木花之佐久夜毘売とは? わかりやすく解説

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このはなのさくや‐びめ【木花開耶姫/木花之佐久夜毘売】


木花之佐久夜毘売

読み方:コノハナノサクヤビメ(konohananosakuyabime)

日本神話にみえる説話上の名。

別名 木花開耶姫神吾田津姫鹿葦津姫


このはなのさくやびめ 【木花之開耶姫・木花之佐久夜毘売】

日本神話大山祇神の女で天孫瓊瓊杵尊の妃。コノハナサクヤヒメとも。別名神田津姫・鹿葦津姫。姉の磐長姫醜女だったので木花天孫の妃になれたといい、一夜孕んだ天孫疑って産屋放火し試したという。そこで火照命海幸彦)、火須勢里命、火遠理命山幸彦)の三子生まれたとする。ために木花火の山富士の山神として各地浅間神社祀られ安産の神ともされるのである。→ 磐長姫

コノハナノサクヤビメ

(木花之佐久夜毘売 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/03 00:51 UTC 版)

木花之佐久夜毘売

神祇 国津神
全名 木花之佐久夜毘売
別名
  • 木花咲弥姫命
  • 神阿多都比売
  • 豊吾田津媛命
  • 神吾田鹿草津姫命
  • 許乃波奈佐久夜比売命
  • 木花咲夜姫
  • 木華開耶姫
  • 木花之開耶姫
  • 木花開耶媛命
  • 神阿多都比売
  • 神吾田津姫
  • 神吾田鹿葦津姫
  • 鹿葦津姫
  • 桜大刀自神
  • 身島姫神
  • 酒解子神 等
別称
  • 浅間大神
  • 浅間大明神
神階 正一位
陵所 女狭穂塚古墳
大山津見神
配偶者 邇邇芸命
神社 富士山本宮浅間大社
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木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)は、日本神話に登場する女神

木花之佐久夜毘賣

概要

古事記』では本名を神阿多都比売かむあたつひめ、別名を木花之佐久夜毘売このはなのさくやびめ[1]、『日本書紀』では本名を神吾田津姫かみあたつひめ神吾田鹿葦津姫かむあたかあしつひめ、別名を木花開耶姫このはなのさくやびめ[1]、『播磨国風土記』では許乃波奈佐久夜比売命このはなのさくやびめと表記する。読みはコノハナノサクヤビメコノハナサクヤビメコノハナサクヤヒメ、または単にサクヤビメと呼ばれることもある。木花咲弥姫命このはなさくやひめのみことと表記することもある。

神話では、天照大御神アマテラスの命を受けて地上世界に降臨した邇邇芸命ニニギノミコト、ホノニニギから求婚を受ける[2]。父の大山津見神はそれを喜んで、姉の石長比売イワナガヒメと共に嫁がせようとしたが、邇邇芸命は醜い石長比売を送り返し、美しい木花之佐久夜毘売とだけ結婚した[2]。父神の大山津見神はこれを怒り、私が娘二人を一緒に差し上げたのは石長比売を妻にすれば天津神の御子(邇邇芸命)の命は岩のように永遠のものになるはずであったのに、木花之佐久夜毘売のみを妻にしたため、木の花が咲き誇るように繁栄はするだろうが、その命ははかないものになるだろうと語った[2]。それで天神の子孫である天皇に寿命が生じてしまったといい、神々の時代から天皇の時代への途中に位置づけられる神話となっている[2]天孫降臨を参照)。

木花之佐久夜毘売は一夜で身篭るが、邇邇芸命は国津神の子ではないのではないかと疑った。疑いを晴らすため、誓約をして産屋に入り、「天津神である邇邇芸命の本当の子なら何があっても無事に産めるはず」と、産屋に火を放ってその中で火照命(もしくは火明命)・火須勢理命火遠理命の三柱の子を産んだ(火中出産を参照)。火遠理命の孫が初代天皇の神武天皇である。

『播磨国風土記』では伊和大神(大国主神)の妻とされる。

考証

本名の「阿多」は鹿児島県南さつま市から野間半島にわたる地域、また薩摩国(鹿児島県西部)にちなむ名で、「鹿葦」も薩摩の地名という[3][4]

