チュクチ・カムチャツカ語族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/14 00:13 UTC 版)
チュクチ・カムチャツカ語族 | |
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話される地域 | ロシア東端部 |
言語系統 | 古アジア諸語の一つ |
下位言語 | |
Glottolog | chuk1271[1] |
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チュクチ・カムチャツカ語族の分布。斜線が17世紀、赤塗りが20世紀末の分布
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チュクチ・カムチャツカ語族(チュクチ・カムチャツカごぞく)は、シベリア北東端部のチュクチ半島からカムチャツカ半島にかけて話されている、いわゆる古シベリア諸語(古アジア諸語)に含まれる言語からなる語族。ルオラヴェトラン諸語とも[2]。
概要
北部のチュクチ語派と南部のカムチャツカ語派に分けられ、いずれも現在、民族としては存続していても話者は少なく消滅の危機(または既に死語)にある。
共通の性質としては、イテリメン語を除くと抱合語(複統合語)で能格言語であり、破裂音・破擦音には無声音しかない点などがある。
下位分類
他の語族との関係(仮説)
- ユーラシア大語族仮説:アルタイ諸語、ウラル・ユカギール語族、インド・ヨーロッパ語族などと関係
- ウラル・シベリア語族仮説:ウラル語族、ユカギール語族、エスキモー・アレウト語族と関係
- チュクチ・カムチャツカ・アムール語族仮説:ニヴフ語と関係
各言語の特徴
チュクチ・カムチャッカ語族は母音調和を持つ。チュクチ・カムチャッカ語族中最北のチュクチ語西部方言は、強母音と弱母音の一語中での共起を許さない非常に厳密な非相称的母音調和規則を持つ[5]。コリャーク語は方言によって異なる。西からパラナ方言(Palan)などのe方言では比較的厳密であり、チャヴチュヴェン方言(e~a方言)では母音調和の逸脱が認められる。さらに東のアリュートル語では母音調和の痕跡のみが残る。アリュートル語より東の消滅したケレク語では完全に母音調和を消失している[6]。イテリメン語では、西部語南部方言では強母音と弱母音の交替が起きる規則的な母音調和を持つが、西部語北部方言では厳密ではなく個人内や話者による揺れがある[7]。
関連項目
参考文献
- Kibrik, Aleksandr E. (March 1991). "The Problem of Endangered Languages in the USSR". Diogenes. 39 (153): 67–83. doi:10.1177/039219219103915305. ISSN 0392-1921.
- Kurebito, Tokusu (Tugus) 1995 A Phonology of the Western dialect of Chukchee (チュクチ語西部方言の音韻論). Linguistic Research 14. 165-197. Kyoto: Faculty of Linguistics, Kyoto University.
- Skorik, Pjotr Ja. 1979 Chukotsko-kamchatskie jazyki. Jazyki Azii i Afriki III, 230-263. Moskva.
- Volodin A. P., Ono, Ch, Bobaljik J. D., Koestr D., Krauss, M., Pol'nyj itel'mensko-russkij slovar'(『イテリメン語ーロシア語大辞典』). Fürstenberg/Havel: Kulturstiftung Sibirien, 2021.
- 小野智香子『イテリメン語文法―動詞形態論を中心に―』北海学園大学出版会、2021年3月31日。ISBN 978-4-910236-02-5.
- 金子亨(2011). "イテリメン語も孤立言語だった"(Itelmen was and is isolate) 千葉大学ユーラシア言語文化論集 (13): 1-19.
脚注
- ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Chukotko-Kamchatkan”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- ^ 『世界の言語と国のハンドブック』下宮忠雄(大学書林)
- ^ Kibrik (1991)
- ^ Kibrik (1991)
- ^ Kurebito T. 1995, p. 177-180.
- ^ Skorik 1979, p. 234.
- ^ 小野 2021, p. 22-23.
チュクチ・カムチャツカ語族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 22:10 UTC 版)
「古シベリア諸語」の記事における「チュクチ・カムチャツカ語族」の解説
シベリア東端部のチュクチ半島やカムチャツカ半島などで使われている。チュクチ語とそれに近いコリャーク語(コリャーク)、アリュートル語、ケレク語、さらに、別系説もあるが離れた言語としてイテリメン語(カムチャダール語)がある。いずれも話者は数千人以下。ケレク語は絶滅に瀕しており、カムチャダール語も話者は100人以下に減っている。
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