生息地分断化とは? わかりやすく解説

生息地分断化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/08 23:23 UTC 版)

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中央アフリカにおける大型類人猿の生息地の分断化と破壊 (GLOBIO, GRASP project より)
人間の侵入によるアマゾン熱帯雨林森林破壊と道路の敷設は、生物多様性を脅かす深刻な問題となっている

生息地分断化(せいそくちぶんだんか、Habitat fragmentation)は、生物生息地に分断が生じ、生息地が断片化すること。ゆっくりとした物理的な環境の変化(異所的種分化英語版の原因と考えられている)[1]、あるいは土地の改変などといった人間活動によって起こる。特に人為的な要因で起こった生息地分断化は、急激な環境の変化と個体群の分断を引き起こすため、多くの種の絶滅や個体数の減少につながる。

定義

生息地分断化という用語は、以下の4タイプの生息地の変化を表すのに用いられる[2]

  • 生息地の範囲が減少すること
  • パッチ状の生息地の数が増加すること
  • 生息地の各パッチの大きさが減少すること
  • 孤立したパッチ状の生息地が増加すること

これら4つが同時に起こる場合だけではなく、どれか1つ、あるいは2つか3つが組み合わさって起こる場合でも生息地分断化と呼ぶ[2]

自然に起こる分断化

生息地の破壊は、火山噴火火事気候変動などといった自然現象でも起こっていたことが、化石記録から明らかとなっている[1]。例えば、今から約3億年前のユーラメリカ大陸で起こった熱帯雨林の生息地分断化によって、両生類の多様性が著しく減少したが、同時に気候の乾燥化が進んだため、爬虫類の多様性の増大も起こったと考えられている[1]

人為的な分断化

生息地分断化は、例えば農業利用や郊外土地開発都市化水力発電のためのダム建設などといった人間活動によってしばしば発生する。そのような人為的な環境攪乱は、そこに生息する種の存続を危うくしており[3]、そのような生息地の破壊と分断によって絶滅の危機に瀕している生物種の数は年々増加している[4]。また生息地分断化によって遺伝子流動(地域間の遺伝子の移動)が減少することで、種の遺伝的多様性が下がることも指摘されている[5]

脚注

  1. ^ a b c Sahney, S., Benton, M.J. & Falcon-Lang, H.J. (2010). “Rainforest collapse triggered Pennsylvanian tetrapod diversification in Euramerica” (PDF). Geology 38 (12): 1079–1082. doi:10.1130/G31182.1. http://geology.geoscienceworld.org/cgi/content/abstract/38/12/1079. 
  2. ^ a b Lenore Fahrig 2003. EFFECTS OF HABITAT FRAGMENTATION ON BIODIVERSITY. Annu. Rev. Ecol. Evol. Syst. 34:487-515
  3. ^ 杵崎 のり子 , 川崎 廣吉 , 高須 夫悟 , 重定 南奈子 (2001) 帯状分断環境における侵入生物の伝播モデル 情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 37, 19-22 NAID 110002936530
  4. ^ 桑名貴 (2006) 野生動物の遺伝子保存技術と発生工学 日本畜産學會報 77(2), 189-194 NAID 10025838895
  5. ^ 渡辺幸三、大村達夫「RAPD解析によるダム上下流の河川水生昆虫3種地域集団の遺伝的多様性の評価」『土木学会論文集』第62巻第1号、2006年4月20日、 94-104頁、 NAID 10019320954

関連項目


生息地分断化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 02:47 UTC 版)

環境に及ぼす人類の影響」の記事における「生息地分断化」の解説

詳細は「生息地分断化」を参照 ネイチャー誌の2018年調査によると、海洋87%陸地77%(南極大陸を除く)は人為的な活動によって変化しており、地球上にある陸地23%が原野のままとなっている。 生息地分断化は生息地損失につながる大規模な生息地減少である。 生息地分断化および損失世界じゅうの生物多様性の喪失生態系の劣化主な原因だと考えられている。 人類行動生息地連続性や質を変化させる生息地分断化および損失大きな原因となっており、 生息地分断化の結末理解することが生物多様性保全および生態系機能強化にとって重要である。 農業用植物繁殖受粉依存しており、人間にとって重要な食事である 野菜果物受粉頼りである。 生息地破壊がある時は常に、受粉減って収穫量減少する植物の中には種子飛散動物食餌行為依存するものがある。そのため、動物生息地破壊はそれらに依存する全ての植物種深刻な影響与える。

※この「生息地分断化」の解説は、「環境に及ぼす人類の影響」の解説の一部です。
「生息地分断化」を含む「環境に及ぼす人類の影響」の記事については、「環境に及ぼす人類の影響」の概要を参照ください。

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