公開状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/19 00:59 UTC 版)

公開状(こうかいじょう、英語: open letter)とは、世間の批判か意見を求めながら、特定の個人または団体を問いただすことを目的に、新聞や雑誌などメディアに掲載することで多くの第三者に読まれることを意図した書状。特定の個人・団体に宛てになっているが、意図的に広く公開される書状・手紙である[1][2][3]。日本語では、公開書簡(こうかいしょかん)とも訳されたり、そのまま片仮名で「オープンレター」とも表記される[4]。また、内容が質問を中心としたものであることを強調して公開質問状(こうかいしつもんじょう)という表現が用いられることもある。
歴史
ハートフォードシャー大学の教授で抗議運動の歴史家であるカトリーナ・ナビカスは、新聞が普及した18世紀後半以降、新聞の読者以外の聴衆を明確なターゲットとして公開状を出すことが一般的な戦術として行われてきたとしている。それらの中で労働運動家であるリチャード・オストラーが投稿し掲載されたヨークシャー奴隷制が、1833年の工場法の制定にも影響を与えたとして最も影響力のあった公開状の1つとして挙げている。その他に名称が英語の辞書に収録されたエミール・ゾラの「J'Accuse」(私は弾劾する)や、有名な一節「injustice anywhere is a threat to justice everywhere」(いかなる場所での不正もあらゆる場所での正義に対する脅威である)が書かれたマーティン・ルーサー・キング・ジュニアのバーミングハム刑務所からの手紙も個人の出した強力な公開状だとしている[5]。
動機
わざわざ新聞などメディアに乗せる形である公開状という形態を選ぶのには、端的には宛先を世論と共に批判したいという理由があり、基本的には世論による宛先への批判を集めたい際に持ちいられる。特定の事柄について、書き手の立場と宛先への批判を世間に喧伝したいだけでなく、公開することで批判している宛先が未回答を選択する確率を減らす目的、未回答を批判出来るなど公開側にメリットがある。個人への公開状の場合には個人自身だけでなく、その所属組織にも反省や批判されている事柄のための社会的制裁を促す意味もある[6]。
影響力
歴史家であるキース・フレットはソーシャルメディアの影響力を認めたうえで、新聞への掲載が依然としてそれらよりも大きな影響力を持つと主張している[5]。
脚注
出典
- ^ “公開質問状(こうかいしつもんじょう)とは何? Weblio辞書”. archive.ph (2022年3月9日). 2022年3月9日閲覧。
- ^ Merriam-Webster's Online Dictionary
- ^ 日本国語大辞典,デジタル大辞泉, 精選版. “公開状とは”. コトバンク. 2022年3月9日閲覧。
- ^ "オープンレター". デジタル大辞泉. コトバンクより2022年1月30日閲覧。
- ^ a b “Open letters: Why are they on the increase?” (英語). (2011年3月23日) 2022年7月26日閲覧。
- ^ 「ポーランド共産党への公開状―反官僚革命(増補)」p1,Y.クーロン、K.モゼレフスキ 塩川喜信(訳)柘植書房新社,1980/1/1
関連項目
- ポレミック
- Epistolary poem
公開状
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「ホビイストたちへの公開状」の記事における「公開状」の解説
マイクロソフトはMITS社が販売したBASICの各コピーに対して30ドルから60ドルのロイヤルティを受け取っていた。1975年の終わりには、MITS社は月に千台のコンピュータを出荷していたが、BASICの出荷数はそれよりも少なく、月に数百件しか売れなかった。追加のソフトウェア開発のために、より多くのリソースが必要だった。MC6800を使用したコンピュータ・MITS 680Bが発売されるため、アレンとゲイツ、そして高校からの友人のリック・ウェイランドが、Intel 8080向けのBASICを6800に移植する作業をしていた。ゲイツは、ホビイストのコミュニティに、ソフトウェア開発のコストを説明しようとした。 『コンピュータ・ノーツ』の編集者のデビッド・バネル(英語版)は、ゲイツの立場に同情的だった。彼は1975年9月号で「顧客はMITS社のソフトウェアをぼったくりまくっている」と書いている。 今、私はあなたに尋ねます--音楽家には自分のレコードの売り上げの印税を徴収する権利がありますか? 作家には自分の本の売り上げの印税を徴収する権利がありますか? ソフトウェアをコピーする人は、レコードや本をコピーする人と何か違うのでしょうか? ゲイツの公開状の趣旨は、バネルが9月号で、ロバーツが10月号で書いたことと同じである。ただし、彼の公開状のトーンは、ホビイストたちは「企業から」ではなく、「ゲイツらソフトウェア開発者から」盗んだのだというものだった。 これはなぜなのでしょう? ホビイストの大半は気付いているはずですが、ほとんどの人がソフトウェアを盗用しています。ハードウェアには必ずお金を払うのに、ソフトウェアは共有するものだとしています。ソフトウェアに取り組んだ人が報酬を貰えるかどうかなど、どうでもいいというわけです。 この公開状の主要なターゲットの一つはホームブリュー・コンピュータ・クラブであり、同クラブ宛に公開状が送られ、クラブの会報に掲載された。また、『コンピュータ・ノーツ』にも掲載された。公開状が注目されるようにするために、バネルは、全米の主要なコンピュータ関連の出版社に特別配達郵便で公開状を送った。 公開状の中では、ゲイツが8080や6800用にプログラミング言語APLを製作していることにも触れられている。APLは、1970年代に一部の計算機科学者の間で流行した。この言語は各種の特殊な記号を使用しており、入力や表示には特別な端末を必要とした。ほとんどのホビイスト向けのコンピュータでは、APL用の特殊記号どころか、ラテン文字の小文字さえも表示できなかった。ゲイツはAPLに夢中になっていたが、アレンはこの製品が売れるとは思っていなかった。そのうちにAPLへの関心は薄れ、ソフトウェアは完成しなかった。
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