大いとは?

おおい〔おほい〕【大い】

《「おお(大)き」の音変化

【一】形動ナリ

大きいさま。

「—なる木どものもとに車を立てたれば」〈・一四二〉

程度はなはだしいさま。状態が、ふつうよりもまさっているさま。→大いなる →大いに

「—なるわざし給ふなるを」〈宇津保・藤原の君〉

【二】[接頭]人物を表す名詞に付く。

同じ官職位階のうち上位であることを表す。「大いもうちぎみ」「大い三つの位」

年長の人であることを表す。「大いとの」「大いぎみ」


おおい おほい 【大】

1形動〕 (「大き」の変化したもの。もとは形容詞連体形推定される) 大きいさま。

物の形の大きいさま。

源氏100114頃)帚木「なえたる衣どもの厚肥えたる、おほいなる籠(こ)にうちかけて」

物事程度はなはだしいさま。

(イ) 盛大なさま。偉大なさま。立派なさま。

宇津保(970‐999頃)藤原の君「道隆寺に、上野親王の、おほいなるわざし給ふなるを」

黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花EPILOGUE生きて帰る望もなかった身を、彼は大(オホイ)なる力に牽かれて阿蘇の煙を東に見る銀杏城下の郷里帰り

(ロ) 重大なさま。重要なさま。

海道記(1223頃)矢矧より豊河「互の善知識大ひなる因縁あり」

(ハ) 数量程度はなはだしいさま。→大いに。

2 〔接頭〕 人物をあらわす名詞の上に付いて、上位の人であることをしめす。

位官をあらわす語に付いて、従に対する正、少・中に対する大をあらわし上位であることをしめす。「おおいもうちぎみ」など。

② 殿や君など、尊敬の意をしめす語の上に付いて、年長の人であることをあらわす。「おおいどの」「おおいぎみ」など。

[語誌](1)(一)中古以後上代語形容詞「おほし(多)」がそなえていた数量の多さ以外の意を引き継ぎ、形や規模の大であるさまを基本に、ほめことばとして立派さを示したり、程度の大であるさまなどを表わすようになった室町時代以後形容詞化して「おほきい」という語形を生じ、それが標準化するにしたがって、もとの形容動詞からきた形は「おおきな(おほきな)」に限定されて連体詞化する
(2)(二)場合は、下位の「ひろい(従)(「ひろき」の音便形)」の対。官職の上位を表わす場合は、「なかの(中)」「すない(少)」の対。


いかい【厳・大】

〔副〕 (形容詞「いかい」の連体用法いかい事」などから変したものか) たいそう。ひどく。いっかい

雑俳蓬莱山(1709)「手おひする役者はいかいくたびれふ」


いか・い【厳・大】

〔形口〕 [文]いか・し 〔形ク〕 (上代ではシク活用か。→いかし(厳))

猛威がある。荒々しい。きびしい。はげしい。いっかい

宇津保(970‐999頃)俊蔭「おそろしげにいかきものどもひと山に満ちて」

② (よい場合にも、悪い場合にもいう) 程度甚だしい。たいそうな。ひどい。いっかい

史記抄(1477)一一孔子もいかい力つよぢゃぞ」

洒落本禁現大福帳(1755)一「いかい空気(ウツケ)といわるべし」

大きい。多い。壮大である。事物の長、大、多であることをいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕

狂言記竹生島参1700)「さて身共は、つひに竹生島へ参らぬが、いかい参りか」

[語誌](1)中古の「いかし」は、「いかめし」が視覚的荘厳見えることをいうのに対して、純粋直接勢威のあることをいう。
(2)中古では「荒々しい厳しい」などの意で用いられていたが、室町時代頃からは「程度大きい」意で用いられるようになる。近世では上方語的な連用形「いかう」の形が一般用いられ、「いかく」は東国語としてまれに用いられることはあっても江戸語としてはほとんど用いられなかった。→いこう(厳)。
(3)江戸語では「きつい」、上方語では「ゑらい」と「きつい」が一般用いられたこともあって、「いかい」の勢力江戸末期には衰退ていった。→「いかし(厳)」の語誌


おっけな・い【大】

〔形口〕 (「おおきな」の変化した「おっけな」の形容詞化大きな。大変な。ひどい。

浄瑠璃・本善光日本鑑(1740)三「姉姫様共存ぜず、おっけない慮外申上ました」


おおき・い おほきい 【大】

〔形口〕 (形容動詞「おおき(なり)」の形容詞化室町時代以後の語)

① (物の形について) 空間占め容積面積が大である。

*虎明本狂言腥物室町末‐近世初)「あれにばけ物が有、大仏のしゃかが、随分おうきひと存したがそれよりおうきな」

安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「そのかたちの大き小さいに不関係(かかはらず)」

年長である。成長している。

人情本春色籬の梅(1838‐40頃)一「お花をば姉上(ねへ)さんと呼びお熊をば大(オホ)きい姉上(ねへ)さんと呼ぶ」

音量が大である。数量が多い。

洒落本遊子方言(1770)発端声が大きいかな」

価値がある。重大である。

応永本論語抄(1420)学而「そっとした事に大き事にも礼ばかりを用て、和を不用、事が不成也」

(5) 規模が大である。盛んである。豊かである。

寄合ばなし(1874)〈榊原伊祐〉初「何某より大(オホ)きく暮したい、何某より能い身代になりたいと、さまざまの願ひ望み起すも」

(6) 度量などが広い。寛大である。

くれの廿八日(1898)〈内田魯庵〉四「少(ちっ)との事は勘弁して気を寛(オホ)きく持って」

(7) 程度はなはだしい。たいへんである。

甲陽軍鑑(17C初)品三七信州川中嶋にをひて、大きく負(まけ)、三千余うたれて後は」

(8) 大げさである。また、えらぶっている。ずうずうしい。

社会百面相(1902)〈内田魯庵古物家「『贋物鑑定違ひして却て真物(ほんもの)を廉(やす)く売る事がある、憎くない奴ぢゃ』と愚得大人大きく出た」

[語誌](1)室町時代以後、「大きい」が生じたのは、古代からある対義語小さし」の存在による。すなわち、「大きなり」(形容動詞)⇔「小さし」(形容詞)の組よりも、「大きい」(形容詞)⇔「小さい」(形容詞)の方が、より対称性がはっきりするからである。「高し」(形容詞)⇔「低(ひき)なり」(形容動詞)から「高い」(形容詞)⇔「低い」(形容詞)という組が形成されたのも、同様に考えられる
(2)大きい」が成立すると、もとの形容動詞大きなり」は、連体形大きなる」が「大きな」という連体詞の形で、連用形大きに」が副詞の形で(関西感謝言葉おおきに」もこれからきている)残存した。連体詞大きな」が成立するとともにそれまでなかった対義の連体詞小さな」も成立した。

〔名〕


おっき・い【大】

〔形口〕 「おおきい(大)」の変化した語。

滑稽本浮世床(1813‐23)初「ホンニヨ一日置捨利をとられるばかりも大(オッ)きいはな」

落語・阿七(1890)〈三代目三遊亭円遊〉「成程…恐し巨大(オッキ)イ小児(がき)だなア」




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