アルタクセルクセス1世
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/28 12:09 UTC 版)
| アルタクセルクセス1世 𐎠𐎼𐎫𐎧𐏁𐏂𐎠 |
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| ペルシア王 | |
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ナクシェ・ロスタムの陵墓に描かれたアルタクセルクセス1世
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| 在位 | 紀元前465年 - 紀元前424年 |
| 別号 | 大王 諸王の王 諸邦の王 バビロン王 古代エジプト王 |
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| 死去 | 紀元前424年 |
| 埋葬 | ナクシェ・ロスタム |
| 配偶者 | ダマスピア |
| アロギュネ | |
| コスマルテュデネ | |
| アンディア | |
| 子女 | クセルクセス2世 ソグディアノス ダレイオス2世 パリュサティス |
| 王朝 | アケメネス朝 |
| 父親 | クセルクセス1世 |
| 母親 | アメストリス |
| 宗教 | イラン宗教(ゾロアスター教?) |
アルタクセルクセス1世(古代ペルシア語: 𐎠𐎼𐎫𐎧𐏁𐏂𐎠 Artaxšaçā アルタフシャサ(ツァ)ー[1]、? - 紀元前424年)は、アケメネス朝ペルシア帝国の王(在位:紀元前465年‐紀元前424年[2][3])。
名前
彼の名前は古代ペルシア語でアルタフシャサ(ツァ)ー(古代ペルシア語: 𐎠𐎼𐎫𐎧𐏁𐏂𐎠 Artaxšaçā)といい、「天則による統治」を意味する。ペルシア語ではアルデシール(ペルシア語: اردشیر Ardešīr)という。アルタクセルクセス(古代ギリシア語: Ἀρταξέρξης Artaxérxēs アルタクセルクセース)は、古代ペルシア語による王名が古代ギリシア語において転訛した形で、3人のアケメネス朝ペルシア王名で知られている。ギリシア語表記からアケメネス朝ペルシア王名のクセルクセス(原語はフシャヤールシャーで、「男、英雄を治める」を意味する)に接頭辞をつけた派生形の王名と誤解されやすい。この王の古代ギリシアでの通称は長手(古代ギリシア語: Μακρόχειρ Makrókheir マクロケイル、ラテン語: Longimanus ロンギマヌス)である。
経歴
父王クセルクセス1世が近衛隊長アルタバノスに暗殺され、兄で王太子のダレイオスもこれに巻き込まれて死亡すると、アルタクセルクセス1世は王位を継ぎ、アルタバノスを処刑した。
即位直後の紀元前463年に帝国の東部辺境バクトリアで反乱が発生し、さらにはエジプトとリビアでも反乱が起きた。これに呼応してアテナイが主導するデロス同盟はキモンが指揮する200隻の船団を派遣してエジプトを支援し、ペルシア帝国と戦った。当初エジプト軍は優勢に立ち、メンフィスにこもるペルシア軍を包囲した。しかし紀元前456年にペルシアの将軍メガビュゾス率いるペルシア軍はこの包囲網を破り、さらにデロス同盟軍にパプレミスの戦いで大打撃を与えた。クニドスの歴史家クテシアスの伝えるところによれば、デロス同盟は船50隻と兵士6000人を失ったという。しかし続くサラミスの海戦ではデロス同盟側が勝利した。戦いに倦んだ両者は和平交渉に入り、ダレイオス1世の代から続くペルシア戦争を、ギリシアと条約(カリアスの和約)を結んで公式に終結させた。この条約ではキプロスと小アジアがペルシア帝国の支配下にあることが確認されたが、一方で大幅な自治も認めさせられた。ペロポネソス戦争ではスパルタとアテナイの双方がペルシア帝国を味方にしようと画策したが、中立を守った。
ギリシアでは寛容な王として知られ、故国を追われたサラミスの海戦の英雄テミストクレスの亡命を受け入れ、これを手厚く保護したという。また宗教政策も寛容であり、タナハ(旧約聖書)のエズラ記、ネヘミヤ記にその名が登場し、特に預言者ネヘミヤはアルタクセルクセス1世の側近からユダヤ総督になったとされる。建築や碑文を残すことにも熱心で、首都ペルセポリスには「百柱の間」を建設した。
紀元前424年にアルタクセルクセス1世は崩御した。その後は息子のクセルクセス2世、ソグディアノス、ダレイオス2世が王位を争った。
タナハ(旧約聖書)の描写
ネヘミヤ記ではネヘミヤが献酌官として仕えていた王として、アルタシャスタ(ヘブライ語: אַרְתַּחְשַׁשְׂתָּא Artaḥšaśta アルタフシャスタ)の名前で登場する。 エズラ記で出てくるアルタシャスタ王は、カンビュセス2世の後にわずか10ヶ月の間だけ王だったスメルディスのこと。こちらのアルタシャスタ王はサマリア人に買収された議員たちから進言を受け、ユダヤ人たちの神殿再建を中断させている描写がなされる。
脚注
- ^ Ghias Abadi, R. M. (2004) (Persian). Achaemenid Inscriptions (کتیبههای هخامنشی) (2nd edition ed.). Tehran: Shiraz Navid Publications. pp. 129. ISBN 964-358-015-6
- ^ 「アルタクセルクセス1世」-『世界大百科事典 第2版』平凡社
- ^ 「アルタクセルクセス1世」奥西峻介 -『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
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