人と運の管理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 06:08 UTC 版)
ヒミルコは不満を持つ傭兵に対してカルタゴ士官の銀製食器を与えて、一時的にそれを宥めた。とは言うものの、補給の改善は必要であったが、絶好の機会が到来したとの情報を得た。ギリシア軍は30隻の三段櫂船に護衛された穀物補給艦隊をアクラガスと陸軍の補給に用いていたが、近隣にカルタゴ艦隊がいないために、油断しはじめていた。冬の直前に、カルタゴ軍は船団の接近を察知した。ヒミルコはモティアとパノルムスから40隻の三段櫂船を呼び寄せたが、航海は夜の間に行わせギリシア軍の偵察部隊から見つからないようにしていた。ギリシアの輸送船団が接近すると、これに対して奇襲をかけギリシアの三段櫂船8隻を撃沈し、補給船全てを鹵獲した。これでカルタゴ軍は数か月分の食料を手に入れ、その士気も回復した。 今度はギリシア軍が補給の問題に直面した――アクラガスには市民と兵の双方に供給するに十分な食糧はなく、季節は冬に入っているために次の補給部隊を組織するにも時間が必要であった。この情報が公になると、様々な地域から来ているギリシア人の間に相互不信が芽生え始めた――このため戦争継続に関して共同して決断することが難しくなった。ヒミルコはアクラガスのカンパニア人傭兵に賄賂を渡して脱走させ、状況をさらに悪化させた。また1,500の傭兵を率いているスパルタのデキシップス将軍にも賄賂が渡されているとの噂が流れた。この緊張のためギリシア軍は崩壊した。イタリア半島から来たギリシア兵は、飢えるよりはアクラガスを去ることを選んだ。それに続いて他のギリシア兵も全市民と共に東のゲラ(現在のジェーラ)に向かった。ヒミルコはアクラガスを占領して略奪し、カルタゴ軍はそこで冬営に入った。
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