死後の世界とは? わかりやすく解説

死後の世界―あの世

作者金堀常美

収載図書真夜中ココア
出版社新風舎
刊行年月2005.2
シリーズ名新風舎文庫


霊界

(死後の世界 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/05 01:20 UTC 版)

霊界(れいかい)は、「後にないしそれに類するものが行き着くとされる世界[1]」、「死後の世界」、「精神の世界[1]」、「非物質世界」などといった宗教上の概念(死生観)に対する総称。

霊界という概念は古今東西に存在するが、それが意味する内容は個々人や信仰(宗教的立場)によって極めて異なる。

一般に霊界といった場合は前者の意味で用いられることが多く、あの世後世死後世などの表現でも呼ばれている。伝統的な宗教の中には、死者が存命中にこの世で行った善悪の行いや信仰心などに応じて、行き先が天国地獄に分かれるとするものもある。また、霊界は階層状の世界であり、魂の状態に応じてふさわしい層に行くとも言われている。

歴史

バードイツ語版

霊や死後の世界という概念が歴史に登場したのは、実に6000年以上前の古代エジプトの時代までさかのぼる。古代エジプトのヘセプーチ王の棺に死者の書が描かれている[2]。古代のエジプト人たちは霊魂は死後、「バー」という鳥の姿になって、肉体からあの世にとびたち、あの世の楽園アアルで永遠の生を送ると考えていた[2]

古代ギリシャの哲学者ではプラトンが霊界が存在していると述べ、あの世の様子についても語った[3]

不可知論の立場では、死後の世界については、あるにしてもないにしても、人間の認識能力では知ることはできないと考える。インドの仏陀は、死後の世界があるとも無いとも語らず、それよりも、いま苦しんでいる人の苦しみを取り除くことが先である、と述べた。こうした姿勢は無記と呼ばれている。

17世紀から18世紀のエマヌエル・スヴェーデンボリは霊界日記を記した[3]

18世紀にヨーロッパで唯物論 materialismという考え方がある程度広がったが、唯物論では物質以外は存在しないと考えるので、死後に霊が残るとは考えず、霊界の存在は想定しなかった。唯物論の立場からは、霊界という用語は霊実在論の立場から論じられていることにすぎない、という理解であった。

1847年には米国のアンドリュー・ジャクソン・デイヴィスが『自然の原理』The Principles of Natureという本を出版し、霊界の仕組みを説いた。

1857年にはフランス人アラン・カルデックが霊の生まれ変わりや死後の世界について記した『霊の書』(Le Livre des Esprits)を出版した。

1920年代にはイギリスのモーリス・バーバネルが霊媒役となりシルバーバーチの霊訓を伝えはじめた。そこには死後の世界、霊界に関することも多数含まれていた。

日本では、大正~昭和期に宗教大本を立ち上げた出口王仁三郎が、入神状態で多様な霊界の諸層について語り、『霊界物語』(全81巻)としてまとめた。また、その宗教大本から独立した浅野和三郎は、「心霊科学研究会」などの「霊界」を探求・研究する組織を創設し、「日本の心霊主義運動の父」と称されている。この流れから、浅野正恭新倉イワオ中岡俊哉三浦清宏つのだじろう など多数の心霊研究家が輩出されている。

昭和~平成にかけて丹波哲郎霊界に関する著書を多数出版、1989年には映画『丹波哲郎の大霊界 死んだらどうなる』を制作・公開した。2005年ごろには江原啓之美輪明宏がテレビ番組オーラの泉に出演するようになり、人々のスピリチュアリズムや霊界に対する関心も高まった。

19世紀から20世紀にもなると自然科学に過度の期待を寄せる人々が増え、霊界のことまでも自然科学的に立証しようとするような試みも欧米諸国などで行われた。

死後の世界

一般に霊界といった場合はこちらの意味となる事が多い。天上や地底、海の彼方や異次元など、別世界に死後に霊の行き着く世界があるという考え方は、古来様々な宗教や信仰に見られる。肉体が滅んだ後でも精神(幽体)、意識(体)などと呼ばれる非物質的な存在が滅びずに残り、それらが暮らす、または魂の故郷へ帰る世界とされる。伝統的な宗教では天国地獄浄土極楽)、黄泉などの言葉でそれを呼んでいる。

その他の霊界

一部の宗教や信仰においては、死後にだけ行く場所というわけではなく、非物質世界の一つとして霊界を位置付けているものがある。この場合の霊界は、1) 超自然的な人間同士のつながり(ネットワーク)、あるいは 2)現実世界(この世)と重なるようにして表裏一体の不可視の存在たちの世界、があると言われている。

前者(超自然的な人同士のつながり)の意味での霊界は、舞台としての世界ではなく、媒介としての世界であり、何らかの未知の力により霊界を通じて他者と交信する。後者では生霊死霊守護霊といった存在とその影響が信じられている。

霊界との交信

古くからイタコの口寄せのように、霊界にいる霊と交信できるとする者もいる。そうしたことが事実であれば、霊界から霊媒を通して現世の人とコンタクトが行われる。

各宗教、思想における霊界観

ユダヤ教

信仰の土台となっている旧約聖書には、霊界の記述はほとんどない。このことからトマス・アクィナスは、「ユダヤ国民は死後の生活という思想を知らなかったと断言してもよい」としている[4]。しかし、イエスの死後、新興勢力のキリスト教と交わっていくことにより、救世主が降臨した後、すべての死者が墓から蘇り、神が各人の功績に応じて審判し、「正しき者には祝福する天国の永遠の生命を与え、その他の者には地獄の刑罰を与える」[5]という思想が芽生えた。ただし、救世主が降臨するまでの期間、墓にいる死者がどんな世界にいるのかということは、明確になっていない。

キリスト教

信仰の土台となっている新約聖書には、イエス・キリストの言葉として、「わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない。わたしの天の父の御心を行う者だけが入るのである」(マタイ 7:21[6])、「もし、右の目があなたをつまずかせるなら、えぐり出して捨ててしまいなさい。体の一部がなくなっても、全身が地獄に投げ込まれない方がましである」(マタイ 5:29[7])と、天国と地獄が存在することを明言している。これに加えてカトリック教会では、犯した罪が大きくない者が行く霊界として、天国と地獄の中間である「煉獄(れんごく)」というものを認めている。煉獄の苦しみは永遠ではなく、浄められ後には天国に行くとする。さらに近代になると、一部の自由主義的なプロテスタントは、地獄にも煉獄と似たような性質(責苦が永遠ではないという性質)がある、また洗礼を受けずに死んだ幼児は「リンボ」(辺獄)と呼ばれる地獄のはずれで暮らすという解釈をすることもある。

イスラーム

ユダヤ教、キリスト教と同様に、天国(楽園)と地獄があるとしている。天国については「永遠の(若さを保つ)少年たちがかれらの間を巡り、(手に手に)高坏や(輝く)水差し、汲立の飲物盃(を捧げる)。かれらは、それで後の障を残さず、泥酔することもない。また果実は、かれらの選ぶに任せ、種々の鳥の肉は、かれらの好みのまま。大きい輝くまなざしの、美しい乙女は、丁度秘蔵の真珠のよう。(これらは)かれらの行いに対する報奨である」[8]、地獄については「(かれらは)焼け焦がすような風と、煮え立つ湯の中、黒煙の影に、涼しくもなく、爽やかでもない(中にいる)。かれらはそれ以前、裕福で(享楽に耽り)。大罪を敢て犯していた」[9]と、ユダヤ教やキリスト教よりも描写は具体的である。「かれらの行いに対する報奨である」、「大罪を敢て犯していた」とあるように、生前の行いが霊界での位置を明確に決定することを説いている。

ヒンドゥー教

輪廻が教義の根幹となっているヒンドゥー教では、信心と業(カルマ)によって生まれ変わるとされている。死後、閻魔ヤマ神)が裁判長となり、生まれ変わり先が決まる。したがって、霊界とは生まれ変わり先が決まるまでの一時的な待合室のような所にすぎないと考えている。利己心、淫欲、暴力などのカルマがある者は、以前よりも苦悩の多い存在に生まれ変わり、放っておくと生まれ変わりが無限に続くことになる。瞑想や苦行によって解脱(輪廻からの脱出)に達した者のみ、生まれ変わりがなくなる。解脱者は、インドラシヴァヴィシュヌクリシュナブラフマンという名の神が臨在する「五つの天国」のいずれかに赴くとされている[10]

スピリチュアリズム

デイヴィス

アンドリュー・ジャクソン・デイヴィスは、1847年に出版したThe Principles of Nature『自然の原理』において霊界、霊界の構造、死後の世界について解説しており、「スピリチュアリズムのバイブル」とも呼ばれている。

その他の説明

死後の世界は霊の差別界或いは霊格の差別界で、肉体の滅びた魂は幽現界を経て自分の魂と同じレベルの階層へと平行移動していき、霊の階層の決定には、現世での地位、名誉、財産等の物質的な価値は一切関係ないとも説明されている。

参考書

出典、脚注

  1. ^ a b 大辞泉
  2. ^ a b 世界最古の原典 エジプト死者の書 P4
  3. ^ a b 金森誠也『「霊界」の研究: プラトン、カントが考えた「死後の世界」』
  4. ^ フランソワ・グレゴワール『死後の世界』白水社、1992年、46頁。 
  5. ^ フランソワ・グレゴワール『死後の世界』白水社、1992年、49頁。 
  6. ^ マタイによる福音書 / 7章 21節”. 新約聖書. 2013年3月8日閲覧。
  7. ^ マタイによる福音書 / 5章 29節”. 新約聖書. 2013年3月8日閲覧。
  8. ^ 出来事章(アル・ワーキア)17~24”. 日亜対訳・注解 聖クルアーン(第6刷). 2013年3月9日閲覧。
  9. ^ 出来事章(アル・ワーキア)42~46”. 日亜対訳・注解 聖クルアーン(第6刷). 2013年3月9日閲覧。
  10. ^ フランソワ・グレゴワール『死後の世界』白水社、1992年、67頁。 
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 三浦清宏『近代スピリチュアリズムの歴史』講談社、2008年、34-65頁。 

関連項目

  • 霊魂
  • 他界
  • ハッピー・ハンティング・グラウンド英語版 ‐ 白人が聞いた北米アメリカ先住民の死後の世界についての考え方の伝聞意訳。

死後の世界

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/22 07:13 UTC 版)

