・東郷茂徳・重光葵・吉田茂・有田八郎・石射猪太郎等、政治家・外交官の回想録も改訂再刊。昭和後期の外交官でも東郷文彦・岡崎久彦や、武田龍夫・丹波實なども再刊している。
中公新書で多数重版された書目で、宮崎市定『科挙』、『水滸伝』、会田雄次『アーロン収容所』、野口悠紀雄『「超」整理法』(再訂版)などが文庫再刊。新書版も引き続き重版した。なお児島襄『太平洋戦争』『東京裁判』、江上波夫『騎馬民族国家』の文庫再刊は品切だが、新書は改版し重版。
1993年まで(一部の例外を除き)品切を出さず、解説目録が充実していたことも特筆されるように、過去の作品を大切にする姿勢は、読売新聞グループの新社化にされた2006年末にも、三十数年間の全刊行書を網羅した『中公文庫解説総目録』(ISBN 978-4122047464)を刊行している。なお品切の限定復刊(1991年と翌92年春)および新装改版(2004年から2008年)も行った。
中公文庫BIBLIO
中公文庫BIBLIO(ビブリオ)は姉妹レーベル。2001年6月に創刊、2008年3月までに約190冊を刊行した。古今東西の著名作品を、ジャンル別に収録した。新装版は旧版と比べ高価だった。現行版は中公文庫+同プレミアで新装再刊されている。
ソフトカバーで、装丁の美しさは特筆に値する。本の半分以上を覆う大きな帯紙に書かれた、本文から引用した大きく短い文章が目を引く。主なジャンルは次のとおり。
- 軍事学 - 『孫子』、『戦争論』に加え、『ジョミニ 戦争概論』・『クレフェルト 補給戦』ほかの戦略論・戦術論や従軍戦記も刊行された。チェ・ゲバラ新訳も刊行。
- 失われた世界 - 「マヤ文字を解く」「インカ帝国遠征記」「カルタゴ興亡史」など。
- 仏教 - 大乗仏典シリーズや、仏教史、宗祖の伝記など
- グルメ - 辻静雄、エスコフィエ、ジョエル・ロブション、辻嘉一など
- 探検紀行 - スヴェン・ヘディン、ロアルド・アムンゼンなど
- 東洋史学 - 白川静や宮崎市定の新版など
- 西洋伝記 - アンリ・トロワイヤの著作や、ヴィクトリア女王伝など
- 怪談奇談 - 佐々木喜善など民俗学考察が多い。
- 天文民俗 - 野尻抱影の旧著、『新星座巡礼』『日本の星』『星三百六十五夜』(四分冊)『星の伝説』『続 星の伝説』を一括復刻[2]。
中公文庫コミック版
安彦良和・竹宮惠子・水木しげる・松本零士・里中満智子・藤子不二雄など、多数のマンガ家の著名作品が再刊されている。中央公論新社になってからでも約500冊近くが出された。
脚注
- ^ 展覧会レポート!パナソニック電工汐留ミュージアム - ウェイバックマシン(2014年8月8日アーカイブ分)
- ^ 中央公論新社検索 2019年1月現在『星の伝説』『続 星の伝説』は電子書籍版のみ。
関連項目
外部リンク
中公文庫(中央公論社)
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「三島由紀夫」の記事における「中公文庫(中央公論社)」の解説
『沈める瀧』(1959年8月25日)- 解説:寺田透。表記は「中央公論文庫」 『不道徳教育講座』(1962年5月15日)- 「暗殺について」を除く69篇。表記は「中央公論文庫」 『文章読本』(1973年8月10日、改版1995年12月) - 解説:野口武彦。新装改版2020年3月、人名索引を増補 『作家論』(1974年6月10日) - 1970年10月刊の単行本と同一内容。解説:佐伯彰一。新装改版2016年5月、解説:関川夏央 『荒野より』(1975年1月10日) - 1967年3月刊の単行本と同一内容。解説:村松剛。新装改版2016年6月、解説:猪瀬直樹 『癩王のテラス』(1975年8月10日) - 癩王のテラス、あとがき。解説:宗谷真爾 『椿説弓張月』(1975年11月10日) - 椿説弓張月、「弓張月」の劇化と演出、「椿説弓張月」の演出、歌舞伎の脚本と現代語。解説:磯田光一 『太陽と鉄』(1987年11月10日) - 太陽と鉄、エピロオグ――F104、私の遍歴時代。解説:佐伯彰一。新装改版2020年1月、最後のロングインタビュー「三島由紀夫 最後の言葉」(聞き手・古林尚)を増補 『三島由紀夫未発表書簡 ドナルド・キーン氏宛の97通』(2001年3月25日) - キーン宛ての97通の書簡、編集部後記。解説:松本徹「十七年の交友」 『小説読本』(2016年10月25日) - 作家を志す人々の為に、小説とは何か、私の小説の方法、わが創作方法、小説の技巧について、極く短かい小説の効用、法律と文学、私の小説作法、法学士と小説、法律と餅焼き、私の文学、自己改造の試み、「われら」からの遁走。解説:平野啓一郎。元版:中央公論新社(2010年10月) 『古典文学読本』(2016年11月25日) - 日本の古典と私、わが古典、相聞歌の源流、古今集と新古今集、存在しないものの美学、清少納言「枕草子」、雨月物語について、能、変質した優雅、「道成寺」私見、葉隠二題、日本文学小史、「文芸文化」のころ、「花ざかりの森」出版のころ、「花ざかりの森」のころ、古今の季節、伊勢物語のこと、うたはあまねし、寿、柳桜雑見録、古座の玉石、中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃。解説:富岡幸一郎 『戦後日記』(2019年4月23日) - 「小説家の休暇」「裸体と衣裳」ほか日記形式の全エッセイ集。解説:平山周吉 『谷崎潤一郎・川端康成』(2020年5月21日) - 両者に関する批評・随筆を初集成。解説:梶尾文武 『三島由紀夫 石原慎太郎 全対話』(2020年7月22日) - 石原慎太郎との全対話9編を初集成。公開状「士道について」と石原の返答「政治と美について」も収録。あとがきにかえて:石原慎太郎「三島さん、懐かしい人」(2010年10月刊の『中央公論特別編集 三島由紀夫と戦後』掲載のインタビュー記事をまとめたもの)
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