だいり‐せんそう〔‐センサウ〕【代理戦争】
【代理戦争】(だいりせんそう)
元々の戦争当事国ではない国家が何らかの理由で新たに参戦する戦争。
その性質上、新たな参戦国は戦争当事国のいずれかと軍事的協力関係を構築しなければならない。
一般には冷戦時代にアメリカ・ソビエトが介入した戦争を指すが、軍事史を紐解けば珍しい事例ではない。
他国からの介入が無意味である場合を除く全ての戦争は、常に他国の介入によって代理戦争になる可能性を持つ。
現地の国家から見れば、新たな同盟国の資本で兵站の経済負担を軽減する効果が期待できる。
およそどのような国家でも、自国領内での国家総力戦が1年続けば財政が破綻する。
従って、紛争の早期決着に失敗した小国は代理戦争のリスクを承知の上でも同盟国を探す必要性が生じる。
新たな参戦国は、失われる人命の多くと、戦禍による国土荒廃のほぼ全てを同盟国に負担させる効果を期待できる。
もちろんこの恩恵は「そもそも戦争しないなら負担しなくて良い」性質のものである。
従って、代理戦争は近い将来に予想される全面戦争に備えた戦略の一部である事が多い。
代理戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/11 09:58 UTC 版)
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代理戦争(だいりせんそう、英語: proxy war)とは、主体が直接的に戦争に関与することなく、その他の主体を当事者として戦わせる戦争を言う。
概要
代理戦争は核兵器の出現によって、アメリカ合衆国とソビエト連邦による、直接戦争が回避されるようになった冷戦時代に用いられるようになった概念である。具体的には朝鮮戦争やベトナム戦争などを取り巻く情勢を表すために使用された。
その具体的な方法としては、代理戦争を戦う国家や勢力に対して軍事作戦の遂行に必要な人員や物資を提供する軍事援助(military assistance)の方法がある。援助を行うことによって軍事力の物的要素を補強するだけでなく、特殊部隊隊員が軍事顧問となって助言を行うことで運用効率の向上を期待することもできる。
代理戦争は敗北による自国の軍事的損害を最小限に食い止めることが可能となるだけでなく、逐次状況に応じて軍事介入を行うことも可能であるために危機管理においても柔軟な反応が可能である。
朝鮮戦争は超大国が自分が前線に出るのを恐れ、幾つかの衛星国を前線で戦わせる例であり、ソ連はアメリカとの直接戦争を防ぐ為に、北朝鮮の参戦要請を拒否して代わりに当時同盟国だった中華人民共和国を参戦させ、第一次インドシナ戦争でも中国にベトナム民主共和国への支援を肩代わりさせていた[1]。
このほか、代理戦争というものは存在せず、小国同士が戦争を開始するに当たって、自国が有利になるよう大国を誘引する逆代理が行われたと考える見方もある。本来の冷戦はイデオロギー対立であったが、ソ連と中国という同じ社会主義国家同士が代理戦争を行った実例もあり、代理戦争の中にはむしろ経済的な権益が動機となった物も多い。
イラン・イラク戦争の場合は各国の複雑な利害関係が露呈した。結果として軍需産業が盛んな五大国の米ソ中英仏などが開発した兵器などのデモンストレーションや実験テストの場として利用されたものもある。
代理戦争とされる戦争
- 米中双方が直接介入し、ソ連が現地勢力を支援
- アメリカが直接介入し、中ソが現地勢力を支援
- 中国が直接介入し、ソ連が現地勢力を支援
- ソ連が直接介入し、米中が現地勢力を支援
- 米ソ中双方が現地勢力を支援
- 一方が現地勢力を支援
- 国家間紛争でそれぞれの国家に支援
アメリカとソ連が直接戦争の危機に陥った事件がキューバ危機である。
社会主義国同士の代理戦争
社会主義国同士の代理戦争の背景には、ソビエト連邦と中華人民共和国の対立(中ソ対立)が、背景の一つとして挙げられる。また、米ソと異なり、中ソは中ソ国境紛争で事実上直接戦争したこともある。
- 印パ戦争は、パキスタンをアメリカ・中国が支援、インドをソ連が支援
- カンボジア・ベトナム戦争は、民主カンプチアを中国・アメリカが支援、カンプチア人民共和国をベトナム(直接介入)・ソ連が支援
- オガデン戦争では、ソマリアをアメリカ・中国・ルーマニアが支援、エチオピアをソ連・キューバが支援
- アンゴラ内戦では、アンゴラ民族解放戦線 (FNLA)とアンゴラ全面独立民族同盟 (UNITA)をアメリカ・中国・ザイール・南アフリカが支援、 アンゴラ解放人民運動 (MPLA)をソ連・キューバが支援
- イラン・イラク戦争では、イランを北朝鮮が支援、イラクをアメリカ・ソ連が支援
- 第一次シャバ紛争では、ザイールをアメリカ・フランス・中国が支援、コンゴ解放民族戦線(FNLC)をソ連・キューバが支援
新冷戦における代理戦争
2000年代後半に入り、アメリカが推進する東欧MD問題や、旧ソビエト諸国の覇権をめぐってアメリカとロシアは鋭く対立するようになり、米ロ関係をメディアは「新冷戦」と表現するようになった。
- アメリカが直接介入
- アフガニスタン紛争 (2001年-2021年) - アメリカが北部同盟を支持。末期に中国がターリバーンを支持。
- ロシアが直接介入
- 南オセチア紛争 (2008年)
- ウクライナ紛争 (2014年-)
- 2022年ロシアのウクライナ侵攻 - ロシアが全面侵攻、アメリカと西側諸国がウクライナを軍事支援。北朝鮮がロシアを軍事支援。中国とインドがロシア寄りの中立。
- 双方が現地勢力を支援
- 双方が直接介入
国家間以外での用法
政治での用法
日本において派閥領袖や党首などの大物政治家たちの支援を受けている候補者の票争いが、あたかも大物政治家同士の争いとして捉えられることを代理戦争と形容されることがある。
団体での用法
ノンフィクション『仁義なき戦い 決戦篇』では、神戸市に拠点を置く山口組と本多会の対立が、異なる地域で抗争した(広島抗争)ことを、同書で「代理戦争」と記している。同書を原作に映画化もされている。
芸能界での用法
演芸番組『笑点』の「大喜利」では、三遊亭小遊三(山梨県大月市出身)と林家たい平(埼玉県秩父市出身)による、お互いの出身地を用いた罵倒合戦を、双方の出身地名を取って「大月秩父代理戦争」(小遊三曰く第三次世界大戦)と称している[注釈 1]。
これがきっかけで、大月市議会・秩父市議会および両市内の民間団体などで両市の交流などの話が取り上げられるようになったが、久喜邦康秩父市長は「大月とは縁もゆかりもない」、「(大月市訪問を)敵地視察」などと、これを踏まえた際どい冗句を飛ばしたこともある。
また2010年6月には大月市で、10月には秩父市で行われた小遊三とたい平の二人による落語会の席で、久喜邦康・石井由己雄[注釈 2]両市長によるご当地自慢のトークバトルもそれぞれ行われた。
スポーツ界での用法
特に格闘技ではライバル同士だった選手の直弟子同士の対戦や、ライバル同士の団体を退団した選手同士が第三者のリングで対戦することをマスコミが代理戦争と称するケースがある。
その他にも古くから因縁のある地域のチーム同士の試合や国際試合などにおける政治的問題を抱える国同士の試合などはしばしば代理戦争と形容されることがある。
特にアメリカとソ連はオリンピックの開催地やチェスの世界王者決定戦[注釈 3]などで政治的な介入を行っている。
脚注
注釈
- ^ 共に相手の出身地を田舎ないしは未開の地、自分の出身地を大都会と扱っている。
- ^ 小遊三と高校の同期生にあたる。
- ^ 特に1972年のボリス・スパスキーとボビー・フィッシャーの対戦
出典
- ^ 油井大三郎; 古田元夫、「第二次世界大戦から米ソ対立へ」、樺山紘一; 礪波護; 山内昌之編 『世界の歴史 第28巻』 中央公論社、1998年。ISBN 4124034288 p. 236
- ^ https://press.un.org/en/2023/sc15464.doc.htm
関連項目
代理戦争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 10:11 UTC 版)
1997年(平成9年)1月のナホトカ号重油流出事故発災当時、小松市長北栄一郎が事故発生後、偽りの理由で休暇を取得し、サイパンに海外旅行に出かけてしまったことが明らかになった。この責任を取り北は市長を辞任し、後継市長選挙が1997年3月に実施された。候補としては、共産党から1名出馬を表明し、自民、新進両党は北に代わる相乗り候補の決定を迫られた。この時は、県農水部長を務めていた西村徹の他、西原啓を押す声も自民党の一部にあった。奥田のラインに属する一川は最初から西村支持であった。これに対して、自民党の若手市会議員の一部は西原を押しており、候補者を一本化するための委員会が開催されて西村への一本化が決定する。この時、森は西原の支持者たちに配慮し「彼らの気持ちを大事にしてほしい。将来の小松につながることだ」とコメントを残している。その後、北が再出馬を表明したこともあり、西村は自民、新進、社民からの推薦を受けて選挙戦を戦い当選した。当選後西村は最初の挨拶回りで森と一川の事務所を回っている。
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