ドライキャスク
「使用済み核燃料」を中間貯蔵する際に用いられる容器、または、その容器を用いた使用済み核燃料の保管方法。「使用済み核燃料プール」(貯蔵プール)による保存の代替手法として利用される。
ドライキャスクは、鋼鉄やコンクリートなどで作られる。これで使用済み核燃料を密閉し、「ドライキャスク保管施設」(ドライキャスクストレージ)内で空冷保管される。水を使用しないため、扱いが比較的容易であるという利点がある。ドライキャスクの手法により、おおよそ100年程度の保管が可能といわれている。
ドライキャスクは中間貯蔵の手法であり、一定期間保管された後には、六ヶ所再処理工場などのような再処理工場へ輸送されるか、またはフィンランドの「オンカロ」のような最終処分施設に埋設処理される。ただし、2011年現在、日本にはまだ最終処分を行う施設はない。
東京電力福島第一原子力発電所では、使用済み核燃料プールとドライキャスクの両方式が採用されている。福島第二原子力発電所では使用済み核燃料プールのみとなっている。福島第一原発で2011年3月に発生した原発事故により、核燃料を冷却するため外部からの放水・注水を余儀なくされ、大量の汚染水が生じている事態を受けて、2011年5月1日現在、ドライキャスクの積極的採用が検討されている。
なお、単に「キャスク」と言った場合、一般的には、使用済み核燃料を輸送する際に用いる容器を指す。
ドライ‐キャスク【dry cask】
読み方:どらいきゃすく
ドライキャスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/18 04:25 UTC 版)
ドライキャスク(dry cask、乾式キャスク、乾式容器、乾式貯蔵キャスクとも)は使用済み核燃料のような高レベル放射性廃棄物を保管する方法である。
概説
最低1年間の使用済み核燃料冷却プールでの冷却で、ドライキャスクに貯蔵できる[1]。
これらのキャスクは典型的に鋼鉄の円柱でできており、溶接またはボルトのどちらか一方の方法にて密封される。使用済み核燃料は内部にて不活性気体(主にヘリウム)で覆われる。理想的には、鋼鉄の円柱は使用済み核燃料が決して漏れ出さないように封じ込めている。各々の円柱は更に新たな鋼鉄・コンクリート・その他の物質で囲まれ、労働者や部外者を放射線から守っている。 いくつかのキャスクは貯蔵・輸送がともにできるように設計されている。Holtec Intl, NAC Intl. および Areva Nuohmsの3社は独立した使用済み核燃料貯蔵庫の設置 (Independent Spent Fuel Storage Installations、ISFSI's) を行なっており、 それらの輸送、および保管所への垂直または水平での遮蔽された使用済み核燃料の設置を行なっている。これらのシステムは多くの場所で有効に活用されている。
ドライキャスクシステムの設計は多岐にわたる。これらのうち幾つかの使用済み核燃料入りドライキャスクは、コンクリートの保管庫に垂直に設置されるように設計されている。他のものは、水平に設置するように設計されている[2]。
コンクリート貯蔵庫は放射線遮蔽能力を持っている。その他の鋼鉄製キャスクは、金属・コンクリートのいずれの貯蔵庫であっても保管できるように設計されており、キャスクの外のコンクリートが放射線を遮蔽する。
現時点ではドライキャスクによる使用済み核燃料の永久貯蔵は不可能であり、あくまで一時的な保管用である。使用済み核燃料をプールに貯蔵するよりは、冷却水の電源喪失でメルトダウンを起こさないため、優れた貯蔵方法というわけである。
コンテナはCASTORコンテナと呼ばれるが、これは、"cask for storage and transport of radioactive material"(放射性物質の貯蔵と輸送のためのキャスク)の頭文字である。
CASTORは、ゲゼルフシャフト原子力サービス社の商標名である。
関連項目
参考文献
- ^ “Dry Cask Storage”. アメリカ合衆国原子力規制委員会. 2011年3月17日閲覧。 “Dry cask storage allows spent fuel that has already been cooled in the spent fuel pool for at least one year to be surrounded by inert gas inside a container called a cask,”
- ^ “Dry Storage of Spent Fuel”. NRC; Dry Cask Storage Figure 43. 2011年3月17日閲覧。
外部リンク
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