ローマ教皇庁とは? わかりやすく解説

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ローマ‐きょうこうちょう〔‐ケウクワウチヤウ〕【ローマ教皇庁】

読み方:ろーまきょうこうちょう

教皇庁

「ローマ教皇庁」に似た言葉

ローマ教皇庁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/21 08:30 UTC 版)

教皇庁紋章

ローマ教皇庁(ローマきょうこうちょう、ラテン語: Curia Romana)は、使徒ペトロに由来するとされる使徒継承教会の首長としての地位の継承者として存続するカトリック教会聖座使徒座)の(統治)機関のこと(Can. 360 CIC 1983)。また、ローマ教皇の下に全世界のカトリック教会を統率する組織であり、国際法上の主権実体として外交使節の派遣や大使館の設置も行う(バチカン市国基本法第二条)。現在の所在地はローマバチカンであり、バチカン市国という世界最小の主権国家の中に置かれている。

かつて教皇は世俗の領主のように自らの領地(教皇領)を持っており、事実上国家と同様に独立した行政権を領地内で行使していたが、19世紀末のイタリア統一運動の中で失っている。ラテラノ条約によって成立したバチカンは、聖座が支配する国際法上の主権国家であるが、かつての教皇領のような世俗的支配を行う領地ではなく、国民は教会関係者のみである。

なお、14世紀のいわゆる「アヴィニョン捕囚」の時代、教皇庁は南フランスのアヴィニョンに遷座された(アヴィニョン教皇庁)。

日本語の呼称について

日本において教皇庁の呼び方として「教皇庁」と「法王庁」が混用されてきた。

日本のカトリック教会の中央団体であるカトリック中央協議会では、1981年ヨハネ・パウロ2世の来日時に、それまで混用されてきた「教皇」と「法王」の呼び方を統一しようと、世俗的な君主を思わせる「王」の字が入る「法王」でなく、「教皇」という呼び方への統一を定めた。教会や歴史関係では、それ以前にも「教皇」の方が多く用いられていたようである。

その後、カトリック中央協議会は、マスメディア等の一般に「教皇」の名称を使用するよう呼びかけてきた。カトリック中央協議会は、東京大使館においても「法王庁」から「教皇庁」への名称の変更を行おうとしたが、日本政府から「日本における各国公館の名称変更はクーデターなどによる国名変更時など特別な場合以外認められない」との理由からほとんど即答に近い形で却下され、「ローマ法王庁大使館」の名称が残ったとしている[1]。このため日本のカトリック教会が「教皇」という名称に統一している現在においても、マスメディアでは日本の外交界における公式名称である「ローマ法王庁」が用いられることが多いとしている[1]

2018年には、山内康一立憲民主党衆議院議員)が衆議院予算委員会において「教皇」に変更するべきではないかと質問を行っている。これを受けて外務省はバチカンとローマ法王庁大使館に問い合わせを行ったが、いずれも変更を求めていないという回答を得ている。河野太郎外務大臣グルジアからジョージアへ変更を行った事例のように、変更の要求があった場合にはしっかりと対応していくと答弁している[2]

2019年11月23日に教皇フランシスコが日本を訪問することを受け、政府は11月20日に「教皇」への呼称変更を発表した[3][4]

マスメディアの呼称

NHKでは、「ローマ法王」「法王」が慣用的に使われ、一般に定着しているとして原則的には「法王」の呼称を用いるとしていた[5]が、日本のカトリック関係者を中心に「教皇」と呼ばれていること、2019年11月22日の教皇フランシスコの訪日にあわせて日本政府が「教皇」に呼称変更したことを踏まえ、「ローマ教皇」の呼称に変更した[6]。また、読売新聞朝日新聞毎日新聞産経新聞日本経済新聞といった主要紙、共同通信時事通信も「ローマ教皇」の呼称に表記を変更した[7][8]

組織概要

2023年7月現在の教皇庁組織は以下のような構成になっている[9]

  • 財務機関
    • 財務評議会
    • 財務事務局
    • 使徒座管財局英語版
    • 監査室
    • 機密保持委員会
    • 投資監査院
  • 弁護士
    • 教皇庁弁護士名簿
    • 聖座弁護団
  • 関連機関

脚注

注釈

  1. ^ 国務省というとアメリカに見られるように外務省のイメージが強いが、バチカンでは日本の内閣府相当である。ただし外務省相当の職務も担当している。
  2. ^ 大司教が任命される場合もあるが、程なく枢機卿にあげられる。

出典

関連項目

外部リンク


ローマ教皇庁(後のバチカン市国)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 07:37 UTC 版)

第二次世界大戦の背景」の記事における「ローマ教皇庁(後のバチカン市国)」の解説

1861年イタリア王国成立以来教皇領失ったローマ教皇庁は、世俗国家からの宗教国家への脱皮打ち出してきた。第1次世界大戦後の『ヴェルサイユ体制に関しては「平和のようなもの」(ピウス11世)と批判的であったムッソリーニ政権誕生するラテラノ条約を結び長年対立解消バチカン市国となった主権国家となった教皇庁各国との外交活発に行う一方社会主義政権非難する一方でドイツ中央党通じてドイツナチス党接近した。そしてドイツ国内カトリック保護カトリック信徒ナチス忠誠認めライヒスコンコルダート締結されることになる。その後ナチスユダヤ人などに対す人種差別政策を行うとそれを非難した日本皇太子裕仁親王バチカン訪れた際にはそれを歓迎し日本との国交樹立模索したが、日本国内での「キリスト教アレルギー」の世論のなかで立ち消えとなった。なお、日本1942年昭和天皇判断バチカン国交を結ぶことになる(『昭和天皇独白録』)。

※この「ローマ教皇庁(後のバチカン市国)」の解説は、「第二次世界大戦の背景」の解説の一部です。
「ローマ教皇庁(後のバチカン市国)」を含む「第二次世界大戦の背景」の記事については、「第二次世界大戦の背景」の概要を参照ください。

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