ゾロアスター教とは?

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ゾロアスター‐きょう〔‐ケウ〕【ゾロアスター教】


ゾロアスター‐きょう ‥ケウ 【━教】

〔名〕 紀元前世紀予言者ゾロアスター開祖とする古代ペルシア民族宗教ササン朝ペルシア時代最終的編纂が行なわれた「アベスタ」を経典とする。世の初めに善、悪二神存在し、光明生命清浄の神アフラ=マズダと、暗黒・死・不浄の神アングラ=マイニュアーリマン)との戦場この世であるが、究極的には善神が勝つと説く道徳的色彩の濃い宗教偶像崇拝火葬土葬水葬を禁じ、善神象徴する聖火を拝し、死体を塔上に放置して鳥葬にする。ササン朝ペルシア国教南北朝時代中国伝来し、拝火教または祆(けん)教と呼ばれた。現在インド西海岸に住む約一〇の同教徒パールシーと称される。マズダ教


ゾロアスター教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 09:51 UTC 版)

アフラ・マズダー
アムシャ・スプンタ
スプンタ・マンユ
ヤザタミスラ
スラオシャラシュヌ
ティシュトリヤ
アシャ・ワヒシュタ
ズルワーン
アナーヒター
ウルスラグナ
フラワシ
ジャムシード
ダエーワ
アンラ・マンユ
ジャヒー
アジ・ダハーカ
ザッハーク
アエーシュマ
ドゥルジ
サルワ
インドラ


注釈

  1. ^ なお、ゾロアスター教の影響を受けたマニ教も徹底した二元論的教義を有し、宇宙は光・善・精神と闇・悪・肉体の2つの原理の対立に基づき、それぞれ画然と分けられていた始原の宇宙への回帰と、マニ教独自の救済とを教義の核心とする[10][11]
  2. ^ アエーシュマは、『旧約聖書』に登場するアスモデウスの前身とも考えられる[要出典]
  3. ^ イスラム統治時代初期のホラーサーンでは、イスラム教との比較で「我々には理性的に語る啓典も神から遣わされた預者者もない」と語るゾロアスター教徒のヘラート貴族の発言が残されている(パフレヴィー語文献ではザラスシュトラが預言者とされている)。そしてホラーサーンから原ゾロアスター教とマゴス神官団の教えを峻別し、後者を禁じたベフ・アーフリードが登場する。さらに彼は『アヴェスター』の存在を無視して、それとは別の聖典を独自に書こうとしていた。これらのことから、『アヴェスター』を軸とした国教たるペルシア的ゾロアスター教はイラン高原南部でのみでしか浸透しておらず、ホラーサーンには独自の「ホラーサーン的ゾロアスター教」が存在していた可能性が指摘されている。[21]
  4. ^ ゾロアスター教の至高神アフラ・マズダーは、バラモン教の聖典『リグ・ヴェーダ』で「アスラ(Asura)=主」と記された神で、『リグ・ヴェーダ』の詩句では、このミスラとヴァルナの下位の「主」は、次のような言葉で語りかけている。「あなたたち二神は、アスラの超自然的力を通して空に雨を降らせる。…あなたたち二神は、アスラの超自然的力を通して、あなたたちの法を守る。リタ(=自然の法則)を通して宇宙を支配する」(『リグ・ヴェーダ』5:6,3:7)
  5. ^ 青木健は、アフラ・マズダーをザラスシュトラが創案した神格であると述べている[23]
  6. ^ ヤスナに記されたフラワラーネは「私は自ら、マズダーの礼拝者であり、ゾロアスターの信奉者であり、ダエーワを拒否し、アフラの教義を受け入れることを告白します。アムシャ・スプンタを礼拝します。善にして宝にみちたアフラ・マズダーに、すべての良きものを帰させます」というものである[25]
  7. ^ ボイスによれば、ゾロアスター教信仰告白において、アフラ・マズダーは創造主として尊ばれているが、異教時代のイラン人にとって創造主とみなされていたとは考えられない、という。もし異教時代のイラン人が、どれか1つの神に創造的な活動を担わせようとするならば、その神は三大アフラのなかでおそらくは最も遠く離れてある「叡智の主」の命令を実行する神ヴァルナであったろうというのがボイスの見解である。さらに、このことがゾロアスターの教義のなかでも際立った特徴のひとつであったとも指摘している[26]
  8. ^ ボイスによれば、キュロスの宗教的寛容策により、「ユダヤ人はこの後もペルシア人に好感を持ち続け、ゾロアスター教の影響を一層受容しやすくなった」という[36]。ただし、ボイスが自著でその前提条件に次の点を挙げた。ザラスシュトラ出生が紀元前1500年~1200年であること、キュロスがゾロアスター教徒であったこと、そしてこの時既にゾロアスター教救済主思想が成立していたことである[37]。ただし、こうした前提条件は、見解の相違するところでもある。
  9. ^ こうした影響に関する最新の論文として Werner Sundermann, 2008, Zoroastrian Motifs in Non-Zoroastrian Traditions, Journal of the Royal Asiatic Society vol.18, Iss.2, pp. 155-165を参照。
  10. ^ ゾロアスター教徒の信仰告白の一節に「マズダー教徒でありゾロアスター教徒である私は」という言い回しがある[41]。マズダーはザラスシュトラ以前からアーリア人に信仰されており、マズダー崇拝だけではゾロアスター教徒と断定できない。またP・R.ハーツは、著書『ゾロアスター教』で、ダレイオス1世をゾロアスター教徒とみなしている。しかし、訳者の奥西俊介は「訳者あとがき」で次のように指摘している。現ゾロアスター教徒が自分たちの守護霊フラワシの像とみなしている有翼円盤人物像は、アケメネス朝の遺跡で多く確認される。しかし、多くの研究者は有翼円盤人物像をアフラ・マズダー像とみなしており、ダレイオス1世がマズダー信者だったとしても、ゾロアスター教徒であったかどうかは明白ではない[42]
  11. ^ ボイスは、ザラスシュトラ以前よりイラン人祭司は神々に対して礼拝式を捧げたが、火と水に対し決まった供物を捧げる儀礼自体は変わらなかったのではないかとしている[43]
  12. ^ 19世紀から続く神官一族ジャーマースプ・アーサー家の第6代カイ・ホスロウによる入信式[87]

出典

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