死闘
死闘(バンパイヤ)
死闘―神子上典膳
死闘(神子上典膳)
死闘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 00:28 UTC 版)
ピエール・ロスタン武装上級曹長の第3中隊(約80名)はブラウナウアー通り(Braunauerstraße、現ゾンネンアレーSonnenallee)に沿って出撃した。彼ら第3中隊は燃料不足で機動を制限されている「ノルトラント」師団のティーガーII重戦車からの援護射撃を約束され、左側面にボムガルトネ武装連隊付上級士官候補生の第2小隊、右側面に中隊長のロスタンと副官デュムラン武装連隊付上級士官候補生、ジノー武装連隊付上級士官候補生の第1小隊が展開してベルリン市街の道路を進んだ。 第3中隊の戦いの火蓋は、突如として響き渡った機関銃の発射音によって切られた。ロスタンの隣を進んでいた副官デュムランは銃撃を受けて斃れた。ロスタンは即座に第1小隊に前進を命じたが、第1小隊長ジノーは恐怖のあまり麻痺状態に陥ったため、ロスタンは彼を後方に下げざるを得なかった。第1小隊の兵は指揮官を失ったものの、前進を続けた。 間もなく、第3中隊は道路の中央に築かれたドイツ軍の対戦車バリケードに接近したが、既にそこはソビエト赤軍兵に制圧されていた。ロスタンはバリケードから50メートルほどの位置にある道を横切ろうとしたが、その時、1輌のT-34戦車がロスタンからわずか10メートルしか離れていない位置に停車しており、戦車から降りていた乗員がロスタンに気付いた。ロスタンは突撃銃を連射して2名を倒したが、残りの3名は遮蔽物に身を隠した。 そこで、ロスタンは自身の弾薬補給兵にパンツァーファウストを用意させた後、T-34戦車に狙いを定めてパンツァーファウストを発射した。その弾頭がT-34の砲塔の下部に命中し、大爆発と共にT-34の砲塔は吹き飛んだ。しかし、搭載弾薬に誘爆したが故の大爆発は、同時に周囲の全方向へ戦車の残骸・鋼鉄の破片を飛散させた。ロスタンの様子を物陰から身を乗り出して見ていた弾薬補給兵は、飛来した鉄片によって頭部が胴体から切断された。ロスタンは右こめかみに破片が直撃し、その衝撃で気を失った。 やがて意識を取り戻したロスタンが周囲を見渡すと、ロスタンの部下12名の死体が近くの路上に散らばっており、重傷を負っている者が泣き叫んでいた。この時、第3中隊の他の小隊の姿はロスタンの視界のどこにも見受けられなかった。 ロスタンは周囲をさらに注意深く見渡した。すると、数メートル先の建物のドアがゆっくりと開き、PM1910重機関銃の銃身が現れた。これを見たロスタンは素早く突撃し、機関銃の周囲の赤軍兵3名を射殺した。ここに待ち伏せていた重機関銃はベルリン市街を覆う戦闘騒音に乗じて発砲し、建物の前を通る武装親衛隊フランス人義勇兵たちが機関銃の存在に気付く前に彼らをなぎ倒していたのであった。 ノイケルンの戦いが開始されてから1時間も経たないうちにロスタンの第3中隊は4分の1以上の兵力を失い、さらに、赤軍狙撃兵の銃弾によって第3中隊の死傷者数は増加の一途を辿った。ロスタンの伝令兵4名のうち2名は狙撃兵に射殺され、第2小隊長ボムガルトネと彼の副官は足首を撃ち抜かれ、第1小隊長ジノーは腕を負傷した。しかし、この時には麻痺状態から立ち直って闘志と冷静さを取り戻していたジノーは、治療のための後送命令を拒否して前線に留まった。 なお、ロスタン自身も敵狙撃兵に狙われたが、幸運にも銃弾はズボンの右ひざ上部を切り裂いただけでロスタンの身体には命中しなかった。この時、生き残っている伝令兵2名のうち1名は足に銃弾が命中したが、それでもなお伝令の任務を続けていた。ロスタンはこの負傷した伝令兵を連絡員としてノイケルン区役所の大隊本部に(必要とあらば彼が治療のために後送されることを期待しつつ)派遣した。これまでに第3中隊の援護を担当する他の中隊(第2中隊)は攻撃の最初の段階で壊乱していたが、「ノルトラント」師団のティーガーIIは2輌のT-34を撃破していた。
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