ウゥルカーヌスとは? わかりやすく解説

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ウゥルカーヌス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/15 17:00 UTC 版)

ウゥルカーヌス
火の神 鍛冶神
ヴァルカン像。茨城県日立市かみね公園にて。同市の姉妹都市であるアメリカ合衆国アラバマ州バーミングハム市から贈られたもの。
住処 ヴルカーノ島
配偶神 ウェヌス
ユーピテル, ユーノー
ギリシア神話 ヘーパイストス
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ウゥルカーヌス: Vulcānus)は、ローマ神話に登場する[1]。後にギリシア神話の鍛冶神ヘーパイストスと同一視される[1]ウルカーヌス[2]ウルカヌス[3]とも表記される。ウォルカーヌスVolcānus[2]ムルキベルMulciber[1]とも呼ばれ、英語読みのヴァルカン: Vulcan)でも知られる。「バルカン砲[4]「ボルケーノ」(火山[5]の語源でもある。

ロームルスあるいはサビーニー人の王タティウスが信仰を始めたという[1]。祭日は8月23日のウゥルカーナーリア(Vulcānālia)であった[1]

ウゥルカーヌスの神話はほとんどがヘーパイストスのものであり独自の神話は残っていない[6]

語源

ウゥルカーヌスの語源には複数の説があるが、どれも確実なものではない。

一般的に受け入れられているのはヴェーダ語の várcas 「輝き」、アヴェスター語の varəčah 「力、エネルギー」と同じインド・ヨーロッパ祖語に由来するというものである。várcas はウゥルカーヌスと同じ火の神アグニや太陽神スーリヤの持ち物であるとされた。

ほかにはエトルリアの神ウォルカヌスに由来するという説、前ギリシア文明期のクレタ島の神ウェルカノス(Ϝελχανος)に由来するという説もあるが、どちらも意味的・神話学的にウゥルカーヌスと共通点がなく、偶然の一致である可能性が高い。

またオセット人ナルト叙事詩に登場する鍛冶神クルダレゴン(Kurdalægon)の方言形 Kurdalæwærgon を分解して得られる wærgon には「狼」という意味があり、そしてウゥルカーヌスと音声上一致するという説もある。しかしこれにしても、ウゥルカーヌスが鍛冶の神であるのはヘーパイストスに関連付けられて以降であり、ウゥルカーヌスと狼とは何の関係もない。

ガリアのウゥルカーヌス

東ローマ帝国の歴史家ヨルダネスは著書『ローマ人英語版』において、ガリアの鍛冶神を指して「ウゥルカーヌス」と呼んでいる。アイルランドゴヴニュウェールズゴヴァノン英語版と同源の、現在では名前の失われたガリアの鍛冶神に対して与えられたローマ名がウゥルカーヌスである[7]とも、単にローマのウゥルカーヌスがガリアを席巻した結果、元来のガリアの鍛冶神は消え去った[8]とも考えられる。

脚注

  1. ^ a b c d e 高津 1960, p. 60.
  2. ^ a b 松原 2010, p. 293.
  3. ^ 稲葉ほか 1999, p. 231.
  4. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『バルカン砲』 - コトバンク
  5. ^ 平凡社、改訂新版 世界大百科事典『火山』 - コトバンク
  6. ^ グラント&ヘイゼル 1988, p. 129.
  7. ^ マイヤー 2001, p. 36.
  8. ^ デュヴァル 2001, p. 646.

参考文献

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