宗教的背景とは? わかりやすく解説

宗教的背景

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/17 03:43 UTC 版)

ゲニウス」の記事における「宗教的背景」の解説

古典古代多神教は、地中海地方アルファベット使われるうになる前からキリスト教興隆するまでの間、ギリシア=ローマ圏内人々宗教であったが、これらの諸教はあらゆるものに宿る普遍的な神性奉じた。それは多神教もしくはペイガニズムという名の下に今なお研究対象になっている信仰である。神学者パウル・ティリッヒ指摘したように、多神教は単に複数の神を信仰するという単純なものではない。彼の観点では、それを区別するのは「統一的かつ超越的な至高者欠如」である。かれのいう多神教の「普遍的類型においては「場所や国土神性のような特別な神的存在は…森羅万象背後隠されている普遍的なあらゆるものに浸透する聖なる力(マナ)の具現化である…が、この統一性真の統一性ではない。それは多様なものへと分かたれるものを超え出ることはない。」かれのいう「神話的類型」については、ティリヒは「祈りひととき、ひとが祈り捧げる神は絶対者である…これは真実である、次に別の神に祈り捧げる時はその神が同じ役割をもっているという事実があるにしても多様な神々がいようとも、この種の独占的経験可能性は、神的なもの同一性感覚表しているのである…」と述べる。 「いまだに古い宗教奉じている田舎人々」という偏見的な意味である、キリスト教徒キリスト教から除外されるべき「異教徒」というキリスト教言葉の用法対抗して、ガース・ファウデンは「ケンブリッジ古代史」にて偏見少な多神教という言葉採用している。ファウデンによればいかなる神格も…至高性と全能性主張しえた。しかしその神がかく為しえたのは、他の環境において同じよう至高みなされうる他の神々同化することによってであった。」ファウデンはこの見方シンクレティズム諸教混淆習合)と呼びプロティノス引用(「ひとは讃えるべきである…かの他界偉大なる王を、わけても数多く神々のうちにその偉大さ誇示していることに。神的なるものが一者集約されるのは縮小ではなく、神自身多様性において示すところの、その多様性のうちに単一性顕すことである…かれはそこに留まりながら多くのものをつくるからである…かれ自身依存し、かれを通じて存在し、かれより生ず一切のものを」)して「この見方プロティノス考え方基本的に相違するものではない」と考察している。 神性単数形では deus または divinitas だが、特定の力に細分され場合複数形dei となる。そのような個々の力をラテン語ゲニウス呼んだ。これはギリシアダイモーン同一視された。神性はその力を示すことで知ることができるとされた。物理的エネルギー概念がなかったため、古代人にとっては何らかの現象引き起こす力は全て神性の証だった。神性はその力の現れ方によって区別された。海の神ネプトゥーヌス火の神ウゥルカーヌスといった具合である。名前のついた神話内の神々は、全て何らかのゲニウスだった。しかしさらに、個々人間が持つ理性的な力と能力はその魂に起因するものとされ、それもゲニウスとされた。個々の場所にもゲニウスゲニウス・ロキ)があり、それゆえ火山などの力の溢れるものがあるとされた。この概念はさらに拡張されていき、劇場ゲニウスブドウ畑ゲニウス祭りゲニウスといったものが考案された。これらのゲニウスそれぞれ上演成功ブドウ実り祭り成功司るとされた。古代ローマ人にとって、何か大きなことを成し遂げようというとき、対応するゲニウスなだめることが非常に重要だった

※この「宗教的背景」の解説は、「ゲニウス」の解説の一部です。
「宗教的背景」を含む「ゲニウス」の記事については、「ゲニウス」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「宗教的背景」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「宗教的背景」の関連用語

宗教的背景のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



宗教的背景のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのゲニウス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS