その他のフレイムヘイズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 05:42 UTC 版)
「フレイムヘイズ」の記事における「その他のフレイムヘイズ」の解説
カムシン・ネブハーウ[Khamsin Nbh`w] 声 - 皆川純子 『儀装の駆り手(ぎそうのかりて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。初登場はVI巻。最古のフレイムヘイズの1人であり歴戦の古強者で、既に数千年の時を生きていた。そのため周りからは「爺さん」「ジジイ」「カムシン翁」などと呼ばれていた。『壊し屋』の異名で知られ、現代まで“紅世の徒”によってできた世界の歪みを修復できる、世界でも数少ない『調律師』の1人として活動していた。なおカムシンとは、アラビア語で「サハラ砂漠を吹き渡る熱風」を意味する。『四神』からの呼称は『聳える岩』。 見た目は10に満たないほどの少年で、これまでの戦いで負った傷が全身に残されていた(本来は消すことが出来るが、カムシンは他者との思い出としてわざと残している)。神器“サービア”は飾り紐型で、カムシンの左手に巻かれていた。また、布でグルグル巻きにした、身の丈の倍はある長く太い鉄棒型の宝具『メケスト』を担ぎ持ち歩いていた。フレイムヘイズであるが故の存在感と違和感、見た目の年齢と傷だらけの外見によるギャップは見る人間を怖がらせてしまうため、普段はフードを深く被っているが、それでも『メケスト』を担いでいることで目立っていた。御崎市を去り際、吉田一美から麦わら帽子をプレゼントされ、以降はフードの代わりにその麦わら帽子を被っていた模様。 戦闘の際には自在法『カデシュの心室』を核として、周囲に支点となる自在法『カデシュの血印』を配置し、それらをエネルギー流であるカデシュの血脈で結んで瓦礫を寄せ集めた巨大な『儀装』を纏う。その姿は瓦礫の巨人とも呼ばれる(アニメ1期では瓦礫の巨人を外部から操っている)。また『調律』の際は、『カデシュの血印』や『カデシュの心室』を応用している。 瓦礫の巨人は、右手に『メケスト』を柄として炎で瓦礫を鎖のように繋げた巨大な鞭を持ち、左手は『アテンの拳』と呼ばれる凄まじい破壊力を持ったロケットパンチになる。瓦礫の鞭を振り回し、遠心力で放った瓦礫から流星のように炎を噴出し、勢いを増加させて砲弾として撃ち込む『ラーの礫』や巨人の周囲に瓦礫を回転させながら放つ『セトの車輪』と呼ばれる技も持つ。どの攻撃も破壊力は極めて大きいが、動作は大雑把で命中精度は低い。こうした特性から大規模な破壊活動を得意としており、その荒々しい闘い方は歴戦の勇者をも恐れさせた。 『儀装』を用いない直接戦闘は不得手だが、カムシン自身も無双の怪力を持つ。フレイムヘイズの性質上、長寿は実力の証であり、最古のフレイムヘイズであるカムシンの戦闘力は現代でも名高い。 長い歳月のうちにフレイムヘイズとして精神が昇華した「シャナ以上に使命に純粋なフレイムヘイズ」。表面上は穏やかな少年だが、内面はかなり老練としている。感情に乏しく事務的で、冷淡に見られがちだが、自身の感情が表に出にくいだけで他者を思いやる気持ちや感情への理解は深い。しかし何よりフレイムヘイズの使命を優先するため、必要ならば他者が抱く感情を利用したり容赦なく切り捨てたりできる冷徹さも持ち併せる。本人の回想によると、かつては「相当、気の短い方」で現在は「恐らくは余程マシになっただろう」とのことだった。 喋り始めに「ああ」とつける癖があり、誰に対しても敬語で喋る。 中世の『大戦』には参加していないが、マティルダとは知己の仲。『大戦』最終決戦の数年前には、フレイムヘイズの駐屯地でゾフィーたちの会議に参加していた。その後はピエトロやヤマベと行動を共にしていた模様。 人間時代は「とある暑い国(北アフリカ)」の王子であった。幼少の頃、ある女性の“徒”と出会い交流するうち、“存在の力”を感じ取れるようになり、また彼女と愛し合うようになる。しかし「カムシンのため」に父王を喰らおうとした彼女と戦うことを選び、殺されそうになったところで契約した。以後逃げた“徒”を追い続け数百年後に再会、互いに愛し合いながら憎み合って戦い、壮絶な死闘の末に討滅した(VI巻、XVII巻より)。 最古のフレイムヘイズの一人として、数千年前に起きた“祭礼の蛇”を『久遠の陥穽』に放逐した『神殺し』の戦いにも、『棺の織手』ティスらと共に参戦していた。 本編では、大きな歪みを感知し『調律』のため7月に御崎市に現れた。その際、『調律』に必要な「その土地で生まれ育った人間」として吉田一美を選び、彼女が“紅世”と関わるきっかけを作った(VI巻)。その直後、襲来した“探耽求究”ダンタリオンの実験を、悠二やシャナ達と共闘して阻止した。このとき、悠二とシャナが佐藤や田中に正体を明かすきっかけにもなった。また悠二からは「絶対に好きになれない奴」とおもわれた(VII巻)。 翌年1月、フレイムヘイズ兵団の総指揮官『震威の結い手』ゾフィー・サバリッシュの依頼を受けて(XVI巻)御崎市を再訪。『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルによるシャナ奪還作戦を有益と判断し、協力を承諾する(XVII巻)。 対[仮装舞踏会]戦では、ヴィルヘルミナやレベッカと三人にして六人で『天道宮』を通じて『星黎殿』へ侵入。レベッカと共にシャナ奪還作戦の陽動を担当、シャナが幽閉から逃れるきっかけを作る。また『神門』と『秘匿の聖室』を守っていた『マグネシア』が消失した直後、『秘匿の聖室』を破壊し『神門』の存在をこの世に知らしめた。その後シャナたちと合流し、『神門』の正体や“祭礼の蛇”坂井悠二たちの居場所を知ると、緊急性の高さに勘付きシャナたちと共に『神門』に突入する(XVIII巻)。 そして『神門』と“祭礼の蛇”神体を繋ぐ『詣道』の途中で待ち伏せていた“壊刃”サブラクと遭遇。“祭礼の蛇”神体帰還を阻止すべくシャナを先へ行かせ、自身はヴィルヘルミナやレベッカと共にシャナへの追撃を阻むべく、サブラクと交戦する。しかしサブラクの能力特性のため『儀装』の本領を発揮できず苦戦を強いられ、敗北は時間の問題という状況の中で時間稼ぎの死闘を演じる。そこへ復活した“祭礼の蛇”神体が現れ、サブラクが戦いを放棄したため、そのままサブラクを両界の狭間に落とし討滅した。そしてシャナと合流した後、『詣道』に漂う最古のフレイムヘイズたちの成れの果てたる色付く影の助力でその場を離脱し、“祭礼の蛇”神体たちより一足早く『神門』を抜けてこの世に帰還した(XIX巻)。なお『神門』を抜ける直前、助力してくれた色付く影の一人がかつての旧友(当人の形容するところの、「弾け躍る大太鼓」の契約者である「闇を撒く歌い手」)らしきことに気づき、密か微かに悲痛の表情を作った。 直後、この世に帰還した“祭礼の蛇”坂井悠二の大命宣布によってフレイムヘイズ兵団の敗北が決定的になると、兵団の撤退を援護すべく参戦。レベッカと共に“呻の連環”パイモンを討滅し、マージョリーに貰った囮の『天道宮』で敵軍を撹乱しながら戦場を脱出した(XX巻)。 フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には、ニューヨークでシャナたちと合流しており、シャナが『大地の三神』の同行を取り付けるのを見届けた。その後、飛行機で日本に移動する。御崎市決戦では、(はっきりとは描写されていないが)[百鬼夜行]に『真宰社』内部へ密かに侵入させてもらい、基部に『カデシュの血印』をマーキングして破砕、瓦礫の巨人を作り出した。これによって『真宰社』は倒壊寸前まで追い込まれるが、シュドナイが巨大化させた『神鉄如意』が芯柱として支えることで阻止される(XXI巻)。『約束の二人』と[百鬼夜行]の逃走の際に合流し、その護衛に当たるが、逃走用の“燐子”の車が消滅した為、押し寄せる多数の“徒”の前に盾として立ち塞がる。新世界『無何有鏡』の完成までその場を死守するも、『揮散の大圏』の一斉消滅によって半身を消失するなどダメージは激しく、愛し憎んだ“徒”を想いながらシャナや一美らに看取られ、「あぁ、麦わら帽子なくしてすみません」と言い忘れたことを心残りにしつつも消滅した(XXII巻)。 アニメでは第1期から登場。“徒”に襲われないように=封絶内でも動けるようにと、神器“サービア”の飾り玉の1つを吉田一美に渡していた。アニメ第2期では、パリの外界宿でヴィルヘルミナにフィレスの生存と目的を告げた。“不抜の尖嶺(ふばつのせんれい)”ベヘモット[Behemoth] 声 - 宝亀克寿 カムシンと契約している男性の“紅世の王”。炎の色は褐色。 枯れた老人のような穏やかな口調で話すがカムシンに劣らず事務的かつ冷徹な性格で、『逆転印章』発覚の際には、状況を早くに理解していれば、この世のバランスのために人間の犠牲を無視して御崎市を破壊していたとも発言している、「優しく見える非情」。「ふむ」と最初に言うのが口癖。 最終巻でカムシンが戦死したことで、“紅世”へ帰還した。そして、創造された新世界『無何有鏡』へ渡り来て、秩序派の“王”の一人としてシャナ(とアラストール)と再会した模様(外伝『ホープ』)。 アニメでは第1期から登場。 類似の名に旧約聖書の悪魔ベヘモス(ベヒモス)がある。 マティルダ・サントメール [Mathilde Saint-Omer] 声 - 岡村明美 シャナの前にアラストールと契約していた女性のフレイムヘイズで、先代の『炎髪灼眼の討ち手』。V巻で存在が明かされ、X巻で登場。『炎髪灼眼の女丈夫』の異名を持つ。16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦当時、欧州にて名実共に「当代最強」と謳われたフレイムヘイズだったが、その最終決戦にて死亡した『大戦の英雄』の一人。 外見は20歳前後(X巻巻末のラフスケッチメモでは、千草より若く吉田より年長、というイメージらしい)の若い女性で、炎髪灼眼の姿となっていない時の、素の髪と瞳の色は不明(『Eternal Song』の描写では赤系統と見える)。神器“コキュートス”は、黒い宝石に金の輪を付けた左手中指にはめる大振りな指輪の形をしている。シャナのペンダント型の神器“コキュートス”もこれを参考にしている。『夜笠』はマント状。 優れた剣技の使い手であると同時に、アラストールの強大な力を自在に操る技量の持ち主。固有の自在法『騎士団(ナイツ)』で、数百の炎の軍勢を顕現させる事ができる。この炎の軍勢は一体一体が並みのフレイムヘイズと同等の力を持っており、マティルダの指揮に応じて戦う。その形状や用法に制限はないと思われ、槍衾や弓矢を持った腕だけなど部分的に顕現させたり、軍勢をそのまま爆発させたり、マティルダそっくりの姿を取らせたりできる。また、この能力の一端として自身が振るう大剣、盾、矛槍などの武具や、乗騎となる悍馬も炎で顕現させていた。この自在法は、マティルダにとっての討ち手としての強さのイメージが「武装した自身を戦闘に敵陣に斬り込む騎士の軍団」だったことから編み出されている。原作において、『ラビリントス』内で発動した際の描写では、文字通りの騎士の他に、鳥や獣、怪物まで混ぜた異形の軍団となっていたが、その後の場面では騎士のみが描写され、『Eternal song -遙かなる歌-』では騎士型以外は登場しなかった。この自在法はマティルダの知覚できる範囲内にしか展開できないため、その外からの不意打ちには対応できないという弱点がある(大抵の場合その部分はヴィルヘルミナがフォローすることで戦闘を成立させている)。 ちなみに左利きらしく、右手には盾をつけている。 戦いに喜び(生きている快感)を見出す凛々しい女武人。戦いでは常に全力を尽くし、最善の手段であれば死をも辞さず、中途半端を何より嫌う。「フレイムヘイズとしての生き方」が、自身の追い求める最も理想的な生き方であった(人間としての在り方とフレイムヘイズという存在が一致していた)ことから、フレイムヘイズであることに至福を見出していた「変わり者」。当時の女性にしては淑女らしからぬじゃじゃ馬だが、周囲の者を惹きつける天性のカリスマの持ち主でもあった。 契約相手であり最大の理解者でもあるアラストールとは相思相愛の仲。また宿敵である“紅世の王”・“虹の翼”メリヒムにも愛されていたが、自身の愛を押し付けマティルダを理解しない彼に振り向くことはなかった。 親友のヴィルヘルミナなど、数多くの人の心に大きなものを遺した。彼女の「天下無敵の幸運を」という言葉は、数百年を経た現在もアラストールやヴィルヘルミナの心に残っている。 人間時代の詳しい経歴は不明だが、何らかの理由で処刑されそうになったらしい描写が見られる。また、その剣技や固有の自在法『騎士団』から、何らかの軍団の指揮官であった可能性が高いものの、真偽は不明。 討ち手となってからは東方で戦っていたが、15世紀末、[とむらいの鐘]が起こした『都喰らい』の直後、東方から駆けつけ敵将“戎君”フワワを討滅。“虹の翼”メリヒムや『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルと出会ったのも、この頃である。その後も先頭を切って[とむらいの鐘]と敵対し、フレイムヘイズの旗頭となってその結束に大きな役割を果たした。 16世紀初頭、ヴィルヘルミナと二人で[巌楹院]を含めた六つの“徒”の大組織を壊滅させた。『小夜啼鳥』争奪戦では宝具の奪取こそ許したものの、“天凍の倶”ニヌルタを討滅。対[とむらいの鐘]の決戦となった後の『大戦』においては、『都喰らい』で巨大な存在と化したアシズを討滅、『壮挙』を阻止するための打開案を求め焦っていたところに、アラストールからブロッケン要塞に乗り込んで“天破壌砕”を発動させ、顕現したアラストールがアシズを滅ぼすという提案を持ち出されてこれに乗り、ヴィルヘルミナと共にガヴィダの協力を取り付けて[とむらいの鐘]の拠点であるブロッケン要塞へ直接突撃。待ち構えていたメリヒムたちと対戦し辛くも勝利するが、チェルノボーグの不意打ちを受け致命傷を負う。満身創痍の身で“棺の織手”アシズと対峙し、彼の『壮挙』を阻止すべくアラストールを神威召喚、その顕現に耐えられず死亡した(X巻)。 幼少期のシャナは、フレイムヘイズとしての教育の都合上、彼女の素晴らしさや見事さなどは聞いていたものの、具体的に彼女がどんな戦い方をしていたかや、どうして亡くなったかは知らなかった。死因は契約直前にアラストールに聞かされ、その後に戦い方も御崎市でのフレイムヘイズの能力の上達で「参考」として聞かされるようになった。 アニメ第1期および第3期で、ヴィルヘルミナの回想の中に登場。なお、0巻収録のパロディ「しんでれらのしゃな」にも台詞だけで出演している。 ゾフィー・サバリッシュ[Sophie Sawallisch] 声 - 勝生真沙子 『震威の結い手(しんいのゆいて)』の称号を持つ女性のフレイムヘイズ。初登場はX巻。『肝っ玉母さん(ムッタークラージェ)』の異名を持つ。高い戦闘力を誇り、長い年月を現代まで生き延びる女傑で、16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦で活躍した「大戦の英雄」の一人。『四神』からの呼称は『天空の槌』。 40過ぎの丸顔の中年女性で、修道女の姿をしている(SII巻『ゾートロープ』を見る限り、剃髪はしていない)が、十字架は身に着けていない。神器“ドンナー”は蒼い十字の星型で、ゾフィーが被るベールの額に刺繍されている。 雷を操る。紫電をまとい敵に飛び蹴りを食らわせるほか、雷を推進力にした高速飛行(に近い大ジャンプ)も可能。長時間闘うことは出来ないものの、瞬発的な戦闘力は群を抜く。また、普通に手先から電撃を放って接近戦を行うことも可能。 軍の指揮官としても優れた戦略・戦術家で、対[とむらいの鐘]戦では戦力差を埋めるため近代兵器を用いた戦術や布陣などを指示し、一定の戦果を上げている。 肝っ玉母さん(ムッタークラージェ)の異名に違わない、厳しくも優しく思いやりのある面倒見の良い母親のような性格。基本的に穏やかでおおらかだが、優れた判断力や決断力で周囲を黙らせる押しの強さも持つ。一方で子供のような稚気も漂わせ、いたずら心から他人をからかうような言動も見られる。また、出撃やここ一番では「アーメン・ハレルヤ・この私」と「自分に願う」ための祈りを捧げるのが習慣。 シャナが『天道宮』から旅立って最初に出会ったフレイムヘイズで、シャナが「師」と仰ぐ一人。先代『炎髪灼眼の討ち手』マティルダやヴィルヘルミナとも親交があった。 周囲からの信頼が厚く、対[とむらいの鐘]戦で兵団の総大将となっていたことからも、幅広い交友関係がある模様。当時「濫造」されたフレイムヘイズは「ゾフィーの子供たち」と称されている。後述のセシリアもこの一人。 人間時代には夫に二人の我が子を殺され(SII巻『ゾートロープ』より)、その他諸々の権力闘争を嫌って修道院に入ったという経歴を持つ元修道女(XIII巻より)。 16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦では総大将の任を満場一致で押し付けられ参戦、その策略でカール・ベルワルドに敵将“焚塵の関”ソカルを討滅させたほか、自らも出陣し敵将“巌凱”ウルリクムミを討滅した(X巻)。 20世紀初頭の対[革正団]戦争で、補佐役にして生涯の友たる二人のフレイムヘイズ(ドゥニとアレックス)を失い、その後は隠居同然の暮らしをしていた。 20世紀末、フレイムヘイズとなった直後のシャナと出会い、社会性に欠ける彼女に最低限の一般常識と女性のたしなみを教えた(SII巻『ゾートロープ』)。以降、直接顔を合わせる機会は少ないものの、外界宿を通じて手紙のやり取りをするなど交流が続いていた。 本編開始後も隠居中であったが、8月頃に世界の外界宿を主導していたドレル・クーベリックと彼の率いる幕僚団『クーベリックのオーケストラ』(VIII巻)、同じく重要な外界宿の顔役であったピエトロ・モンテベルディと彼の主宰する運行管理者『モンテベルデイのコーロ』、その他の世界各地の主要な外界宿が相次いで失われたため、生き残った幹部から、10月頃に外界宿の指導者として半ば無理やり招聘された(XIII巻より)。 しかし、ドレルを失った外界宿ではフレイムヘイズ側と人間側の内部対立が起きていたため、その指導力を発揮できず、主要外界宿の喪失を食い止められずにいた。翌年1月、日本を除いた東アジア管区のほぼ全てのフレイムヘイズを喪失、襲撃者の正体が[仮装舞踏会]と確定し未曾有の危機に陥ったことで、ようやく外界宿組織の全権を掌握(XVI巻)。対[仮装舞踏会]戦に向け、全世界から残存する精鋭の討ち手らを召集し、再び「フレイムヘイズ兵団」を編成する(XVII巻)。 対[仮装舞踏会]戦では、発信者不明の電文とその検証により[仮装舞踏会]の本拠地『星黎殿』の位置を特定するという幸運を得て、[仮装舞踏会]主力軍の「敵戦力を事前に削ぐ陽動作戦」を逆手に取り、四千余名にものぼる兵団を自ら率いて、守備が手薄になった『星黎殿』への大規模強襲降下作戦を敢行。『星黎殿』至近への降下までは成功したものの、『星黎殿』直衛軍の予想以上の反撃によって進撃は思うように進まず、戦況は膠着状態に陥った(XVIII巻)。 その後『星黎殿』の墜落とシャナの『神門』突入前の宣布にも助けられ、苦闘の末に『星黎殿』直衛軍を突破、同軍総司令官“淼渺吏”デカラビアを討滅したが、直後に[仮装舞踏会]主力軍が到着し戦局が悪化。打開のためにシャナたちの犠牲を承知で『神門』破壊に及ぶも、死亡したと思われたフェコルーの『マグネシア』に阻まれ失敗(XIX巻)。更に帰還した“祭礼の蛇”坂井悠二が行った2度の大命宣布を止められず、兵団が総崩れになる最悪の結果を招いてしまう。その後は残存兵力の大多数を『天道宮』に撤退させ、自身は囮の『天道宮』を伴って随伴する討ち手たちと共に戦場を脱出した(XX巻)。 フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には、チューリヒ外界宿総本部に帰還。敗戦と“祭礼の蛇”が宣布した『大命』によって外界宿幹部が混乱し不毛な論戦を続ける中、総司令官として沈黙を守ったまま同席し続ける(XXI巻)。その後、御崎市決戦の報とシャナの表明文がチューリヒ総本部に届いたことで、総司令官の立場からシャナ個人の作戦に協力し、外界宿幹部が作戦へ干渉するのを防ぐ囮役であったことが発覚、総司令官職を罷免され、隠居生活に戻った(XXII巻)。 アニメでは第3期に登場。“払の雷剣(ふつのらいけん)”タケミカヅチ[Takemikazuchi] 声 - 野島裕史 ゾフィーと契約している古き男性の“紅世の王”。炎の色は眩い紫電。 古来より両界を行き来している歴戦の勇士であり、明哲な知恵者でもある。常に冷静で取りすましており、丁寧な口調ながら、的確すぎる故に辛辣な印象を与える。通称が和風なのは、かつて日本で(現在の契約者、ゾフィー・サバリッシュ以前のフレイムヘイズと)契約した際のものを使っているためである。『四神』からの呼称は『静かな稲妻』。太古の“祭礼の蛇”との戦いにも、カムシンに『稲妻の剣士』と形容された当時の契約者と共に参戦した。 アニメでは第3期に登場。 日本神話の雷神にタケミカヅチがいる。神器名の「ドンナー」はドイツ語で雷鳴の意味。 アレックス[Alex] 『殊態の揺り手(しゅたいのゆりて)』の称号を持つフレイムヘイズで、ゾフィー・サバリッシュの補佐役で生涯の友。16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦にも幕僚として共に参加した(X巻)。ぞんざいな口調で話す小男。神器“コルタナ”は剣型。20世紀前半の対[革正団]戦争で戦死した。 対[とむらいの鐘]戦を描いた外伝コミック『Eternal song -遙かなる歌-』によると、ドゥニと共に「充電期間」中のゾフィーを護衛していたとのことだった。“環回の角(かんかいのつの)”ハーゲンティ アレックスと契約していた“紅世の王”。炎の色は支子色。 20世紀前半の対[革正団]戦争でアレックスが戦死したことで、“紅世”へ帰還したと思われる。 ソロモン72柱の悪魔の一柱にハーゲンティという同名の悪魔がいる。 ドゥニ[Denis] 『憑皮の舁き手(ひょうひのかきて)』の称号を持つフレイムヘイズで、ゾフィー・サバリッシュの補佐役で生涯の友。16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦にも幕僚として共に参加した(X巻)。丁寧な口調で話す背の高い男。神器“リュパン”はマント型。20世紀前半の対[革正団]戦争で戦死した。 対[とむらいの鐘]戦を描いた外伝コミック『Eternal song -遙かなる歌-』によると、アレックスと共に「充電期間」中のゾフィーを護衛していたとのことだった。“截の猛狼(せつのもうろう)”ガルー ドゥニと契約していた“紅世の王”。炎の色は“木賊色”。 20世紀前半の対[革正団]戦争でドゥニが戦死したことで、“紅世”へ帰還したと思われる。 フランス語で「ルー・ガルー」という狼男の一種を指す言葉がある。また、神器名の「リュパン」はフランスの伝承で狼憑きや狼姿の精霊を意味する。 カール・ベルワルド[Karl Berwald] 『極光の射手(きょっこうのいて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。X巻に登場。単独での高速戦・乱戦では屈指の強さを誇る、数百年を生きた強力な歴戦のフレイムヘイズ。フレイムヘイズによくみられる傲慢な性格で、人に従うことを嫌う。倒した“徒”の数ならマティルダやヴィルヘルミナをも上回った。 外見は気の強そうな青年。 巨大な鏃型の神器“ゾリャー”に乗り、その両脇から展開する極光の翼を流星に変えて放つ『グリペンの咆』と『ドラケンの哮』が最大の攻撃。対[とむらいの鐘]戦を描いた外伝コミック『Eternal song -遙かなる歌-』では、二代目のキアラと同様に極光の弓矢を使う場面も見られた。 『まずはブチ当ってから対処する』という戦闘スタイルで“紅世の王”を含めた数々の敵との戦闘を勝ち抜いてきた。高い実力のためか警戒心は薄く、慎重とは言い難い。『Eternal song -遙かなる歌-』での訓練場面では「我が部隊に必要なのはただ一つ、突撃だ!」とまで豪語していた。 人間時代は「北の国(北欧?)」の公子であり、女たらしで傲慢でせっかちであった。生まれて初めて本気で恋したフレイムヘイズの自在師を“紅世の王”に殺された怒りから契約した(XV巻より)。 