創価学会 創価学会に対する肯定的評価

創価学会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 02:47 UTC 版)

創価学会に対する肯定的評価

日本国内

佐藤優

キリスト教徒日本基督教団)の元外交官作家佐藤優は「池田氏の平和への思いは本物だ。加えて、池田氏は創価学会の理念を体現した存在だ。」「初代、二代、三代会長が投獄された創価学会の国家に対する距離感。SGIという国際組織。そして鎌倉時代、国家に弾圧された日蓮の縁起観。すべて具体性を伴っている。こうした一つひとつの「経験」が流れ込んで、創価学会の平和主義を形成しているのだ。」とした。また「SGIという国際組織によって、ナショナリズム排外主義を超克しつつある創価学会が、このような局面でどのような役割を果たせるかが問われるだろう。」と述べている[247]

第二次宗創戦争については、「歓喜の歌」事件に関して創価学会側の立場を擁護し、「ここで宗門が問題としたのは、キリスト教だ。ベートーベンの『歓喜の歌』を歌うことが邪教礼賛になると宗門は考えた。ヨーロッパの文化はキリスト教と深く有機的に結びついている。ヨーロッパ文化から、キリスト教を抜き去って理解することは不可能だ。科学的無神論国是としたソ連東ドイツでも、『歓喜の歌』が、無神論の否定する神を礼賛するといった理由で禁止することはなかった。宗門はソ連共産党ドイツ社会主義統一党よりも偏狭なキリスト教観を持っていることが露呈した」[248]と記している。さらに「各国の文化から、宗門以外の宗教的要素を除去しようという発想は、絵に描いたような排外主義だ」「ある文化と根底から結びついた宗教を完全に否定するならば、宗教間対話は成り立たない。宗門の頑なな姿勢が、創価学会の世界宗教化の深刻な障害になっていることがもはや明白になった」[249]と述べている。

2014年7月の集団的自衛権行使容認の与党協議に関して「公明党がブレーキ役として与党にいなければ、憲法に制約されない集団的自衛権の行使を容認することが閣議決定されていたと思う。」[250]「閣議決定に賛成したために、公明党は『平和の党の看板に傷がついた』『平和主義の看板を下ろした』などと批判された。連立政権を離脱して、きれいな平和論を主張するという選択肢もあったはずだ。もし、公明党がその選択を行っていたならば、私は、公明党の平和主義は本物ではないと批判したと思う。平和の党の看板に傷がついても、現実に戦争を阻止し、平和を維持することが重要なのである。少なくとも現時点では公明党はその機能を果たしている。」[251]としている。

「『国立戒壇の問題』と言っても、現在、創価学会は宗門(日蓮正宗)と訣別しているわけだから、宗門の教義である『国立戒壇の問題』が、もはや存在しないことになる。すなわち、公明党と創価学会には日蓮正宗を国教化する狙いがあるという、批判者たちの論理の前提が崩れているのだ」としている[252]

田原総一朗

田原総一朗(ジャーナリスト)は「度重なる試練に直面し、創価学会は間違いなく衰退するであろうという世論の推測を見事に裏切り、その都度、ピンチをチャンスに変えるという驚くべきエネルギーをもって、逆境を乗り越えてきたのである。どうやら、創価学会の強さは我々には想像も及ばないほど堅固なものらしい。」と示唆した[143]。池田大作の人物像について、「おそらく近寄りがたい雰囲気を持っているに違いないというこちらの予想は見事に外れ、偉ぶったところを一切感じさせない人だった。しかも、人の話を聞くのが非常にうまい。これには、びっくりした。」と述べた。また、「私が池田に感じたのは、自分をよく見せようという下心がまったくなく、誠実で相手のことを気遣うことのできる、きめ細やかな神経の持ち主だということだ。」「喜怒哀楽もあり、とても人間臭い面も持ち合わせている。」とした[253]

創価学会は「創立当初から、従来の日蓮正宗の枠組みを超えた、独自の在家信徒団体」[254]であったと述べている。また第二次宗創戦争については、「第九を歌うことのどこが問題なのか。しかも、当時の聖教新聞に掲載されたスピーチを何度も読んでも、日顕への批判や侮辱はどこにも見当たらない。私からしても、宗門側がどこに激しい怒りを感じているのか、さっぱりわからない」[255]としている。

(宗門との決別以降)創価学会の活動領域が広がったことは間違いないようだ。学会員に話を聞くと、宗門と決別して以降、地域のためのさまざまな活動に参加するようになったという。例えば、地域のお祭りでお神輿も担ぎ、町会役員や学校のPTA役員も引き受ける。さらに、交通安全週間の行事にも参加するなど、ありとあらゆる地域活動に参加しているというのだ。言論・出版問題後、池田が目指した地域との融和が、ここにきてようやく根付いたということだろう」[256]と述べている。

