ローマ教皇レオ10世からの依頼とタペストリとは? わかりやすく解説

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ローマ教皇レオ10世からの依頼とタペストリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 00:07 UTC 版)

ラファエロのカルトン」の記事における「ローマ教皇レオ10世からの依頼とタペストリ」の解説

ラファエロは、ラファエロ自身忌み嫌っていたミケランジェロ1512年完成させた『システィーナ礼拝堂天井画』に大きな興味示しミケランジェロ絵画作品としては最大規模複雑に構成されデザイン強い関心持っていた。ローマ教皇レオ10世当初の構想では、16点タペストリ制作される予定だった。レオ10世からタペストリカルトン制作命じられラファエロは、1515年6月1516年12月の二回に分けて代金受け取っている。1516年代金受け取りは、おそらくカルトン完成に伴う最終的なものと考えられるゴシック後期までタペストリはもっとも優れた芸術作品と見なされており、ルネサンス期になっても、タペストリ芸術的価値高く評価されていた。タペストリ制作費用は非常に高額なもので、そのほとんどが手作業による織上げ費用だった。このシスティーナ礼拝堂タペストリ場合にも、カルトン描いたラファエロ支払われ代金は1,000ダカットだったのに対しタペストリ織り上げたブリュッセル工房には15,000ダカットの代金支払われている。 このカルトンは、もとは何もの紙を張り合わせた台紙テンペラ描かれいたものだったが、現在ではキャンバス裏打ちされている。どのカルトンも縦は3mわずかに超え、横は作品によって3mから5mという大規模な作品になっており、描かれている人物像も実物大上の大きさ表現されている。退色している箇所見受けられるものの、保存状態全体的に非常に良好である。完成したタペストリカルトン左右逆になっているほか、ラファエロ意図したデザインどおりには、必ずしも織り上げられてはいない。このカルトン制作には、ラファエロ率いていた工房大きな役割果たした工房画家たちは非常に丁寧にカルトン仕上げており、タペストリでは表現できない繊細な色使いまでも駆使している。『ラファエロのカルトン』以外にもシスティーナ礼拝堂タペストリ製作のために描かれ小規模な下絵ドローイング現存しており、ロイヤル・コレクションには『エリマスの失明』の習作が、カリフォルニアゲティ美術館には『衣服引き裂く聖パウロ』の習作それぞれ所蔵されている。これらの習作のほかにも多くドローイング制作されたと考えられるが、ほとんどが現存していない。 現存している7点カルトンはおそらく1516年完成しブリュッセルにあったヴァチカンお抱えタペストリ職人ピーテル・ファン・アールストの工房へと送られた。本来の目的であるシスティーナ礼拝堂タペストリとは別に後年このカルトンをもとにした数点のタペストリ制作されている。これらのタペストリ中には1542年イングランド王ヘンリー8世注文したタペストリや、ほぼ同時期にフランス王フランソワ1世注文したタペストリなどがある。カルトン完成したタペストリ同時に返却されることもあったが、これら後年制作されタペストリ存在から『ラファエロのカルトン』はヴァチカンには返却されていないことが分かる完成したタペストリには同じくラファエロデザインによる、古代ローマ彫刻飾り石などを模した精緻な縁飾り施されているが、『ラファエロのカルトン』にはこの縁飾り描かれておらず、おそらくは縁飾り専用カルトン別に存在していたと考えられている。タペストリには金糸銀糸使用されており、なかには後年になって貴金属集め目的兵士によって溶解され箇所もある。完成した最初タペストリヴァチカン引き渡されたのは1517年のことで、1519年クリスマス7点タペストリシスティーナ礼拝堂飾られた。これ以降現在に至るまでラファエロのカルトン』から制作されタペストリシスティーナ礼拝堂飾られるのは、特別な儀典のときのみに限られている。 ラファエロは、タペストリ織物職人の手によって全く別の素材仕上げられるために、必ずしも自身デザイン通りには完成しないことを理解していた。しかしながらラファエロデザインしたカルトンタペストリ用に簡略化したものなどではなく、力強い構成訴求力を持つ作品単体としても通用するのだった。このラファエロ努力は、版画として再現されカルトンでより効果的に表現されている。『ラファエロのカルトン』はバロック初期芸術家カラッチ一族賞賛されていたが、もっともその影響力が強くなったのは16世紀バロック期フランス人画家ニコラ・プッサン以降といえるプッサンは『ラファエロのカルトン』から多く借用した作品描きラファエロ作風誇張し、『ラファエロのカルトン』を縮小したような作品描き続けることに熱中した」といわれている。

※この「ローマ教皇レオ10世からの依頼とタペストリ」の解説は、「ラファエロのカルトン」の解説の一部です。
「ローマ教皇レオ10世からの依頼とタペストリ」を含む「ラファエロのカルトン」の記事については、「ラファエロのカルトン」の概要を参照ください。

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