修法とは? わかりやすく解説

しゅ‐ほう〔‐ホフ〕【修法】

読み方:しゅほう

密教で行う加持祈祷(かじきとう)の法。壇を設けて本尊安置し護摩をたき、手に印を結び、口に真言唱え、心に観念をこらし本尊一体化することによって、目的とする願い達成しようとするもの。目的により息災法増益(ぞうやく)法・降伏(ごうぶく)法などがある。本尊には大日如来不動明王のほか諸尊があり、法式にも差異がある。すほう。ずほう。


ず‐ほう〔‐ホフ〕【修法】

読み方:ずほう

古くは「すほう」》「しゅほう(修法)」に同じ。

所々に—などせさせ給ふ」〈宇津保・国譲下〉


修法

読み方:シュホウ(shuhou)

密教教理儀軌に従って喩伽観法するための実践方法総称

別名 修行法行法


加持祈祷

(修法 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/10 06:18 UTC 版)

加持祈禱(かじきとう、旧字体加持祈󠄀禱)とは、密教において重視されるの呪力を願う一種の儀式

概要

加持」とはadhiṣṭhānaの訳で手印・真言呪・観想などの方法で加護を衆生に与えること、「祈祷」とは呪文を唱えて神仏に祈ることを意味する。従って、本来は祈祷は加持を得るための手段の1つに過ぎないが、混同されて用いられることが多い。

真言密教においては、手に印契を結びを用いて、護摩をたき、真言(マントラ)を口唱して仏の加護を求める。祈祷を行う儀式である修法(しゅうほう)には大きく分けて息災・増益・敬愛・調伏の4つの体系があり、これにより除災招福などの現世利益を期待した。

日本ではこうした加持祈祷は仏教伝来以後日本古来の呪法と結びつきながらしばしば行われ、聖徳太子が父用明天皇のために法隆寺を建立したこと、天武天皇が皇后鸕野皇女(後の持統天皇)のために薬師寺の建立を行ったことも加持祈祷の一環であったとされる。また、鎮護国家の思想とも結びついて「金光明経」や「仁王経」の読経が盛んに行われた。

だが、加持祈祷が広く行われるようになったのは密教伝来以後の平安時代以後のことである。密教においては加持は仏の大悲大智が衆生に加わり(加)、衆生がこれを受け取ること(持)と解し、行者が手印を結び、口から真言を発し、心に本尊を観ずれば、行者の三業を清浄にして即身成仏が可能になるという「三密加持」説が唱えられ、また効験を得るために特定の陀羅尼・印契を修して念じる呪法を祈祷と捉え積極的に行った。更に陰陽道の発達によってその要素を取り込みながら日本独自の加持祈祷が成立することになる。

平安時代中期には皇室から庶民に至るまで、国家の大事から日常の些事まで全て加持祈祷によって解決しようとする風潮が高まった。天皇個人のための祈祷を行う護持僧が、延暦寺園城寺東寺などの密教の大寺院の高僧から選任されたほか、国家・宮中行事として宮中で正月に開催される後七日御修法をはじめ、御斎会仁王会維摩会の南都三大会、興福寺法華会・法勝寺大乗会・円宗寺最勝会の北京三大会などが開かれ、この他にも天災・疫病・出産など様々な名目で各種の祈祷(請雨法・孔雀王法・仏眼法・尊星法・七仏薬師法・愛染王法・北斗法・普賢延命法など)が行われた。

本来は願主が修法を行う寺院に赴くのが正しいが、実際には僧侶が願主の邸宅などに赴いて修法を行ったり、願主の代理としてその衣服を遣わしたりすることもあった。なお、陰陽師の呪法も仏僧の加持祈祷と目的が重複することが多く、陰陽師が占いで神気を見た場合には仏僧は修法を辞退して陰陽師に任せる場合もあった。万寿2年(1025年)、藤原道長の娘・藤原嬉子が重態になった際に陰陽師が道長に神気が見えると告げ、僧侶も修法を辞退したにもかかわらず、道長は藤原顕光怨霊を恐れて強引に修法を行わせ、その結果嬉子が死亡したと藤原実資はこれを非難している(『小右記』万寿2年8月5日条)。これは当時、病気を引き起こす祟りの起因によって僧侶に依頼するか陰陽師に依頼するかが異なるという観念に基づくものであった。

鎌倉仏教においても、曹洞宗日蓮宗などで民衆の取り込みのために加持祈祷と救済活動を組み合わせた活動が行われた。日蓮宗では、中山法華寺において、日蓮宗大荒行が行われ、満行者には木剣修法による加持祈禱の資格が与えられる。また、陰陽道ともども加持祈祷と医療知識が組み合わさって、民間医療的な活動が行われる場合もあった。一方、浄土真宗では、霊魂の存在を認めず念仏を重視するので行っていない。浄土宗でも『浄土宗略抄』では「いのるによりてやまひもやみ、いのちものぶる事あらば、たれかは一人としてやみしぬる人あらん」として病治しに否定的な見解が示されている。

参考文献

  • 村山修一「加持祈祷」(『日本史大事典 2』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13102-4
  • 大野達之助「加持祈祷」(『国史大辞典 3』(吉川弘文館、1983年) ISBN 978-4-642-00503-6
  • 小坂眞二「加持祈祷」(『平安時代史事典』(角川書店、1994年) ISBN 978-4-040-31700-7
  • 井上満郎「加持祈祷」(『日本古代史大辞典 旧石器時代~鎌倉幕府成立頃』(大和書房、2006年) ISBN 978-4-479-84065-7

関連項目


修法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 14:34 UTC 版)

歓喜天」の記事における「修法」の解説

日本密教東密台密)では、歓喜天本尊とした修法として、歓喜天法(聖天法)がある。 師僧から弟子歓喜天の修法を伝授するとき、供物である歓喜団歓喜丸・聖天団子)の製法作り方)を教える。 修法(供養法)は、聖天供歓喜天供)と称され浴油供(よくゆく)・華水供(けすいく)・酒供(しゅく)などがある。修法を行うときには円形の円壇を用いる。方壇(四角形の壇)を用い場合は、供物円形並べて供える。方壇の上にさらに円壇を設け場合もある。壇上安置されている歓喜天背後に、生花挿した華瓶けびょう)を一口(1個)を置く。修法中、祈願が遅いときは、軍荼利明王真言障礙のあるときは十一面観世音菩薩真言唱える歓喜天祀る寺院には鳥居設けられていることがあり、鳥居及び歓喜天祀る建物注連縄見受けることがある歓喜天寺院本尊の脇壇などに祀っている場合は、供花供物供えるだけで、歓喜天法を修していない寺院が多い。これは、歓喜天への修法は厳格な決まりがあり、例えば、一度浴油を行うと、定期的に行わなければならず、浴油の停止出来ないためである。 寺院では、歓喜天単独に祀らず、必ず、歓喜天周辺に、十一面観世音菩薩祀る寺院において、素材大きさなどの理由から、浴油に適さない歓喜天祀る場合は、別に浴油専用歓喜天と共に祀る聖天念珠という「本連の片房」の念珠。母珠が一つある。「弘法大師御請来型」の念珠とほぼ同型であり、歓喜天の「浴油供」で行われる数取り」に最適であるとされる浴油供用いるには、ふさわしい念珠とも言える宝山寺では、一般向けにも販売している。

※この「修法」の解説は、「歓喜天」の解説の一部です。
「修法」を含む「歓喜天」の記事については、「歓喜天」の概要を参照ください。

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