おおあらいいそざきじんじゃ 【大洗磯前神社】
大洗磯前神社
大洗磯前神社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/11 07:00 UTC 版)
大洗磯前神社 | |
---|---|
拝殿 | |
所在地 | 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890 |
位置 | 北緯36度18分57秒 東経140度35分14.8秒 / 北緯36.31583度 東経140.587444度座標: 北緯36度18分57秒 東経140度35分14.8秒 / 北緯36.31583度 東経140.587444度 |
主祭神 | 大己貴命 |
社格等 |
式内社(名神大) 旧国幣中社 別表神社 |
創建 | 斉衡3年(856年) |
本殿の様式 | 一間社流造茅葺 |
例祭 | 8月25日(八朔祭) |
地図 |
額「大洗磯前神社」は熾仁親王の書

祭神の降臨地と伝わる
大洗磯前神社(おおあらいいそさきじんじゃ)は、茨城県大洗町にある、大己貴命と大己貴命を祀る神社。式内社(名神大社)。旧社格は国幣中社で、現在は神社本庁の別表神社。
概要
東に太平洋を臨む大洗海岸の丘上に社殿が鎮座する。祭神が降臨したと伝えられる磯に、波を受けながら建つ「神磯(かみいそ)の鳥居」は当社および大洗町の象徴となっており、初日の出でも有名である[1][2]。大洗美術館には、神磯の鳥居を額装された絵に見立てて眺められる「風景窓画」が設けられている[3]。
那珂川対岸の茨城県ひたちなか市にある酒列磯前神社と深い関係にあると言われ、両社で一つの信仰を形成している。
中世には戦乱で荒廃し、江戸時代になって水戸藩第2代藩主の徳川光圀と次代の綱條により再興した。本殿、拝殿、随神門が茨城県・大洗町の文化財に指定されている。
祭神
- 主祭神
- 大己貴命(おおなむちのみこと)
- 配祀神
- 少彦名命(すくなひこなのみこと)
- 酒列磯前神社祭神で、その分霊。大己貴命とともに国造りを行なったとされる。
国造りにおいて『古事記』『日本書紀』『風土記』などの神話では大己貴命と少彦名命の2神が併せて登場することから、当社に限らずこの2神の組み合わせで祀る神社は多い。また、当社では大己貴命を七福神の大黒天とも見なしている。
歴史
創建
『日本文徳天皇実録』によると、平安時代初期の斉衡3年(856年)に常陸国鹿嶋郡の大洗磯前に神が現れたとされる。
常陸国上言。鹿嶋郡大洗磯前有神新降。初郡民有煮海為塩者。夜半望海。光耀属天。明日有両怪石。見在水次。高各尺許。体於神造。非人間石。塩翁私異之去。後一日。亦有廿餘小石。在向石左右。似若侍坐。彩色非常。或形像沙門。唯無耳目。時神憑人云。我是大奈母知少比古奈命也。昔造此国訖。去徃東海。今為済民。更亦来帰。
ある夜、製塩業の者が海に光るものを見た。次の日、海辺に二つの奇妙な石があった。両方とも一尺ほどだった。さらに次の日には20あまりの小石が怪石の周りに侍坐するように出現した。怪石は彩色が派手で、僧侶の姿をしていた。神霊は人に依って「われは大奈母知(おおなもち)・少比古奈命(すくなひこなのみこと)である。昔、この国を造り終えて、東の海に去ったが、今人々を救うために再び帰ってきた」と託宣した。
— 『日本文徳天皇実録』斉衡3年12月戊戌条
そして、大己貴命(大奈母知)が大洗に、少彦名命(少比古奈命)が酒列に祀られ、両社の創建となったと伝えられている。
概史
平安時代中期の『延喜式神名帳』には「常陸国鹿嶋郡 大洗礒前薬師菩薩明神社」と記載され、名神大社に列している。
永禄年間(1558年-1570年)には戦乱で荒廃した。江戸時代前期の元禄3年(1690年)、水戸藩主の徳川光圀により造営が起工され、綱條の代で現在の本殿、拝殿、随神門が完成した。
明治18年(1885年)、近代社格制度において国幣中社に列した。現在では公称を「大洗磯前神社」としている。
神階
『日本文徳天皇実録』によると、天安元年8月7日(857年8月30日)に官社となり、同年10月15日(11月5日)に「薬師菩薩名神」の号を授かった[4]。
境内
本殿は一間社流造で茅葺。享保15年(1730年)に現在地に遷座した。茨城県の文化財に指定されている[5]。
拝殿は桁行5間、梁間2間で向拝1間付きの入母屋造で茨城県の文化財、随神門は大洗町の文化財にそれぞれ指定されている。
-
拝殿(県指定文化財)
-
随神門(町指定文化財)
-
神池
-
軽巡洋艦那珂忠魂碑
摂末社
- 二の鳥居そばに鎮座。御霊信仰の神社で、不運の死をとげた小幡宥円の祟りをおさめるために祀られた。
-
(左から)大神宮、静神社、水天宮
-
(左から)大杉神社、水神社、八幡宮
-
御嶽神社
-
清良神社
祭事
-
秋季神事有賀祭での有賀神社ご神体(虫切り神事)
文化財
茨城県指定有形文化財
大洗町指定有形文化財
- 随神門
現地情報
- 所在地
- 付属施設
- 大洗海洋博物館
交通アクセス[7]
鉄道駅では鹿島臨海鉄道大洗鹿島線大洗駅で降り、徒歩なら約40分またはレンタサイクル。大洗駅前を発着する茨城交通バスで「大洗磯前神社下」バス停、大洗海遊号(大洗町循環バス)で「大洗磯前神社」バス停では下車すぐ。大洗鹿島線とJR東日本常磐線・水郡線が接続する水戸駅前やひたちなか海浜鉄道湊線那珂湊駅前からも茨城交通バス路線がある。
自家用車などで遠方から訪れる場合は東水戸道路水戸大洗インターチェンジが最寄り。
脚注・出典
関連図書
- 安津素彦・梅田義彦編集兼監修者『神道辞典』(神社新報社、1968年)15頁
- 白井永二・土岐昌訓編集『神社辞典』(東京堂出版、1979年)65頁
- 上山春平他『日本「神社」総覧』(新人物往来社、1992年)68-69頁
- 『神道の本』(学研、1992年)213頁
関連項目
外部リンク
- 大洗磯前神社(公式サイト)
- 大洗磯前神社(茨城県神社庁)
- 大洗礒前薬師菩薩明神社(國學院大學21世紀COEプログラム「神道・神社史料集成」)
固有名詞の分類
- 大洗磯前神社のページへのリンク