Who is 風生!?」の記事における「死後の世界」の解説

ミーミッツ 天国住んでいる天使少女で、両目前髪隠れている。崇美が幽体離脱することでいつでも風生近くいられるようにと美咲に作らせた幽体離脱ライト風生が偶然使い死亡した際に出会った地上様子を丸いビジョン映し出すことが可能。かつては翼を持っており、天国と地獄繋がっていた頃、近づいてはならないとされた天国の端に咲いている花を取ろうとして地獄側に落ちたところを閻麿助けられるその後人目を忍んで閻麿と会うようになったが、それに気付いた閻魔大王によって二人とも処刑されそうになる。しかし、「自分責任がある」と閻麿庇い、その罰として自身は神によって翼を取られ天国と地獄途切れることとなる。 その後風生たちと共に地獄へ向かうも、閻魔大王によって針山落とされそうになる。しかし、キューピッド風生の矢を受けて翼が戻り閻麿救出するその後は神からその座を譲られベール被った姿になる。そして閻麿と共に風生たちを現世帰したその際初めて魂を現世送り返したこともあって慣れておらず、崇美だけが肉体戻れ火葬され、麗一がクローン肉体作るまでの間幽霊として風生に纏わりついていた)。 神(かみ) 天国統べる偉大な神。頭上に浮かぶ輪と巨躯スキンヘッドと額の「HEAVEN」の文字特徴厳格な人物であり、ミーミッツの件以降天国周囲に壁を作って天国の住人たちを地獄侵入不可能にした。強烈な落雷突風を操る能力を持つ。風生ミーミッツ、そして風生追って天国に来た千早たちをミーミッツの「閻麿会いたい」との言葉聞き入れて地獄放り投げる。しかし、キューピッド風生加勢により鬼族和解できたため、ミーミッツに自らの座を譲る。 閻麿(えんまろ) 地獄に住む鬼族少年で、閻魔大王息子大半荒々しい鬼族とは思えないほどに泣き虫かつ心優しい。しかし、父同様竜巻地獄使用可能。天国と地獄分断された後、新たな閻魔大王となったその後風生追って幽体離脱ライト使った結果地獄に来た崇美を裁こうとするも、その死因見てミーミッツ思い出し涙をこぼす。事情知った美に叱咤され、ミーミッツ奪い取るために天国戦争仕掛ける。しかし、それを知った父に処刑されそうになるも、翼を取り戻したミーミッツ助けられるその後は神によって立派な帽子被った姿になり、風生たちを現世返す閻魔大王えんまだいおう地獄先代の王。ミーミッツ目当て天国戦争仕掛けた閻麿失望し風生たち共々処刑しようとする。しかし、ミーミッツ助けに来た神や天使軍団との対決突入し最終的に他の鬼族共々キューピッド風生の矢を受けて平和主義者となる。その後正式に閻麿に自らの座を譲った竜巻地獄たつまきじごく) 強力な竜巻発生させる七福神しちふくじん天国の住人たち。天国の扉を破って地獄向かおうとした千早後述神々共々のされ、武器奪われる野球の神やきゅうのかみ) 天国の住人たち。劇画風の顔付きをしている若者団子鼻中年二人組映画の神(えいがのかみ) 天国の住人サングラスをかけた黒澤明のような外見をしている。 漫画の神(まんがのかみ) 天国の住人巨大なペン持った手塚治虫風の外見をしている。千早ペン奪われるマリア かつて風生たちが入学するまでの間、たった一人プロレス研を開いていたプロレス研の先代部長大柄巨乳普段温和だが、マスクを被ると正義レスラー・「ジャスティスマリア」を名乗り性格パワフルな体育会系になる。料理プロテイン入れ描写があり、料理はさほど上手とは言い難い。実は幼少期はやせていて病弱であり、偶然テレビで見たプロレスラーたちの逃げない姿勢憧れ、体を鍛えてプロレスラーへの道志すようになった卒業式の日にプロデビュー果たし風生作ったプレゼントお守り持って会場に向かうも、彼女の話をしていた風生たちの会話盗み聞いて激昂しタイムマシン過去向かっていた崇美扮するエレガント仮面エレガントかめん)」と対決する物ともせず勝利入学式の日から崇美が自身様子を見に来ていたことを見抜いており、お守りを彼女に渡した。その直後トラック轢かれそうになった突き飛ばして助けるも、自身トラック轢かれこの世を去る。その後お守りは崇美によって彼女の墓に供えられた。なお、幕間にて死後の世界でプロレスラーたちとプロレス興じている姿を見せている。

※この「死後の世界」の解説は、「Who is 風生!?」の解説の一部です。
「死後の世界」を含む「Who is 風生!?」の記事については、「Who is 風生!?」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「死後の世界」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「死後の世界」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「死後の世界」の関連用語

1
100% |||||

2
冥界 デジタル大辞泉
100% |||||

3
泉下 デジタル大辞泉
100% |||||

4
冥き途 デジタル大辞泉
94% |||||




8
プルートー デジタル大辞泉
76% |||||

9
幽明 デジタル大辞泉
76% |||||

10
後世 デジタル大辞泉
76% |||||

死後の世界のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



死後の世界のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの霊界 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、WikipediaのWho is 風生!? (改訂履歴)、ツナグ (改訂履歴)、スティーヴン・ホーキング (改訂履歴)、死と文化 (改訂履歴)、メソポタミア神話 (改訂履歴)、霊界 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS