エニセイ語族とは? わかりやすく解説

エニセイ語族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/09 20:55 UTC 版)

エニセイ語族
民族エニセイ系民族
話される地域エニセイ川中流(シベリア
言語系統デネ・エニセイ語族
  • エニセイ語族
下位言語
  • 北エニセイ語群
  • 南エニセイ語群
Glottologyeni1252[1]
エニセイ語族。赤塗りが現存(ケット語)、斜線がかつての分布。

エニセイ語族(えにせいごぞく、Yeniseian languages)はシベリアエニセイ川流域に分布する語族。ケット語のみが現存する。便宜上「古シベリア諸語」に含まれることがあるが、他のシベリアの言語とは大きく異なる。

分類

プロト・エニセイ語 (紀元前500年以前; 紀元1世紀に分岐)

  • 北エニセイ語群 (紀元後700年に分岐)
  • 南エニセイ語群

(英語版より)

特徴

文法的には抱合語に属す。シベリアの言語では珍しい声調がみられる。

歴史

エニセイ語族はパレオ・エスキモーの言語との関連性が指摘されており[2]ベーリンジアから逆移住を示すとされる[3]。また、匈奴=フン族の言語、の言語がエニセイ語族であったとする見方があるが推測であって根拠は全くない[4][5]

他の語族との近縁関係

デネ・エニセイ語族

エニセイ語族は抱合語能格言語的な特徴や、人称代名詞などに関して、北米先住民のナ・デネ語族や、ヒマラヤ西側のブルシャスキー語などに似た点もあり、これらと同系統とする説もあったが、言語学的に広く認められたものではなかった。しかし、2008年にエドワード・ヴァイダによりエニセイ語族とナ・デネ語族が同系統であるとする仮説が提唱された。この2つの語族を合わせてデネ・エニセイ語族という呼称が提案されている。

シナ・チベット語族

エニセイ語族とシナ・チベット語族が近縁という説は存在するが根拠は少ない[6][7]

デネ・コーカサス語族仮説

より広範囲では、上述のナデネ語族やシナチベット語族の他に、北コーカサス語族ブルシャスキー語バスク語族等も含めたデネ・コーカサス語族が提唱されているが少数説で根拠は殆どない[8][9]

脚注

  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Yeniseian”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/yeni1252 
  2. ^ Flegontov, Pavel; Changmai, Piya; Zidkova, Anastassiya; Logacheva, Maria D.; Altınışık, N. Ezgi; Flegontova, Olga; Gelfand, Mikhail S.; Gerasimov, Evgeny S. et al. (2016-02-11). “Genomic study of the Ket: a Paleo-Eskimo-related ethnic group with significant ancient North Eurasian ancestry”. Scientific Reports 6: 20768. arXiv:1508.03097. Bibcode2016NatSR...620768F. doi:10.1038/srep20768. PMC 4750364. PMID 26865217. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4750364/. 
  3. ^ Sicoli, Mark A.; Holton, Gary (2014-03-12). “Linguistic Phylogenies Support Back-Migration from Beringia to Asia”. PLOS ONE 9 (3): e91722. Bibcode2014PLoSO...991722S. doi:10.1371/journal.pone.0091722. ISSN 1932-6203. PMC 3951421. PMID 24621925. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3951421/. 
  4. ^ Vovin, Alexander. "Did the Xiongnu speak a Yeniseian language?". Central Asiatic Journal 44/1 (2000), pp. 87–104.
  5. ^ Vovin et al. "Who were the *Kjet" (羯) and what language did they speak?" Journal Asiatique 304.1 (2016): 125-144. p. 126–127
  6. ^ TAILLEUR, O.G. (1994). Traits paléo-eurasiens de la morphologie iénisséienne. Études finno-ougriennes 26: 35–56.
  7. ^ Sedláček, Kamil (2008). “The Yeniseian Languages of the 18th Century and Ket and Sino-Tibetan Word Comparisons”. Central Asiatic Journal 52 (2): 219–305. ISSN 0008-9192. https://www.jstor.org/stable/41928491. 
  8. ^ GREENBERG, J.H., and M. Ruhlen. (1997). L'origine linguistique des Amérindiens[The linguistic origin of the Amerindians]. Pour la Science (Dossier, October), 84–89.
  9. ^ RUHLEN, Merritt. (1998b). The Origin of the Na-Dene. Proceedings of the National Academy of Sciences 95: 13994–96.

エニセイ語族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 22:10 UTC 版)

古シベリア諸語」の記事における「エニセイ語族」の解説

エニセイ川中流域話されているケット語は、古くユグ語などいくつかの言語死語とともに小さ語族をなしていたと思われる。かつてシナ・チベット語族ブルシャスキー語との関係が考えられたこともある。

※この「エニセイ語族」の解説は、「古シベリア諸語」の解説の一部です。
「エニセイ語族」を含む「古シベリア諸語」の記事については、「古シベリア諸語」の概要を参照ください。

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