エトルリア語とは? わかりやすく解説

エトルリア‐ご【エトルリア語】


エトルリア語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/03 17:45 UTC 版)

エトルリア語
話される国 エトルリア
地域 イタリア半島
消滅時期 1世紀
言語系統
言語コード
ISO 639-3 ett
Linguist List ett
Glottolog etru1241[1]
 
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エトルリア語(エトルリアご、Etruscan language)はイタリア半島の先住民族、エトルリア人が使用していた言語先印欧語の一つ。現在は死語となっている。

エトルリア語のアルファベット(エトルリア文字)は西方ギリシア文字から派生した表音文字で読み方は分かっている。ラテン語ラテン文字を派生した。

エトルリア語は、ほとんどの考古学資料が碑文のため、言語の詳細について研究が進んでいない。一部の学者たちは、ラエティア語アルプス地方で話されていた)やレムニア語エーゲ海レムノス島で話されていた)など、ヨーロッパにおける死語となった孤立言語との共通点を指摘し、ティレニア語族(ティルセニア語族、Tyrrhenian/Tyrsenian)を形成するとしている。

母音

母音はすべて短母音で長母音を持たず、4母音の区別があった(ア、エ、イ、ウ)。 エトルリア語にはオがなかったため、Eは非常に狭いエであり、ほとんどイに近かったのでエとイはしばしば相互交換可能であった(例.イアソン Iason → Easun)。

子音

有声子音

エトルリア語の有声子音は /v/ のみが用いられた。有声破裂音/g/ も用いなかった。

無声子音 /k/

エトルリア語では、無声破裂音/k/ を表すための文字として、母音 /e/ と /i/ の前では、ギリシャ語アルファベットの第三字母ガンマΓ(の異体形の C)を転用した。

他の母音の前では、ギリシャ語に倣い、/a/ の前には K を、/u/ の前には Q を用いた。同じ使い分けシステムは、初期のラテン人にも採用された。

文字

初期のエトルリア文字アルファベットは西方ギリシャ文字と同じである(下段はその転写・音価)。

𐌀 𐌁 𐌂 𐌃 𐌄 𐌅 𐌆 𐌇 𐌈 𐌉 𐌊 𐌋 𐌌 𐌍 𐌎 𐌏 𐌐 𐌑 𐌒 𐌓 𐌔 𐌕 𐌖 𐌗 𐌘 𐌙 (𐌚)
A B G D E V Z H Θ I K L M N Ξ O P Ś Q R S T Y X Φ Ψ (F)

文法

名詞代名詞動詞にそれぞれ異なった語尾、あるいは屈折がある(従来の文法用語を使用してよいのか不確実であるが)。

名詞には主格、対格、与格、属格、処格がある。

語彙

以下の単語は全てサイコロに由来する。[2]

  • 1: thu
  • 2: zal
  • 3: ci
  • 4: huth
  • 5: maχ
  • 6: śa
  • 7: semph
  • 8: cezp
  • 9: nutph
  • 10: śar
  • 11: thuśar
  • 12: zarśar
  • 17: ciem zathrum
  • 18: eslem zathrum
  • 19: thunem zathrum
  • 20: zathrum
  • 30: cealχ
  • 40: huthalχ
  • 50: muvalχ
  • 60: śealχ
  • 70: semphalχ
  • 80: cezpalχ
  • 90: nurphalχ

日本語で使われているエトルリア語由来の単語

関連項目

関連文献

脚注

  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Etruscan”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/etru1241 
  2. ^ http://giappone-etrusco.rejec.net/EtruscanNumbers.pdf
  3. ^ Breyer (1993) p. 259.
  4. ^ Breyer (1993) pp. 174–175.
  5. ^ Donaldson, John William (1852). Varronianus: A Critical and Historical Introduction to the Ethnography of Ancient Italy and to the Philological Study of the Latin Language (2 ed.). London, Cambridge: J. W. Parker & Son. p. 154  Breyer (1993) pp 428–429 reports on an attempt to bring in Hittite and Gothic connecting it with a totally speculative root *-lst-.



エトルリア語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/26 09:59 UTC 版)

古イタリア文字」の記事における「エトルリア語」の解説

詳細は「エトルリア文字」を参照 エトルリア語のアルファベット表は西方ギリシャ文字26文字そのまま採用している。Γ(ガンマ)の字体は、𐌂 が用いられた。 西方ギリシア文字エウボイア島使用されピテクサエイスキア島)とクーマエ植民したギリシア人によってエトルリア伝えられた。エトルリア文字による碑文13,000ほど残っている。エトルリア文字原則として右から左書かれるが、古代のものは左から右、あるいは牛耕式書かれたものもある。後期のものはラテン文字影響によって左から右へ書かれるものもある。最古碑文紀元前7世紀のものだが、紀元前1世紀には消滅した。 ただしエトルリア語で実際にアルファベット表の文字全て用いられたわけではなく、エトルリア語には無い音(母音/o/や有声子音)の文字ベータデルタクサイオミクロン使われなかった。さらに使われる文字時代が進むにつれて減少し紀元前250年ごろには26文字中の19文字のみが実際に使われた。 また地域により文字使われ方異なっていた。南方では/k/を後続する母音によって、𐌂、Κ、Ϙ の3文字書き分けた。また/s/をシグマで(地域によってはΧで)、/ʃ/をサン表していた。これに対して北方では/k/を主にカッパ表し南方とは逆に/s/をサン、/ʃ/をシグマ表した。後にカッパコッパ使われなくなり残ったガンマによって/k/を表した。 Ϝ は西方ギリシア文字同じく v /w/ の発音表した子音/f/の表記当初 ϜとΗを組み合わせてϜΗ(場合によりΗϜ)と書いた。その後北方エトルリア子音/f/を表す新たな文字()作られ追加され、後に南方へも広まったアルファベット表𐌀 𐌁 𐌂 𐌃 𐌄 𐌅 𐌆 𐌇 𐌈 𐌉 𐌊 𐌋 𐌌 𐌍 𐌎 𐌏 𐌐 𐌑 𐌒 𐌓 𐌔 𐌕 𐌖 𐌗 𐌘 𐌙 初期南方𐌀 𐌂 𐌄 𐌅 𐌆 𐌇 𐌈 𐌉 𐌊 𐌋 𐌌 𐌍 𐌐 𐌑 𐌒 𐌓 𐌔 𐌕 𐌖 𐌗 𐌘 𐌙 後期𐌀 𐌂 𐌄 𐌅 𐌆 𐌇 𐌈 𐌉 𐌋 𐌌 𐌍 𐌐 𐌑 𐌓 𐌔 𐌕 𐌖 𐌘 𐌙 𐌚 翻字a b c/g d e v z h th i k l m n š o p ś q r s t uph kh f

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エトルリア語

出典:『Wiktionary』 (2016/03/15 05:35 UTC 版)

言語コード
ISO639-1 -
ISO639-2 -
ISO639-3 ett
SIL -

名詞

エトルリアエトルリアご)

  1. エトルリアなどで話されていた、ティルセニア語族属すとされる言語

関連語




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