破擦音とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > > 音響 > > 破擦音の意味・解説 

はさつ‐おん【破擦音】

読み方:はさつおん

閉鎖音にすぐ続いて摩擦音発音され一つ単音みなされるもの。[ts][tʃ][dʒ][dz]など。


破擦音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/06 04:07 UTC 版)

調音方法
気流の妨害度
阻害音
破裂音
破擦音
摩擦音
共鳴音
ふるえ音
はじき音
接近音
気流の通路
中線音
側面音
口蓋帆の状態
口音
鼻音
気流機構
肺臓気流
吸気音
呼気音
非肺臓気流
放出音
入破音
吸着音
調音部位

破擦音(はさつおん、英語: affricate)とは、破裂音と同様の閉鎖を作るが、閉鎖を開放するときに摩擦音が発生する子音のことである。

概要

破裂音に摩擦を伴わせることは破擦化という。破裂音と摩擦音の調音点は原則として同じ(同器官的)である。ただし、両唇唇歯破擦音[p͡f, b͡v] などの例外も存在する。

[t͡s][t͡ʃ] のように摩擦音の部分が歯擦音であるものは世界各地の言語で広く見られる。それ以外の破擦音は分布が限られる。

摩擦音部分が側面摩擦音になることもある。例:ナワトル語 [aːˈʃoːloːt͡ɬ]アホロートル)・[ˈnaːwat͡ɬ](ナワトル語)。

表記

国際音声記号では、それぞれの調音部位の破裂音と摩擦音を使い、この二つの字母を併記する。単一の子音であることを示すためには、タイで結ぶ。

かつては破裂音と摩擦音の字を1字にした合字を使うことがあった。合字は現在では廃止されているが、Unicode には今も残されている(ʦ ʣ ʧ ʤ ʨ ʥ)。

音素的破擦音

音声学の教本ではごく一般的の事であるが、実は「破擦音(affricates)」という名称は、あいまいな表現である。それは、破擦音には「音声学的破擦音(phonetic affricates)」と「音素的破擦音(phonemic affricates)」という相違が存在するからである[1]

以下、国際音声記号の欄に挙げている破擦音は、すべて「音声学的破擦音」であり、これは文字通り、音声学的に破擦音であること、つまり破裂音と摩擦音の要素を併せ持つことを意味する[1]

しかし、このうち、

は、「音声学的破擦音」であり、「音素的破擦音」でもある。つまり、[t͡ʃ][d͡ʒ]は、単なる破擦音であるだけでなく、英語の音声体系の中では/t/と/ʃ/, /d/と/ʒ/のように分割することができない構成単位であり、英語母語話者には1つの音(音素)であると感じられる、ということを意味する[1]

国際音声記号

中線音

歯擦音

非歯擦音

側面音

脚注

  1. ^ a b c Carley, Paul; Inger M. Mees; Beverley Collins (2017). English Phonetics and Pronunciation Practice. Routledge. p. 23 

関連項目

子音
肺臓気流
両唇 唇歯 歯茎 後部歯茎 そり舌 硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂 咽頭 声門
破裂 p b () () () () t d ʈ ɖ c ɟ k ɡ q ɢ ( ʡˤ) ʔ
() m (ɱ̊) ɱ (n̪̊) () () n ɳ ɲ ŋ ɴ
ふるえ (ʙ̥) ʙ () r ʀ
はじき (ⱱ̟) ɾ ɽ (ɟ̆) (ɢ̆) (ʡ̆)
摩擦 ɸ β f v θ ð s z ʃ ʒ ʂ ʐ ç ʝ x ɣ χ ʁ ħ ʕ h ɦ
側面摩擦 ɬ ɮ
接近 (β̞) (ʋ̥) ʋ (ɹ̥) ɹ ɻ j ɰ
側面接近 () l ɭ ʎ ʟ
非肺臓気流
吸着 ʘ ǀ ǃ 𝼊 ǂ ǁ (ʞ)
入破 ɓ ɗ̪ ɗ () ʄ ɠ ʛ
放出 (t̪ʼ) ʈʼ c’ ()
その他
同時調音 ʍ w ɥ ɕ ʑ ɧ
(k͡p) (ɡ͡b) (ŋ͡m)
喉頭蓋音 ʜ ʢ ʡ
舌唇音 () () () (θ̼) (ð̼)
その他側面音 ɺ (ɭ̆) (ɫ)
破擦音 p͡ɸ b͡β p̪͡f b̪͡v t͡θ d͡ð t͡s d͡z t͡ʃ d͡ʒ ʈ͡ʂ ɖ͡ʐ t͡ɕ d͡ʑ c͡ç ɟ͡ʝ k͡x ɡ͡ɣ q͡χ ɢ͡ʁ t͡ɬ d͡ɮ ʔ͡h
記号が二つ並んでいるものは、左が無声音、右が有声音。網掛けは調音が不可能と考えられる部分。
丸括弧内はIPA子音表(2005年改訂版)に記載されていないもの。
国際音声記号 - 子音

破擦音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 16:20 UTC 版)

子音」の記事における「破擦音」の解説

同じ調音部位または隣接する2つ調音部位破裂音摩擦音同時に一つの音として発せられる場合、これを破擦音といい、破裂音摩擦音伴わせることを破擦化と呼ぶ。破裂摩擦の起こる調音部位同一の破擦音には [p͡ɸ], [b͡β], [t͡θ], [d͡ð] など、隣接するものには [p͡f], [b͡v], [t͡s], [d͡z] などがある。前者の破擦音は日本語の音韻体系にも、また英語、ドイツ語フランス語イタリア語スペイン語など比較日本人になじみの深い西欧諸国言語音韻体系にもその一部(英語の eighth, ninth, and the, in the など)を除いて存在せず、また短く発音した破擦音がその元になった破裂音強く発音したときとほとんど同じになるため、これらを母語とする話者多くは [p͡ɸ] と [p], [b͡β] と [b], [t͡θ] と [t], [d͡ð] と [d] などは弁別が困難である。後者場合の破擦音とその元になった破裂音との弁別は、上記各言語母語とする話者にとって、前者場合よりは比較的に容易であるが、日本語母語とする話者にとっては、日本語の音韻体系に [p͡f], [b͡v] がないため、[p͡f] と [p], [b͡v] と [b] の弁別は困難であり、また外来語通じて日本人馴染んできたとはいえ日本語の音韻体系に [tu], [ti], [du], [di] の音節がないため、[t͡su], [t͡si], [d͡zu], [d͡zi] との弁別困難なことがある

※この「破擦音」の解説は、「子音」の解説の一部です。
「破擦音」を含む「子音」の記事については、「子音」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「破擦音」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「破擦音」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



破擦音と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「破擦音」の関連用語

破擦音のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



破擦音のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの破擦音 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの子音 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS