ナイル・サハラ語族とは? わかりやすく解説

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ナイル・サハラ語族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/14 19:03 UTC 版)

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ナイル・サハラ語族
話される地域 アフリカ中北部
言語系統 世界を代表する語族の一つ
下位言語
ISO 639-2 / 5 ssa
ナイル・サハラ語族の分布(黄色)

ナイル・サハラ語族(ナイル・サハラごぞく、Nilo-Saharan langauges)はアフリカナイル川シャリ川の上流の地域(ヌビアも含む)に分布する語族。話者は言語学者メリット・ルーレン1987年の調査によると1100万人とされる。

概要

ナイル・サハラ語族にどの言語を含めるかについては異論がある。

1963年ジョーゼフ・グリーンバーグが著書「The Languages of Africa」でナイル・サハラ語族の各語派の分類説を発表した。特にソンガイ語英語版について意見が分かれた。エスノローグ(Ethnologue)、アンベッサ・テフェラ(Anbessa Tefera)、ペーター・ウンゼト(Peter Unseth)はシャボ語も含まれるとしたが採用されなかった。後にクリストファー・エーレト(Christopher Ehret)が周囲に同族の言語がない孤立した言語であるという説を立てた。

カドゥ諸語英語版はグリーンバーグを踏襲してコルドファン語派に含まれるとする説、ロジャー・ブレンチ(Roger Blench)などのナイル・サハラ語族に含まれるとする説、エーレトなどの孤立した言語とする説がある。

標準の分類ではニジェール・コンゴ語族とされるマンデ語派ソンガイ語英語版との類似からナイル・サハラ語族に含まれるとする説が出ている。

古代クシュ国のメロエ語も含まれるのではないかという説があるが情報が少なすぎて決定には至っていない。

また同様に最近まで母語話者のいたウガンダオロポム語英語版が、クリアク語派英語版ナイル諸語と同系ではないかといわれることがある。

さらにニジェール・コンゴ語族との関係が取り沙汰されることもある。エドガー・グレゲルセン(Edgar Gregersen ,1972) が両者を合併してコンゴ・サハラ語族を立てたり、上記のブレンチ(1995)がニジェール・コンゴ語をナイル・サハラ語族(中央スーダン語派英語版)に編入する案を出したりしているが、保留の態度が主流である。

このようにどの言語をナイル・サハラ語族に含めるかは様々な説があり、そもそも全く別系統の言語の寄せ集め(ゴミ箱分類群)という説もある[1]

分類

ナイル・サハラ諸語の分布

グリーンバーグ 1963年

ジョーゼフ・グリーンバーグの著書「The Languages of Africa」(1963年)によると語派は以下のようになる。

  1. コムズ語派英語版 (Koman)
  2. サハラ語派英語版 (カヌリ語を含む)
  3. ソンガイ語派英語版
  4. フル語派
  5. マバン語派英語版
  6. (シャリ・ナイル語派 - : Chari–Nile) - 後に否定され,以下の 四派に分割された
    1. 中央スーダン語派英語版
    2. クナマ語派英語版
    3. ベルタ語派英語版
    4. 東スーダン語派英語版
      1. ヌビア諸語
      2. ナイル諸語
        1. ルオ語

ベンダー 1997年

リオネル・ベンダー 以下のように分類している。(1989年のものをわずかに変更)

  1. ソンガイ語英語版
  2. サハラ語派英語版
  3. クリアク語派英語版
  4. 中央部と周辺部
    1. マバン語派英語版
    2. フル語
    3. ベルタ語派英語版
    4. クナマ語派英語版
    5. 中央部
      1. 東スーダン語派英語版
      2. 中央スーダン語派英語版
      3. コムズ語派英語版 (Koman)
      4. カドゥ語英語版

エーレト 2001年

エーレトの分類ではベンダーよりも細かくなっている。

  • コムズ語派英語版 (Koman)
  • スーダン語
    • 中央スーダン語派英語版
    • 北スーダン語
      • クナマ語派英語版
      • サハラ・サヘル語
        • サハラ語派英語版
        • サヘル語
          • フル語
          • トランス・サヘル語
            • 西サヘル語
            • 東サヘル語
              • アスタボラン語
                • ナラ語(バレア語)
                • 西アスタボラン語
              • キル・アッバイアン語
                • イェベル語
                  • 東イェベル語(=タビ語)
                  • ベルタ語派英語版
                • キル語
                  • ヌバ山語 (=テメイン語,ニマング語を含む)
                  • ダユ語
                  • スルマ・ナイル語
              • ルブ語 (=クリアク語、テウソ語)

参考書籍

  • Joseph Greenberg, 1963. The Languages of Africa (International Journal of American Linguistics 29.1). Bloomington, IN: Indiana University Press.
  • Edgar Gregersen. "Kongo-Saharan". Journal of African Languages, 11, 1:69-89. 1972.
  • Roger Blench. "Is Niger-Congo simply a branch of Nilo-Saharan?", in ed. Nicolai & Rottland, Fifth Nilo-Saharan Linguistics Colloquium. Nice, 24-29 August 1992. Proceedings. (Nilo-Saharan 10). Koeln: Koeppe Verlag. 1995. pp.36-49.
  • Lionel Bender, 1997. The Nilo-Saharan Languages: A Comparative Essay. München.
  • Christopher Ehret, 2001. A Historical-Comparative Reconstruction of Nilo-Saharan. Köln.

脚注

  1. ^ 松本克己(2010)『世界言語の人称代名詞とその系譜 人類言語史5万年の足跡』三省堂

ナイル・サハラ語族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/23 20:06 UTC 版)

アフリカの言語」の記事における「ナイル・サハラ語族」の解説

「ナイル・サハラ語族」も参照 ナイル・サハラ語族に分類される言語極めて多様で、そのためエジプト南部からタンザニア北部まで広がりナイジェリアコンゴ民主共和国の中まで及び、ニジェール川中流沿って分布するソンガイ語(英語版)を地理的境界として100上の言語を含むこの分類については、論争がある。これらの言語には共通した珍しい形態論的特徴があるが、これらを類縁関係にあるものとするならば、ほとんどの語派は共通祖語から分岐してから大規模な再構成受けた考えなくてはならないソンガイ語を含めかどうか不確かであり、Koman 語派Gumuz 語派カドゥ諸語英語版)については疑念呈されている。 ナイル・サハラ語族に属す言語のうちでよりよく知られているものにはカヌリ語ソンガイ語(英語版)、ヌビア諸語また、ルオ諸語英語版)、ディンカ語マサイ語などを含み広い地域わたって分布するナイル諸語などがある。ナイル諸語声調言語である。

※この「ナイル・サハラ語族」の解説は、「アフリカの言語」の解説の一部です。
「ナイル・サハラ語族」を含む「アフリカの言語」の記事については、「アフリカの言語」の概要を参照ください。

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