地理・国家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:07 UTC 版)
物語の舞台となる世界では、人間がただ一種の知的生命体として存在しており、ごく一部の例外を除くほぼ全ての人間は共通の言語を使用している。元々は知的生命体のいない豊かな惑星だったが、アルマトランと呼ばれる異世界の住民が時空のトンネルを利用して移住してきたことで生まれた、ソロモンのルフに満たされる新世界である。アルマトランでは異種族と呼ばれる様々な種類の知的生命体が存在していたが、異世界では個々人の差が小さくなったことで人間の姿に変化し今では人種の違い程度しか存在していない。指導者を失って滅んだアルマトランを教訓に「王」と「マギ」のシステムが残されている。 これらの世界の他にも多くの並行世界が縦に重なるような階層構造で存在しており、上位世界の「神」が定めた「運命」の筋書き通りに下位世界は営まれている。次元の間に存在する縦の壁を破壊するためには神一体分にも相当する莫大な魔力が必要で、ソロモンでさえも「黒の神」から奪い取った魔力を全て使うことでようやく一階層分の次元にしか干渉できなかった。また、ソロモンの意思のある「大いなる流れ」、「堕転」した者達が行く世界、アル・サーメンが封印されている次元、異次元に封印された「黒の神」の中に閉じ込められている者達の4つの「死後の世界」が新世界に関してバラバラに存在している。 最終章では七海連合が世界の覇権を握ったことで国際同盟が置かれ、「奴隷制度の廃止」「兵役制の廃止」「国家間の移住の自由」「世界統一貨幣の制定」という4つの法律を作り宣布されたことによって、王侯貴族の影響力が低下、平和で豊かだが同時に商業での熾烈な競争がある厳しい世界となった。 最終章終盤で「聖宮」と「迷宮の塔」が完全に消滅したことで、世界からは「ジン」「金属器」「マギシステム」が消滅。さらに、世界中の地形がめちゃくちゃに変化してどこが国境なのかも分からない状態になったが、大峡谷も消えて暗黒大陸との行き来が可能になった。 ウータン アラジンがライラ達と出会ったオアシス都市。 チーシャン 「中央砂漠」に存在するオアシス都市。第7迷宮「アモン」の出現以降、その攻略を目指す冒険者が集まり発展した。領主のジャミルが迷宮内で死亡したため、領主の交代が行われた。 デリンマー バルバッドとチーシャンの間に位置するオアシス都市。バルバッドの政情不安並びに採掘砦の盗賊団の影響で、市場は閑散とするようになってしまい奴隷商人がのさばることとなった。 バルバッド 東南にある海洋国家。中央砂漠南方の半島南端に位置する。本土は街ほどの大きさだが、数百に及ぶ島々を支配し、各地方との交易の中心地として栄えている。大陸と海、各地の人種・文化が融合した独特の雰囲気を持っている。サルージャ王家が代々治めており、王はラシッド→アブマド(後にアリババによって王政は廃止された)。 煌帝国の圧力や組織の暗躍によって国力が衰退、王侯貴族が豊かな暮らしを続ける中、貧困層は重税で苦しむこととなっていた。アリババによる無血革命がなされ23代続いた王政に終止符が打たれたが、アルサーメンの関与により革命直後にクーデターが発生してしまう。内乱鎮圧後は煌帝国の傘下で共和国として自治を行っているとされるが、実際は政府より上の煌帝国の総督府に自治権を奪われ全てを煌帝国に管理されるがままの状態である。 王政時代は存在していなかった奴隷制度が共和国になってから採用され、元々のバルバッド国民は基本的に単純労働にしか就労できず、人の上に立つ人間は全て煌帝国の国民である。階級により服装が厳しく定められており、バルバッド国民は全員が緑色、北方の異民族出身の奴隷は茶色、高貴とされる白は煌帝国の人間しか着ることが許されない。 最終章の2年前に起きた独立運動の際に帝国の支配下から脱する。その後は共和制を敷いて市民の中から国の代表を選出し、政策は市民に開かれた形で合議制で決めるという方針を取っている。バルバッド城 王族達が住んでいる城。煌帝国の傘下に入った後は煌帝国と同じような建築になっている。 スラム アリババが王宮入りする前に母・アニスやカシムと共に暮らしていた場所。一度は隔離政策により一掃されたが、数年の時を経て再び形成された。共和国となった後はその面影は残っていない。 シンドリア王国 シンドバッドが作った国家。南海の島国で「未開」と呼ばれる極南地帯にある。かつて、人を寄せつけない絶海の孤島をシンドバッドが開拓し、国を興した。「迷宮攻略伝説」の末に作り上げられた「夢の都」として広く知れ渡っている。王はシンドバッド→ドラコーン。 北大陸には見られない地形・気候・動植物と共に人々は暮らし、国は貿易と観光で栄えている。身につけている服や装飾品、髪や肌の色も異なった人々が対立も無く、支えあって暮らしている多民族国家であり、アラジンは「小さい島だが大きな国」だと称している。朝と夕方には中央市(バザール)が開き、地元民と旅人達が様々な商売をするために集まり大勢の人々で大変に賑わう。森には南海の変わった動植物であふれかえっており、モルジアナがマスルールとの修行でこの場所を使っている他、果樹園では南海の珍しい果物が特産になっている。 国の海域には超巨大な南海生物が生息しており、年に数度は島を襲ってくるが、シンドバッドの配下の八人将が撃退し、それをパフォーマンス化して国民の不安を緩和している。仕留めた南海生物は国中で食べ、その収穫祭を「謝肉宴」という。 シンドバッドとヤムライハによって作り上げられた敵を判別し侵入を拒む「防御結界」と、敵の居場所を追跡し50里以内ならそこへ瞬間移動できる「転送魔法陣」で守られている。 なお、現在のシンドリア王国はシンドバッドが二度目に建国した国家で、最初のシンドリア王国はパルテビアとの戦争で多大な被害を受け滅ぼされている。