ばく‐やく【爆薬】
【爆薬】(ばくやく)
燃焼する際の熱伝播速度が超音速に達する化学物質の総称。
超音速であるため、その燃焼によって高熱を伴う衝撃波、いわゆる「爆発」が発生する。
主な工業用途は兵器・岩盤・建造物の破壊であり、一般には爆弾の主原料として知られる。
近年では油脂などの可塑剤を添加して化学的に安定させた「プラスティック爆薬」が一般的。
そうした近年の爆薬は熱伝播速度が激減しており、摩擦熱や衝撃で起爆する事はほとんどない。
種類によっては、火にくべても固形燃料と同程度の熱伝播速度でしか燃えないものもある。
ただし、爆発の危険がなくても爆薬は危険物である。
爆薬は基本的に猛毒であり、素手で触れて微量に付着しただけでも健康被害を引き起こし得る。
野外に放置すれば環境被害も予想され、燃えた際の噴煙も当然ながら有害である。
また、「プラスティック爆薬」は羊羹や遊具用粘土などと見まがうような外観を持つ。
基本的にパラフィン紙や樹脂製の被膜でカバーされて支給されるが、それらを剥いてしまえば判別が難しく、民間人や訓練兵が不用意に触れて病院に搬送されるケースもままある。
関連:装薬 ピクリン酸 ニトログリセリン TNT RDX HMX
爆薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 09:34 UTC 版)
爆薬(ばくやく、英: High explosives、HE)は、爆発性の物質のうち、特に激しく爆発する物。一般には爆発によって生じる衝撃波が音速(秒速約340メートル)を超える物質を指す。このような爆発を特に爆轟と呼ぶ[1][2]。広義には火薬類の一種であるが、法令上の扱いは一般の火薬とは異なる(後述)。なお、広島に1945年8月6日に投下された原子爆弾はガンアセンブリという方式であった。
反応速度によって、低速のものと高速の物(一般にはこちらを爆薬と呼ぶ)に分けられることもあり、後者は約3–9キロメートル毎秒 (9,800–29,500 ft/s)の爆発速度で爆発する。たとえば、TNT(トリニトロトルエン)の爆発(燃焼)率は約5.8キロメートル毎秒 (19,000 ft/s)、導爆線は6.7キロメートル毎秒 (22,000 ft/s)、代表的なプラスチック爆薬のC-4は約8.5キロメートル毎秒 (28,000 ft/s)である。それらは通常、鉱業、爆破解体、軍事用途で使用される。
なお、英語で「高爆発物 High explosives」と表記するのは「低爆発物 Low explosive」との区分のためである。高爆発物(HE)が起こす爆発を爆轟と呼ぶのに対して、低爆発物(LE)の爆発は爆燃(deflagrates)と呼ぶ[3]。
日本の火薬類取締法では、火薬類を「破壊的爆発の用途に供せられる爆薬」と「(黒色火薬と無煙火薬およびそれら)と同等に推進的爆発の用途に供せられる火薬」に大きく分けており、概ねHEとLEがそれぞれに対応する[2]。
無数の爆薬が化学的に合成可能だが、商業的および軍事的に重要なものには、NG(ニトログリセリン) 、 TNT(トリニトロトルエン) 、TNX(トリニトロメタキシレン)、 RDX(トリメチレントリニトロアミン) 、 HMX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン) 、 PETN(ペンスリット) 、 TATB(トリアミノトリニトロベンゼン) 、HNS(ヘキサニトロスチルベン)などがある。
関連項目
脚注
- ^ “爆薬 [JSME Mechanical Engineering Dictionary]”. 一般社団法人 日本機械学会. 2020年11月8日閲覧。 “爆ごうを起こす火薬類の総称”
- ^ a b 大波篤司 (2008-08-29). 図解 ヘビーアームズ. 新紀元社 2020年11月8日閲覧。
- ^ 野津 剛, 日比 一喜「水素ガス爆発による爆風」『日本風工学会誌』第37巻第3号、2012年、204頁、doi:10.5359/jawe.37.204“爆発現象には,燃焼速度が音速以下の爆燃(deflagration)と,音速を超え衝撃波を伴う爆轟(detonation)とが知られている。”
爆薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/18 18:13 UTC 版)
液体酸素爆薬 液体酸素と炭素粉末を混合して作られた代用爆薬の一種で現在では使用されていない。
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爆薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 07:09 UTC 版)
主にダイナマイトが使われる。従来の一般的な震源だが、危険物の取り扱いに難があること、震源周辺に対する悪影響が大きいことから、爆薬以外の「非爆薬震源」に切り替わりつつある。
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爆薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 00:21 UTC 版)
中川智正や土谷正実らにより、黒色火薬、RDX、PETN、TNT、HMX、ニトログリセリンが製造された。黒色火薬は島田裕巳宅爆弾事件で、RDXは東京都庁小包爆弾事件で使用された。
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爆薬(破壊用)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 13:56 UTC 版)
爆薬は「爆轟」によって発生する衝撃波や破片によって周囲の物体を破壊する。爆弾や砲弾、魚雷や手榴弾等の弾頭および弾体・核兵器における爆縮レンズの構成部品として軍事用に用いられる他、発破(はっぱ)として鉱物資源の採掘やトンネルの掘削に用いられる。こうした使用法は黒色火薬時代には爆発力が限られるため限定的な使用にとどまり、19世紀に入って安全で高性能な火薬が多数開発されたことで初めて一般化された使用法である。外国ではビルや野球場のスタンドなどの建造物の解体に際して、内部に爆薬を仕掛け、崩すように一気に解体する手法が行われる。ただし、この方法は日本においては環境基準や、地震に備えるための耐震基準によって建築物が頑強に作られているため実用性がほとんどなく、ほぼ行われることはない。 通常、爆薬に火をつけてもゆっくりと燃えるだけで「爆轟」にはならない。爆薬を起爆するには、雷管や信管を用いて爆薬に衝撃波を与える必要がある。これを応用し、不要な爆発物や不発弾などを専用の爆薬で火薬ごと爆破して処分を行うことが各国の警察や軍により行われている。
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爆薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:55 UTC 版)
浅野カーリット(現:日本カーリット) 大正9年設立。第一次世界大戦勃発で爆薬輸入が不可能になった為に、スウェーデン企業からカーリット爆薬の、製造販売権を取得し日本カーリットを設立。大正12年に浅野セメントに吸収合併されたが、昭和9年に浅野カーリットが独立。昭和17年に関東水力電気・関水興業と合併し関東電気興業になる。昭和20年に関東電気工業に改名。昭和26年日本カーリットに改名。 朝鮮カーリット 昭和13年設立。爆薬カーリットや一般火薬類の製造販売。 南満火薬製造 昭和14年設立、火薬類製造販売。 関東化学工業 化学工業製品の製造販売、イリジューム・白金・クローム・その他鉱物の試掘採掘販売。昭和17年に浅野カーリットが資本参加し子会社にする。後に関東高圧化学に改称。平成20年に日本カーリットが吸収合併。
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爆薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 19:40 UTC 版)
硝酸メチルの爆速(VOD)は8000m/sであり、最も猛度が大きいものの一つとして知られる。爆発の感受性は非常に大きいため微量で使われる。
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爆薬
「爆薬」の例文・使い方・用例・文例
- 爆薬が彼の眼前で爆発した
- 高性能爆薬
- 爆薬製造犯はしばしば世間の注目を集めたいという動機を持っている。
- 爆薬がどかんと鳴った。
- 1920年代初期のメキシコの無法者たちは盗んだ小火器や爆薬で十分に武装していた。
- 高性能爆薬.
- 爆薬の製造の改善
- 爆薬を投ずる
- 爆薬を使用する
- 爆薬を充満させる
- 感度が高い爆薬は衝撃によって容易に爆発される
- ブリーフケースの中に隠された爆薬とタイマから成る爆弾
- 爆薬と弾丸を含む筒状の入れ物で成る弾薬
- 爆薬を含んでいるヒューズ
- 攻撃目標に打撃を与えるために使用される極めて高性能爆薬
- 木材パルプに浸したニトログリセリンに感応する硝酸エステルを含む爆薬
- 小さな高速の断片を破壊する外皮からなる10から20パーセントの爆薬と残留物
- 爆薬の前に硬化したターゲットを貫くように設計されたおよそ30%の爆薬とケース付きの爆弾は、爆発します
- 銃から発射体を推進するか、ロケットとミサイルを推進するのに用いられるか、発射魚雷と水中爆雷に突進する爆薬
- 爆薬の弾薬金のための穿孔
爆薬と同じ種類の言葉
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