学会の草創期において排他的な態度が見受けられたことについて、「信仰を広めるために他宗教を否定する、これは草創期の新宗教においてやむを得ないことだ。おそらくどこの宗教団体も同様の活動をしていただろう」と述べている[257]。 田原はまた、学会が日蓮正宗(宗門)と決別してからは、地域活動が活発になった点を指摘する。「例えば、地域のお祭りでお神輿も担ぎ、町会役員や学校のPTA役員も引き受ける。さらに、交通安全週間の行事にも参加するなど、ありとあらゆる地域活動に参加している」「宗門と別れたことで、世界広布、地域との融合など、新たな布教の形を見出した」と述べている[258]

その他

  • 鶴見俊輔(哲学者、評論家、政治運動家) - 創価学会の布教活動が、日本の宗教の浄化に役立っているとして、「この意味で創価学会は、日本に本当の宗教心をつくるために、その前ぶれとして働くバプテスマヨハネであるかもしれない。」と所感を述べている[259]
  • 玉野和志(社会学者) - 「創価学会は『幸せにするシステム』とでも呼ぶべき組織原理を生み出し、会員たちがあきらめることなく、地道に自らの生活を継続する手助けをしてきたといえる。」と述べている[260]
  • 森秀人(評論家) - 創価学会について「中世以来、日本人が喪失していた信仰主体が現出した」と位置づけており、「創価学会は、人間による人間の回復という課題に、限定付にせよ応えることができたことの意味のほうがはるかに巨きい。」と評論した[261]
  • 中江克己(歴史作家) - 多くの創価学会員への取材を通して、「創価学会の10年 ドキュメント」を著した。その中で「生命尊厳の仏教哲学が不動であり、それを社会に生かしていこうという運動が継続されていく限り、やはり創価学会に対する期待は大きいといわなければならない。」と書を結んでいる[262]
  • 佐木秋夫(宗教学者)と小口偉一(東京大学名誉教授) - 創価学会の教学運動について「教学の学習の盛んなことは、創価学会の重要な特色になっている。学習が行動の欠くことのできない源泉であることが、会員のあいだに広く理解されている。」と論及した上で「組織、動員、学習がいきいきと結びついていることが、創価学会を強大にしている」と評している[263]

日本以外

  • ブライアン・R・ウィルソン(国際宗教社会学会初代会長)、カレル・ドベラーレ(ベルギー・ルーベン大学名誉教授)- 創価学会について社会的考察をし、「創価学会は哲学的には明らかに個人主義と平等主義に立っているにもかかわらず、信仰における古参原理が仲間意識と結びついており、その結合には神秘的な要素がある。」と評している[264]
  • ダニエル・A・メトロ(メアリー・ボールドウィン大学教授) - 創価学会の平和運動を分析し、「創価学会が繰り広げている民衆レベルの平和運動は、もちろん、宗教的な使命感にもとづいたものにちがいない。しかし、必ずしも、全人類が創価学会に入会しなくとも仏法を基調にした〝平和のメッセージ〟を送り続けていくことによって、一人一人に〝精神の変革〟をおこさせていくことは可能である。また〝平和のメッセージ〟を全世界の人びとが共有することは、創価学会の使命を果たすことにも通じることだと思う。」と述べている[265]。また、「創価学会は、日本の近代史におけるユニークな現象である。仏法理念を基盤として、これほどまでに広範な社会的運動を成功裏に展開した宗教団体は、かつてなかった」とも述べている[266]
  • フィリップ・E・ハモンド(アメリカの宗教社会学者)、デヴィッド・マハチェク(宗教社会学者) - 創価学会を社会学的に研究。学会の歴史と哲学への考察を著書に記し、「創価学会の活動の原動力は、日蓮仏教がそなえている禁欲的な特質であり、あるいは、宗教的信念に照らして社会状況を変革しようとの強い思いである。」と評価した[267]。また同氏は「1991年(平成3年)に行われた日蓮正宗からの分離が、プロテスタント宗教改革になぞらえられてきたのは当を得たことである」と評している。そして、「今回の一連の動きでもっとも印象的なことは、創価学会が塔婆――死者の代わりに供養される追悼のための銘板――を自分たちの金儲けのために売りつける強欲な僧侶たちを非難したことと、プロテスタントの宗教改革者たちが、贖宥状を販売する聖職者たちに異議を唱えたこととが、酷似している点である。」と述べた[268]







固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「創価学会」の関連用語

創価学会のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



創価学会のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの創価学会 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS