寺社勢力とは? わかりやすく解説

寺社勢力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/01 08:44 UTC 版)

寺社勢力(じしゃせいりょく)とは、社寺勢力(しゃじせいりょく)[1]とも呼ばれ、日本中世において、武家政権朝廷とともに権力を三分した、大寺院・神社(当時は神仏習合のために一体)による軍事行政経済文化パワーである。武家政権や朝廷のように権力中枢があったわけではなく、各寺社が独立して行動し、また一寺社内でもさまざまな集団がせめぎ合っていたため、「勢力」と呼ぶ。

概要

平安時代末期、延暦寺興福寺大寺社僧兵抱えて独自の武力を備え、また神輿を担いで強訴を行い、自身の要求を主張するようになった。

また、衆徒・神人とよばれる俗人を多数配下において大人口を誇り、経済・学問・工芸活動などが盛んだった寺社周辺は、近年の日本歴史学で「境内都市」と呼ばれる一大メガロポリスであった。

延暦寺は、配下においていた祇園社が京の鴨川の東側に大きな境内(領地)を持っていたこと、興福寺は大和国一国の荘園のほとんどを領して中世を通してその経済力で京に大きな支配力を及ぼした。強大な寺社勢力である延暦寺と興福寺を合わせて「南都北嶺」(なんとほくれい)と称された。

また、大寺社内は「無縁所」とよばれる地域であり、生活に困窮した庶民が多く移民し、寺社領地内に吸収された。また、幕府が罪人を捜査する「検断権」も大寺社内には及ばず、そのため源義経後醍醐天皇など、戦乱に追われた人々の多くが寺社にかくまわれた。

戦国時代末期において、織田信長豊臣秀吉などは寺社勢力と激しく敵対し、苛烈な戦いを繰り広げた。だがその一方で、安土城の築城に延暦寺の職人を利用したり、根来寺の鉄砲を戦争に利用するなど、寺社勢力の高い技術力を活用もした。

豊臣秀吉によって1585年から1588年にかけて出された刀狩令は百姓等のみならず寺社勢力の武器没収も意味しており、この結果として約五百年間続いた寺社勢力は日本の権力構造から消えることとなった。

主な寺社勢力

脚注

  1. ^ 平泉澄は著書『中世に於ける社寺と社会の関係』(1926年)にて、「社寺」・「社寺勢力」の用語を用いている。

参考文献

  • 黒田俊雄『寺社勢力 もう一つの中世社会』岩波新書 1980年
  • 伊藤正敏『寺社勢力の中世 無縁・有縁・移民』ちくま新書 2008年

関連項目


寺社勢力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 14:02 UTC 版)

麒麟がくる」の記事における「寺社勢力」の解説

覚恕(かくじょ) 演:春風亭小朝 天台座主比叡山延暦寺住持)。正親町天皇の弟。 自身容貌を醜いと鬱屈し、兄に対してその美しさゆえに優遇され育ち違い付けられたと、強い劣等感憎しみを持つ。門跡としての権力財力自身示威放蕩につぎ込み朝廷困窮に関して故意助力せずにいる。 信長軽んじ朝倉義景浅井長政らをかくまったために、比叡山の焼き討ちを招く。自身御山留守にしていたため惨禍免れ武田家逃げ込み信長討伐焚きつける顕如けんにょ) 演:武田幸三 本願寺法主大坂本願寺住持信長大坂本願寺攻め対抗し諸国本願寺門徒蜂起させ信長苦しめる。10年にわたり信長抵抗続けるが、大坂本願寺出て降伏する浄実じょうじつ) 演:たかお鷹 大和東大寺の僧。 東大寺正倉院収蔵されている香木蘭奢待」を信長献上する

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