アフラ=マズダーとは? わかりやすく解説

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アフラ‐マズダー【Ahura Mazdā】

読み方:あふらまずだー

アフラは主、マズダー賢明の意》ゾロアスター教最高神光明の神で、あらゆる善・秩序創造神悪神アフリマン対立し、滅ぼす。

アフラ‐マズダーの画像
ペルシア王に王権象徴するリング授けるアフラ・マズダー(右)/撮影・A.Davey https://goo.gl/Ag0dV0
アフラ‐マズダーの画像
イランゾロアスター教寺院見られるアフラ・マズダー/撮影・A.Davey https://goo.gl/h7lE4Z

アフラ・マズダー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/05 13:30 UTC 版)

アフラマズダー神(右)から王権の象徴を授与されるアルダシール1世(左)のレリーフ(ナクシェ・ロスタム

アフラ・マズダー (Ahura Mazdā) は、ゾロアスター教最高神である。 宗教画などでは、有翼光輪を背景にした王者の姿で表される。その名は「智恵ある神」を意味し、善と悪とを峻別する正義と法の神であり、最高神とされる。娘は女神アールマティ。アフラは天空、マズダーは光を指す言葉であり、アフラ・マズダーは太陽神ともされる。

ゾロアスター教の神学では、この世界の歴史は、善神スプンタ・マンユと悪神アンラ・マンユらとの戦いの歴史そのものであるとされる。 そして、世界の終末の日に最後の審判を下し、善なるものと悪しきものを再び分離するのがアフラ・マズダーの役目である。その意味では、彼は善悪の対立を超越して両者を裁く絶対の存在とも言える。ゼーリジュ、ニーラフ、ナーンギーシュ、タルマド、ヘシュム、セビーフ、ビーサジュの七悪魔をアフラ・マズダーは7つの光で包囲し、カイヴァーン(土星)、オフルマズド(木星)、バフラーム(火星)、シェード(太陽)、ナーヒード(金星)、ティール(水星)、マーフ(月)という名をそれぞれに与え「七曜神」とした。これにより天圏が回転し、月と星辰が出没しだしたとされる(月と星の創造)。

中世以降の教義では、パフラヴィー語形のオフルマズド (Ohrmazd)と呼ばれ、アムシャ・スプンタの筆頭スプンタ・マンユと同一視される。 この場合、古典的な教義に於けるアフラ・マズダーの役割(善神と悪神の対立の上にある絶対者)はズルワーンが担う。

アフラ・マズダーは「光輝き、純粋で、甘く香り、善を成す」という属性を持つ[1]

起源

起源的には、インド・イラン共通時代の神話に登場する最高神であるヴァルナである。ザラスシュトラの宗教改革によって教理的意味づけがなされ、宇宙の理法の体現者にまで高められたのがアフラ・マズダーである。アフラとアスラ阿修羅)は語源的に同一である。善神であるアフラ・マズダーと対立するダエーワの語源は、インドに於いてアスラと敵対するデーヴァである。古代のイラン・インドの神話共有時代における始源神であるヴァルナは契約の神ミトラとならぶ最高神でもある。ミトラとともに太古のアスラ族、アーディティヤ神群を代表した。 またヒンズー教の太陽神あるいはアスラ王であるヴィローチャナから、火・太陽の属性を受け継いでいるとする説もある。ゾロアスター教は火を聖なるものとしており、火の属性を持つアフラ・マズダーもまた「聖なるもの」である。

真言密教の大日如来も、起源をヴィローチャナとする説があり、アフラ・マズダーが大日如来の形成に大きく影響していると言われる事もある。

逸話

かつてのゼネラル・エレクトリックの電球のブランドだったマツダランプ(日本では提携先の東芝の製品が名乗った)、自動車メーカーのマツダの綴り「Mazda」はここから取ったといわれている。

脚注

  1. ^ ゾロアスター教ズルヴァーン主義研究―ペルシア語文献『ウラマー・イェ・イスラーム』写本の蒐集と校訂. 刀水書房. (2012/9/1) 

参考文献

  • 青木健 『ゾロアスター教ズルヴァーン主義研究―ペルシア語文献「ウラマー・イェ・イスラーム」写本の蒐集と校訂』、刀水書房、2012年08月。

関連書籍

関連項目


アフラ・マズダー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 01:16 UTC 版)

大日如来」の記事における「アフラ・マズダー」の解説

宮坂宥勝は、 もしもAhura MazdaAsuraとすれば中古においてAsura代表者にVirocanaがあり、とくに俗語系のパーリ語綴られ原始仏典サンユッタ・ニカーヤ』の中にVerocano asurindoの語が見出されることは、いっそう注意していだろう。しかし、『アタルヴァ・ヴェーダ聖典』にはまだVirocanaの名が出てこない。したがってVirocanaの起源についてこれ以上立入って追及することは不可能であるというほかはない。 — 宮坂宥勝、 「アスラからビルシャナ仏へ」 『密教文化196047)、1960年、p.19。 と述べている。 渡辺照宏は、 もしAsura首領がVairocana(またはVirocana)とよばれ,これがBuddha Vairocanaと結びつくものとすればVedaにおけるAsura首領であるVaruṇaとも結びつき,したがってAwestaのAhura Mazdaとも結びつくわけである。目下段階においてこれは私の仮説であり,否定することもできない同時に断定する資料もまだ十分ではない — 渡辺照宏、 「VirocanaとVairocana -研究序説―」 『渡辺照宏仏教学論集筑摩書房1982年、p.423 と述べている。

※この「アフラ・マズダー」の解説は、「大日如来」の解説の一部です。
「アフラ・マズダー」を含む「大日如来」の記事については、「大日如来」の概要を参照ください。

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