中公文庫とは? わかりやすく解説

中公文庫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 05:35 UTC 版)

中公文庫(ちゅうこうぶんこ)は、株式会社中央公論新社読売新聞グループ)が発行している文庫レーベル。

沿革と概要

1973年6月、第3次文庫ブームの中で創刊発足した。1971年開始の講談社文庫1974年に開始した文春文庫とあわせて、当時の文庫ブームを主導した。1980年代後半に文字ポイントを大きくした。カバーを外した表紙には、建築家白井晟一のデザインによる、「CHUOKORON」の文字があしらわれたのイラストが用いられている[1]1990年代半ば以降は改訂再刊も多数刊行。

自社刊行シリーズでは、『日本の歴史』(改版)、『世界の歴史』(平成版も含め)など、三田村鳶魚の考証物や矢田挿雲『江戸から東京へ』(改版)などの、江戸時代後期から明治維新期の大衆文芸や庶民生活についての著作が充実していることが特徴である。発足初期は『折口信夫全集』も刊行、長年重版した。

大正・昭和期のノンフィクションが多く、石光真清大庭柯公ロシア事情紹介、徳川義親阿部知二西川一三青木文教らの戦前戦中の東南・中央アジアの探訪記録など、貴重な作品も多数再刊。

高橋是清牧野伸顕幣原喜重郎東郷茂徳重光葵吉田茂有田八郎石射猪太郎等、政治家・外交官の回想録も改訂再刊。昭和後期の外交官でも東郷文彦岡崎久彦や、武田龍夫丹波實なども再刊している。

中公新書で多数重版された書目で、宮崎市定科挙』、『水滸伝』、会田雄次アーロン収容所』、野口悠紀雄『「超」整理法』(再訂版)などが文庫再刊。新書版も引き続き重版した。なお児島襄『太平洋戦争』『東京裁判』、江上波夫騎馬民族国家』の文庫再刊は品切だが、新書は改版し重版。

1993年まで(一部の例外を除き)品切を出さず、解説目録が充実していたことも特筆されるように、過去の作品を大切にする姿勢は、読売新聞グループの新社化にされた2006年末にも、三十数年間の全刊行書を網羅した『中公文庫解説総目録』(ISBN 978-4122047464)を刊行している。なお品切の限定復刊(1991年と翌92年春)および新装改版(2004年から2008年)も行った。

中公文庫BIBLIO

中公文庫BIBLIO(ビブリオ)は姉妹レーベル。2001年6月に創刊、2008年3月までに約190冊を刊行した。古今東西の著名作品を、ジャンル別に収録した。新装版は旧版と比べ高価だった。現行版は中公文庫+同プレミアで新装再刊されている。

ソフトカバーで、装丁の美しさは特筆に値する。本の半分以上を覆う大きな帯紙に書かれた、本文から引用した大きく短い文章が目を引く。主なジャンルは次のとおり。

昭和史は、重光葵幣原喜重郎岡田啓介来栖三郎斎藤隆夫清瀬一郎細川護貞等の回顧録・日記の新版。
他に江戸東京回想記、山岳登山記、宗教論などがあった。

中公文庫コミック版

安彦良和竹宮惠子水木しげる松本零士里中満智子藤子不二雄など、多数のマンガ家の著名作品が再刊されている。中央公論新社になってからでも約500冊近くが出された。

脚注

  1. ^ 展覧会レポート!パナソニック電工汐留ミュージアム - ウェイバックマシン(2014年8月8日アーカイブ分)
  2. ^ 中央公論新社検索 2019年1月現在『星の伝説』『続 星の伝説』は電子書籍版のみ。

関連項目

外部リンク


中公文庫(中央公論社)

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三島由紀夫」の記事における「中公文庫(中央公論社)」の解説

沈める瀧』(1959年8月25日)- 解説寺田透表記は「中央公論文庫」 『不道徳教育講座』(1962年5月15日)- 「暗殺について」を除く69篇。表記は「中央公論文庫」 『文章読本』(1973年8月10日改版1995年12月) - 解説野口武彦新装改版2020年3月人名索引増補作家論』(1974年6月10日) - 1970年10月刊の単行本同一内容解説佐伯彰一新装改版2016年5月解説関川夏央荒野より』(1975年1月10日) - 1967年3月刊の単行本同一内容解説村松剛新装改版2016年6月解説猪瀬直樹癩王のテラス』(1975年8月10日) - 癩王のテラスあとがき解説宗谷真爾椿説弓張月』(1975年11月10日) - 椿説弓張月、「弓張月」の劇化演出、「椿説弓張月」の演出歌舞伎脚本現代語解説磯田光一太陽と鉄』(1987年11月10日) - 太陽と鉄エピロオグ――F104私の遍歴時代解説佐伯彰一新装改版2020年1月最後のロングインタビュー「三島由紀夫 最後の言葉」(聞き手古林尚)を増補三島由紀夫未発表書簡 ドナルド・キーン氏宛の97通』(2001年3月25日) - キーン宛て97通の書簡編集部後記解説松本徹十七年の交友」 『小説読本』(2016年10月25日) - 作家志す人々為に小説とは何か、私の小説の方法、わが創作方法小説技巧について、く短かい小説効用法律文学、私の小説作法法学士小説法律と餅焼き、私の文学自己改造試み、「われら」からの遁走解説平野啓一郎元版中央公論新社2010年10月) 『古典文学読本』(2016年11月25日) - 日本の古典と私、わが古典相聞歌源流古今集新古今集存在しないもの美学清少納言枕草子」、雨月物語について、能、変質した優雅、「道成寺私見葉隠二題、日本文学小史、「文芸文化」のころ、「花ざかりの森出版のころ、「花ざかりの森」のころ、古今季節伊勢物語のこと、うたはあまねし、寿、柳桜雑見録、古座玉石中世に於ける殺人常習者の遺せる哲学的日記抜萃解説富岡幸一郎戦後日記』(2019年4月23日) - 「小説家の休暇」「裸体と衣裳」ほか日記形式の全エッセイ集解説平山周吉谷崎潤一郎川端康成』(2020年5月21日) - 両者に関する批評随筆を初集成解説梶尾文武三島由紀夫 石原慎太郎対話』(2020年7月22日) - 石原慎太郎との全対話9編を初集成公開状士道について」と石原返答政治美について」も収録あとがきにかえて石原慎太郎三島さん懐かしい人」(2010年10月刊の『中央公論特別編集 三島由紀夫戦後掲載インタビュー記事をまとめたもの)

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