エウアンドロスとは? わかりやすく解説

エウアンドロス

名前 Euandros

エウアンドロス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 03:11 UTC 版)

"Promptuarii Iconum Insigniorum " に描かれたエウアンドロス

エウアンドロス古希: Εὔανδρος, Euandros, ラテン語: Euander, 英語: Evander[1]は、ローマ神話に登場するアルカディアギリシア)出身の神格化された文化英雄であり、オリュンポス十二神や法律やアルファベットをイタリアにもたらした人物とされている。彼はトロイア戦争の60年前にイタリア半島に渡り、後のローマとなるパランティウムという都市を建設した。ラテン語ではエウアンデル(Evander、Euander)と呼ぶ。ルペルカーリア祭を始めたのもエウアンドロスとされている。

フォルム・ボアリウムにあったヘールクレースの大祭壇 (en) を建立したのはエウアンドロスだという伝説がある。ウェルギリウスの『アエネーイス』第8巻では、アイネイアースらがその地を訪れた際、エウアンドロスとその地の人々はヘールクレースが巨人カークスを倒してくれたということで、ヘールクレースを祭っていた。ウェルギリウスは、この一節を聞いた当時のローマ人がその祭壇がフォルム・ボアリウムの祭壇だとわかるように詳しく記述している。ウェルギリウスが記した背景によると、ヘールクレースはカディスからゲーリュオーンの飼っていた牛の群れを伴って戻る途中で、エウアンドロスに歓待され、カークスとの一件で英雄として祭壇が作られることになった。この祭壇は紀元64年ローマ大火で失われた。

エウアンドロスはメルクリウスカルメンタの子で、アルカディアで最も賢かった。ウェルギリウスによれば[2]トロイア戦争の前に彼は自身がイタリアテヴェレ川付近に建設した都市パランティウムに周辺の原住民を集めた。ウェルギリウスはその都市名を彼の息子パラースにちなんだものとしているが、パウサニアスハリカルナッソスのディオニュシオス[3]は、エウアンドロスの生まれた都市がパランティウムという名だったため、新たな都市を建設するにあたってそのアルカディアの都市名を付けたとしている。

エウアンドロスはトロイア戦争以前にアンキーセースに会ったことがあり、その縁もあってアイネイアーストゥルヌス率いる原住民と戦う際にはアイネイアースを助け、『アエネーイス』第12巻では重要な役割を演じる。

エウアンドロスは死後に神格化され、アヴェンティーノに祭壇が建設された。

パッラスは子をもうける前に亡くなったためエウアンドロスの血筋は途絶えたと思われるが、ファビウス氏族はエウアンドロスの子孫を自称していた。

脚注・出典

  1. ^ Charlton T. Lewis, Charles Short, A Latin Dictionary at Perseus [1]
  2. '^ Aeneid, viii
  3. ^ Roman Antiquities, i. 31



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「エウアンドロス」の関連用語

エウアンドロスのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



エウアンドロスのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのエウアンドロス (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS