杜王町のスタンド使い
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「ダイヤモンドは砕けない」の記事における「杜王町のスタンド使い」の解説
片桐 安十郎(かたぎり あんじゅうろう) / アンジェロ 声 - 浜田賢二 / 演 - 山田孝之 「日本犯罪史上最低の犯罪者」。1964年杜王町生まれ。IQ160。仗助の最初の敵。 「いい気になっている奴」を破滅させることが生き甲斐。12歳の時に強姦と強盗を犯し、投獄。それからも罪を犯し続け、青春の大半を獄中で過ごしてきた。1994年3月に少年3人を強姦殺人して死刑判決を受けていたが、虹村形兆に「矢」で射抜かれてスタンド使いとなり、スタンド能力で絞首刑を生き延びて脱獄した。バイセクシャルであるらしく、少年少女どちらも強姦の被害に遭う描写がなされた。 その後、杜王町でスタンドを一般市民に取り付かせ、犯罪を楽しんでいたところ、仗助に邪魔されて彼を逆恨みする。仗助の母に取り付こうとして失敗し、スタンドを小瓶の中に閉じ込められてしまうが、そこでかつて自分を逮捕した仗助の祖父を偶然発見し、仗助の目を盗んで私怨により殺害する。 葬式の3日後、雨の日を狙って仗助と承太郎に襲い掛かるが、仗助の機転により再度スタンドを捕らえられ、本体の居場所が暴かれる。「俺を殺したらお前も殺人犯だぜ」と汚い命乞いで煽るが、「供養しろ」と一蹴され、岩に埋め込まれる。スタンド能力を得た経緯を白状した後、悪あがきを図ったが、仗助のさらなる怒りを買い、より念入りに融合させられ、「アンジェロ岩」と呼ばれる杜王町の観光名所と化す。 通称の由来はアメリカの作曲家「アンジェロ・バダラメンティ」。アクア・ネックレス(水の首かざり) 【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - E】 水分に混ざり相手の体内に侵入して攻撃するスタンド。水蒸気にも同化できる。簡単なものになら姿を変えることもできる。人型で全身には無数の目がある。人間に取り憑いて操ることもできる。 物質同化タイプのスタンドなので自由に消すことができず、閉じ込められてもガラスを破るパワーもないという弱点がある。 虹村 形兆(にじむら けいちょう) 声 - 志村知幸(小学生時代 - 東内マリ子) / 演 - 岡田将生 虹村億泰の兄。18歳。億泰とは対照的に冷静沈着で判断力と行動力に長け、非常に几帳面な性格。 父と繋がりのあったDIO・エンヤ婆の遺物を調べ、「弓と矢」を入手し、杜王町でスタンド使いを増やしていた。「弓と矢」の性質上、スタンドの素質のない者を何人も殺害してきた。その目的は、DIOの肉の芽の暴走により死ねない化け物になってしまった父を「普通に死なせてやる」ことのできる能力者を探すこと。幼い自分たちに暴力を振るい、金銭目的で悪事に加担していた父に複雑な感情を抱いてはいるが、それでも肉親としての情から怪物と化した父の姿を見るに堪えず、父に死を与えるためならば手段を選ばない決意を固めている。 仗助に倒された億泰に重傷を負わせ、自身はスタンドで仗助を迎え打つ。奇襲攻撃や連携による戦術など駆使しながら仗助を苦戦させるも、破壊されたミサイルをクレイジー・ダイヤモンドで再生されて撃ち返されたことで敗北し、父の家族を想う気持ちを仗助に知らされた直後、レッド・ホット・チリ・ペッパーの攻撃から億泰を庇い、感電死する。これに億泰は、父のために今まで何人も人を殺し続けてきた結果だからしょうがないと割り切っているものの、自分を庇って死んだ兄の死には悲しんでいた。その後、彼の死体は墓に埋葬された。 後に吉良吉影との戦いで重傷を負った億泰の夢の中に現れ、彼自身に進むべき道を決断させ、戦線へ復帰させた。 自分で調べた情報から、承太郎がDIOを殺したことがきっかけで父が変貌したことは知っているが、承太郎に対して言及するシーンはなく、父の病も「DIOに魂を売って悪行を行っていたゆえの自業自得」と割り切っている。 実写映画版では、上記の場面でレッド・ホット・チリ・ペッパーが登場せずにシアーハートアタックが登場するうえ、形兆の死体は爆破されて跡形も残らないという展開に改変されている。バッド・カンパニー(極悪中隊) 【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - C】 M16自動小銃を装備した 歩兵60名、戦車7台、AH-64 アパッチヘリ4機で構成されている米陸軍を模したミニチュア軍隊のスタンド。他にも地雷や、康一のスタンドを覚醒させるためにけしかけたグリーンベレーがいる。 作中に初めて登場した群体型のスタンドであり、数体倒されたところで本体には影響はほとんどない。軍隊の武器のサイズは小さいが威力は本物である。個体の破壊力も大きくないが、同時攻撃やミサイルでの攻撃力は壁やドアやガラスを破壊したり、仗助や億泰を重傷に負わせるなど高い殺傷力を誇る。 スタンド名の由来はイギリスのバンド「バッド・カンパニー」。作者は「『G.I.ジョー』のフィギュアなどからの発想」と語っている。 テレビアニメの北米版では、"Worse Company"(ワース・カンパニー)と改名されている。 実写映画版では大幅な変更が加えられており、原作では戦車は7両だったのが、実写では確認できる限りでは50両となっており、歩兵の数も大幅に増加している他、ライフル以外にもFGM-148 ジャベリンやグレネードランチャーを持った者も存在する。また、ヘリ部隊に関してもアパッチに加えてMH-6 リトルバードとUH-60 ブラックホークが加わっており、機銃による攻撃だけでなく歩兵の移動補助を行っている。 カンパニー(中隊)という名前に反してバタリオン(大隊)規模となっており、原作と違って集中砲火だけでクレイジー・ダイヤモンドを圧倒している。しかし、タイプが自動操縦型となっているのか、「一度命令を与えると完遂するまで修正できない」という設定になっており、クレイジー・ダイヤモンドのミサイル復元によるカウンターに対処できず、敗北する要因となった。 なお、歩兵の迷彩柄を作者が描き下ろしている。 小林 玉美(こばやし たまみ) 声 - 田中一成 / 鶴岡聡 仗助たちの高校のOBで、ゆすり屋。身長153センチメートル(初登場時は長身で6頭身以上あったが、回を追うごとにだんだん身長が縮み、顔もデフォルメ化されていった。テレビアニメでは最初から身長が低く、顔もややデフォルメ気味に描写されている)。乙女座。20歳。口の左に十字型の傷がある。 虹村形兆によりスタンド使いになった。能力を悪用して康一とその家族をゆすって破滅させようとしたが、康一のスタンド「エコーズ」に倒されて改心、以後は一方的に彼の舎弟になる。その後はゆすり屋を辞め、金融業者の取立人となる。 味方にはなったものの、活躍は間田に関する情報を提供したのみで、実戦には一切参加していない。間田編では、偽仗助に攻撃されて入院する。後にスタンド能力を買われて仗助と露伴のチンチロリン勝負に取立人として立ち会ったり、吉良の事件が終結した後は他のスタンド使いたちと共に杉本鈴美が成仏する様子を見届けた。 後に、数コマだが『岸辺露伴は動かない -六壁坂-』にも登場している。ザ・ロック(錠前) 【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】 他者に取り付く南京錠型のスタンド。本体の周囲で罪悪感を感じた人間から出現し、対象の持つ罪悪感に応じて大きくなり、心身に重圧を与える。複数の相手に同時に取り付けることも可能。精神作用から、相手の自殺を誘発することさえあるという。 罪悪感を持たない相手には効果がなく、錠を取り付けられた場合でもその素である罪悪感が無くなれば解除される。 ゲームなどのルールを、契約した「約束」として守らせるために能力を使うこともでき、仗助と露伴のチンチロリン勝負では取立人として呼び出され、二人の勝負に立ち会った。 間田 敏和(はざまだ としかず) 声 - 松野太紀 / 下和田ヒロキ 仗助たちと同じ高校の3年生。身長165センチメートル。獅子座。虹村形兆によりスタンド使いとなった。かなり卑屈で陰険な性格。テニス部でマンガ好き。同級生の順子に片思いしている。些細な喧嘩で友人の眼をスタンド能力で抉りとるなど残忍で冷酷でもある。 承太郎を町から追い出そうと画策し、最終的には殺害しようとするが、仗助に出し抜かれ、敗北して入院する。仗助たちに「スタンド使いは無意識のうちにひかれ合う」という物語の重要なキーワードを話した。 最初は頭身が高く、男らしい顔つきで描写されていたが、やがて顔もデフォルメされ、身長も康一と同じ程度にまで縮んで描写されている。康一のことを気に入り、同じ漫画好きという共通点で一方的に友人として接している。 岸辺露伴の大ファン。ヘブンズドアーで本にされても、露伴に読まれるなら本望と思っていたが、康一は露伴から高評価だったのに対し、敏和は「最低」「読者が喜ぶハズがない」と酷評され、嘆く。 吉良の事件が終結した後は他のスタンド使いたちと共に杉本鈴美が成仏する様子を見届けた。サーフィス(うわっ面) 【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - C(数十メートル) / 持続力 - B / 精密動作性 - C / 成長性 - C】 等身大の木製デッサン人形をベースに、触れた人間の姿、仕草、指紋、声紋からすべてコピーするスタンド。自律型スタンドで性格までコピーされるため、大雑把な命令には従うが本体の間田に忠実というわけではない。コピーした本体との見分け方は、サーフィスの方の額についている+型のネジ。実体化しており、普通の人にも見える。コピーされた相手はサーフィスと向き合うと、鏡に映ったように同じ動作しか取れなくなる。また向き合うと言ってもお互いを認識する必要はなく、サーフィスがコピー元の姿を視認していればいい。また動作させる部位はある程度サーフィスが指定可能であり、サーフィスの支配下にあっても一寸も違わぬような動作をするわけではない。外見が変わっても木製なのは変わらないため衝撃により破損することがあり、パーツが千切れるとその部分の変身は強制解除される。あくまでデッサン人形に憑依するタイプのスタンドで、人形にダメージを与えても本体である間田にダメージは反映されない。また、クレイジー・ダイヤモンドほどではないが、パワーもスピードも共に高い。 スタンド名の由来はアメリカのバンド「サーフェス」。作者は「漫画『パーマン』のコピーロボットのイメージかもしれない」と語っており、作中でサーフィス自身も自分の能力に関してそのことに言及している。 テレビアニメの北米版では、"Show Off"(ショウ・オフ)と改名されている。 山岸 由花子(やまぎし ゆかこ) 声 - 赤﨑千夏 / 能登麻美子 / 演 - 小松菜奈 康一を異常に愛する容姿端麗な女性。高校1年生。身長167センチメートル。射手座。腰まである長い髪が特徴。高校では億泰と同じクラス。虹村形兆によりスタンド使いとなった。 普段はクールで素っ気無い態度だが、非常に身勝手でキレやすく、思い込みの激しい性格。 康一に一目ぼれし、喫茶店に呼び出して告白する。その愛情が一途過ぎるためストーカー紛いのアプローチを開始し、康一に関わる女生徒を殺そうとするなど、行動はエスカレートしていく。康一を自分好みに教育しようと別荘に軟禁するが、求愛を拒否されたことに逆上して暴走する。結果として康一とエコーズが成長するきっかけとなり、頭髪が真っ白になるほどのダメージを受けたことで「自分の美貌を傷つけた」と激昂し、エコーズ諸共引き裂いて殺害しようとしたが、直後に崖が崩れてしまい転落しかけるもとっさに康一が仕掛けていたエコーズの能力で命拾いをした。敵でさえ気にかける彼の優しさに触れ、完敗してもなお康一を愛し続ける。辻彩の介入の後、やがて両想いとなった。 料理の腕は抜群で、康一は監禁されている間も由花子の作る料理だけは本心から喜んで食べていた。 テレビアニメ版では、第7話の間田戦の中盤で仗助と康一が間田を追跡する場面でワンシーンであるが先行登場している。 『アイズオブヘブン』では康一に危害を加える者に容赦ない一面が強調されており、第5部の主人公ジョルノ・ジョバァーナには、康一のカバンを盗んだと聞いて彼に因縁をつけていた。ラブ・デラックス 【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - B】 髪の毛を自在に伸ばして動かすスタンド。縛りつけたり締め上げたりする単純な攻撃から、標的の頭皮に「ラブ・デラックス」の一部を植え込むことにより、頭皮から強引に引き回して歩行を阻害したり、その応用で行動範囲に制限を加えるなど幅広く応用が利く。また、頭髪は巨大な別荘を覆い尽くすほどに伸ばせる。 『アイズオブヘブン』では、エコーズAct.3の能力で重くされた相手を持ち上げるなどしている。 スタンド名の由来はイギリスのバンドシャーデーのアルバム「ラヴ・デラックス」。 『アイズオブヘブン』およびテレビアニメの北米版では、"Love Extra"(ラブ・エクストラ)と改名されている。 トニオ・トラサルディー 声 - 松原大典 / 川島得愛 杜王町でイタリア料理店「トラサルディー」を営むイタリア人の男性(ナポリ生まれ)。「自分の作った料理でお客様に快適になってもらうこと」を望み、それに情熱のすべてをかける。年は若いが、料理人としての腕前は億泰の舌を唸らせ、「天使のような料理人」とまで言わせるほど。 自分の理想とする料理を求めて世界中を旅していた当時、スタンド能力に気づいたと語っている。故郷ではまだ若いという理由で自分の店を出すことを認められず、日本でなら実力さえあれば年齢に関係なくチャンスが得られると考えて来日し、新鮮で美味しい食材が手に入るという理由から杜王町に出店した。 店の仕事はすべて単独でやっており、料理を運ぶウェイターの仕事もこなさなければならないため、テーブルの数はわずか2つという小さな店である。しかしながら、料理の才能は超一流であるのはもちろん、手のひらを見ただけで相手の体調を完璧に見抜くという特殊能力を持っており、それぞれの客の体調に合わせた健康に良い料理を出すことをポリシーとしている。そのため、店に決まった形のメニューはない。料理はどれも基本的にはイタリアの伝統的な家庭料理をベースとしている。 基本的には善人だが、店の衛生管理には非常に気を使っており、手を洗わないまま厨房に踏み入った者に激怒し、包丁を投げ付けるという神経質な一面を持つ。 料理を食べる度に億泰が常軌を逸して健康的になるリアクションをとったことから、敵スタンド使いとの連戦で疑心暗鬼気味になっていた仗助から敵ではないかと誤解されたが、結局は誤解が解けて戦わずに終わり、逆に厨房に勝手に入った仗助を罰として掃除係としてこき使った。 2013年に発表された『岸辺露伴は動かない 〜エピソード6:密漁海岸〜』にも登場するが、来日した理由や杜王町に出店した理由が本編や小説とは異なり、重病の恋人の治療に必要な食材が杜王町にあり、それを手に入れるために来日したことになっている。 2011年に刊行された小説版『恥知らずのパープルヘイズ』では、主要登場人物のひとりであるマッシモ・ヴォルペの実兄という設定となっている。本名はアントニーオ・ヴォルペ。イタリアの没落した貴族ヴォルぺ家の後継者であったが、金持ちに媚びながらも陰では罵倒するような父親に失望し、自分の夢であった料理人を目指そうとするも、それを認めない父親から勘当され、家を出た後母方の姓であるトラサルディーを名乗ったとされている。 2007年に刊行された小説版『The Book』では本人は登場しないが、「トラサルディー」の料理を食べると病気が治るらしいと評判になっており、作中の登場人物がこの店で料理を食べ体調を回復したことが語られている。 テレビアニメの北米版では、"Tonio Trendy"(トニオ・トレンディー)と改名されている。パール・ジャム 【破壊力 - E / スピード - C / 射程距離 - B / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】 料理に混入し、食べた者の身体の不調を治すスタンド。顔と腕のあるプチトマトのような姿をしており、複数いる。治し方は症状にもよるが、目から涙が滝のように流れて睡眠不足が解消されたり、虫歯が凄まじい勢いで抜けた後に新しい歯が猛スピードで生えてきたりするなど、常軌を逸したリアクションが起こる。ただし、治せる不調には限度があり、一定以上の重病には効果を発揮しない。本体が善人ということもあって、基本的に無害なスタンドである。 なお、客に対しては治る理由を「食材に含まれる栄養素の効能」と説明しており、身体に不調の無い者が同じ料理を食べてもリアクションは起きない。治癒能力は基礎となる食材に大きく左右され、トニオの調理技術と食材と相俟ってはじめてその力が発揮される。 スタンド名の由来はアメリカのバンド「パール・ジャム」。 『オールスターバトル』以降の北米版では"Opal Jam"(オパール・ジャム)、テレビアニメの北米版では"Pole Jam"(ポール・ジャム)と改名されている。 音石 明(おといし あきら) 声 - 森久保祥太郎 / 同左 ギターを愛するロッカー。19歳。ライトハンド奏法ができる。自信家でお調子者のように見えるが、仗助や承太郎らと渡り合うために力を蓄えてから彼らの前に姿を現したり、相手の実力を見極めて反省すると即座にその戦いに適応するなど、戦いの駆け引きに関しては優れた能力を持つ。 虹村形兆によりスタンド使いとなる。強力に成長したスタンドで形兆を殺して「弓と矢」を奪い、以降はスタンドによる窃盗などを繰り返しながら力を蓄えていた。形兆を口封じしたため、億泰と仗助は正体を探していた。その後、仗助らの前に姿を現し、探知能力持ちのジョセフの存在を知って彼を殺そうとしたところ、億泰と仗助に阻まれる。億泰には勝利し、仗助をも圧倒するが、スタンドを海に落とされて電気が散り敗北する。力尽きたと思いきや、仗助たちの目を盗んでジョセフの乗った船まで泳いで乗り込み、船員に扮してジョセフに近づき殺そうとした間際、腹を括った億泰に殴り倒され、今度こそ敗北した。弓と矢は承太郎とSPW財団に回収される。 スタンドを悪用した5億円相当の窃盗罪で逮捕され、懲役3年の刑に科せられる。形兆殺しはスタンドで物証がないため殺人罪で立件できなかったが、承太郎と億泰には「今度スタンドで悪事をしたら、確実に息の根をとめてやる」と念押しされた。その後、盗んだ矢で2匹のネズミを射たことを自白し、仗助と承太郎が駆除に赴く事態となった。 後に、数コマだが『岸辺露伴は動かない -六壁坂-』にも登場している。 『オールスターバトル』では、康一に仲良くしようと歩み寄ったり露伴にかなり真剣にサインを求めるなど、作中でほぼ描かれなかった一面を見せた。レッド・ホット・チリ・ペッパー 【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - A】 電気を操り、電気と同化するスタンド。像は人型の堅頭竜恐竜。電気があるところならどこにでも移動可能であり、普段はコンセントや電線の中を移動する。他の物体を電気と同化させて電線の中に引っ張り込むこともできる。 遠隔操作型のスタンドだが、電気を吸収すればするほど強くなる特性を持つため、電気さえあれば遠距離でも近距離パワー型に匹敵するパワーと精密動作性を誇る。特にスピードは、電気と同化しているために光速に近い。弱点はスタンドが電気と一体になっていることで、電気が失われるとパワーダウンにとどまらずスタンド自体が消滅(=本体の死)してしまう危険性がある。 スタンドが顕現している状態では常に電気を消費し続けているため、長く活動するにはそれだけ大量の電気が必要となる。また、電気抵抗の影響も直に受けるため、ゴムなどの絶縁体内では電気の補給も通過もできず、逆に導体である海に転落すれば短時間で拡散してしまう。 舞台となった杜王町では、町一帯の電力を全て吸い上げることでクレイジー・ダイヤモンドを遥かに超えるスピードとパワーを発揮できるが、それを行なうとしばらく町が停電に陥りバッテリーなどの弱い電力でしか活動できなくなるため、最後の切り札としていた。実際の最大のパワーはどの位であるかは不明である。 スタンド名の由来はアメリカのバンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」。デザインは漫画『恐竜大紀行』の頭突きの強い恐竜(パキケファロサウルス)と漫画『ドラゴンボール』のフリーザの影響を受けている。 『オールスターバトル』以降およびテレビアニメの北米版では、前半部分が省略され"Chili Pepper"(チリ・ペッパー)と改名されている。 静・ジョースター(しずか・ジョースター) / 透明の赤ちゃん 声 - 川田妙子 杜王町で迷子になっていた所をジョセフに保護された身元不明の赤ん坊。女性。 当初はストレスから生じた無意識のスタンドの暴走であらゆる物を透明にして騒ぎを起こしたが、結果的に静の存在が仗助とジョセフのわだかまりを解消するきっかけとなった。 その後、ジョセフにだけは心を開き、彼のそばにいる間は能力を発動しなくなったが、ジョセフから離れたりカメラのフラッシュなどでショックを受けると、すぐに周囲を透明にしてしまう。 常にサングラスをかけているため、はっきりとした素顔は描写されていない。また、最後まで両親と素性は分からず、ジョセフの養女となる。静・ジョースターはファンブックで初めて明らかとなった名前であり、出生名は不明。テレビアニメ版では透明の赤ちゃんとクレジットされ、最終話でのみ静・ジョースターとクレジットされた。アクトン・ベイビー 【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - なし / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - A】 物体や生物を透明化させるスタンド。他のスタンドを透明化させることはできない。当初は本体自身を透明化しているだけであったが、ストレスによりスタンド能力が強く発現するようになると、本体を中心として球状に一定距離内のものを無差別に透明化するようになる。 一度範囲内に入って透明になったものは、範囲を出ても能力が解除されない限り透明のままである。見えなくなるだけで特に害はなく、手で触れたり臭いを嗅ぐことはできる。 スタンド名の由来はU2のアルバム「アクトン・ベイビー」。 ネズミ(虫喰い、虫喰いでない) 声 - なし 杜王町に生息する2匹のドブネズミ。音石明に「矢」で射抜かれ、スタンド使いとなる。承太郎を襲った個体は耳たぶが虫喰い状にちぎれているため、承太郎が「虫喰い」という通称を名付けた。 普通のネズミを凌駕する高度な知能をスタンド能力と合わせ、同種のネズミや人間を襲っていた。音石の自白からその存在を知った承太郎と仗助が狩りに乗り出す。身体能力自体は普通のネズミと同様であり、高速で放たれたパチンコ玉や銃弾が直撃すれば一溜まりもなく、「虫喰いでない」は仗助の放ったパチンコ玉で仕留められたが、さらに奸智に長けた「虫喰い」は仗助と承太郎を苦戦させる。仗助と承太郎の仕掛けた罠を逆に利用したり、バックトラックを用いたりして彼らを手玉にとり承太郎を戦闘不能にするが、仗助の放った1発目の銃弾が外れたことに油断し、岩陰から顔を出したところを2発目の銃弾で仕留められた。ラット 【破壊力 - B / スピード - C / 射程距離 - D / 持続力 - B / 精密動作性 - E / 成長性 - C】 有機物や無機物、さらにはスタンドさえ溶かしてしまう毒針を発射する、背中に乗せた砲台型のスタンド。通常は一つ眼の怪物のような形態で、眼の部分がスコープになっている。詳細は不明だが、溶かしたものを煮こごりのように固めることもできる模様。毒針自体の威力はさほどではなく、金属製のフライパンや岩など、ある程度硬いものは溶かしつつも跳ね返された。また、スタープラチナのようなスピードと精密性に優れるスタンドならば容易に針を掴んで止めることができるが、針に触っただけで毒が回ってしまうため、実質的には避けるしかない。針は通常時は単発発射だが、3発までなら連続発射できる。 この毒で溶かされた生物はすぐ死ぬわけではなく、原形を止めないほどに溶かされて形を変えられていても、頭などの重要な部分が原形を保っていれば生きていることが多い。そのため、息さえあればクレイジー・ダイヤモンドで元の溶かされる前の姿に戻せる。 耳が虫食いの個体とそうでない個体でネズミが2匹存在するが、2匹でスタンドを共有しているわけではなく、2匹が同じ外見・同じ能力のスタンドをそれぞれ持っているという珍しいパターン。 スタンド名の由来はアメリカのバンド「ラット」。 矢安宮 重清(やんぐう しげきよ) 声 - 山口勝平 / 同左 ぶどうヶ丘中学校に通う中学2年生。あだ名は「重ちー」。体重110キログラム。実年齢より精神年齢は幼く、口癖は「〜だど」「ししっ」「理解不能」。頭に無数のトゲが生えたような髪型。家で飼っている亀の名は「ゴン太」。自らのスタンドを使い、町中に落ちている小銭を集めている。 欲深な守銭奴だが、仗助いわく「どこかほっとけない」人物。心の底では杜王町と両親を一心に想い愛している。「サンジェルマン」のテリヤキチキンサンドが好物。当初は仗助と億泰から「小遣い稼ぎ」に利用され、3人で手に入れた宝くじの賞金を独占しようとして一悶着起こしたが、結局は自分だけでは宝くじを手に入れられなかったことを悟って改心し、その賞金は平等に三等分した。その後は仗助と億泰と友人になる。 吉良吉影と遭遇した際に「手首」を見てしまう。秘密を知られた吉良と交戦するが、キラー・クイーンに敗れ、爆殺される。死の間際に吉良の服のボタンを手に入れ、スタンドに運ばせることで仗助たちに手がかりを残した。彼の魂は昇天しながら崩れ去り、その際の叫びは仗助や億泰をはじめとするスタンド使いたちにも届き、彼らを鈴美の元に集結させ、町に長年潜む連続殺人鬼(吉良吉影)の危険性を知ることになった。死の当日も重ちーと親しくしていた仗助や億泰の受けた衝撃は大きく、率先して吉良を探し出すきっかけを作った。爆破によって遺体すら残らず、社会的には行方不明者となっている。 苗字の「矢安宮」はカナダの歌手ニール・ヤングに由来する。仗助と並び、作者の一番のお気に入りキャラクターであり、『ジョジョ』シリーズ通して一番好きなキャラクターと評している。また、物語を盛り上げるためとはいえ死なせたことに苦悩し、何度も復活させたいと思っていたと語っている。ハーヴェスト(収穫) 【破壊力 - E / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】 自称500体からなる、4本の腕を持つ小さな群体型スタンド。物を集めることを得意とする。破壊力自体は低いものの、相手の皮膚を「集める」能力で削り取ることは可能であるうえ、眼球や頸動脈といった急所をピンポイントで狙えるため、高い殺傷力を発揮する。眉間から注射針のような器官を出し、酒など集めた液体を相手の身体に直接注入できる。バケツリレーのように重ちー自身を運ばせることで素早い移動も可能であるうえ、悪路走破能力も高く、ビルを垂直に登ることもできる。遠隔操作が可能で、射程距離については「迷子になるから杜王町の外には出ないようにしている」とのこと。 非常に数が多い群体型スタンドであるため、スタンドを攻撃しても数匹潰した程度では本体へのダメージにならず、1体がかなり小さいのでそもそも攻撃することが困難。それでいて急所を狙えば人間に致命傷を与えられる程度の攻撃力を持ち、酒類などを利用すれば致命傷を与えるまでも無く戦闘能力を奪うこともできる。精密動作性は「E」と評価されているが、先述の酒を血管に注射する際、目の前の相手に気づかれないよう1匹を死角から回り込ませていることから、少なくても目に見える範囲であれば1体ずつにバラバラの命令を与えられる模様。このスタンドの特性と「集める」能力を駆使したトリッキーな戦闘スタイルは、仗助と億泰の2人がかりでも奇策で降参させるのがやっとなほど強力で、仗助からは「ハーヴェストに勝てるやつがいるとは考えられない」と高評されている。作者自身も西尾維新との対談において、重ちー(ハーヴェスト)は最強ではないかという西尾の質問に対し、肯定している。 スタンド名の由来はニール・ヤングのアルバム「ハーヴェスト」。 辻 彩(つじ あや) 声 - 水橋かおり / 大原さやか 杜王町でエステ「シンデレラ」を営むエステティシャン。世界各国のエステティシャンコンクールで優勝した実力派で「魔法使い」を自称する。「フ~」とため息をつきながら喋る口調が特徴。幼い頃から童話『シンデレラ』に登場する魔法使いに憧れ、エステティシャンとなった。 「愛と出遭うためのメイク」と称し、スタンド能力でエステを行っていた。康一を振り向かせたい由花子の願いを聞き入れ協力するが、顔を維持するための条件を守らなかったために顔が崩れて逆恨みしてきた彼女に「無数の顔の中から自分の顔を見つけ出す」という選択を迫る。実はその中に正解はなかったが、康一の自身の犠牲を一切厭わない優しさを目の当たりにして心を打たれ、由花子の顔を元に戻した。 その後、逃走中だった吉良吉影に、川尻浩作の顔と右手の指紋を無理矢理移植させられた後、口封じに殺される。駆け付けた仗助たちに吉良の新しい顔を伝えようとするも、間に合わず爆殺された。遺体も残らなかったため社会的には行方不明者となる。 テレビアニメでは原作の掲載順とアニメでの放送順が異なる関係上、鈴美の元にスタンド使いが集結する場面にも登場しており、その時点では自分の店に来るとは思っていない旨の発言をする描写が挿れられた。シンデレラ 【破壊力 - D / スピード - C / 射程距離 - C / 持続力 - C / 精密動作性 - A / 成長性 - C】 ロボットのような人型のスタンド。身体の部分をモンタージュのようにイメージ変換し、人相や運勢を固定する。30分以上固定し続けるためには、スタンドの口紅を30分ごとに塗らなければならず、それを怠ると固定された部分がドロドロに崩れてしまう。ただし、由花子に最終的に固定したメイクはその後はそのまま保たれており、川尻になりすました吉良も彩の死亡後にその身体が崩れることはなかった。 スタンド名の由来はアメリカのヘヴィメタルバンド「シンデレラ」。 吉良 吉廣(きら よしひろ) / 写真のおやじ 声 - 島田敏 / 千葉繁 吉良吉影の父。息子を溺愛し、異常な性癖を理解している唯一の人物。 かつて、エジプトでエンヤ婆から素養のある人間をスタンド使いに覚醒させる「弓と矢」を譲り受け、その時点でスタンド能力を手にした。吉影が21歳の時に癌により死亡するが、幽霊となってからもスタンド能力で現世に残り息子を護り続けている。写真の中から、着ている寝間着から綻びさせた毛糸を巧みに操り、物体を取ったり移動したりできる。吉影に対しては慈愛に満ちた態度で接する一方、吉影に害を成す相手に対しては一転して攻撃的な本性をさらけ出し、徹底的に排除しようとする。 吉良家を調査に来た仗助たちにスタンド能力を用いて襲いかかるが、スタンド能力の弱点を見抜いた承太郎に無力化され、一度は捕われる。だが話術と奇策で億泰と康一を出し抜き「矢」を奪って逃走する。 その後は「矢」を用いて、吉影を支援して仗助たちを倒すためのスタンド使い(大柳賢、支倉未起隆、噴上裕也、猫草、宮本輝之輔、乙雅三)を作り、また鋼田一豊大を唆して味方につける。仗助と吉影の最終決戦では、早人のポケットに隠れて携帯電話で吉影を援護していたが、それを仗助に気づかれて空気弾を誘導され、吉影の誤爆で写真ごと完全に消滅した。アトム・ハート・ファーザー 【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - なし / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】 自身が写っている写真の中に空間を隔離するスタンド。写真の中で起きたことは隔離された空間の中にも作用する。写真と同じ空間にいる人間はその枠内から出られず、枠の外からの干渉もできない(干渉しようとすると、枠の外から中をすり抜けて反対側へ移動する)。 「写真の中」へは一切干渉できず、写真自体に攻撃してもそのダメージは写っている人間にそのまま返ってくるため、「写真の中」からの攻撃を防ぐ手段はない。ただし、影響を及ぼせる写真は本体が最後に写った1枚のみなので、新たに写真を撮り直せばリセットされる。半ば「写真の中」と一体化しており、このスタンドの影響下にある写真を吉廣ごと撮影すれば、その空間がくり抜かれたようになる。この能力で仗助と承太郎を殺そうとするが、承太郎に能力の弱点を見抜かれ無力化された。 吉廣のセリフによると生前は写真に入り込む能力だったらしく、幽霊となった現在も感光された後の写真の中に自身や物体を出し入れできる。 スタンド名の由来はピンク・フロイドのアルバム『アトム・ハート・マザー』(邦題『原子心母』)。 『オールスターバトル』以降およびテレビアニメの北米版では、前半部分が省略され"Heart Father"(ハート・ファーザー)と改名されている。 大柳 賢(おおやなぎ けん) / ジャンケン小僧 声 - 日野未歩 / 坂本千夏 岸辺露伴が町で吉良吉影の捜査を行っている際、唐突にジャンケン勝負をけしかけてきた捉え所のない不思議な少年。年齢11歳の小学6年生。 吉良吉廣によりスタンド使いとなる。左頬には「矢」が刺さった際に生じた穴が開いたままになっている。ジャンケンの勝敗は単なる運ではなく、「心の強さ」で決するものだという持論を持つ。自覚なくスタンドを身につけ、運命で露伴に引かれ戦いとなる。 20歳という若さで漫画家として認められている露伴に目をつけ、彼を心の強さで打ち負かして乗り越え、露伴を超える尊敬される人物になるため、ジャンケン勝負を挑む。スタンド能力でヘブンズ・ドアーの2/3を奪うところまで追い詰めるが、静・ジョースターを利用した露伴の策によりヘブンズ・ドアーを奪い返されたうえ、強運を自力で手繰り寄せた露伴に敗北する。その後、露伴に悪事を働くことがないようヘブンズ・ドアーで「再起不能」にしようと詰め寄られるが、「自身の精神が他人の命令に左右されるくらいなら」と道路に飛び出して自決を図ったところ、その矜持に感銘を受けた露伴が自らの強運のみで彼の命を救ってみせたため完全敗北を認める。露伴も潔く敗北を受け入れた賢を「短期間でスゴい奴になった」と認めて「再起可能」のまま見逃した。ボーイ・II・マン 【破壊力 - C / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - C】 5回勝負の「ジャンケン」を行い、勝った相手のスタンド能力を本体の頬の穴から1/3ずつ吸収するスタンド(自身は2敗までは影響なし)。奪われた相手は、その部位の自由が利かなくなる。その能力の特性から「スタンドは一人一体」の原則の例外であり、一人で複数のスタンドを行使できるようである。フードを被った鋼鉄のロボットのような容姿をしている。吸収したスタンドは、ジャンケン勝負の途中でも吸収した分だけスタンド能力を使える。奪われた相手は、その時点からスタンド能力を奪われた分だけ使えなくなる。また、該当する部分の身体を本体の意のままに操ることもできる。負ければスタンドは逆に奪い返され、相手が3勝すれば吸収した分に関係なくすべて奪い返される。 吉廣はジャンケン勝負という能力の性質上、露伴の「相手の心を覗き見られる」ヘブンズ・ドアーさえ手に入れてしまえば、無敵のスタンドになれると踏んでいた。 スタンド名の由来はアメリカのコーラス・グループ「ボーイズIIメン」。デザインのイメージは横山光輝の漫画に登場するロボット。 『オールスターバトル』以降の北米版では"BoyManMan"(ボーイマンマン)、テレビアニメの北米版では"Boys Man Man"(ボーイズ・マン・マン)と改名されている。 支倉 未起隆(はぜくら みきたか) / ヌ・ミキタカゾ・ンシ 声 - 加瀬康之 仗助の高校に転校してきた、「マゼラン星雲からやって来た『宇宙人』で、本名はヌ・ミキタカゾ・ンシ、年齢は216歳、職業は宇宙船のパイロット」と自称する青年。 吉良吉廣によりスタンド使いになった、と目されるが描写が不可解で怪しい。吉廣の矢に射抜かれずには済んだものの命中した首の右側に軽傷を負い、意識を失いミステリーサークルの中心で倒れていた。目覚めた際に仗助と億泰に出会う。 掴み所の無い性格で一般常識に乏しい。ポケットティッシュを丸飲みするなど常軌を逸した行動に出ることもあったが、仗助からは悪人でないと判断された。登場当初はスタンドが見えていない描写があったが、後の相関図(44巻)には「スタンドは見えるらしい」との記述がある。サイレンの音に対してアレルギーがあると言い、耳にするとジンマシンが出たり、悲鳴を上げたり、嘔吐したりしていた。 苦手とするサイレンの音から逃げるために仗助のスニーカーに変身して逃げる手助けをしてもらい、その恩を仗助に返そうとする。仗助は未起隆をサイコロに変身させ、イカサマ博打で露伴から金を巻き上げようと画策した。その後の鋼田一との戦闘の際には変身能力を駆使して仗助と共に戦い、億泰からもその覚悟を認められた。 母親なる人物が登場し「息子が『自分は宇宙人だ』と言って転校する先々の学校を混乱させて困る」と言うが、当の未起隆は彼女のことを「母親役を演じさせるために洗脳している」と語っていた。結局、未起隆が宇宙人なのか、そう思い込んでいるスタンド使いなのかは不明のままとなっている。作者は「本当はどっちなんだろうな、というのが面白い」ということで、自分では決めていないと語っている。アース・ウインド・アンド・ファイヤー 【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - なし / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - C】 本体をバラけさせ、何にでも変身できる能力。小さな物や軽いものなら何でも変身でき、複数に分裂することもできるが、自分以上に力のあるものや複雑な機械には変身できないうえ、人の顔真似などもできない。姿を変えた自分を対象に装着させることで自分+対象の結果を出せる。本体の一部を分離して変身させることも可能。未起隆自身はスタンド能力ではなく、宇宙人としての特殊能力だと語り、後のスタンド図鑑で便宜上スタンドに分類されているというタイプ。 後のPart6にて同名のスタンド能力が登場したが、そちらは単行本収録時に名称が「プラネット・ウェイブス」に変更されている。 能力名は劇中には登場せず、画集『JOJO A-GO!GO!』でつけられた。能力名の由来はアメリカのバンド「アース・ウィンド・アンド・ファイアー」。 『オールスターバトル』以降およびテレビアニメの北米版では、"Terra Ventus"(テラ・ヴェントゥス)と改名されている。 噴上 裕也(ふんがみ ゆうや) 声 - 神原大地 / 谷山紀章 暴走族の高校生。「控えめに言ってもミケランジェロの彫刻のように美しい」と自称するナルシスト。取り巻きにアケミ(声 - 古賀葵)、ヨシエ(声 - 木村珠莉)、レイコ(声 - 篠田みなみ)というヤンキー女3人をはべらせている。自慢は猟犬以上に良い鼻で、見舞いの品の桃が腐っていることを切る前に察知したり、自身の病室に取り巻きの女たちが来ることが匂いでわかったり、アドレナリンといった常人では匂いを嗅ぐことすらできないものの匂いさえ嗅ぎ分けることが可能。 自惚れが強く調子が良い一方で臆病な性格だが、後述のエニグマ戦のように「カッコ悪いことはしない」という心意気が誇り高さとして現れることもある。 吉良吉廣によりスタンド使いとなる。バイク事故で重傷を負った際に吉廣の「矢」で貫かれ、スタンド能力を発現する。病院に運ばれた後、自身の負傷を回復させたいという強い思いから事故を起こした二つ杜トンネルに罠を張り、強い生命力を持つスタンド使いを取り込もうと待ち構えていた。 岸辺露伴を罠に取り込み、彼を追って現れた仗助と追跡戦を繰り広げた末に辿り着かれた病室では、仗助の養分を吸い取って追い詰めるが、自分の治療用の点滴で仗助が体力を回復したことにより、形勢は逆転する。ケガ人であることを盾に命乞いするも、仗助のスタンドでケガを治されたうえでラッシュ攻撃を叩き込まれ、敗北しそのまま入院継続。 後のエニグマ戦にて、仗助と共闘する。当初は調査のみで深入りするつもりはなかったが、康一や仗助の母親を人質にする輝之輔の卑劣さや、罠と分かっていながらそれらを助けようとする仗助のスタイルを目の当たりにし「紙にされたのが取り巻きの3人娘の誰かだったなら自分もそうしていた」「てめー(宮本輝之輔)や吉良吉影をこの町で生かしておくのはカッコ悪いことだ」と、男気を見せて戦いにも加わった。最終的に敗北して紙にされてしまったものの、それを利用した捨て身の奇策で仗助と康一を救出して勝利に貢献し、仗助からも称賛された。 「弓と矢」にまつわる一連の事件の解決後、杉本鈴美が天国へと旅立つ際には見送りに顔を出した。ハイウェイ・スター 【破壊力 - C / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】 人間の体内に侵入して養分を吸い取るスタンド。本来は遠隔操作型であるが、発現した当初、本体である噴上裕也が瀕死の重傷を負ってスタンドを操作できる状態ではなかった為、「怪我を治したい」という思いだけで半ば一人歩きしているような状態だった。その為、本体が重傷を負っていたにも関わらずハイウェイ・スターには反映されていなかったが、代わりに噴上裕也もスタンドと情報共有が出来ない状態だった。 二つ杜トンネルの中に部屋を作り出し、対象人物が興味をそそる幻覚を見せておびき寄せ、好奇心でその部屋に入り込んだ者の匂いを記憶し、襲って養分を奪い取る。標的に逃げられた場合は最高時速60kmのスピードで標的をどこまでも追跡する。トンネル内では自意識を持っていたが、外に出ると知性が大幅に低下し、自動的な攻撃しか出来ないようになってしまう。追跡相手に振り切られた場合には、スタンドを一度解除して予測した大よその位置に再出現させ、相手の匂いを頼りに再度追跡を開始することもできる。網目状の模様が付いた人型の姿から、スライス状に分離して複数の足跡のような姿に変化でき、この状態での飽和攻撃にはクレイジー・ダイヤモンドのラッシュですら凌ぎ切れなかった。強化された嗅覚や吸収した栄養など、ダメージ以外も本体にフィードバックする特性を持つ。ただしパワー自体は低くシュレッダーも壊せない上、人間レベルの腕力でドアに挟まれただけでスライス状に分裂してしまう。 噴上裕也が回復後は通常の遠隔操作型のスタンドに変化し、視覚や聴覚の共有も出来るようになった模様。 スタンド名の由来はディープ・パープルの楽曲「ハイウェイ・スター」。 『オールスターバトル』以降およびテレビアニメの北米版では、"Highway Go Go"(ハイウェイ・ゴー・ゴー)と改名されている。 ストレイ・キャット / 猫草(ねこぐさ) / 元「タマ」 声 - なし 元はブリティッシュ・ブルー種のネコで、その頃の名前は「タマ」。吉廣の「矢」に貫かれた後、川尻しのぶが誤って倒した棚の下敷きにされて死んだと判断され、川尻家の庭に埋葬されてしまう。だが、実際には仮死状態のまま生きていたため、スタンドの影響で埋葬場所からネコとも草ともつかない未知の生物として生まれ変わる。 一応は植物なので歩けず、日の当たらないところではほとんど活動しない。自我はネコのままなので、性格は気まぐれ。「本能と欲望のままに生きる」がモットー。 吉廣が吉影を支援するために作った6人のスタンド使いの一人だが、仗助たちよりも先に吉影の方と遭遇する。殺されかけた時の恨みからしのぶを攻撃し、その様子を見た吉良が危険と判断して始末に踏み切るが、スタンドの相性の悪さから断念し、扱いようによっては利用できると考えた彼によって植木鉢に移され、川尻家の屋根裏部屋でひそかに育てられていた。その後、成長により姿が変化した。 直接的に仗助らと敵対することはなかったが、仗助と吉良の最終決戦時には「キラークイーン」の腹部シャッター内に取り込まれ、爆弾の能力を最大限に生かす強力な「武器」として利用され、仗助を大いに苦しめる。しかし決戦終盤、キラークイーンが腹部シャッターを閉めていない隙をついて、復活した億泰が「ザ・ハンド」でキラークイーンの腹部から引き寄せて捕えた。 吉良との最終決戦後は億泰の父を気に入り、彼の友達になった。ストレイ・キャット 【破壊力 - B / スピード - E / 射程距離 - なし / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】 本体と一体化しているスタンド。空気を操る能力を持ち、固めて発砲したりクッション代わりにして防御するなど、幅広く応用できる。空気をなくすことで「キラークイーン」の「第一の爆弾」を無力化した、唯一のスタンドでもある。光合成で行われる呼吸により操作するため、強い光を当てれば当てるほど強化されるが、逆に光を当てなければほとんど無力化される。 スタンド名の由来はアメリカのバンド「ストレイ・キャッツ」。 『オールスターバトル』以降およびテレビアニメの北米版では、"Feral Cat"(フェラル・キャット)と改名されている。 鋼田一 豊大(かねだいち とよひろ) 声 - 遠近孝一 杜王町郊外の廃鉄塔を10万円で買い取り、3年間その鉄塔の中だけで自給自足の生活を送っていた奇妙な男。 仗助、億泰、未起隆の3人が好奇心から近寄るが、実は自らのスタンドと一体化した鉄塔に囚われているスタンド使いであり、吉良吉廣が唆して吉影を追う仗助らに仕向けた刺客であった。仗助ら吉影の追跡者の誰かを鉄塔に閉じ込めれば「鉄塔を出た後の生活の面倒はすべて見てやる」という吉廣の言葉を信じ、自身の身代わりとして鉄塔に閉じ込めようと仗助らに襲いかかる。 仗助たちと出会った際の顔は素顔ではなく精巧なマスクを被っており、名前も偽名であったりと、鉄塔を出た逃亡後に追跡されないための下準備もしていた。長年の鉄塔での生活で掌のタコが異常なほど硬く発達しており、電線に引っかけたり、カッターナイフなどの小物を収納できるなど幅広く応用が利く。鉄塔とスタンド能力の特性を熟知しており、鉄塔内での地の利を生かして戦う。 鉄塔に入り込んだ仗助と未起隆に対し、鉄塔への攻撃エネルギー循環を操作して戦い追い詰めるが、クレイジー・ダイヤモンドの「治す」能力でエネルギーを撃ち返されて敗北した。この敗北で、自分が一番安心して生活できる場所はここしかないと改心し、鉄塔中で生涯を過ごすことを決意する。 その後、吉良親子に関する情報を仗助に問われた際には、別の刺客(エニグマの少年)によって康一がすでに始末されたという情報を、仗助らに提供している。 テレビアニメ版ではその後も未起隆と交流があるようで、彼に釣った魚の手料理を振舞っている。スーパーフライ 【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - なし / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】 豊大が住居としている鉄塔と一体化しているスタンド。鉄塔の枠の中に1人以上残っていない状態で枠の外に出ようとすると、枠の外に出た部分が鉄塔の一部に変化してしまうため、一度捕らわれれば誰かと入れ替わるまで脱出できない。本体である鋼田一豊大にも制御ができず同調もしておらず、スタンド能力が「ひとり歩き」している状態のため、彼自身も能力に囚われてしまっている。 また、攻撃を受けるとその破壊エネルギーを鉄塔内で循環させた後、攻撃を受けた場所から放出するため、破壊することもできない。この性質を利用し、豊大は放出される破壊エネルギーの軌道を見切ることで、攻撃や移動にも使用している。また、鉄塔に多少のダメージを与えても本体に影響はない。 スタンド名の由来はアメリカの歌手カーティス・メイフィールドの楽曲およびその収録アルバム「スーパーフライ」。 宮本 輝之輔(みやもと てるのすけ) / エニグマの少年 声 - 成瀬誠 / 河西健吾 吉良吉廣によりスタンド使いとなる。他人が恐怖する姿を観察することに悦びを得る悪癖を持ち、その欲求を満たすために能力を悪用する少年。劇中では本名が出ず「エニグマの少年」と表記されていたが、後に関連書籍で正式な名前「宮本輝之輔」が明かされた。 康一や朋子をスタンド能力で人質にして仗助を追い詰めるが、噴上裕也の協力もあり抹殺に失敗する。その卑劣な手段と陰湿な性格が仗助の怒りを買い、最後は彼によってシュレッダーの紙屑と融合させられて本になり、杜王町の図書館に寄贈される。この本を読んでいると、時折声が聞こえるらしい。エニグマ 【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - C】 あらゆる物体を紙の中に閉じ込めることができる人型のスタンド。人間に対しては発動条件があり、個人が持つ特有の「恐怖のサイン」を、輝之輔が見抜いたうえで相手に示させることで紙に閉じ込めることができる。何かを閉じ込めた紙は折りたたまれており、開くことで中身を取り出すことができる。 本体の輝之輔も紙の中へ自由に出入り可能で、紙に入った状態で身を潜めたり、風を利用して飛び回ったりする移動ができる。紙の中では時間経過の概念がないため、ラーメンも温かいまま麺が伸びることなく保存でき、タクシーのような大きな物体も運転手ごと閉じ込めることが可能。 スタンド自身に攻撃力はないが、紙に閉じ込めた物体は、紙を破り裂くなど破損させれば同じようにダメージを受けるため、あらゆる物体を簡単に破壊できる。 スタンド名の由来はルーマニアの音楽プロジェクト「エニグマ」。 『オールスターバトル』、テレビアニメの北米版では、"Misterioso"(ミステリオーゾ)と改名されている。 乙 雅三(きのと まさぞう) 声 - 石井真 / 演 - 市川猿之助(『岸辺露伴は動かない』) 半焼した岸辺邸を改修工事の見積りのために訪れた、一級建築士。1970年生まれ。 吉良吉廣によりスタンドを引き出されるも雅三にその自覚はなく、スタンドが生み出した本体にさえ害をなしている。スタンド能力には最後まで無自覚だったが、「背中を見られたくない」「見られたらおしまいだ」という恐怖だけは感じており、他人に背中を見せないように生活していた。対面の際に背中を隠すための奇行が多い一方、性格は温厚で礼儀正しく商売人としては腹黒く金に汚いという、あくまで普通の人間である。 岸辺邸を訪れた際には先述の奇行が逆に露伴の好奇心を煽り、背中を見られたことでスタンドのスイッチが入ってしまう。最後は、チープ・トリックが露伴へ移動したときのショックによって背中から血を噴き出して怪死し、ミニチュア人形のように小さく干からびた死体と化した。チープ・トリック 【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - E / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】 自意識を持ち、宿主の背中に取り憑く完全な自律型スタンド。パワーはほとんど無く、本人いわく「絆創膏を剥がすほどの力さえも持っていない」そうだが、作中で出前を注文しているシーンがあるので、受話器を持ち上げる程度の力はある模様。他人のボケに対してツッコミをしたり、慰めたりもする。「ね?」が口癖。 宿主の耳元で囁くことで精神的なダメージを負わせるほか、周囲の人や動物に話しかけ、宿主の背中を見るように仕向ける。宿主が誰かに背中を見られると、このスタンドは背中を見た者(動物も含む)の背中へ移動して取り憑き、その者を新たな宿主とする。その際に元の宿主は背中を引き裂かれ、精気を吸われて死亡する。 能力によって貼り付いているために物理的な力で引き剥がすことはできず、強引に剥がそうとすれば背中ごと裂けてしまううえ、スタンド攻撃もそのまま宿主へ跳ね返ってくる。自他ともにろくな行動ができず、能力の発現に第三者を必要とする受動的なスタンドである。 雅三の背中を見た露伴に取り憑き、吉良の手掛かりとなる写真を焼けば周囲に背中を見るように仕向けないと露伴に取引を持ち掛けるが拒否され、対抗策を思いついて外出した彼にさまざまな妨害を行う。最後は、「ふり向いてはいけない小道」にたどり着いた露伴が康一にわざと背中を見せ、彼に取り憑こうとふり向いた結果、そこにいる存在によって露伴から引き剥がされ、彼のヘブンズ・ドアーによって「地獄に行く」と書かれた状態であの世へ引き込まれていった。 スタンド名の由来はアメリカのバンド「チープ・トリック」。モチーフはおんぶおばけ。 テレビアニメの北米版では、"Cheap Trap"(チープ・トラップ)と改名されている。
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