名は一般的には植物と関連づけられている。神阿多都比売の名義は「神聖な、阿多の女性(巫女)」とされ、木花之佐久夜毘売の神名の「木花」は木花知流比売と同様「桜の花」、「之」は格助詞、「佐久」は「咲く」、「夜」は間投助詞、「毘売」は「女性」と解し、名義は「桜の花の咲くように咲き栄える女性」と考えられる。なお神木であり、その花の咲き散る生態によって年穀を占う木と信じられた。神名は咲くことを主にすれば 「木花之佐久夜毘売」となり、散ることを主にすれば「木花知流比売」となるとされる[5]

これに対してポリネシア語をもとに、コノは kau-nui(大型船)、ハナは hana(労働)、サクヤヒメは haku wahine(貴婦人)とする推論もある[1]

系譜

天皇系図 神代 「古事記」より

大山津見神の娘で石長比売の妹。天照大御神の孫である邇邇芸命との間に火照命(海幸彦)・火須勢理命火遠理命(山幸彦)を生んだ。

なお兄弟姉妹に足名椎手名椎神大市比売木花知流比売石長比売・天之狭土神・国之狭土神・天之狭霧神・国之狭霧神・天之闇戸神・国之闇戸神・大戸惑子神・大戸惑女神がいる。

信仰

富士山の祭神は様々な形で神格化されているが、その一つである浅間大神(富士の権現)がコノハナノサクヤビメとして位置づけられている[6]。富士山を神体山とする富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)と、配下の日本国内約1300社の浅間神社に祀られている。

歴史的には、古代や中世には富士山の祭神(権現)をコノハナノサクヤビメとする文献は見当たらないとされ、近世に林羅山が元和2年(1616年)の『丙辰紀行』で諸説の中から三島神社の祭神が父神の大山祇神であり三島と富士が父子関係にあるとする伝承を重視し、これを前提に「富士の大神をば木花開耶姫」と神話解釈を行ったことで権威をもつようになった[6]。また堀杏庵は寛永4年(1627年)の『杏陰稿』で「富士権現ハ木花開耶姫」と記している[6]

コノハナノサクヤビメは、浅間神社の他、安産や子育ての神として子安神社皇大神宮所管社、東京都八王子市、千葉県旭市など)に、酒解子神として梅宮大社京都府京都市右京区)に、また、伊都国の中心とされる福岡県糸島市三雲の細石神社にも姉のイワナガヒメと共に祀られている。

なお、扶桑教実行教のように富士山を信仰する教派神道では、浅間大神あるいはコノハナノサクヤビメを祭神としておらず、天祖天神または天御中主神を祭神としている[6]

一方、富士講では富士の祭神を仙元大日神としており、仙元大日神の子孫がコノハナノサクヤビメと結婚したとしている[6]

祀る神社

木花之佐久夜毘売を祀る神社は全国に無数にあるため、ここでは主な神社を列挙する。

立像

  • 鹿児島県南さつま市[2]

脚注

  1. ^ a b c 黄 當時「古代日本語の船舶の名称における異文化の要素について -コノハナノサクヤヒメを中心に- 」佛教大学 文学部論集 第103号(2019年3月) 佛教大学
  2. ^ a b c d e 谷口 雅博「降臨した天神の結婚に込められた意味 古事記の不思議を探る」 國學院大學メディア、2018年12月25日。
  3. ^ 朝日日本歴史人物事典『木花開耶姫』 - コトバンク
  4. ^ 新潮日本古典集成 古事記
  5. ^ 西宮一民「神名の釈義」『新潮日本古典集成 古事記』新潮社出版、2014年。
  6. ^ a b c d e 権 東祐「神話解釈史から見る富士山の祭神変貌論:その歴史的叙述を中心として」『日本研究』 第56巻(2017年10月) doi:10.15055/00006788

関連項目

外部リンク


木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 08:55 UTC 版)

神様の御用人」の記事における「木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)」の解説

邇邇芸命の妻。

※この「木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)」の解説は、「神様の御用人」の解説の一部です。
「木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)」を含む「神様の御用人」の記事については、「神様の御用人」の概要を参照ください。

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