Shintoism
「Shintoism」とは、「八百万の神」や「祖霊崇拝」などに代表される日本に土着の民族宗教のことを意味する英語表現。「神道」は「しんとう」と読むことから、それが英語に輸入される際に「Shintoism」という風に呼びならわされるようになった。英語において、単に「Shinto」という風に記載したり発話されたりすることもある。
「Shintoism」の基本的な意味
神道は、日本古来の宗教的信念とそれに一致する生活態度である。自然と関わり深い古来の生活様式から生まれ、太陽や月、植物、動物、山や川、人、死者など自然のあらゆる場所に神と呼ばれる精霊が宿るとされている。日本人の価値観や考え方、行動と密接に結びついている。開祖はおらず正式な聖典や固定の教義もないが、最も重要なことは純粋で誠実であることとされ、「穢れ」と呼ばれる負のエネルギーの浄化に儀式が行われる。また儀式には、神のもつ天災や疫病といった側面を鎮める目的もある。神道には大きく分けて神社新道、宗派新道、民族新道に大別される。中でも神社新道は神道の伝統の主流を形成している。宗派神道は皇室と密接な関係があり、19世紀頃からいくつかの宗派によって宗教団体に組織されている。民族神道は自然豊かな土地の農業儀式や地蔵の崇拝が中心で正式な組織や教義を持ち合わせていないが日本の民間信仰の一面として他種の神道と密接に関連している。
自然との調和に重きを置き、日本における伝統的行事である「祭り」はその土地での結びつき、その土地への幸運を祈る行事として現在も尚受け継がれている。また日本には6世紀頃にインドよりもたらされた宗教として仏教があるが、神道と仏教は日本における主要な宗教として共存している。
「Shintoism」の発音・読み方
shin・to・ism/-izm/ 「シィントォゥイズム」のように読む。「shintoism」における神とは
古来の日本は生活のいくつかの側面を自然に依存しており、密接な関係だった。自然のあらゆる場所や物に神が宿るとされ、それらを清らかに保つことで神への敬意を表していた。日本古来の神話、八百万の神、動物、自然、自然現象などを崇拝した。中でも最も重要な神とされる、天照大神(あまてらすおおみかみ)は太陽の女神であり日本の天皇の祖先であると考えられており、日本の伊勢にその神社がある。尚、日本の最も古い神社は出雲大社、伏見稲荷、椿大社等とされている。八百万の神とは実際の数を表していることではなく、非常に数が多いということを意味している。日本における神道(shintoism)と仏教(Buddhism)
仏教は6世紀頃にインドからもたらされた宗教である。神道と異なりブッダという開祖がおり、「経典」という聖典がある。当時の日本はすでに土着的な神道が信仰されており国外からの宗教に懐疑的であったため主に仏教布教に反対の物部氏と強力な支持者である蘇我家のような裕福な貴族が対立していたが、強力な信者である推古天皇が592年に正式即位したのち社会全体の発展に大きな影響を与えるようになる。神社と寺院の違いには、いくつか象徴的なものがある。仏教の基本的な考えに六道と解脱という考え方があるが六道とは地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人間道、天道と呼ばれる。解脱とは命が何度も転生し人や動物などの生類に生まれ変わることを輪廻転生と言うが、この輪廻転生と六道を外れることを意味する。仏教ではブッダの教えに従いこの目的の為に修行が行われている。
神社は人々が祈りに訪れる宗教的な場であると同時に神々の安息の地とされ神々に敬意を表する場である。敷地全体が神聖な場所とされており、入口にある鳥居という赤い門をくぐって入場する。狛犬と呼ばれる2つの像が左右にありこれらは悪霊を払うとされる。神を体現するとされる木や岩などが祀られている。
これに対し寺院には仏の存在を体現化した仏像が安置されている。また五十塔や仁王像、常香炉なども敷地内に配され、神社よりも複雑な構造になっている場合が多い。また寺院は修行を通じて悟りと呼ばれる境地にいたることを目指す僧侶の居住地、修行の場としての役目もある。
神社への参拝は穢れを清めるお祓いの一つとされ現世での幸せを願う儀式である。よって心機一転の決意表明をする意味合いがある。また寺院への参拝は極楽浄土への願い、現世での幸せへの願いである。仏教の教えに基づき自分の行動でより良くしていくという意味合いが強い。
初詣は新年の願い事するための伝統的な行事であるが、これに関しては個人的な宗教的背景に関わらずどちらも神聖な場所として考えられている。日本ではよく神道で生まれ仏教で死ぬと言われているが、婚礼などのおめでたい行事に関しては神社で行われ、葬儀などの人の死にまつわる行事は寺院で行われている。これは神道には神を祀り誠実な精神でいることで恵みを受け、天災を鎮めるという目的があり仏教では六道と輪廻を解脱し極楽浄土へ行くという目的があるがその考え方に基づく慣習である。
しん‐とう〔‐タウ〕【神道】
神道 (しんどう)
神道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/09 04:37 UTC 版)
神道(しんとう、しんどう[4])は、日本の宗教。惟神道(かんながらのみち)ともいう。教典や具体的な教えはなく、開祖もいない。神話、八百万の神、自然や自然現象などにもとづくアニミズム的、祖霊崇拝的な民族宗教である[5]。
注釈
- ^ ただし仏教を仏道と呼んだり、儒教を儒学と呼んだりする。また、「キリスト教」は明治以降の語で、安土桃山時代から江戸時代には「切支丹」と呼ばれていた。
- ^ 教派神道の『神道各派』から区別された神ながらの道はとくに国家神道とも呼ばれるが、法律家や行政実務家は以前からそれを神社と呼ぶのが例であった[22]。現在では政教分離が進んで「神社」の語義が変化しており、国家神道を単に「神社」と称することはほぼなくなった。しかし、この様な国家神道の概念・語を、創作・捏造とする説もある。昭和26年の宗教法人法により、多くの神社が政府機関から伊勢神宮を中心とした神社本庁傘下の宗教法人へと変更された経緯がある[23]。
出典
- ^ これは『宗教年鑑』(文化庁)に基づく神道支持者とされる者の数で、神社側の自己申告によるものである 『宗教年鑑 令和3年版』
- ^ 神典という古典群が聖典として扱われることがある
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神道
「神道」の例文・使い方・用例・文例
- 「なんて言ってるの?」「祝詞も知らないのか?」「祝詞?」「神道の呪文のようなもん。」
- 日本の神道の儀式に則って、挙式をしたいという方がおられれば、この教会で出来ます。
- 神道の多くの面が日本の仏教に同化された.
- 神道は日本固有の宗教である.
- 神道の神社は飾りが無い
- 神道の源は神代にある
- 神道の神社は装飾が無い
- 神道に関連があること、または、の特徴
- 神道の寺院
- 日本の国教として認識されている、神道の支流の、または、神道の支流に関する
- 国家神道以外の神道のあらゆる教派の、または、国家神道以外の神道のあらゆる教派に関する
- 日本の公式の国教として認められた神道の一派
- 国家神道以外の神道の宗派
- 神道の主神
- 戦争の神道
- (神話の中の生き物、亡くなった人間の魂、自然の力を含む)神道の神
- 神道を信じる人
- 稲荷神道という宗教
- 春日曼茶羅という神道絵画
- 神道の信者
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