人と環境との関わり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/21 05:12 UTC 版)
「クロアチアの地理」の記事における「人と環境との関わり」の解説
クロアチアの人口及び産業のエコロジカル・フットプリントは、地域毎に決定的に差がある。なぜなら、人口の50%が国土の26.8%に住み、特に、ザグレブとザグレブ県を併せたエリアが強いインパクトを持っているからである。ザグレブ都市圏は国土の6.6%にすぎないが、25%の人口を擁する。エコロジカル・フットプリントは、とりわけ、発展した集落が増加したところや生息地分断化を招いている海岸部で最大となっている。1998年から2008年の10年間で、いくつかの地域において行われた人為的な開発に付随して、土地利用の大きな変化が起きたが、開発の規模はヨーロッパ連合に加盟している国々のそれと比べると取るに足りないものであった。 クロアチア政府が設立した環境に関する情報を収集し分析するための公共機関クロアチア環境局(Croatian Environment Agency)は、発展が環境に与えるインパクトという観点に基づいて、発展のさまざまな段階を確認するだけでなく、多くの環境問題を(環境問題であるとして)確認してきた。そのような環境問題としては、違法なゴミ処理場の存在のみならず、合法ではあるけれども不適切なゴミ処理場の存在があった。2005年から2008年の間に、62の認可を受けた最終処理場と423の違法なゴミ処理場が是正された。同期間において、一年間に出るゴミの総量は23%毎の増加をする一方で、廃棄物取扱業の免許発行数は二倍になり、1業者あたり403kgにまでなった。土壌酸性化(英語版)の進行と土壌有機物の分解は、クロアチアの全土で起きている。ネレトヴァ川平野では塩害の度合いがひどくなり、スラヴォニアではアルカリ性土壌のエリアが広がりつつある。 クロアチアの大気汚染の度合いは、クロアチア独立戦争の勃発した1991年に記録した工業生産の落ち込みを反映して、1997年にようやく紛争前の廃棄レベルに達した。また、脱硫化燃料の使用により、1997年から2004年の間に二酸化硫黄の25%削減が実現した。2007年までに、さらに7.2%(訳注:1997年の7.2%?)まで落ちた。窒素酸化物排出量の増加は2007年に止まり、2008年には減少に転じた。脱鉛ガソリンの使用は大気中への鉛の排出量の削減に効果があり、1997年から2004年の間に91.5%まで減少した。大気汚染度の測定結果によると、農村部では空気が本質的に清浄であり、都市部では一般的に法の規制次第ということが示されている。クロアチアにおいて、温室効果ガスの排出源として最も大きなものは、発電(72%)、工業生産 (13%)、農業 (11%)である。温室効果ガス排出量増加の年間平均は3%に留まり、京都議定書の制限の範囲内である。1990年から2007年の間に、オゾン層破壊物質の使用量は92%にまで削減された。2015年までには使用が廃絶されることが期待される。 水の使用に関してクロアチアには、充分な水源を有するが、均一に分配されておらず、公共上水道ネットワークがない世帯が推定で44%と、依然高いままである。2004年から2008年の間、表層水の水質汚濁をモニタするステーションの数は20%増加し、クロアチア環境局はこの期間に476件の水質汚濁を報告した。同期間、有機廃棄物汚染の度合いは少し減少した。これは、施設数が20%増加し、総数にして101施設に達した、新しく完成した下水処理場の成果である。利用可能な表層水とは大きく違い、ほとんどすべてのクロアチアの地下水帯水層の水質は、最上質のものである。表層水の水質は、生物化学的酸素要求量と細菌学的水質分析(英語版)の結果に、大きなバラツキがある。2008年に関して言えば、クロアチアの人口の80%が公共上水道システムにより水資源の分配を受けているが、人口の44%だけが公共下水道ネットワークへのアクセスをしており、下水処理場のシステムを利用できている状況である。アドリア海の水質は、2004年から2008年の間に行われた調査によると、非常に良い状態を示しており、ほとんどの沿岸部で貧栄養(英語版)の状態である。一方で、富栄養化が進みつつあるエリアとしては、バカル湾(英語版)、カシュテラ湾、シベニク港、プロチェの近海であることが判明した。その他の地域に限定された汚染地域は、比較的大きな沿岸都市の近くであることも判明した。2004年から2008年の期間でクロアチア環境局は、海洋汚染を283件(うち、船舶による汚染が128件)把握した。これは、1997年から2005年の間に行われた調査結果と比較すると、15%の減少となった。
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