せいきょう‐ぶんり〔セイケウ‐〕【政教分離】
政教分離(せいきょうぶんり)
日本国憲法は、信教の自由を保障している。同時に、国や地方自治体が、特定の宗教団体に特権を与えたり、宗教的活動を行ったりすることなどを禁止する「政教分離の原則」を規定する。
戦前の大日本帝国憲法(明治憲法)でも信教の自由は保障されていたが、当時の政府は、神社神道を特別扱いし、事実上の国教となっていた。そこで、現在の日本国憲法では、政治と宗教との分離を制度的に徹底することによって、信教の自由を保障しようとしている。
政治と宗教の関係では、宗教団体が選挙に出ることは認められているが、公職に就いても教義に関する政治上の権力を行使できないと解釈されている。また、宗教団体へ補助金などの公金を支出することも禁止されている。
1985年に、中曽根康弘・首相(当時)が靖国神社への公式参拝を行ったとき、供花料の名目で公費から3万円を支出した。この件について争われた裁判では、政教分離を定めた憲法に違反する疑いがあるとされたものの、公式参拝自体は違憲無効とはなっていない。
(2001.07.31更新)
せいきょうぶんり 【政教分離】
政教分離原則
政教分離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 15:14 UTC 版)
塚田穂高は、日本会議は愛媛県靖国神社玉串訴訟にみられる厳格な政教分離判断には反対しており、社交儀礼・国民的な習俗の範囲内と判断すべきとする立場であるとしている。また、元会長で裁判官の三好達は、最高裁が政教分離関係訴訟で初めての違憲判決を下した愛媛玉串料訴訟で裁判長をつとめており、違憲判断へ反対を表明した2人の裁判官のうちの1人であることも指摘している。
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政教分離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:42 UTC 版)
「政教分離」を参照 靖国神社は大日本帝国時代の陸軍省・海軍省が共管し、戦争遂行の精神的支柱の一つであった国家神道の最重要の拠点であったため、終戦後直ちに廃絶の議論が起きた。このことについては日本を打ち破り占領した連合国においてもかねてから施設自体の棄却も視野に入れられていたが、GHQは早急に結論を下さず、まず1945年(昭和20年)12月15日に神道指令を発して国家神道を廃止すると共に靖国神社の国家護持を禁じ、神社と国家の間の政教分離を図った。また、翌1946年(昭和21年)に制定された宗教法人法に基づき、靖国神社は同年9月に宗教法人となったことで自ら国家護持体制からの離脱を明確にした。靖国神社の非国家的宗教施設への変化を受けて、GHQは1951年8月28日の指令で靖国神社の存続を認めた。 1947年(昭和22年)に施行された日本国憲法第20条において下記のように信教の自由を保障し、政教分離原則を掲げている。 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。 1951年(昭和26年)のサンフランシスコ平和条約締結・翌1952年(昭和27年)の発効によって連合国の占領が終わって日本は主権を回復し、連合国占領期間中は実質的に封印された状態となっていた靖国神社に関する議論は憲法の合憲・違憲を巡る問題へと移行し、主に上記第20条第1項および第3項に基づいた問題点が賛否両面から指摘されていくこととなる。なお、占領下の1949年(昭和24年)に出された国公立小中学校の靖国神社訪問などを禁じた文部事務次官通達について、2008年(平成20年)3月27日の参議院文教科学委員会で渡海紀三朗文部科学相は同通達が「既に失効している」と明言した。 靖国神社法案 詳細は「靖国神社法案」を参照 靖国神社を国家護持による慰霊施設としようとする靖国神社法案が1969年(昭和44年)に議員立法案として自由民主党から提出されたことで神社の政教分離に関する議論が再燃した。これ以降、毎年の法案提出と廃案を繰り返した後、1973年(昭和48年)に提出された法案が審議凍結などを経て1974年(昭和49年)に衆議院で可決されたものの参議院では審議未了・廃案となる。これを最後とし法案上程が止むまで、靖国神社法案が靖国神社問題における政教分離の課題で最大のものとなった。 この後、政教分離原則に抵触するか否かの議論は、政府・地方自治体による靖国神社への公費支出を伴う玉串(または玉串料)奉納や、首相をはじめとする政府閣僚や地方自治体首長らの参拝に関するものへと焦点が移っていく。 靖国神社に反対する立場からは、靖国神社への参拝は政教分離に反するという見解が示されることがある。総理大臣が他の宗教法人、明治神宮や伊勢神宮に参拝しても、問題がないとは言えず、さらに、靖国神社への参拝は「A級戦犯合祀」の問題も絡んでいる。
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