16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦では、その性格や実力から兵団の副将に任命され、開戦直後に敵将“焚塵の関”ソカルを討滅する功を挙げた。しかし集団戦の経験が乏しかったうえに指揮官としての自覚がなく、自身のみで戦況を変えられるという慢心から、敵の戦略に嵌り兵団から引き離され孤立。“千変”シュドナイとの一騎討ちとなり、予想を遥かに上回るシュドナイの戦闘力に対処できず、死亡した(X巻)。“破暁の先駆(はぎょうのせんく)”ウートレンニャヤ / “夕暮の後塵(せきぼのこうじん)”ヴェチェールニャヤ[Outrenniaia/Vetcherniaia] 声 - 葉山いくみ 双子の女性の“紅世の王”だが、2人として存在している訳ではなく、1つの体に2つの意思が存在している一心同体の姉妹という他に類を見ない形の“王”(人間で言うと二重人格に近い)。炎の色はオーロラ。『四神』からの呼称は『翻る双面』。 彼女たちと契約した『極光の射手』最強の自在法『グリペンの咆』と『ドラケンの哮』は、破壊力において、メリヒムの『虹天剣』にこそ及ばないものの、連射や誘導など応用が自在に利き、近距離での直接攻撃も可能。この自在法を“ゾリャー”に乗っての高い機動力を生かした高速戦闘と併せる事で、近遠問わずに戦う事も可能という、汎用性に非常に長ける強力な討ち手となりうる。 ウートレンニャヤは艶っぽい女性の声、ヴェチェールニャヤは軽くはしゃいだ少女の声をしている。自身の炎の色であるオーロラ色の美しさを認めた相手と契約する、契約者であるカールやキアラを誇る発言が多いなど、揃って自負心が強い。 契約者であるカールともども浅慮な性格で、カールの強さを誇りに思う余りに油断し、オルゴンの策に嵌りつつあった彼の失策を咎めるどころか一緒に楽しんでいた。それが仇となり、カールと共にシュドナイの『神鉄如意』に潰されて“紅世”へ帰還した。 その後、19世紀末に再びフレイムヘイズとして、二代目『極光の射手』キアラ・トスカナと再契約した。咎める事無く暴れさせた事でカールを死なせてしまった事を後悔しており、キアラは大事に育てている。同性であるためか、キアラを「女性として」かばう発言もしばしば見られる。 アニメでは第3期に登場。 スラヴ神話に夜明けのオーロラ、夕暮れのオーロラをそれぞれ司る同名の神が存在する。神器名の「ゾリャー」は二人の神に共通する名で、オーロラを意味する。 フランソワ・オーリック[François Auric] 声 - 松岡禎丞 『姿影の派し手(しえいのはして)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。現代の『大戦』ではフレイムヘイズ陣営の総司令官ゾフィー・サバリッシュの副官を務めていた。名前はX巻で登場していたが、本人の登場はXVII巻からである。 長髪で目元を覆った細身の青年。探検家のようなサファリルックに多くのポーチを腰に下げ、大きな壷型の神器“スプレット”を背負うという奇抜な格好をしている。 水を操る能力を持ち、川や水脈や雪等を利用した遠距離への干渉と探知、遠話に加え、ある一定の範囲内の天候の制御まで行う事ができる。さらに、その天候操作という技術に関連して、各種データを元にした、人間の科学力では為しえない精度での天候予測まで行える。 やや落ち着きのない慌て者で、契約相手の“布置の霊泉”グローガッハによく突っ込まれる。対[仮装舞踏会]戦において無名のフレイムヘイズと同様の反応をたびたび見せており、作中では比較的「平凡」なフレイムヘイズである模様。 本編登場以前の経歴は不明だが、対[とむらいの鐘]戦時から生き延びており、X巻の終盤に名前だけ登場している。その後は、時期は不明だが外界宿に長年勤めていた模様。 本編では、対[仮装舞踏会]戦でゾフィーの副官を務め(XVII巻)、持ち前の正確な天候予測で『星黎殿』強襲降下作戦のタイムスケジュール立案に尽力し、降下成功の一翼を担った。降下後はゾフィーと共に進軍し、その優れた探知能力で兵団全体の侵攻を補助する(XVIII巻)。戦況の膠着後も探知能力で周辺地域を警戒し続け、“淼渺吏”デカラビア討滅直後に西部方面主力軍と南方防衛線の部隊の接近をいち早く感知、戦況の悪化に動揺する。更に『朧天震』が発生し、“祭礼の蛇”神体の帰還が近いことを察知したゾフィーが『神門』の破壊を決断した際には、驚きを隠せなかった(XIX巻)。しかし『神門』が破壊されなかったことと、帰還した“祭礼の蛇”坂井悠二の大命宣布に激しく動揺し、2度目の宣布で完全にパニック状態に陥ってしまう。その後、ゾフィーに張り倒され正気を取り戻すと、救出された数百人の討ち手たちと共に『天道宮』へ撤退した(XX巻)。 フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には、ゾフィーの副官として彼女と共にチューリヒ外界宿総本部へ帰還、その立場を利用して密かにシャナたちへ情報を提供しつつ、幹部会議の場で不毛な論戦を悄然と聞いていた(XXI巻)。その後、ゾフィーの罷免と共に副官を解任された(XXII巻)。以後の動向は明らかでないが、グローガッハが「高みの見物」と言っており、新世界『無何有鏡』完成後もこの世に残った(XXII巻)。 シャナたちが新世界へ旅立った後は、ダンたちと共にこの世(旧世界)の外界宿で残務処理を行っている(外伝『フューチャー』)。 アニメでは第3期に登場。“布置の霊泉(ふちのれいせん)”グローガッハ[Grogach] 声 - 小幡記子 フランソワ・オーリックと契約している女性の“紅世の王”。炎の色は紫苑色。 冷静な性格をしている“王”。落ち着きのないフランソワの発言を補完するような発言が多い。 アニメでは第3期に登場。 フランスのブルターニュ地方にグローガッハという同名の女妖精が存在する。 ティス[Tis] 『棺の織手(ひつぎのおりて)』の称号を持つ女性のフレイムヘイズ。カムシンは「金環頂く乙女」と形容した。 蒼い髪をした少女。神器は頭に嵌める金の輪型の“無名の金環”。戦闘時にはこれが天使の環のように浮き上がり、背中に光の翼が現出する。 アシズの能力である閉鎖空間『清なる棺』を対象の体の各部に個別出現させ、分割・爆砕するという戦法を使う。本編登場時には既に亡くなっており、戦闘シーンは『Eternal song -遙かなる歌-』におけるアシズの回想で描かれたのみである。 最古のフレイムヘイズの1人で、“祭礼の蛇”を『久遠の陥穽』に放逐した『神殺し』の戦いにも参加していた。信心深い少女で、契約している“冥奥の環”アシズを「天の使い」と崇め慕っていた。遥か昔、最初期のフレイムヘイズたちを率いて数多の“紅世の徒”の組織を壊滅させた強力な討ち手だったが、“徒”と戦い、力を使い果たしたところに、その力を恐れた人間の裏切りと凶刃を受け、非業の死を遂げた。その後は力尽きた討ち手の宿命として消滅するはずだったが、“王”として顕現したアシズによってその体は『清なる棺』へと保存され、ブロッケン要塞「首塔」の中枢部に安置されていた。『壮挙』に当たって『小夜啼鳥』に起動させた『大命詩篇』によって存在の一部を分解され、アシズの存在の一部と共に『両界の嗣子』へと変換されて行ったが、最終局面において顕現したアラストールにより、『大命詩篇』や『両界の嗣子』ごと握り砕かれた。 アシズを深く強く恋い慕っており、彼女が死に際に遺した夢がアシズを『壮挙』への道へと歩ませた。 アニメでは第3期に、アラストールの回想の中でアシズと共に姿だけ登場した。 初期設定は「アシズの契約者」であること以外にほとんど存在せず、文章のイメージを許にいとうのいぢ氏がビジュアル化したという経緯がある。“冥奥の環(めいおうのかん)”アシズ[Asiz] ティスと契約していた男性の“紅世の王”。炎の色は青。 フレイムヘイズのシステムが誕生した最初期の頃に、両界のバランスを守るという使命に燃えてこの世へと渡って来た。しかし、契約者ティスの死と共にフレイムヘイズから離反する。詳細は[とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]を参照の事。 アニメでは第3期に、アラストールの回想の中でティスと共に姿だけ登場した。 キアラ・トスカナ[Chiara Toscana] 声 - 茅野愛衣 カール・ベルワルドに続く二代目『極光の射手(きょっこうのいて)』である、女性のフレイムヘイズ。初登場はXV巻。『四神』からの呼称は『閃く矢』。 見た目は15歳程度のおさげ髪の少女。神器“ゾリャー”は、通常は二個一組の鏃型の髪飾りだが、『極光の射手』真の力を発揮する際には合体して、人間が乗れるほど巨大な鏃型となる。 『極光の射手』の真の力を振るえない頃は、二個の“ゾリャー”を両端にした極光の弓を作り出し、そこから極光の矢を放つ戦闘スタイルであった。真の力を発揮する際には、先代のカール同様“ゾリャー”を駆って『グリペンの咆』と『ドラケンの哮』を放つ。 優しく生真面目なしっかり者だが、やや口うるさく世話焼きな面も見られる。契約してそれなりの期間が経つが、精神年齢も少女のままに近い。 “絢の羂挂”ギゾーのフレイムヘイズ『鬼功の繰り手』サーレ・ハビヒツブルグを師匠としており、彼らを強く慕っている。サーレの手を握ると心が落ち着く。 19世紀末、早くに母をなくし父一人娘一人の家庭で育つ。父が“徒”に殺される間際に契約したが、見えたオーロラの美しさに見惚れて父を見殺してしまったため、自身の炎の色であるオーロラ色の極光に強烈な自己嫌悪と罪悪感を抱いてしまう。こうしたトラウマから、契約したての頃は事あるごとに暴走していたが、サーレとギゾーに暴走を押さえ込まれて以降、彼らを師匠と慕うようになる。彼らと行動を共にすることで落ち着きを取り戻し、『極光の射手』の真の力を使えないまま戦歴を重ねていった。 契約から約10年後の1901年、ハワイ共和国ホノルルの外界宿(アウトロー)再建のために、サーレたちと共にハワイを訪問。現地で活動する[革正団]サラカエル一派との戦いを通じてトラウマを克服し、『極光の射手』の真価を発揮して[革正団]サラカエル一派の活動を阻止した(XV巻)。 現在ではサーレと恋人同士になっており、本人たちは隠しているらしいが、息の合ったコンビネーション以上に痴話喧嘩やペアルックを着るなど、傍目にもそうと分かるほど仲が良い模様。 本編では対[仮装舞踏会]戦に向けてフレイムヘイズ兵団に加わり、サーレと共に『犀渠の護り手』ザムエル・デマンティウスの代理として総本部のチューリヒへ来たが、痴話喧嘩で逃げたサーレを追って地中海のあたりに出向く(XVII巻)。サーレと合流後は追撃部隊の先鋒として、本拠地『星黎殿』への撤退を急ぐ[仮装舞踏会]ギリシア方面軍・エジプト方面軍との戦闘に参加した(XIX巻)。その後は輸送機で主戦場に向かう途中、“祭礼の蛇”坂井悠二の大命宣布を聞かされフレイムヘイズ兵団の敗北を悟らされるも、自身の役目を果たす為に戦い続ける事を決断、動揺するサーレを立ち直らせた。その後、サーレと共にマージョリーの誘導標識によって高速で中国南西部の戦場に接近し、『グリペンの咆』『ドラケンの哮』、そして“ゾリャー”の突撃でシュドナイに不意打ちを加えた後、シャナとヴィルヘルミナとマージョリーを拾い上げて戦場から離脱して香港へと向かった(XX巻)。 フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には、飛行機でニューヨークに移動する。そして、J・F・ケネディ空港でシャナと共に到着したサウスバレイとウェストショアを出迎える。その後、『イーストエッジ外信』でシャナが『大地の三神』の同行を取り付けるのを見届けた。御崎市決戦では、“ゾリャー”にシャナとヴィルヘルミナとサーレを乗せて、南方から高速で突入する。守備隊のオセが操る幻術に取り巻かれるが、シャナの一撃により難なく突破して『真宰社』へ到達する。そして、頂上に向かうシャナとヴィルヘルミナと別れて、『真宰社』防衛機構である数十体の鉄巨人とマモンを相手に空中戦に入った(XXI巻)。 その後、ダンタリオン討滅に逸るサーレをたしなめて、“ゾリャー”で『真宰社』を周回しながら、サーレのダンタリオンへの逆撃の罠を作る支援をした。それが成功し、唖然となるマモンに致命傷となる一撃を与えたが、突如湧き上がった『ダイモーン』の靄の前に、追撃はできなかった。新世界『無何有鏡』が創造された後は、『天道宮』をシャナたちの元まで誘導してきた。その後、サーレたちと共に新世界へ旅立った(XXII巻)。 新世界へ渡り来た後は、“紅世”に関する記憶や知識が再現されなかったことで混乱する新世界の外界宿の再編成の為に、暫定首班の座に就任させられたサーレの助手として、チューリヒで書類仕事に忙殺されている。しかし、時折仕事から逃げ出したサーレを追っては捕まえて連れ戻しているなど、相変わらずである模様(外伝『ホープ』)。 アニメでは第3期に登場。 サーレ・ハビヒツブルグ[Seere Habichtsburg] 声 - 松本忍 『鬼功の繰り手(きこうのくりて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。本人の初登場はXV巻だが、名前や称号はそれ以前から登場している。数々の武功を挙げた歴戦のフレイムヘイズで、人形使いとして有名。 ひょろ長い体格のガンマン風の装いで、見た目は30歳前後。神器は二丁一組の“レンゲ”と“ザイテ”で、十字型の手板(操作板)型。 戦闘時には、“レンゲ”と“ザイテ”から不可視の力の糸を出し、この糸に繋いだあらゆる物を操る。単なる瓦礫を“燐子”の攻撃も受け止める強固な人形へと変えたり、海水から巨人を作り出す、相手の自在法そのものに糸を繋ぎ操るなど、サーレの技巧と合わさって強力な力を発揮する。 一見不真面目で飄々としているが、その実したたかな性格。契約した経緯から通常のフレイムヘイズのような「復讐心」は持ち合わせていないが、フレイムヘイズである自身の役目は心得ている(「日々に飯を喰らうがごとく平然と」使命を果たしている)。 「弟子」のフレイムヘイズ『極光の射手』キアラ・トスカナに対しては、口下手でデリカシーには欠けているものの、師匠として、また仲間として大切にしている。 また「教授」こと“探耽求究”ダンタリオンはある意味で「恩人」であり、生みの親という事で「親父殿」と呼び、特段恨みは持っていない模様。しかし最終決戦では「アンタみたいに極め付きに危険な奴を向こうにはやれない」と叫んだようにその在り様や行動を危険視しており、フレイムヘイズとして彼の企みを何度も邪魔しており、ダンタリオンからは『停滞不敏の失敗作』として嫌われていた。誰もが関わりを避けるダンタリオンに積極的に関わるという意味では、まぎれもなく「変人」。 人間時代は大道芸人であり、親方やパトロンである貴族達から見捨てられ食い詰めていたところを、“探耽求究”ダンタリオンに勧誘され、生き延びるために彼の「実験材料」となった。その後『強制契約実験』によってフレイムヘイズとなり、他の被害者がフレイムヘイズの自覚を持たず次々に亡くなる中、フレイムヘイズとして戦い続ける極めて特異な存在となる。かつての正式名称は『我学の結晶エクスペリメント13261-合体無敵超人』だが、本人達は恥ずかしいネーミングという事で嫌がっている。 1901年、ハワイ共和国ホノルルの外界宿(アウトロー)再建のために、キアラたちと共に同地へ派遣され、そこで[革正団]“征遼の睟”サラカエル一派と戦いを繰り広げた(XV巻)。 本編では対[仮装舞踏会]戦に向けてフレイムヘイズ兵団に加わり、キアラと共に『犀渠の護り手』ザムエル・デマンティウスの代理として総本部のチューリヒへ来たが、痴話喧嘩で地中海のあたりへ逃げ出した(XVII巻)。キアラと合流後は追撃部隊の指揮官として、本拠地『星黎殿』への撤退を急ぐ[仮装舞踏会]ギリシア方面軍・エジプト方面軍との戦闘に参加した(XIX巻)。しかし、主戦場に向かう途上の輸送機内で“祭礼の蛇”坂井悠二の『大命』宣布に自身も気付かずに平常心を失う。キアラの励ましで何とか立ち直ると、彼女と共に高速で中国南西部の戦場に飛来して不可視の糸でシャナたちを拾い上げて撤退を援護し、シャナたちと共に戦場を脱出する(XX巻)。 フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には、香港を経由してニューヨークで『大地の三神』と合流する。そして、シャナが彼らの同行を取り付ける間は、マージョリーと共にとある巨大で複雑な自在式の解体・走査を行っていた。御崎市決戦では、キアラの“ゾリャー”にシャナやヴィルヘルミナと同乗して、南方から高速で突入する。守備隊のオセが操る幻術に取り巻かれるが、シャナの一撃により難なく突破し、『真宰社』へ到達する。そして、頂上へ向かうシャナとヴィルヘルミナと別れて、教授が操る『真宰社』防衛機構である数十体の鉄巨人の攻略にかかる(XXI巻)。その後、苦戦しながらも遂に“探耽求究”ダンタリオンを討滅した。そして新世界『無何有鏡』が完成した後、キアラたちと共に新世界『無何有鏡』へ旅立った(XXII巻)。 新世界へ渡り来た後は、混乱する新世界の外界宿の暫定首班に就任させられて、チューリヒで外界宿の再編成を行っているが、時折逃げ出しては助手になったキアラに連れ戻されている模様。また、抜け出した際にヴィルヘルミナに依頼されて、『両界の嗣子』ユストゥスが行う自在式構築に対する制御術式を一通り見繕ったりもした模様(外伝『ホープ』)。 名前の綴りは『灼眼のシャナノ全テ 完』より。フレイムヘイズとしては例外的に、悪魔の名を持っている模様。 アニメでは第3期に登場。“絢の羂挂(あやのけんけい)”ギゾー[Gizo] 声 - 吉開清人 サーレ・ハビヒツブルグと契約している男性の“紅世の王”。炎の色は菫色。 気障ったらしい口調の割には親切なのが特徴。『強制契約実験』の被害者のはずだが、教授を「好敵手」と呼ぶなど、あまり恨んでいる様子は見られない。 アニメでは第3期に登場。 通称は西アフリカの神話の妖精アナンシの別名である。 虞軒(ぐけん) 声 - 慶長佑香 『剣花の薙ぎ手(けんかのなぎて)』の称号を持つ女性のフレイムヘイズ。XVI巻に登場。「東洋屈指の使い手」と謳われた強力なフレイムヘイズ。 玲瓏な美貌のスーツ姿の女性で、腰に巻いた紅梅色の帯に直剣型の神器“昆吾”を絡めている。 “昆吾”を中核に全身を紅梅色の高熱の霞へと変化させ、“昆吾”での神速の刺突・斬撃や霞による攻撃や離脱など、変幻自在に戦う戦闘形態『捨身剣醒(しゃしんけんせい)』を持つ。回転させた“昆吾”に合わせて霞を回転鋸状に纏わせ、突撃して引き裂く攻撃が『捨身剣醒』の奥義である。 (日本を除く)東アジアの外界宿を統べる人間の秘密結社『傀輪会』に所属する。ゾフィーとヴィルヘルミナの知己でもあった。 “千変”シュドナイを古い通名の蚩尤(しゆう)と呼ぶ、古参のフレイムヘイズ。 世界各地で外界宿が襲撃される中、ドレル死亡の余波で混乱に陥った欧州外界宿への不信感から、『傀輪会』が独断で「謎の外界宿襲撃者」殲滅作戦を計画、その全兵権を預かり、集団戦に長けた東アジアのほぼ全てのフレイムヘイズを集めて総力軍を結成。しかし敵の思惑に嵌り、謎の外界宿襲撃者(=[仮装舞踏会])を上海外界宿総本部に誘き出し迎え撃ったため、一晩も持たずに総員殲滅されるという完敗を喫する。最期は、長年自分を慕っていた『傀輪会』の大老・項辛に引導を渡した後、敵軍を率いる“千変”シュドナイとの一騎討ちに敗れ、死亡した(XVI巻)。 アニメでは第3期に登場。“奉の錦旆(ほうのきんぱい)”帝鴻(ていこう) 声 - 間宮康弘 虞軒と契約している男性の“紅世の王”。炎の色は紅梅色。 古風な言い回しの“王”。上海会戦の終盤で虞軒が戦死したので、“紅世”へ帰還した(XVI巻)。そして創造された新世界へ渡り来て、秩序派の“王”の一人として活動しており、『混沌期』にはベルペオルと協力を約した模様(『灼眼のシャナノ全テ 完』)。 アニメでは第3期に登場。 帝鴻は山海経などに登場する中国神話の怪神、または(蚩尤を処刑した)黄帝の別名。 アーネスト・フリーダー[Ernest Flieder] 声 - 浜田賢二 『骸軀の換え手(がいくのかえて)』の称号を持つ強力な男性のフレイムヘイズ。本人の初登場はXVII巻。現在は東京外界宿の幹部となっている。何故か姓の「フリーダー」と呼ばれるのを好む。 金髪を短く刈った、眉目秀麗な長身の男性。神器“アンブロシア”は洒落た小ぶりの造花型。 土中に自在に潜って姿を隠しながら、自分の姿を精巧に模した土人形を数十体作り出す。人形は触れられると鉄鋲を撒いて爆発し、それによって攻撃する。本体の能力は身体の硬度変換であり、全身の衣服や造花までも硬化させられる。 常に冷静沈着で指揮官としては優秀だが、小細工を弄する狡猾な策士的性格の持ち主。 [仮装舞踏会]の巡回士“驀地祲”リベザルとは旧知の間柄。 20世紀初頭に起こったハワイ諸島奪還時は制圧部隊の一員であった(XV巻より)。 本編では対[仮装舞踏会]戦を間近に控えた1月、単独行動を決意した『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルをフレイムヘイズ兵団へ引き込むため姑息な策を弄するが失敗、逆に東京外界宿の指揮官『輝爍の撒き手』レベッカ・リードの離反を招く。その後は兵団の総指揮官『震威の結い手』ゾフィー・サバリッシュの承諾を得て、東京総本部の指揮権を引き継いだ(XVII巻)。 対[仮装舞踏会]戦では、東部防衛線司令官として[仮装舞踏会]東部方面主力軍を迎え撃つ。敵将“驀地祲”リベザルの巧みな指揮と圧倒的な戦闘力により、わずか半日で陥落寸前まで追い詰められるが、本拠地防衛のため[仮装舞踏会]軍が撤退し始めたお陰で、辛うじて防衛に成功する(XVIII巻)。 二月の全世界の“徒”による日本大侵攻を前に、副司令オルメスとの協議の末に日本外界宿の構成員たちを連れて、日本から撤退した(XXI巻)。その後はゾフィーの要請を受け“笑謔の聘”ロフォカレの行方を捜索、天山山脈で接触する。そしてロフォカレに導きの神への“神託”を要請するものの、導きの神の特性から受け入れられず、ロフォカレによる導きの神の神意召喚“嘯飛吟声”に立ち会うこととなった(XXII巻)。 シャナたちが新世界へ旅立った後は、この世(旧世界)の外界宿チューリヒ総本部に詰めて、日々勤めに精励している(外伝『フューチャー』)。 アニメでは第3期に登場。“応花の伎芸(おうかのぎげい)”ブリギット[Brigid] 声 - 高森奈津美 フリーダーと契約している女性の“紅世の王”。炎の色は鳶色。 か細い声で話す。心配性で小心な、子供のような性格の“王”。契約者のフリーダーに対して過保護で甘い。 アニメでは第3期に登場。 ケルト神話にダグザの三人娘であるブリギッドという同名の女神が登場する。 レベッカ・リード[Rebecca Reed] 声 - 桑島法子 『輝爍の撒き手(きしゃくのまきて)』の称号を持つ女性のフレイムヘイズ。名前や称号は以前から登場していたが、本人の初登場はXVII巻。「爆弾女」「バカ爆弾」「利かん坊」「暴れ馬」「爆弾魔」などと呼ばれているが、百戦錬磨の強力なフレイムヘイズ。 ショートヘアで細身の美人だが、目つきが悪く、ドスの効いた雰囲気を漂わせる。イラストでは歯がサメのようにギザギザに描かれている。神器“クルワッハ”は閉じた目の意匠が施された金色のブレスレット型で、レベッカの右手にはめられている。この“クルワッハ”の意匠の瞼は開閉できる。 着弾すると炸裂する光球状の自在法を使う他、“クルワッハ”の目から放たれる光線を当てた場所に現れ収束・爆発する瞳の紋章など、『爆弾』と称される自在法の使い手。一端は消えるが、効果範囲内の侵入者を探知し任意で爆破可能な閉じた瞳の紋章である爆弾の自在法『地雷』も使用する。他に瞳の紋章を盾としたり、瞳を閉じることで周囲の爆発のエネルギーを取り込み自分の攻撃に利用する事も可能。全力で戦う際には“クルワッハ”を胸の前に浮かべ、瞳の紋章を展開する。自身の爆発から身を守るため、“クルワッハ”は常に鎧として機能しており、爆破の力に応じて防御力も上下する。“クルワッハ”自体のある部分が最も防御力が高い。 こうした自身の能力を応用し、敵の攻撃を自身の爆破で相殺したり、敵の攻撃を取り込み爆弾の破壊力を上げたり、爆弾を小さく分裂させての広範囲を爆破したり、隠した紋章を時間差攻撃に利用したりといった技も持つ。 女性だが、一人称は「オレ」で乱暴な男性のような口調と性格の持ち主。気が短く大雑把で好戦的で、事あるごとにすぐに爆破を行うなど、一見するとその言動は物騒で乱暴で無計画だが、周囲の状況を的確に判断し対応する冷静さを併せ持ち、決して単純な猪武者ではない。他者への配慮や指導力にも優れ、当人は向いていないとしているが、部隊や組織のリーダーにもたびたび抜擢されている。好きな音楽はジャズ。またネーミングセンスが皆無に等しく、自在法につける名前は機能から拾ったそのままのものが大半。 “壊刃”サブラクとの交戦経験があり、サブラクをして「歯応えがあった」と評された程の凄腕。 ヴィルヘルミナやマージョリーとも旧知の仲で、御崎市を訪れる以前のシャナとも一度、戦いを共にした間柄。シャナのことを当時のシャナの自称から『贄殿の』という渾名で呼んでいる。『教授』ことダンタリオンの実験に巻き込まれてひどい目に遭わされた事があるらしく、彼の名前を聞いただけで顔が引きつっていた。新米当時の『極光の射手』キアラ・トスカナには、フレイムヘイズとしての精神の成長に関して助言を与えていた。 19世紀末期から20世紀初頭までは、ピエトロに頼まれフリーダーと共に海魔(クラーケン)達からハワイ諸島を奪還する制圧部隊のリーダーを務めていた(XV巻より)。 現在は東京外界宿の総指揮官となっていたが、1月、対[仮装舞踏会]戦に向けフレイムヘイズ兵団の一員として『震威の結い手』ゾフィー・サバリッシュの召集を受けていた。しかし、『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルの参戦を目論んだ『骸軀の換え手』アーネスト・フリーダーの姑息な策略を火種に外界宿の面々と(意図的に)決裂、旧友ヴィルヘルミナのシャナ奪還作戦に同行する(XVII巻)。その際「人質」となっていた佐藤啓作を助け、彼や『弔詞の詠み手』マージョリー・ドーへの配慮も見せた。 対[仮装舞踏会]戦では、ヴィルヘルミナやカムシンと三人にして六人で『天道宮』を通じて『星黎殿』へ侵入。カムシンと共にシャナ奪還作戦の陽動を担当、『星黎殿』内部で守備隊指揮官“哮呼の狻猊”プルソンと一騎討ちになる。激しい攻防の末に重傷を負い、殺される寸前で奇跡的な幸運によりプルソンを討滅。シャナ達と合流して危機を脱し、未だ体を起こすことも出来ない状態ながらも、シャナ達と共に『神門』へ突入する(XVIII巻)。 そして負傷から回復した頃、『神門』と“祭礼の蛇”神体を繋ぐ『詣道』の途中で待ち伏せていた“壊刃”サブラクと遭遇。“祭礼の蛇”神体帰還を阻止すべくシャナを先へ行かせ、自身はヴィルヘルミナやカムシンと共にシャナへの追撃を阻むべく、サブラクと交戦する。しかし『詣道』という場所やサブラクの入念な対策から苦戦を強いられ、新たな対策を講ずることもできないまま、敗北は時間の問題という状況の中で時間稼ぎの死闘を演じる。そこへ復活した“祭礼の蛇”神体が現れ、サブラクが戦いを放棄したため、そのままサブラクを両界の狭間に落とし討滅した。そしてシャナと合流した後、『詣道』に漂う最古のフレイムヘイズたちの成れの果てたる色付く影の助力でその場を離脱し、“祭礼の蛇”神体たちより一足早く『神門』を抜けてこの世に帰還した(XIX巻)。 しかし、その直後に帰還した“祭礼の蛇”坂井悠二の大命宣布によって敗北が決定的となり、『引潮』作戦に移行して南方の出城でカムシンと共に“呻の連環”パイモンを討滅するが、二度目の宣布によってフレイムヘイズ兵団が総崩れになった為、合流したマージョリーに貰った自在式の栞で囮の『天道宮』を作りだして撤退戦を援護し、随伴する討ち手たちと共に南東に脱出した(XX巻)。 フレイムヘイズ兵団が大敗した後は、シャナたちとは合流せず別行動を取っており、兵団の生き残りが隠れ潜む『天道宮』を分捕る為に動いていた(XXI巻)。その役割は新世界『無何有鏡』を“徒”の無制限な楽園にしないため、新世界『無何有鏡』で抑止力となるフレイムヘイズを集めてくることであり、新世界『無何有鏡』完成後は集めたフレイムヘイズ1225名と共に『天道宮』に乗って御崎市に到着し、ヴィルヘルミナたちと共に新世界『無何有鏡』へ旅立った(XXII巻)。 新世界へ渡り来てから一年後の春、『天道宮』を訪れてヴィルヘルミナと『両界の嗣子』ユストゥスの様子を見ながら話をしていると、やってきたシャナと再会し、新世界の外界宿の再編成について語り合った(外伝『ホープ』)。 アニメでは第3期に登場。回想にてヴィルヘルミナと2人で砂漠らしき場所を旅する場面も描かれた。“糜砕の裂眥(びさいのれっせい)”バラル[Balar] 声 - 砥出恵太 レベッカ・リードと契約している男性の“紅世の王”。炎の色は桃色。 のんびりとした声と性格の“王”。冷静で的確、前向きな考え方をするタイプながら、やや皮肉めいた言動が多い。 アニメでは第3期に登場。 ケルト神話にフォモール族の王、魔眼のバロールの別名で知られる同名の人物が登場する。 ザムエル・デマンティウス[Samuel Demantius] 声 - 野島昭生 『犀渠の護り手(さいきょのもりて)』の称号を持つ強力な男性のフレイムヘイズ。「孤児(シロッツィ)」の異名を持つ。『四神』からの呼称は「巌の盾」。 将校のような帽子を被りオーバーコートに皮手袋を着けた、左顔面に大きな傷のある隻眼の壮年の男。神器“ターボル”は親指大の銀杯型。中世では鉄兜に鎖帷子という、当時の兵士の格好をしていた。 即座に城や橋などを建造し優位な地歩を文字通り築く『ジシュカの丘』という自在法を持ち、これによって戦場の最前線に前哨陣地を作り出せる。また、産み出された城砦には他のフレイムヘイズの力を蓄える性質があり、それらの力を自在法『ジクムントの門』で攻撃や防御に使う事が可能である。更に守りの切り札として、様々な武器が内蔵された石の戦車を産み出す自在法『車両要塞(ヴァーゲンブルク)』を行使する。 これら集団戦に特化した能力と人間時代の経験から、一人一党気質のフレイムヘイズの中にあって、集団戦に長ける異質の人材。千軍万馬の卓越した将帥であり、広く高い視点から戦いを見る「変人」として知られていた。16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦や20世紀初頭の対[革正団]戦争において、組織編制や人員の結集、物資調達などの面で貢献し、多大な実績を上げている。単独での戦闘の際は『ジシュカの丘』を用いて地形を変化させる、あるいは建造物を設営して敵を閉じ込め、その隙に攻撃を加える、という戦法を使う。 軍人という経歴故か、非常に堅苦しい性格の持ち主。 “淼渺吏”デカラビアとは、長年に渡る宿敵であった。 人間時代は、傭兵として戦争に明け暮れていた。異名や神器の名称、自在法の名称、また「皇帝や十字軍を相手にしていた」という発言をしており、15世紀前半に起きたフス戦争の関係者だった。その死の間際、自分達の戦いがベルペオルに管理された一種の代理戦争『君主の遊戯』の下にあった事を知らされ、激しい怒りを覚えてフレイムヘイズとなった。 かつての欧州で集団を率いて多くの功績を挙げており、対[とむらいの鐘]戦ではフレイムヘイズ兵団に貢献したが、諸事情により本人は戦場には出ていない。『大戦』最終決戦の数年前には、フレイムヘイズ兵団の駐屯地でゾフィーたちの作戦会議に参加していた(『君主の遊戯』が絡んでいた)。 本編では対[仮装舞踏会]戦で、フレイムヘイズ兵団総司令部の幕僚長となり、兵団の編成を任される(XVII巻)。その後ゾフィー率いる『星黎殿』への大規模強襲降下作戦に加わり、殆ど無謀な突撃の先頭に立って常にはない猛攻を加えた結果、敵陣深くに出城を築くも、『星黎殿』直衛軍の驚異的な手強さの前に完全に足止めされ、そこから全く前進できずにいた(XVIII巻)。 その後『星黎殿』の墜落とシャナの『神門』突入前の宣布に助けられたこともあり、橋梁を築き自ら部隊を率いて『星黎殿』へ突撃、『星黎殿』直衛軍を陽動しゾフィーの対デカラビア戦を援護した。しかし、デカラビア討滅直後にハボリム率いる西部方面主力軍が『星黎殿』至近に到着し、フレイムヘイズ兵団に猛攻撃を加えるが、ザムエルはその窮地の中でも、ハボリムお抱えの大筒型“燐子”たちの橋梁への砲撃を咄嗟に防御壁を築いて防ぎ、さらに新たな前線基地を築くなどの奮戦ぶりを見せる(XIX巻)。だが、“祭礼の蛇”坂井悠二の『大命』宣布で再び戦局が逆転、撤退戦をシャナとヴィルヘルミナと共に行うも、2度目の宣布で兵団が総崩れになった為、城砦を捨ててシャナ達と共に後退する。その後、撤退するフレイムヘイズの目印となる石塔を立ててセンターヒルと共に兵団の殿となり、押し寄せてくる“徒”を引き付ける役目を果たした後に戦死した(XX巻)。なお、最後まで戦い続けたのは、意地や使命感ではなく「他にすべきことが思いつかなかった」という理由であった。 アニメでは第3期に登場。“吾鱗の泰盾(ごりんのたいじゅん)”ジルニトラ[Zirnitra] 声 - 山内健嗣 ザムエル・デマンティウスと契約している男性の“紅世の王”。炎の色は薄墨色。 しわがれた声で話す、無骨な性格をしている“王”。XX巻の終盤でザムエルが戦死すると、次なる戦いに備える為に“紅世”へ帰還した。そして新世界へ渡り来て、秩序派の“王”の一人として新世界の外界宿暫定首班に就任させられたサーレを助けながら、新世界が創造されるまで“紅世”で尻込みしていた“王”たちを教導する機関の創設準備を進めている模様(外伝『ホープ』)。 アニメでは第3期に登場。 東欧に、ジルニトラという同名の竜神にして魔法神が存在する。 ヒルデガルド[Hildegard] 声 - 斉藤佑圭 『昏鴉の御し手(こんあのぎょして)』の称号を持つ強力な女性のフレイムヘイズ。「昏(くら)き淑女」の異名を持つ。初登場はXVIII巻。 黒い喪服を常に身に付けている貴婦人で、顔は黒いベールで覆われている。ブローチ型の神器“フリズスキャルヴ”には真っ赤な宝石があしらわれている。 影を自在に操る自在法『瞑目の夜景』を使う。遠隔から自由に影を操作し、攻撃や補助を行う。多くは味方を鎧わせる形で使っている。攻撃の際は、影を人間大のワタリガラス型に変化させ、それを小さな烏型の弾丸に分裂させて飛び散らせ、攻撃する。 上品であしらいの上手い性格。全体を見て戦況を冷静に分析する明晰さや、ヴィルヘルミナを案じる思い遣りを見せる。 ヴィルヘルミナの知己の1人である討ち手で、他の知己であるピエトロやレベッカからは「ヒルダ」という愛称で呼ばれている。“煬煽”ハボリムとは因縁浅からぬ関係である模様。 本編登場以前の経歴は不明だが、少なくとも16世紀初頭の対[とむらいの鐘]戦当時は既にフレイムヘイズとして活動していたと思われる。現代ではフレイムヘイズの中でも重鎮とされる立場になっている模様(XVII巻)。 本編では、ヴィルヘルミナからのシャナ奪還作戦への参加協力要請に、[仮装舞踏会]への警戒網を統括する立場に任ぜられたため参加できないと断りの返信をしたが、別紙にて戦況についての詳細な見立てを記して可能な限りの援護をし、日本に居るレベッカにヴィルヘルミナのフォローを頼む(XVII巻)。 対[仮装舞踏会]戦では、西部防衛線司令官に任命され、外界宿アンドレイ要塞の塞主として指揮を執り、ハボリム率いる[仮装舞踏会]西部方面主力軍を迎え撃つ。ダンの自在法『プレスキット』の効果をもって最初から長期戦を狙って徹底した篭城戦を行い、わずか半日という短時間で西部方面主力軍が撤退を始めたため、危なげなく防衛に成功する(XVIII巻)。 アンドレイ要塞攻防戦後は要塞の防衛堅守を果たし、チューリヒ外界宿総本部に帰還する。“祭礼の蛇”の大命宣布で不毛な論戦を続ける上層部の会議に出席し、ヴォーダンともども無言のまま辟易していた(XXI巻)。 しかし、シャナ一派からの作戦計画書が届いたことによる真相の暴露によって、それがゾフィーの行動面・情報面での実働部隊への密かな支援だったと知ると、総司令官職を解任されたゾフィーを賞賛した(XXII巻)。 シャナたちが新世界へ旅立った後は、この世に残った“徒”たちを始末する為の捜索の指揮官になっている(外伝『フューチャー』)。 アニメでは第3期に登場。“鬼道の魁主(きどうのかいしゅ)”ヴォーダン[Wodan] 声 - 樋口智透 ヒルデガルドと契約している男性の“紅世の王”。炎の色は薔薇色。 厳かな声で話す“王”。語り口はかなり古風。 アニメでは第3期に登場。 北欧神話の最高神、オーディンのドイツ語読みにヴォーダンの名前が存在する。 ダン・ロジャース[Dan Rogers] 『具象の組み手(ぐしょうのくみて)』の称号を持つ男性のフレイムヘイズ。XVIII巻に登場。 見た目は、腕まくりしたワイシャツに、くたびれたズボンをはいた中年男性。神器“B.S.I”は万年筆型。 頼りない言動が目立つが、れっきとした強力な討ち手。 “B.S.I”でサインをした物を強化する形質強化の自在法『プレスキット』を使う。 アンドレイ要塞攻防戦を「ドレル爺さんの復仇戦」と意気込んでいることから、ドレルには世話になった模様。 外界宿の構成員から討ち手となった、齢百に満たない新しいフレイムヘイズ。ハボリムはアンドレイ要塞攻防戦まで、ダンと『プレスキット』に見覚えが無かったことから、20世紀初頭の対[革正団]戦以降に契約したフレイムヘイズと推測していた。 本編では、対[仮装舞踏会]戦の西部防衛線幕僚長に任命され、アンドレイ要塞の篭城戦を支える要として、司令官であるヒルデガルドと共に立て篭もり、ハボリム率いる[仮装舞踏会]西部方面主力軍を迎え撃つ。『プレスキット』で要塞と城壁を強化して持ち堪え、わずか半日で西部方面主力軍が撤退を始めたため、危なげなく防衛に成功した(XVIII巻)。 シャナたちが新世界へ旅立った後は、フランソワたちと共にこの世(旧世界)の外界宿で残務処理を行っている(外伝『フューチャー』)。 アニメでは第3期に、姿のみ登場した。“弄巧の摽(ろうこうのひょう)”フィフィネラ[Fifinella] ダン・ロジャースと契約している女性の“紅世の王”。炎の色は涅色。 「俺」という一人称を使ってキビキビとした男口調で話す“王”。ハボリムとは、ダン以前の契約者との間で交戦経験がある。 アニメでは第3期に、意思を表出させる神器だけ登場した。 イギリスやアメリカやカナダの軍隊に伝わる不可視の女妖精に、フィフィネラという名前がある。 ミカロユス・キュイ[Mikalojus Cui] 『興趣の描き手(きょうしゅのかきて)』の称号を持つフレイムヘイズ。その存在は以前から示唆されていたが、XXII巻にて初登場(ただし声のみ)。神器は筆型の“見えざる手”。 病的な顔立ちの男。調子外れな甲高い声が特徴で、文章の最後の言葉を繰り返すように相手に問いかける、独特な口調の持ち主。 その能力は、「石に木を書けば石が燃える」「雪に剣を書けば雪で木が切れる」といったように、振るう絵筆によって物体の色彩と特性を自在に変化させることである。独自の自在法として、擬似世界として描いた風景の中に対象を誘導し、閉じ込める自在法『パラシオスの小路』を使う。 その発想の奇抜さと好戦的な性格は、リベザルをして万事慎重にならざるを得ない程に危険な模様。当人は画家としての腕前にかなり自信があるようだが、契約している“王”ヨフィエルには厳しく批評されている。 [仮装舞踏会]との戦争では、その能力によって谷川連峰と奥利根山塊の風景にフレイムヘイズたちを同化させて潜伏し、『星黎殿』への帰途にあったリベザル率いる[仮装舞踏会]東部方面主力軍の進行を遅らせた。 シャナが御崎市にやって来る前に出会った数人のフレイムヘイズの一人で、シャナからは『乱暴絵描き』と呼称されていた。 御崎市での決戦に前後し、事前に張り巡らせていた『パラシオスの小路』で天山山脈を南下していたロフォカレを捕捉し、その場所へ向かっていた(XXII巻)。 シャナたちが新世界へ旅立った後は、何も考えずにフラフラ放浪している(外伝『フューチャー』)。 第3期アニメでは名前だけ語られた。“異験の技工(いげんのぎこう)”ヨフィエル ミカロユス・キュイと契約している男性の“紅世の王”。炎の色は感情により変化する茶色系。 老人らしき厳しい声をした“王”で、一人称は「我輩」。絵画に一家言あり、腕に自信のあるミカロユスの作品に対して、批評と抗弁からなる口論を繰り返している。 旧約聖書に登場するイオフィエルの別名である同名の智天使の長がいる。
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