シンドリア王宮 シンドリアの一番奥に位置する王宮。日時計として2時間ごとに鳴らされる大鐘の他、内部には以下の施設がある。紫獅塔(シシトウ) シンドバッドやそれに親しい官達の私的住居空間。出入りできる者は限られている。 赤蟹塔(セッカイトウ) 軍事設備が集まり、武器具・軍事訓練場・兵舎などがある。 銀蠍塔(ギンカツトウ) 国軍兵士の他に食客達も利用できる武術の鍛錬場。 黒秤塔(コクショウトウ) 知識交流の場で図書館や学校がある。 緑射塔(リョクシャトウ) 食客達の住居施設。 白羊塔(ハクヨウトウ) 文官達が執務を執り行う国政の場。一階の大広間ではシンドバッドとの謁見や彼と官達の毎朝の衆議が行われる。 市街地 民家や商店が立ち並んでいる。人口が増える度に家の上に家を重ねるようにして増築していったため、箱型の狭い建物が密集した複雑な街並みになっている。 国営商館 島外からやってきた人々をもてなすための特別な区画で、夜でもずっと賑やかな場所。豪華な宿・酒場や大規模な賭場・劇場・闘技場などの娯楽施設がある。 煌帝国(こうていこく) 極東を制し、急に拡大している軍事国家。帝政時代の中国風の国。少し前までは極東の小国に過ぎず名前も「煌国」だったが、ジュダルの力を借り吾国や凱国といった大国と渡り合って数年で広大な「中原」を平定し、号も「煌帝国」に改められた。5名(後に6名)もの迷宮攻略者を抱え、北方及び西方々の周辺小国に攻略者を送り込み、侵略している。後に白龍によって七海連合に加盟する。練家が治めており、皇帝は白徳→紅徳→玉艶→白龍→紅玉。 最近では迷宮怪物軍団もできている。通貨は「煌(ファン)」。侵略した国家を「煌帝国そのもの」にするという政策をとっているため、属国は皆一様に煌帝国風の建築物や服装が見られるようになる。食料・仕事は配給制。侵略国家であるためか他国とは倫理観も異なっており、兵士の死体で作った軍を運用するという作戦についても、「死体を弄ぶ」という意識はなく「この上ない名誉」だと考える者が多い。極東の国々が奪い合った肥沃な土地を手中に置いているため、農業生産力についても優れている。 第二代皇帝の紅徳の死後、玉艶が大陸の平定までの臨時という名目で第三代皇帝の座に就くが、白龍によって玉艶は謀殺され彼が率いる東軍と紅炎率いる西軍による次の皇帝の座を巡った内戦が始まってしまう。当初は西軍がその圧倒的な兵力差から東軍を追い詰めていくが、白龍の要請を受けた七海連合が介入、西軍は黄海から攻め込む鬼倭王国軍と天山山脈を越えたササン騎士団に包囲されたことによって戦況が一変し、「首謀者以外は反逆罪に問われない」という条件を受けた紅炎が自ら降伏して東軍の勝利という形で終結した。紅炎をはじめとする皇子達は流刑の身となり、白龍は第四代皇帝になった。 最終章では奴隷制と兵役制が廃止されたことで失業者が続出し、知識を持っていたのも上流階級に限られていたせいで国内から画期的な商会が出現することもなく、紅炎の元で文化の画一化をした影響で目玉となるような観光資源も存在せず、さらには国家間の移住が自由化されたことで才能のある人材が国外へ流失したことにより急激に過疎化が進行、王政末期のバルバッドのような有様にまで衰退してしまった。軍を持てなくなった影響で治安も悪化し、それどころか元軍人の一部が飛空艇を襲撃する空賊となるなどの事態になっており、領内で起きた独立紛争を国際同盟によって終結させられ、白龍はその責任を取って皇帝職を辞退した。西方の国家群が中心となる世界では国土が僻地といわざるを得ない土地で天山高原越えの陸路はリスクが高い上、海運の中心となりうるバルバッドの独立を許してしまったこともあり立地の悪さが祟って製造物の輸出業も上手くいっていなかった。その後は紅玉が第五代皇帝の座に就いているが、試行錯誤して様々な政策を出しては空回りしており、国を立て直すための借金も返せないことでいずれ国際同盟に飲み込まれるとされていたが、復活したアリババがシンドバッドと交渉したことで「借金返済期限の1年延期」「利息の凍結」「紅明の流刑撤廃」が為され、失業していた元帝国軍人達を「商会の従業員」という形で再雇用、魔導研究施設で開発された魔法道具を利用する農業大国として兵農一体政策を進めることとなる。その後の国際同盟の定例理事会で紅玉自ら離脱を表明した。洛昌(らくしょう) 煌帝国の帝都。アリババ曰くバルバッドよりも立派な街だが、最終章では街並み事態は変わってないものの人の往来が遥かに減っている。禁城(きんじょう) 皇族達が住んでいる城。 魔導研究施設 洛昌はずれの山岳地帯の地下をくりぬいて作られた、紅明が迷宮時代到来以前に設立した「気」の研究施設を前身とする魔法と迷宮の研究所。「遠隔透視魔法」「迷宮生物」「眷族同化」「八卦札」などについての研究が行われており、紅明が流刑に処されてからも国際同盟に存在を隠匿したまま白龍の命で維持され続けていた。侵略国家の研究施設ということもあってかなり危険性の高い研究内容も数多く行われている。 華安平原(かなんへいげん) 中原随一の大平原で、極東の地と西の世界を隔てる土と砂の大海原。かつての煌国が吾国・凱国を相手に幾度も戦を繰り広げ、「華安を制する者は天華を制す」とも言われている。洛昌に繋がる唯一の道である「華安渓谷」がある。煌帝国の内戦ではここが戦いの舞台となった。 天山山脈(てんざんさんみゃく) 華安平原の西にある山脈。支配外の中央砂漠を囲むように北から南にかけて広がっている。最終章では国際同盟の本部が置かれている。 黄海沿岸(こうかいえんがん) 煌帝国の南にある支配地域。 陽州(ようしゅう) 煌帝国の南にある支配地域。 悠州(ゆうしゅう) 煌帝国の北にある支配地域。 沙門島(さもんとう) 煌帝国南東沖に位置する離島。流刑地として使用されている。 レーム帝国 西方にあり、暗黒大陸にも属州を持つ古代ローマを思わせる大国。700年以上昔に建国され、有史以来最も強大な国家であり続けている。最高司祭にはシェヘラザードが就いており、彼女によって過去最大の繁栄と何人もの迷宮攻略者がもたらされている。なお、「帝国」を名乗ってはいるが内情的には共和国であり、レームの皇帝も元老院から選ばれる代表者を指すので国の支配者ではない。現在国内に抱える金属器使いは3名。 「個」の集積、「人」の力を重んじる。政策の一つとして市民に剣闘場・賭博場・浴場・劇場などの「娯楽」が提供されており、賭け事が盛んで剣闘や演劇が市民の関心が最も高い。科学技術も進歩しており、火薬兵器も実用化されている。街は道路・水道が整備され、国が市民の生活を保障するため、飢えることはない。一方で大勢の奴隷が市民の豊かな生活を支えるために過酷な労働を強要されており、市民の娯楽のための剣奴として殺戮の見世物に使われることもあるなど、厳しい生活を強いられている国でもある。そのため、「市民にとってはいい国」とも称される。商行為の全ては「レーム商人組合」が管理・統制しており、組合の許可を受けた商会だけがレームでの商いを許される。 東大陸進出の足掛かりとして高い魔法技術を持つマグノシュタットを狙っており、ティトスを取り戻すという口実を使いマグノシュタットに侵略戦争を仕掛けたが、アラジンの仲裁により休戦する。シェヘラザードの遺言で七海連合と同盟を結ぶこととなり、マグノシュタットとは同じ立場となった。大国とはいえ七海連合や煌帝国に比べて見劣りする立場となったことで、どちらかの陣営によりかかってしまえば戦争の引き金になりかねない危うい状態となり細心の立ち回りをする必要性が生じてしまっている。 最終章でも国際同盟には加盟しておらず独自の立ち位置を守っているが、軍隊を持っている分警戒が厳しく、飛空艇の数は少ない上海路での船団の規模も制限されているため加盟国と比べ貿易では苦労している。同時に奴隷制度も廃止された。レマーノ レーム帝国の帝都。各国の王が一堂に会す主要会議が開かれる。マグノシュタットとの戦争では、ここでシェヘラザードがレーム帝国軍の指揮を執っていた。 闘技場(コロッセオ) レーム中心にある巨大な闘技場。剣闘士が日夜戦いに明け暮れ、修練を積んでいる。純粋に修行を目的とする者達もいるが、剣闘士の半数以上は市民の享楽のための見せ物として戦闘を強いられている剣奴である。剣闘士は人間だけでなく、マウレニアヒヒなど常人では到底太刀打ちできない猛獣などとも対峙することとなる。審判はいるが、どちらかが死傷するまで止めることはない。残酷な見せ物だが、市民には大盛況で闘技場は常に満員。剣奴が受け取れるのかは不明だが、アリババは勝利と引き換えに巨額の報奨金を受け取っている。最終章では奴隷制度が廃止された影響で剣奴が無くなり、剣劇が行われるなど幾分血生臭さが減っている。 マウレニア レーム帝国の属州。港町「ヴォルギス」があり、最終章では飛空艇の発着場が出来ている。 ナーポリア 外伝に登場した港湾都市。レマーノに次ぐ主要都市で、レーム最大の経済中心地。その経済効果はバルバッドを凌ぎ、世界経済の中核を担っている。劇場公演を行うための「円形劇場」などの施設がある。 リア・ヴェニス島 外伝に登場。レーム領内にあるマリアデル商会が管理する貿易拠点の一つで特別行政区(レームの法ではなくこの町独自の法律が適用されている自治地域)。各地から集まる商人のために私的に開放した賭博場や闘技場が評判になり、多くの観光客が行き来する商業施設。島のどこからも見える二塔の巨大建造物がマリアデル商会の本部。賭博場は町の至る所にあり「一発逆転の都」といわれるほどギャンブルが盛んで、闘技場は通常の何倍ものレートで賭けが出来る剣闘試合がある。島の中は川が流れ観光客を乗せたゴンドラが行き交い、至る所に噴水が併設してあり人々の休憩所になっている。 パルテビア帝国 レーム帝国と同じ大陸に属する西方の国家。バルバッドと貿易をしていた大国だが、近年衰退してきている。地形的には平地が多い。通貨は「ディナール」。ドラコーンが軍人をしていた。シンドバッド・ズルムッド・マイヤーズの出身地。王はダバシャディール4世→セイラン。 外伝にも登場。元は王政国家「パルテビア王国」だったが、本編より30年程前に起きた戦争で歴史的な勝利を収めたことを機に帝政に改められた。戦争強国とされたが、レームとの戦争で劣勢に立たされ貴族官僚と軍部が癒着し王宮が機能を果たせず多くの国民を犠牲にする厳しい税制度を敷くことになる。後に皇帝を暗殺したバルバロッサに国事が一任され、レームとの停戦条約を結んだ。国内で新たな政策として君主制の代わりに立憲君主制を展開し、それが国民から高い支持を受けたことで旧体制の軍拡主義から脱却、国内で独立国民党をはじめとする多くの政党が台頭して選挙で自治政府を国民が決める国に変わった。経済的にも持ち直し回復の兆しを見せているが、その裏では国に異を唱える非国民などを罪人である「劣悪種」と称し、近隣の島や国内の村々を「粛清」する形で洗脳するか迷宮生物との融合により化け物に変える人体実験を進めており、ドラコーンはそれを国民全員に施すことでかつてない軍事力を手にすると推測している。シンドバッドとバルバロッサの取引でシンドリア商会を誘致したことで多額の資金を手に入れ、国外への賠償金も徐々に精算を始め経済復興を進めており、同時に世界に先駆けた王政廃止の国として各国から注目を浴び、かつての大国としての力を急速に取り戻しつつある。しかし、旧シンドリア王国との戦争でバルバロッサが再起不能となり、政党同士で争いが続いたことで1年後には政党政治は正式に廃止されることとなり、シンドバッドが後見人となり改めてセイランが皇帝に即位した。 本編最終章ではシンドリア商会の拠点となったことから急激な発展を遂げた大都会となっている。クシテフォン パルテビア帝国の帝都。元々賑わいを見せていた城下町だったが、軍の圧政が進んだことでドラコーンに「死者の都」と称されるほど寂れた町並みになった。だが、その後「独立国民党」の台頭により再び活気を取り戻す。 本編最終章ではシンドリア商会本部が設置され、高層ビルが立ち並び魔法道具の照明で夜でも明るい未来都市と化している。 ティソン村 シンドバッドの家がある漁村。パルテビア郊外に位置する。シンドバッドの出奔後、叛逆の科で住民全員が捕縛され、迷宮生物との融合という人体実験の被験者にさせられ、その後処分された。 コンタスティア港 シンドバッドがよく訪れていた港。彼がパルテビアから旅立つ際にも使われた。シンドバッドが迷宮で手に入れた財宝を売って船を挙げるまでは凍結された状態だった。 アルド村 立憲君主制後、パルテビア軍によって迷宮生物との融合により「粛清」された村の一つ。6歳の少年であるクファールをはじめとした住民が被験体となった。 旧シンドリア王国 建国に必要な国土を求めるシンドバッドがバルバロッサとの取引により、リア・ヴェニス島と同じ商業特区による独立国として1000万ディナールで譲ってもらった寒暖差が激しい小さな島。パルテビアの北、クシテフォンから馬車で数時間の位置にあり、大型荷馬車が行き交う大きな石造りの2本の橋で大陸と繋がる流通に適した貿易都市。大中小様々な船が停泊できる大きな港がある。 かつてはレームとバルバッドの中継地として大いに栄えていた港町だったが、レームとの開戦後すぐに戦役に巻き込まれたことで住民は全て疎開し、見通しもよく町を遮るものもないので軍港として使うには難しく戦時下でも放置されており、建物や設備も当時のままになっている。町には非国民の「粛清」として人間と迷宮生物との融合を行う軍の研究施設が建てられていたが、既に廃棄されシンドバッドが島を買い取ったことで撤去された。 その後、商業に特化した新生国・シンドリア王国を立ち上げ、廃棄された空白都市を再利用した世界初の商会から興された国とあって世界からも注目されており、「困っている人は受け入れる」をモットーに国外から多くの移民を受け入れている。しかし、建国式典をセレンディーネ率いる「革命軍」に利用され、パルテビア帝国との全面戦争が勃発。国土は戦火に呑まれ、帝国の殲滅部隊によって多くの国民が死亡、島はバルバロッサの極大魔法によって海中に没しわずか1日で滅んだ。 エリオハプト王国 七海連合の加盟国。シャルルカンとスフィントスの出身地。広大な砂漠を超えた先にある暗黒大陸に近い南方の国家。独自の巨石文化による高度な建築技術を持ち、古代エジプトを思わせる巨大遺跡群で築かれた都市が特徴で、現代でもその建築技術の詳細は解明されていない。何百年と続く王家が統治する「神秘の国」とも呼ばれる。民族は銀髪と褐色肌の風貌をしている。王はアテンクメン→アールマカン→シャルルカン。 君主には国の最高位「ファンラオ」の称号が与えられる。その権力は非常に強いが、それ故に外伝では王家内での権力争いが絶えず、常に派閥争いが繰り広げられていた。王が譲位する前に崩御した場合、王家の墓に安置された棺に刻まれる遺言に従い次代の王位が決定される。 女性は胸を隠さない風習があり、エリオハプト人は性的な魅力を胸ではなく臍に感じるらしい。体に蛇を巻きつけるのがステータスで、身分の高い者ほど大きな蛇を所有し、身分の低い者も蛇柄のものを身に纏うのがエチケットとのこと。魔除けのために古くから鳥獣を模した仮面を身につける者もいる(鳥の面は長寿祈願、ジャッカルの面は安全祈願の意味がある)。暗黒大陸の特殊かつ豊富な動植物を古来より研究し、それらを煎じて調合する技術・知識による高い薬医学が発達しており、国外からも求められるほどの薬物が特産となっている。人体への効能を研究し、同時に医学や魔法医術にも精通しているが、元々奴隷制の国でもあるためか奴隷商人がファナリスなどの奴隷狩りで使用するなどその技術が悪用されることもあった。 外伝にも登場。元々砂漠に囲まれたこともあって先王である第35代国王・アテンクメンは対外政策は行わず、現状最大の脅威であるレーム帝国と癒着し対立しないよう身の安全を図る「親レーム派」の存在も影響して諸外国との関係を長らく閉ざしていた。シンドバッドが訪れる数ヶ月前にアテンクメンが崩御され、その王子であるアールマカンが即位し現王となり外交政策に切り替えた。若い世代はその政策を賛同・支持したが、保守的な年寄り達は反対し、国内は「現王派」と「先王派」の2つに分かれている。さらには現王派の若者達が先王派に「呪い」として毒殺される事件が多発しており、アテンクメンが次王を決めなかったことが発覚した後、シンドバッドがレームに対抗するだけの金属器の強大な力を貸すことを条件にシンドリア商会と4番目に同盟を結び、先王派の重鎮達も事件の真相が暴かれ捕縛された。エリオハプト王宮 エリオハプト数百年の歴史が誇る最大の建築物であるピラミッド状の巨大王宮。魔を祓う聖なる印が正面に施されている。両脇には比較的小さなピラミッドの建物がある。この場所でエリオハプトの外交を取り仕切る。 王家の墓 代々の王が眠る世界最大の王墓群であり、国王の叙任式が行われる聖なる場所。エリオハプトの建築技術の粋を集めて王家の権威を称えるために巨大に作られた王権の象徴とも言える建物。十数年前アテンクメンの崩御から数ヶ月後、新王の叙任式が行われる前に第16迷宮「ゼパル」に取り込まれ、王位の正当性が揺らぐ事態が起きた。 喜びの門 エリオハプトの名所である門。 護神像 スフィンクスを模したエリオハプトを守護する像。 ナナイル川 エリオハプトを囲むようにある貴重な水源で命が宿るといわれる川。年に数回氾濫し、それによって運ばれた土壌による農耕地で作る作物は実りは少ないが栄養価が非常に高い。 アズワンダム シンドバッドが「雷光剣」で破壊し、ブァレフォールの力で氷漬けにした大地の裂け目。その後氷は溶け、ナナイル川の水脈と繋がりダムとして使われるようになり、貴重な第二の水源として重宝されている。 アルテミュラ王国 七海連合の加盟国。ピスティの出身地。大陸の南東に位置する女系民族国家(一応男性も暮らしている)。暗黒大陸を除く世界最大の谷間を国土にし、民達は絶壁に町を作って暮らしていることから「天空都市」とも呼ばれる。熱帯気候に位置するが常に風が吹いており、快適な環境になっている(谷底は風が届かないため湿度が高く、独特な群生の植物がある)。海からの唯一の玄関口として渓谷があるが、急勾配の山道が続く国一番の難所で、人の往来が極端に少ないことでアルテミュラの実態の殆どが知られていなかった。動物と心を通わせ空を舞って戦う戦姫達が住む。王はミラ→ピスティ。 ササンと並ぶ有力な少数民族国家。女性は生まれながらに動物と心を通わし操ることができ(その能力解明の研究でマギの存在を知っている)、人や物の運送などの主要な仕事は全て女性が担っているため女性の方が社会的地位が高く、一妻多夫制で子供が7人ほどいるのが普通とのこと。成人女性は証として顔に模様があり、身分の高い者や公務員、官職に就いている者は衣服の肩口に羽根がある。一方男性は動物を操る能力がないため家事・育児・内職などの家庭内の仕事全般を担当している(給料も女房が持ってくるもの)。毎日の井戸端会議のおかげ(せい)でお喋りであり、何故か体毛が濃くオネエ言葉で喋る者が多い。他民族の肉体研究にも熱心で、作中では(何をされたかは不明だが)ヒナホホがその被害に遭っている。 外伝にも登場。当初シンドリア商会は相手にすらされなかったが、シンドバッドがミラとの決闘の末勝利し、シンドリア商会と3番目に同盟を結んだ。王宮 谷の最奥に位置する女王の王宮。建物を囲む半円形状のリングがあり、有事の際鳥達の発着場になる。 死者の谷 多数の鋭い岩棘が生えたアルテミュラで最も深く暗い谷。罪人を収容できる土地がないため、犯罪者はここに落とす決まりになっている。四方を苔に覆われた岩に囲まれているため脱出は困難で場所によっては大量のヘビが生息している他、天然の宝石が落ちており男性は上から生肉を落としてそれに絡まった宝石をロック鳥に拾わせて回収する仕事に就いている。 鳥たちの巣箱 国土の三分の一を占める巣穴を持つロック鳥専用の巨大な巣箱。 色街の高級娼館 国民は性に大らかなので発展しており色街でしか泊まれない。ただし、忙しい女を癒す役割のため来客をもてなすのは屈強なホスト(男)達で客の性別が何であろうとサービスには手を抜かないことで評判。余談だが、噂ではそこで働く3人には生き別れの妹がいるらしい。 イムチャック 七海連合の加盟国。ヒナホホの出身地。中央砂漠の北西に位置し、雪と氷に包まれた極北の秘境にある連合国家。他国で国王に相当する「首長」を頂点に、法や掟の異なる5つの部族をそれぞれの「部族長」が自治し、さらにその下に各村の「族長」が存在する特徴的な国家体制を持つ。身丈が非常に大きく、泳ぎが得意なイムチャック人が住む。王(首長)はラメトト→ヒナホホ。 かつては諸外国の船や海上を荒らす略奪民族を生業としていたが、苛烈な部族間抗争を収めるために現行の国家体制が敷かれた。しかし、諸外国からはいまだに蛮族であると認識されている。習わしとして、生まれた時に親から頭飾りの2本の角(作者曰くトナカイ系の生物の角)を貰い片方は結婚するまでは親に預けて結婚後は婚約者に渡したり、男性は成人する年齢に達するとアバレイッカクを狩って「成人名」を貰うといったものがあり、後者は成し遂げられない者は幼名を名乗ることが許されないため「名無し」扱いされる。また、現在シンドリアで行われている謝肉祭も、元々は戦士の成人を祝うためのこの国の伝統的な儀式である。海の国でもあるため、魚介類が豊富で味付けの多くが塩味になっている。 外伝にも登場。シンドバッドの交渉により、シンドリア商会の最初の貿易相手国となる。 カシュガン 中央砂漠の都市国家。人種・家柄・所得に拘らず誰もが平等に政治に携わることのできる徹底民主政治に移行した。アリババがバルバッド共和国の政治形態の参考にしようとしていた。 ササン王国 七海連合の加盟国。スパルトスの出身地。バルバッド北方、半島の付け根部分の山奥に位置する。中央砂漠内の国家なので気候は乾燥している。馬では通れず徒歩でしか辿り着けない標高高い山麓の中に建造された小国で、厳格な教義を持つ国として知られるが、国を出ると教義を厳守する必要は無くなる。騎士によって統治され、国主は「騎士王」と呼称される。王はダリオス→スパルトス。 異世界であるアルマトランの王・ソロモン(名前は昔に失われている)の伝承が神話として残っており、ササンの民の祖先は遠い故郷から持ち帰った彼の「神の力」を使い不浄を晴らしたといわれている。そのソロモンを旧き神として信仰する敬虔な宗教国であり、外界を穢れと称し交流を断絶させていたため「清浄の地」とも呼ばれていた。山岳に囲まれている天然の鉱山都市でもあり、ササン産の金属は世界一の純度と質の高さが注目されている。この国の信仰を享受し「同志」となったレーム皇帝への友好の証として近年レーム帝国に鉄や鉱物資源を納めているが、例え同じレームの商会でも「心正しき人間」と認めなければ「異教徒」として扱われ取引にすら応じない。年に一度には伝説の「王」になぞらえて国の最下層から頂上までを行進する「巡礼祭」があり、この日だけは教義で禁止されている酒とタバコが解禁されるため国民には大きな娯楽となっている。食べ物は清貧が基本で、水のない厳しい荒野で重い鎧を着て行軍する騎士にとって甘味が貴重なエネルギー源であるため菓子は蜂蜜漬けでかなり甘いが、それ以外は薄味。主要家畜はヤギや羊で、ササンの民は小さい頃からヤギの乳を飲んで育つ。また、高低差のある国ゆえ国民の足腰はかなり強い。 ササンの住民には国を守護する騎士が多く所属する「ササン騎士団」、戦闘は行わない聖職者で従士として騎士団に住み込み騎士の世話をする者もいる「修道士」、国の大事な産業のため名誉ある仕事とされ武器・貴金属の鋳造技術に長けた職人が多い「職人・鉱山夫・農家・商人」などがいる。服装は騎士はターバン(中に非常食を仕込んでいる)と鎧にマント、騎士以外の男性は長スカート、女性がズボンを穿く習慣がある。また、ササンでは金属は魔を祓うと信じられているため、国民は貴金属を身に纏っている(最近の流行は銀加工のネックレス)。 外伝にも登場。当時はレームの限られた商会としか交易をしていなかった。シンドバッドが王であるダリオスとの勝負で魔装による圧倒的な力で勝利し、シンドバッドの頼みで彼を神に選ばれた新たなササンの使徒として迎え入れる形でシンドリア商会と2番目に同盟を結んだ。ヴァベル 巨大な塔の形をした首都。上の階層に行くほど身分の高い者が暮らしている。頂上から最下層までの往復は非常に大変なので馬での移動が欠かせない(必然的に身分の高い者ほど馬を所有する)。国の最上階にはササンの守護者である騎士団の城があり、国全体を一望できる。騎士は城に住み、その家族も同居しているため、居住区はかなり広い。国営外国人滞在施設 外国客がササンに滞在するための専用施設。夜8時になると外出不可になる。食堂と宿泊場が充実している。 霊峰ダーマ山 国のシンボルである霊峰。シンドバッドがダリオスとの勝負の際「雷光剣」で穴を開けてしまったが、神の使徒降臨の証として逆に崇拝されている。 ムスタシム王国 「花と泉の楽園」と呼ばれた西方の割合が大きかった国。ヤムライハの出身地。魔法の真理に迫るため国を挙げて努めてきた魔導国家で、70年以上前から当時では珍しく王家に魔導士が使えていた。しかし魔導士自体は差別されており、40年前に起こったパルテビアとの戦争では最前線に送られ楯の代わりにされるなど不当な扱いを受けていた。以来徐々に力を高めていたマグノシュタット校の反乱によりドゥニヤを除く王族・貴族が皆殺しにされ、10年ほど前に滅んだ。マグノシュタット ムスタシム王国滅亡後に新たに建てられた魔導国家。レームと煌帝国に挟まれているため、籠城に適した都市となっており、外縁部は三層の防壁魔法による防御結界で覆われ、内部では完全に自給自足の体制が整っている。元はムスタシム王国にあった一学問機関だったが、シンドリア編の10年前に軍隊級の力を持ち国軍や一部の貴族官僚を取り込み、祖国に対して反乱を起こすことで誕生した。魔法道具の開発が盛んに行われており、首都は迷宮にしかない筈の魔法道具に溢れている。型落ちした魔法道具を国境周辺に現れる盗賊が大量に所有しているため近隣諸国の脅威となっている。様々な魔法道具を使った食料生産が行われ、自給が十分に可能。あくまでいち学府という体裁を取っているため厳密には王が存在しないが、マグノシュタット学院の学院長を中心に統治されている。王(学院長)はモガメット→ヤムライハ。 総人口は30万人。国民等級制度により全ての国民は5階級に分けられ、1から3等級には様々な特権が与えられている。学長および上級魔導士は1等(約500名)、学院2学年以上および魔導士が2等(3千人)、魔導士を両親に持つ非魔導士および特殊技能や官職に就く非魔導士は3等(2万人)、通常の非魔導士が4等(8万人)、納税を果たせない非魔導士が5等(20万人)になっている。 魔法使い以外の人間の入国を原則として禁じており、国内の人間の数を制限し、魔導士と普通の人間とで差別するという国家体制を敷いている。シンドバッドからはアル・サーメンとも繋がりがあるという疑惑が持たれており、実際数年前まで黒いジンに関する共同研究を行っていたが現在は袂を分かっている。煌帝国の皇族からも急速な発展・迷宮道具の量産などから同じく「組織」の関与を疑われていたが、交渉においてそれがない可能性も浮上。魔導士のみによる発展は紅炎に「恐ろしい国」と言わしめた。入国の際は防壁魔法のテストをしている他、生徒達を成績別にコドル1〜6に振り分けて学ばせている。 レームとの戦争後に中立国となり、指導者であるモガメットがヤムライハの養父であることから、現在は七海連合とレームの協力で再興されている。同時に国民等級制度も廃止され、魔法に頼りきりにせず復興を目指している。最終章では研究機関として様々な商会から資金援助を受けて魔法の開発研究を進めている。国民の生活は不便になったものの国土を搾り計画都市にすることで補い、自由に職業を選べるなど以前よりも活気あふれる国になっている。1等許可区 資料室といった学院の中枢施設や上級魔導士の居住区画がある。入り口には結界が張ってあり、上級魔導士が身につけている銀の装身具である「1型結界手形」がないと通れない。 5等許可区 人口の3分の2に当たる20万人の5等国民が生活している地下に造られた街。その多くが魔法道具に仕事を奪われた元農民たちである。落伍者の掃き溜めと蔑まれており、地上で使用される魔法道具の動力源として恒常的に魔力を吸い取られている。5等の人々の扱いに関しては賛否両論があるが、そこの人々に労働の義務はなく、食糧や家屋は用意されており飢えや寒さの心配がない。また、病気の治療も先天性の重病でもなければ魔導士が治療してくれるため、ムスタシム王国の頃より死亡率は低下しており、大半の5等区民は現状を受け入れている。 最終章では地下暮らしから解放され、住民の多くはムスタシム王国時代と同じように農業に従事している。 アクティア王国 東西の大陸を繋ぐ重要な窓口となる国家。マグノシュタット南部に位置し、貿易が盛ん。北方のマグノシュタットとの国境線に兵力を集中しているため、南方の港が手薄になり海賊・大聖母が横行することとなった。 暗黒大陸 ファナリスの故郷。大陸の北端以外は「レーム帝国南方属州以南は未開発」という意味で外部の人間によって付けられた地の蔑称。カタルゴ以外にも国々が存在する。北部では砂漠地帯が広がり、南部に下るにつれて熱帯化して低木の広大な草原地帯が広がるが、大峡谷の先には一度進むと戻ってこられない場所があるとされている。 その奥である暗黒大陸の南端は、アルマトランの時代に強すぎる力故に魔法を受け付けなかった赤獅子と原始竜が住んでいた大陸ごと連れてこられ当時の姿のまま暮らしている。その名残か一切の光が無い真っ暗闇の世界であり、浮遊魔法で高度を上げて飛ぶと地面も何も見えなくなり、見たことのないような生物や植物が生息している。この世界だけは聖宮の力やソロモンの世界の理が及んでいないためルフが黒く、「マギ」という概念もないことからルフもマギに対して魔力を供給しない。南北縦断するのに人間の足では40年はかかるとされており、北大陸に比べても非常に広大。環境の違いによるものか、北大陸から持ち込んだ農産物をここで栽培すると異形の植物へと変貌してしまう。カタルゴ 北端部に開けているレーム帝国の属州の一つ。暗黒大陸はここを通ることで直行便で誰でも渡ることができるが、この場所以外は旅人を狙う盗賊がひしめく無法地帯になっている。 大峡谷 レーム帝国属州最南端に広がる巨大な峡谷。まるで世界がそこで終わっているかのように深く広大で、渡れば二度と帰って来られないと言われており、太陽を遮るものは何もないはずだが底に行くほど暗くなっていく。その正体は、「大陸の裂け目」と呼ばれる、世界が未完成なときにできる物理法則の混乱した空間の一種。現在はマギ・ユナンがここの「守り人」をしており、彼の手によって出口のない暗闇の迷路と化している。 次元の境界が薄く、ダビデが「世界をルフに還す魔法」を発動した際には本体がここに同化し、ルフの回収を行ったが、聖宮と共に消滅した。 鬼倭王国(きなおうこく) 七海連合の加盟国。煌帝国のさらに東に位置するごく小さな島「鬼倭島」に建てられた国家。その国土はアルマトラン時代の魔力が蓄積して出来た地層による暗黒大陸と同質の「遺跡島」となっている。「侍」という言葉などからも「和」の日本を思わせる国。国民の多くは額から鼻にかけて二本角が付いた仮面で隠している。王は健彦。 古くから煌・吾・凱の極東三大国とは朝貢関係にあったが、前王がシンドバッドびいきだったことから七海連合に加盟、健彦に代替わりして金属器の力を手に入れてからは島ごと姿を海上からくらまし国交が途絶えていた。その後、シンドバッドが白龍と交わした誓いで七海を使節として派遣し、煌帝国の内戦時には「盟友の内紛を納める」という名目で黄海に現れ、他の加盟国と共に介入した。 最終章でも島ごと所在が分からないままで、健彦が世界指名手配犯として追われる身となっている。実は秘密裏に島そのものが遺跡の力とアラジンの魔法によって浮遊島へと改造されていた。現在はアラジン・モルジアナ・白龍を匿った上で暗黒大陸南部に移っている。その後、アラジン達と共に帰還を果たし、国際同盟からの離脱を宣言した。 一連の事件後は飛行能力を失い、シンドリア王国の近海に着水したままとなっている。鬼倭王城(きなおうじょう) 鬼倭の王族達が住む城。修行用の道場がある。 鬼哮砲(きこうほう) 要塞化した鬼倭島に取り付けられた鬼の顔を模した巨大な大砲。強力なエネルギー波を発射する。 ミスタニア共和国 マグノシュタットの北に位置する中規模国。イレーヌの出身地。 大黄牙帝国(だいこうがていこく) 黄牙一族の初代大王チャガン・ハーンが築いた歴史上最大の勢力を誇った帝国。チャガン・ハーンはマギにいざなわれ迷宮攻略をし、強大な力を得たという言い伝えがある。 吾国(ごこく) 煌帝国が中原統一前に争った大国の一つ。閻体の出身地。過去に自国を踏みにじった凱国を恨み、その支配権を奪うことを考えていた。 凱国(がいこく) 煌帝国が中原統一前に争った大国の一つ。閻技の出身地。長きに渡り王府と摂政王府が二人の王を立てたために派閥同士で憎み合い、それぞれが優位に立つことを考えていた。 聖宮 アラジンが匿われていた場所。番人はウーゴくんで、彼がソロモンの魔法と「黒の神」の魔力を利用して作った魔法道具。アラジンは「頑丈な部屋」と呼んでおり、マギである彼が暴れても壊れなかった。聖宮の主人によって内部構造が変化し、ウーゴが主人である間は内部には様々な文献がある書庫のような構造で、シンドバッドが聖宮を手に入れてからは彼が攻略した七つの迷宮を再現したものになった。ある時期が来るまでアラジンは絶対に外に出られない仕組みになっていた。外には「死者達の街(ネクロポリス)」が広がっている。時間の概念が存在しない場所であり、ウーゴの体感では実際の5年ほどが1不可思議年以上もの長さに感じられていた。 マギが死んだ場合そのルフはここに戻り、新たなマギとして生まれ変わる。その際、普通の赤ん坊のままに産み落とされることが殆どだが、前世の記憶を維持した状態で転生させることもできる。「黒の神」の世界のエネルギーを効率よく循環しルフの全てを司る特別な空間であり、死んだソロモンの意思はこの場所に宿っている。ウーゴくんはこの力を利用してアルマトランで生き残った民達を作中の舞台となる世界へ移動させた。 聖宮の番人は世界中のルフを書き換え操るという絶大な権能を操ることが可能で、全人類の思想を統一させることすらできるようになる。ただしこの力は、アルマトランのマギであるアラジンや「堕転」を経験したり一度死んだりして「大いなる流れ」から逸脱してしまった者は対象外となるため、決して万能ではない。また、「神の序列を入れ替える魔法」や「世界をルフに還す魔法」といった大魔法を発動させることも可能。 「黒の神」(=ダビデ)と繋がったシンドバッドですら此処の力無くしては世界を自由に弄ることが不可能であるため、その知識を持つアラジンの行方を追っている。最終的に国際同盟が管理していた金属器と「黒の神」の影響でマグノシュタット上空に開いたままになった世界の穴、第一級特異点である自分の存在とアルバが千年間蓄えた莫大な量の魔力を利用し、人の肉体を捨てて聖宮に乗り込んだシンドバッドが従えていた七体のジンとダビデの力によりウーゴくんから聖宮の番人の座を奪い、世界中の人間のルフを書き換えることに成功した。その後はシンドバッドが上位世界の神を打ち破るため世界の全てをルフに還す聖宮の魔法を始動させ、発動するまでの間ソロモンの知恵で聖宮に乗り込んで来たアラジン達に対し、自身の体験した七つの迷宮にいる魔装をした七人のシンドバッドの問いに納得する答えを出す試練を与える。 ダビデの分身体とシンドバッドが内部で「神の序列を入れ替える魔法」を何度も繰り返したことにより、許容を越えた量の魔法式が暴れ、魔法道具がパンクして消滅した。第一の迷宮 憤怒と英傑の試練「バアル」 シンドバッドが14歳時に経験した戦時中のパルテビアを再現した迷宮。バアルの魔装をしたシンドバッドが理不尽な運命には屈服すべきか力で破壊すべきかを問い、場合によってはその者の過去や憎むべき相手を見せることもできる。ジュダルによって攻略された。 第二の迷宮 虚偽と信望の試練「ブァレフォール」 シンドバッドが15歳時に経験したシンドリア商会での冒険とそれに立ちはだかる強大な敵・運命との戦いを再現した迷宮。ブァレフォールの魔装をした巨大なシンドバッドが理不尽な世界では何を疑い信じるべきかを問う。白龍によって攻略された。 第三の迷宮 精神と傀儡の試練「ゼパル」 シンドバッドが17歳時に経験した迷宮。巨大化したシンドバッドと当時彼にルフを捧げて命を落とした最初のゼパル攻略者であるセレンディーネの2名がゼパルの魔装をして現れ、理不尽な世界では人間は己の意思で生きるべきか他人に導かれるべきかを問う。アラジンが挑んだが、次の試練でアリババがシンドバッドに意見したことで中断された。 第四の迷宮 狂気と冥暗の試練「フルフル」 シンドバッドが21歳時に経験した最初の王国崩壊と2度目の建国を再現した迷宮。フルフルの魔装をしたシンドバッドが出現するが、問いかけの前にアリババが質問したため何を問おうとしていたかは不明。アリババによる攻略の途中で彼から新たな意見を聞いたことで中断された。
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地理・国家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 03:03 UTC 版)
アルク=ストラーダ大陸 翼を広げた竜のような形をした大陸。以下の5つの国家勢力を有し、それぞれが均衡を保っている。ロートレアモン騎士国 大陸の「心臓」に位置する。国家元首は騎士王(パラディン)。本作の主な舞台。大陸内で最も竜の生息数が多く、竜を生むマザー・ドラゴンや竜騎士の存在が世に知れ渡っていることから「竜を飼う国」と呼ばれている。 元々は竜を飼育し一手に管理する目的でシェブロン王国から独立した国で、現在も同盟を結ぶ関係にあり国交も盛んである。 シェブロン王国 大陸の「胴体」に位置する。大陸内では最大の領土を持つ王国。 ゼファロス帝国 大陸の「顎門」に位置する。騎士国、王国の2国と敵対関係にある帝国。竜が生息していない代わりに、現代兵器を生産する機械工学と、それに竜媒魔法を組み合わせた魔導工学が発達している。 エスパーダ聖庁 大陸の「翼」に位置する。大陸人口の7割が信徒であるロサ・マリア教の総本山。 ラブロック商工都市連合 大陸の「尾」に位置する。 アヴァロン聖竜皇騎士団 ユリエルに囚われたオスカーを騎士国に迷惑がかからないよう救出するため、アッシュ達が結成した独立国家。魔導艦エスカヴァロンを領地としているため、自由に移動することが可能。 国民は団長のアッシュ以下、エーコ、ミラベル、アーニャ、レベッカ、ルッカ、ジェシカ、レイモン、マックス、ユニス。シルヴィアとオスカーは王族の地位を手放せないため参加していないが、シルヴィアは(コゼットの入れ知恵による独断で)騎士国側の大使として、オスカーは王国女王として協力している。 聖竜皇騎士団設立時にラクエルIV世から独立国家として仮承認され(後に正式に認証を得ている)、後にロートレアモン騎士国およびシェブロン王国と同盟を結んでいる。 国民の大半は騎竜学院の生徒会メンバーであるため、実質生徒会の機能も兼ねている。
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地理・国家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 20:14 UTC 版)
「異世界はスマートフォンとともに。」の記事における「地理・国家」の解説
西方同盟→東西同盟→世界同盟 ブリュンヒルド公国建国に合わせてベルファスト王国、レグルス帝国、ミスミド王国、リーフリース皇国と西方同盟を組んだのが始まり。その後、徐々に参加国が増え、東方のレスティア王国が同盟に入った時に東西同盟に、そして表世界のほとんどの国が同盟に入ったのをきっかけとして世界同盟と改められた。同盟国は月に1度程度ブリュンヒルド公国で同盟会議を行うこととなっているが、その後に「親睦を深める」と称しブリュンヒルド城の遊戯室や野球場で遊ぶ事が常態化している。
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